Game of Vampire 作:のみみず@白月
1話
忌々しい明かりだ。
空に三日月が輝く夜。屋敷のバルコニーに立ち、遥か遠くに見える人間どもの町を眺めながら、アンネリーゼ・バートリは苛々と背中の翼を揺らしていた。
人間どもが闇夜を恐れ、我々が紅く染まる黄昏の空を、黒く沈む夜の森を自由に飛び回っていた時代は確かにあったはずだ。気まぐれに獲物を狩り、ヤツらの抵抗をせせら笑いながら見下ろしていたあの栄光の日々が。……そう、我々吸血鬼の時代は確かにあったのだ。
それが今やどうだろうか。嘗て在った名門はその殆どが姿を消し、低俗な半端者たちが我が物顔で『吸血鬼』を名乗っている。数えるほどの本物の吸血鬼たちも、人間どもの光が届かぬ場所でひっそりと身を潜めている始末だ。
まあ、無理もないか。誇り高き我がバートリ家ですら、数人の使用人と一匹のしもべ妖精が残るだけなのだから。であれば他の木っ端どもに期待したところで何の意味もあるまい。
「ふん。」
鼻を鳴らしてバルコニーから屋敷の中に戻り、自室へと向かうために廊下を歩きながら思考を回す。このままではいけない。下等種族どもがうじゃうじゃと、その数を増やし続けるのは最早止めようがないだろう。しかし、我々が歴史の闇に消え去るというのはどうにも我慢ならないのだ。
「そういえば……。」
コツコツという靴音の合間にふと言葉が漏れ出る。そういえば、あの姉妹はどうしているのだろうか? あの傲慢な姉と狂った妹。紅い館の吸血鬼姉妹。
最後に顔を合わせたのは確か……まだ彼女たちの父も、私の父も生きていた頃のはずだ。『狩り』の獲物を取り合って、姉の方と大喧嘩をしたんだったか。お互いの半身をふっ飛ばすほどの喧嘩になった挙句、苦笑するそれぞれの父に引き摺られながら別れたのが最後だったはず。
そもそも同格の吸血鬼が群れることなど滅多にない。プライドの高い吸血鬼は各々に広大な縄張りを持ち、基本的に同種に対しては不干渉を貫く。中立の場所で行なう定期的な社交こそあれど、日常的に家同士の付き合いを持つというのは珍しいことなのだ。
しかし、父上とスカーレット卿は血を分けた兄弟だった。そも父上はバートリ家への入婿で、スカーレット卿はその兄。そのため何十年かに一度は顔を合わせる程度の付き合いがあったわけだ。
だが、バートリ家もスカーレット家もほぼ同時期に起こった当主の死という混乱から、それどころではなくなってしまった。風の便りで姉の方が当主に収まったとは聞いているものの、あれ以来直接の連絡を取り合ったことはなかったはずだ。
ちらりと横にある窓に目をやってみれば、セミロングの真っ黒な髪に真っ赤な瞳、おまけに真っ白な肌。窓に映った自分の姿が見えてくる。……ふむ、手紙でも送ってみようか。シルバーブロンドの彼女のことを思い出すのと同時に、窓の中の私がくすりと微笑んだ。
よしよし、思い立ったら即実行。到着した自室のドアを開けて、父上から貰った最高級人皮張りの椅子に座りながら置いてあったベルを鳴らしてやれば、パチンという音と共に我が家のしもべ妖精たるロワーが現れた。
