Game of Vampire   作:のみみず@白月

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戦闘準備

 

 

「……それは、さすがに塗りすぎなんじゃないか? 新種の屋根裏お化けみたいになってるぞ。」

 

女子寮がこれほどまでに騒がしくなることは今後なかろう。かつてない喧騒に包まれる女子寮の一室で、アンネリーゼ・バートリは髪に謎のクリームを塗りたくっているハーマイオニーに話しかけていた。塗っているというか、ここまでくると『被っている』に近いな。

 

遂に訪れたクリスマス・ダンスパーティーの当日。夜を想像しながら暢気にはしゃいでいる男子たちを他所に、女子一同は『戦闘準備』の真っ最中なのだ。パーティーの開始は十九時だが、十六時現在で既に収拾のつかない有様になっている。

 

例えば同室のブラウンなんかは瓜二つの髪飾りを両手に持って、どちらを着けるべきかと廊下に立って道行く人全員に質問を飛ばしまくっているし、五年生のモートンはコルセットを締めすぎて医務室に運ばれていった。勇敢にも身に着けた状態のコルセットに縮ませ呪文を使ったらしい。……運ばれていくところを目撃したが、コメディかホラーか判断に迷う姿だったぞ。

 

後はまあ、六年生のハケットが香水に愛の妙薬を混ぜ込んだことを自慢げに話していたりもしたな。……残念ながら真っ先に自分自身に効果が出てしまったようで、今は鏡に向かってウィンクを送り続けているが。鏡と式を挙げる前に解毒薬が間に合うことを祈るばかりだ。

 

ある意味究極の愛を見つけたハケットのことを思う私に、ドレッサーの前のクリームお化けちゃんが返事を返してきた。

 

「私の癖っ毛は頑固だから、ちょっと多目に塗ったのよ。……『スリーク・イージーの直毛薬』ならなんとかなるはずだわ。っていうか、なってもらわないと困るの。シニョンに纏め上げる予定なんだから。」

 

「『ちょっと』にしては随分な量だが……今のところ全然変化が見られないじゃないか。キミの髪の毛は元気いっぱいにぴょんぴょん跳ねてるぞ。分厚いクリームの重さもなんのそのだ。」

 

「二時間くらい塗っておけば大丈夫よ、きっと。」

 

そんな意味不明なクリームを二時間も塗っておくつもりなのか。髪が傷んじゃうぞ。……うーむ、私から見れば癖っ毛も可愛いと思うのだが、その辺は自分に無いものを求めてしまうのかもしれない。私もふわふわ髪にしてみたい時があるし。

 

髪型についてぼんやり考え始めた私に、やおらハーマイオニーがカラフルな表紙の本を突きつけてくる。『おしゃれ呪文集』? あんまりハーマイオニーらしくない本だな。どっちかっていうと『ピーチクパーチク系』の本だ。

 

「それより、こっちを手伝って欲しいの。この本の……これよ! 」

 

「『歯並びを整える呪文』? 随分とまあ、ピンポイントな呪文だね。これがどうしたんだい?」

 

「その……つまり、前歯をちょこっとだけ短くしたいのよ。でもほら、鏡越しだと自分でやるのは難しくって。結構複雑な魔法だし、頼めそうなのはリーゼだけなの。お願い出来ない?」

 

「そりゃあ構わないが、私は特に気にならないと思うけどね。」

 

言われてみればちょっと目立つかなってくらいなのだ。一種のチャームポイントとも言えるレベルだし、殆どの人は気付きもしないだろう。……この辺も本人なればこそ気になるわけか。美ってのはつくづく人間を狂わせるな。

 

「私にとっては気になる箇所なの。本当はパパやママが矯正でどうにかしたいって言ってたんだけど……ほら、歯医者でしょう? でも、いい機会だし魔法でやっちゃおうと思って。こっちならすぐに終わるしね。」

 

「ちなみにマグル流だとどうやるんだい? またドリルで削るとか?」

 

「物凄く簡単に言うと、ワイヤーで締めつけて歯をゆっくり移動させるのよ。こう、押さえつけるような感じで。もちろん少しは削ったりもするけど。」

 

「……なるほど。」

 

狂ってるぞ。ドリルの次はワイヤー? どうやらマグルの世界では非常に『原始的』な方法で歯を扱うらしい。削って、埋めて、締めつけるわけだ。もはや狂気すら感じられてきた。

 

ワイヤーで歯を締めつける光景に身震いする私に、ハーマイオニーが口を開けながら呪文を催促してくる。咲夜が一人で歯磨きできなかった頃を思い出す姿だ。

 

「さあ、一思いにやって頂戴。」

 

「はいはい。いくよ?」

 

本に書いてある通りに杖を振りながら呪文を唱えてみると……これは、結構難しいな。かなり細やかな調整が必要なようだ。こうなってくると許されざる呪文なんかよりよっぽど難易度が高いぞ。

 

悪戦苦闘すること十分。この矯正呪文においてはリドルより上手くなったという確信が得られたあたりで、ようやくハーマイオニーの歯並びには一切の違和感が無くなった。……ふむ、確かに美人になってるな。僅かな変化でこうも変わるもんなのか。

 

「いい感じになったよ、ハーマイオニー。」

 

言いながら手鏡を渡してやると、ハーマイオニーは鏡を見て満足そうに頷く。かなり嬉しそうな表情だ。結構気にしてたのかもしれんな。

 

「素晴らしいわ、リーゼ。貴女これで食べていけるわよ。」

 

「吸血鬼の矯正歯科かい? ジョークにもならないね。」

 