「御用でしょうか? アンネリーゼお嬢様。」
「手紙を書こうかと思ってね。準備を頼むよ。封筒と便箋はとびっきりのを持ってきてくれたまえ。」
「すぐにご用意いたします。」
言いながらロワーが指を鳴らすと、一瞬のうちに必要な物全てが机の上に用意される。薄緑色の肌に、大きすぎる瞳と長すぎる鷲鼻。最初はその醜い見た目が気に食わなかったが、いざ使ってみると手放したくなくなるほどに優秀ではないか。
「大変結構。もう下がっていいよ。」
「では、失礼いたします。」
こちらが指示した瞬間、ぺこりとお辞儀をしながらロワーが姿を消す。余計なことは言わず、打てば響く。優秀な使用人ってのはこうでなくっちゃな。
うんうん頷きながら机に向き直り、さあ書くかと羽ペンを手に取ったはいいが……そういえばまだ何を書くかを決めていなかった。彼女たちの父親が死んでからもう十年は経っているし、さすがにお悔やみの手紙を書くには遅すぎるだろう。当主就任のお祝いとか? うーん、何か違う気がするな。
羽ペンをくるくる回しながら考えるが……まあいいさ、書いているうちに何か思い付くだろう。何れにせよ書き出しは決まっているのだ。視界の隅で踊っていた黒髪を耳にかけ、瞳を細めて悪戯な笑みを浮かべながら羽ペンを走らせる。
《 親愛なる我が従姉妹 レミリア・スカーレット殿
嘗ての別れからどれほどの歳月が流れたのでしょうか。あの勝負に勝った、輝かしい瞬間を今でも思い出します── 》
書き進めるにつれて、どんどん羽ペンの進みが滑らかになっていく。それと同時に、ぼやけていた思い出も鮮明になってきた。
同時期に生まれた私たちは、多くのことを競い合ったものだ。身長、腕力、狩りのスピード、翼の美しさ、魅了の強さ、妖力の扱い。多くの勝利と、それと同じくらいの敗北。妹のフランドールが物心付いた後は、外に出られない彼女のために、あの真っ赤な館の地下室で三人一緒によく遊んだっけ。
「んふふ。」
父親たちの目を盗んでレミリアと一緒に初めての吸血をした時、慣れないストレートの血に酔っ払った結果、飼っていた人間を殺してしまったことを思い出して笑みが零れる。あの時は服を血だらけにした所為でひどく怒られちゃったな。幼い頃の微笑ましい失敗というわけだ。
《 ──の返事を心よりお待ちしております。
貴女の従姉妹にして偉大なる夜の支配者 アンネリーゼ・バートリ 》
うーむ、『偉大なる夜の支配者』はさすがに傲慢すぎるか? ……まあ、レミリア相手ならこれくらいが丁度良いだろう。書き終わった手紙を封筒に入れた後、封蝋を垂らして我が家の紋章で封を施す。そのまま自分の身体の一部をコウモリに変えて、手紙を持たせて部屋の窓から外に放った。なんだか楽しい気分になってきたぞ。
久し振りにあいつと遊ぶのもいいかもしれない。何たってもう二人ともあの頃とは違うのだ。お互い当主になって色々なことを学んだし、力の使い方なんかも上手くなっているだろう。だったらあの頃とは違う、もっと壮大で、もっと派手な遊びが出来るんじゃないか?
雲一つない夜空に浮かぶ美しい三日月を眺めながら、アンネリーゼ・バートリは自分の口元が笑みの形に歪むのを感じるのだった。
─────
「あの傲慢コウモリ! 性悪の悪魔! ペタンコ吸血鬼!」
深夜の紅魔館中に響き渡るお嬢様の怒鳴り声を聞いて、紅美鈴は思いっきり顔を引きつらせていた。なんてこった、お嬢様がおかしくなっちゃったぞ。よもや自分で自分を罵倒し始めるとは……とうとうストレスでぶっ壊れてしまったらしい。
門前から声の出所たる二階のお嬢様の執務室を見上げつつ、仕方なしに館の玄関へと歩を進める。関わりたくないのは山々だが、一応確認しておかねばなるまい。お嬢様の頭がおかしくなったとなれば、この紅魔館で『まとも』なのは自分だけになってしまうのだから。お嬢様と私を除くと、ちょっと気が触れている妹様とお馬鹿な妖精メイドたちしかこの館には居ないのだ。
エントランスを抜けて二階への階段を上っている最中にも、お嬢様の罵声は止まることなく聞こえてくる。内容がやけに具体的なのがより一層の狂気を感じさせるな。怖すぎるぞ。
「大体、あの時の勝負は私の勝ちだったでしょうが! おまけに昔のことをネチネチと……ああ、イライラするわね!」
そのまま二階の廊下を進んでたどり着いたお嬢様の執務室のドアを、嫌々ながらも恐る恐るノックしてみると……先程まで聞こえていた罵声がピタリと止んだ後、数秒の沈黙を挟んでから入室を許可する声が飛んできた。
「入りなさい、美鈴。」
「……失礼しまーす。」
まさか妹様みたいにいきなり襲い掛かってきたりはしないだろうな? 慎重にドアを開けてみれば、恐らく頭を無茶苦茶に掻き回したのだろう、自慢のシルバーブロンドがくしゃくしゃになったお嬢様の姿が執務机の向こう側に見えてきた。そして机の上には高級そうな封筒と、強く握り締めた所為か哀れにも皺だらけになった便箋が載っている。
「それで、用件は? また妖精メイドが何かやらかしたの?」
機嫌の悪そうな雰囲気を纏ったままで聞いてきたお嬢様に、執務机に歩み寄りながら答えを返す。ふむ? 思ったよりもまともっぽいぞ。どういうことなんだ?
「そんなのいつものことじゃないですか。……それより、頭は大丈夫なんですか? お嬢様。」
「どういう意味よ!」
「いやぁ、その……自分で自分に罵声を浴びせかけていたようだったので、とうとう妹様の狂気にやられちゃったのかなと思いまして。」
「違うわよ、失礼ね! こいつに怒ってたの!」
『こいつ』? 顔を真っ赤にして怒るお嬢様は、私に向かって皺だらけの便箋を突き出してくる。それを受け取って伸ばしながら流し読んでみると……なるほどな、これはお嬢様が怒るわけだ。
そこには『小さなレミリア』だとか、『フランの方が当主に向いている』、『相変わらず上手く血を吸えないのか?』といったお嬢様を小バカにするような言葉が、無駄に上品な表現で延々と書き連ねられていた。
文面からして差出人は親しい人物のようだが、お嬢様にそんな相手が居たっけか? 一体どんなヤツがこんな無謀な手紙を出したのかと名前を探してみると──
「えーっと、『貴女の従姉妹にして偉大なる夜の支配者 アンネリーゼ・バートリ』って……お嬢様に従姉妹とかいたんですね。知りませんでしたよ。」
「なーにが夜の支配者よ、バカバカしい。あいつが支配できる闇なんてクローゼットの中くらいじゃないの! ……リーゼは昔からこうだったわ。いっつもニヤニヤ笑いながら私のことをチビだの威厳がないだのってからかってきて! そっちだって大して変わらない癖に!」
コウモリのような翼をバタバタと椅子にぶつけながら怒っているお嬢様の言葉を聞いて、思わず笑みが浮かんでくる。このところ沈みがちだったお嬢様には良い気付け薬になったようだ。口ではとやかく言いつつも、何となく嬉しそうに見えるぞ。
「ちょっと嬉しそうですね、お嬢様。」
「そんなわけないでしょうが! ええい、意味不明なことを言ってないでレターセットを取って頂戴。あいつに私の怒りを思い知らせてやるわ!」
「はいはーい。」
いやはや、お嬢様がこんなにも感情を表に出すのはいつ以来だろうか。父親であるスカーレット卿が倒れ、下克上を狙う同族や眷属たちから妹様と館を守り抜き、人間たちから姿を隠すために奔走する日々の中で、お嬢様は否が応でも成長せざるを得なかった。いつからか威厳に満ちた言葉を選ぶようになり、感情を隠すようになったお嬢様が子供のように怒っているのを見ると……うむうむ、なんだか安心するな。
一つ頷きながら備え付けの棚からレターセットを出して、それを執務机に置いたところでふとした疑問が頭をよぎる。私が雇われた直後に起こった当主の座を巡る戦い。仲の良い従姉妹が居るんだったら、どうしてあの時助力を請わなかったのだろうか?
「そういえば、そんなに親しいんだったらどうしてあの時助けを求めなかったんですか? 従姉妹さんも吸血鬼なんですよね? かなりの戦力になったと思うんですけど。」
「助けを求める? 私が? あいつに? 冗談じゃないわ。そんなことをするくらいなら日光浴をしながら炒った豆でも食ったほうがマシよ。それにまあ、何と言うか……向こうも同時期に当主が死んで大変だったらしいからね。別にそれとは関係ないけど。」
「妹様といい、従姉妹さんといい、愛情の向け方が歪んでますよねぇ、お嬢様は。」
こういうのを不器用って言うんだろうな。しみじみと言ってやると、猛烈な勢いで手紙を書いていたお嬢様がジト目で睨め付けてきた。おっとマズい、からかいすぎたか。
「……ご飯抜きにされたいらしいわね。」
「あーっと、それはちょっと困りますね。ほらほら、当主としての懐の深さを見せてくださいよ。」
「懐の深い悪魔なんているわけないでしょ。アホなことを言ってる暇があるなら、フランにもリーゼから手紙が来たって伝えてきて頂戴。」
「りょうかいでーす。」
にへらと笑って返事をした後、明確な『ご飯抜き宣言』を食らう前に小走りで部屋を出る。先程上ってきた階段を一気に飛び下りて、地下通路に続く階段がある方へと一階の廊下を歩き始めた。
しかし、一階の廊下はやっぱりお掃除が必要だな。二階のお嬢様の生活スペースとエントランス周辺だけはなんとか綺麗に保てているが、このボロボロの廊下もいつかは片付けねばなるまい。……当然、私がやることになるわけだ。妖精メイドたちに期待するほど耄碌しちゃいないさ。
でも、面倒くさいなぁ。ため息を吐きながら廊下の突き当たりにある階段を下りて、薄暗い地下通路へと足を踏み入れる。こっちはまあ、許容範囲だ。同じようにボロボロだし、お世辞にも綺麗とは言い難い有様だが、基本的に石造りな所為であんまり気にならない。
だからセーフ。これもまた雰囲気作りの一環なのだ。内心で自分に言い訳をしつつ、通路の最奥にあった鋼鉄製のドアをノックしてから名乗りを上げた。
「妹様、美鈴でーす。」
「……はいっていいよ。」
鈴を転がすような綺麗な声と、それに似つかわしくない平坦な話し方。許可に従って重いドアをゆっくりと開けてみれば、人形の……というか、人形だったモノの散らばる床にぺたりと座り込んでいる小さな女の子が見えてくる。
うわぁ、ヤバいぞ。いきなり不機嫌モードじゃないか。輝く金髪をサイドに纏め、可愛らしい小さな口元を真一文字に閉じた妹様は、ぺちぺちと地面を叩きながら入ってきた私を睨み付けてきた。
これが初めて会った者であれば、キュートな少女が拗ねているとしか思わないのだろうが、残念ながら私はこの少女が凄まじい力を持った吸血鬼であることを知っているのだ。おまけにちょっと気が触れているとなれば、これはもう普通に命の危機なのである。
落ち着け、私。こういう時の妹様にはとにかく話しかけるのが肝要だ。少なくとも会話が続いている分には『きゅっからのドッカーン』はない……こともないが、確率的には多少マシになるのだから。
「妹様、朗報ですよ! お手紙! お手紙が来たんです!」
とりあえず明るい表情で話題を投げかけてみると、予想に反していきなり妹様の放つ威圧感が増してしまった。どうやら虫の居所が悪いらしい。
「手紙ぃ? まさかフランにってわけじゃないんでしょ? アイツに手紙が来たからってなんでフランの所にわざわざ知らせに来るの? ……ひょっとして、自慢? 地下室で延々お人形ごっこをしてるフランに自慢しに来たってこと? 頭のおかしいフランと違って、自分にはお友達がいるんだって! 壁に話しかけてるようなフランとは違うんだって! そうやって自慢しに来たんでしょ!」
わお、怖い。妹様が長台詞モードになっちゃってる。こうなると一方的にこちらに対して文句を言い募った後に、ドッカーンが来ちゃうのだ。それを防ぐためには話の流れを変える必要があるわけだが……そういえば例の従姉妹さんと妹様は仲が良いのだろうか? もし仲が悪かったとすれば、手紙の送り主を伝えたところで火に油を注ぐだけだぞ。
とはいえ、最早どうしようもない。いざとなればお嬢様に全部押し付けて逃げてしまおう。額に冷や汗が滲むのを感じながら、文句の合間に地面をぶん殴っている妹様へと口を開く。
「うー、嫌い、嫌い! アイツはいっつもそうなんだ! どうせ上ではフランのことを嗤ってるんだ! どうせ、どうせ──」
「あの、アンネリーゼ・バートリさんからのお手紙だったんです!」
背水の覚悟で長台詞に割り込んでみると、その瞬間にビックリした顔で妹様が喋るのを止めた……かと思えば、いきなり満面の笑みでこちらに問いかけを送ってきた。どうやら当たりを引いたらしいが、これはこれでちょっと怖いな。
「リーゼお姉様からのお手紙? なんて書いてあったの?」
「えっとですね……なんか近況報告と、お嬢様を小バカにする内容が半々くらいでしたよ。」
「ざまあみろ、いい気味だね。それで? 遊びに来るとは書いてなかったの? フランのことは?」
「遊びに来るとは書いてませんでしたけど、妹様のほうが当主に相応しいだとか、可愛いフランに会いたいとかっては書いてましたよ。」
矢継ぎ早に飛んできた質問に答えを返してみると、妹様はご機嫌な様子でニコニコ笑い始める。当主云々の辺りは本気で書いていたようには見えなかったが、そんなもん構うまい。私は自分の身の安全が一番大切なのだ。
「えへへ、さすがはリーゼお姉様だね。物事を正しくニンシキしてるよ。美鈴もそう思うでしょ?」
「そうですねぇ、そう思います。」
イエスマンに徹して同意を放つ。長いものにはぐるぐる巻かれるべきなのだ。私の肯定で更に気を良くしたらしい妹様は、地面に仰向けに寝転がりながら従姉妹さんについてを語り出した。
「リーゼお姉様かぁ、私も久しぶりに会いたいな。……そうだ! 美鈴、アイツにリーゼお姉様をお招きするように言ってよ。そしたらそしたら、何して遊ぼうかな? 一緒にアイツをぶっ飛ばすのがいいかも! それともきゅうけつ鬼ごっこ? うーん、悩むなぁ。」
どうやら妹様の中では、既に従姉妹さんが遊びに来ることは決定済みらしい。……まあ、私もちょっとだけ興味があるな。お嬢様はライバル視しているようだし、妹様はよく懐いているようだ。果たしてどんな吸血鬼なのか。
「分かりました。お嬢様に伝えてきますねー。」
了承の言葉を返してから妹様の部屋を出て、伝書コウモリの如くお嬢様の執務室へと戻りながら考える。もし従姉妹さんをお招きするとなれば、お嬢様はこの館の惨状を是とすまい。あれだけ対抗心を燃やしていたのだから、見栄を張って完璧な状態を見せたがるはずだ。
そうなると私が馬車馬のように働く羽目になるのだが……反面、従姉妹さんを招かなければ妹様の機嫌は地の底だろう。そうなった場合に煽りを食うのも同じく私なのだ。
どちらにせよ自分が苦労する未来が見えるのに、紅魔館の門番兼メイド長兼庭師兼復旧担当である紅美鈴は深いため息を漏らすのだった。