そしたら先ずは自慢の八重歯を平らにしなくてはなるまい。そんなのは御免だ。吸血鬼にとって牙が尖っているというのは自慢なのである。そして私のはレミリアよりも鋭い自慢の牙なんだぞ。

 

「何にせよこれで完璧ね。後は髪がストレートになるのを待って、お化粧をして、ドレスを着て……そういえば、リーゼはいいの? 何かやるんなら手伝うわよ?」

 

ニコニコ顔で言ってくるご機嫌ハーミーちゃんに、肩を竦めて返事を返す。

 

「私は特にやることがないよ。服はすぐに着替えられるだろうし、髪は……そうだな、こうしようか。」

 

適当にポニーテールにでもすればいいだろう。手で髪を纏めて示してやると、ハーマイオニーはちょっと怪訝そうな表情で問いかけてきた。

 

「それだけ? ……ひょっとして、ダンスパーティーってそんなに気合を入れて行くものじゃないの? リーゼは何回も経験があるのよね? 私は一度もないからさっぱりだわ。」

 

「いやいや、普通は気合を入れるもんだと思うよ。ただまあ、私は化粧が嫌いだし、咲夜をエスコートする立場だからね。咲夜の添え物になるべき立場であって、あんまり煌びやかにするもんじゃないのさ。」

 

元来人間にとって魅力的な顔をしている吸血鬼に化粧など不要なのだ。それに化粧品の臭いも好きではない。他人がやる分には文句はないが、自分の顔に塗るとなるとキツいのである。あとはまあ、見た目がガキの私が化粧などしても違和感があるだけだろうし。

 

「そうなの? ……よく分からないわ。」

 

「まあ、先ずはキミのおめかしを終わらせようじゃないか。次は何をするんだい?」

 

「それじゃあ、えっと……そう、アクセサリー! アクセサリーを決めないと。ママがドレスに合いそうなのを沢山送ってくれたのよ。」

 

アクセサリーを取りにベッドの方へ向かったクリーム塗れのハーマイオニーは、初めてのダンスパーティーでやる気満々のご様子だ。……いやはや、これは長くなりそうだな。絶対に『これとこれ、どっちがいいかしら?』が延々続くぞ。

 

───

 

多くの女子生徒たちが時間が足りないと嘆く中、女子寮の時間は刻一刻と無慈悲に過ぎていき、とうとうパーティーが目前に迫った十八時。洗面所でささっと準備を終わらせた私は、ハーマイオニーのいる部屋へと戻ってきたわけだが……。

 

「ああ、戻ってきたの? それならネックレスを着けるのを手伝ってくれない? 古い形の金具だから、一人だと……。」

 

私の姿を見た途端、ハーマイオニーは大口を開けて硬直してしまったのだ。何だ? さっきチェックした時は問題なかったはずだぞ。ちゃんとアリスに言われた通りに着たはずだ。

 

ネックレスを手に固まってしまったハーマイオニーに、恐る恐る言葉を放つ。まさかバジリスクが隠れ潜んでたわけじゃないよな?

 

「あー、ハーマイオニー? ネックレスなら後ろを向いてくれないと着けられないよ?」

 

「……えっと、リーゼよね?」

 

「それは哲学的な問いかけかい? どうかな。私が思うに私はアンネリーゼ・バートリだと思うんだが……。」

 

いきなり難題を出されてしまったようだ。そういうのはデカルトかパチュリー相手にやって欲しい。きっと二人とも真面目くさって考えてくれるのだから。

 

永遠に議論が終わらなさそうな二人組を思い浮かべる私に、ようやく現実世界に復帰したハーマイオニーが声をかけてきた。

 

「リーゼ、貴女って、貴女って……素敵よ。とってもカッコいいわ。」

 

「そりゃあどうも。だがまあ、あんまり変わってないはずだよ。髪型を変えて、服を着替えただけさ。」

 

「そんなことないわ!」

 

おおう、びっくりしたじゃないか。いきなり大声を出したハーマイオニーは、かなり素早い動きで近寄ってくると……何なんだ。私の周りをぐるぐると回り始めたぞ。

 

「全っ、然違うわよ! 正に男装の麗人じゃない! もっとこう、可愛らしい感じの雰囲気になると思ったのに。いや、可愛らしいといえば可愛らしいんだけど……そう、お姫様の王子様みたいだわ。」

 

「矛盾してて意味不明だぞ、ハーマイオニー。」

 

「でも、そうなんだもの!」

 

うーん? チラリと鏡を見てみても、そこに映っているのは髪型と服装が変わったいつも通りの私だ。そりゃあちょっとは雰囲気が変わってるが……そこまでではないように思える。アリスの服のお陰なのだろうか?

 

「まあ、褒めてくれて嬉しいよ。ほら、ネックレスを貸してごらん。着けてあげるから。」

 

「ええ、そうね。……ねえ、いつもその格好をしてみたら? きっとみんな喜ぶわよ?」

 

「絶対に嫌だね。」

 

年がら年中男装してたらただの変人だろうに。名残惜しそうなハーマイオニーにネックレスを着けて、一歩下がってその全身を見てみれば……いやぁ、こっちの方が驚きに値すると思うぞ。

 

『スリーク・イージー』とやらには確かに効果があったようで、真っ直ぐになった髪は上品なシニョンに結い上げられている。薄い化粧に控えめなアクセサリー、淡いブルーのドレスも相まって、清楚でお淑やかな雰囲気だ。端的に言えば、めちゃくちゃ可愛い。

 

「これはクリービーを見つける必要があるね。写真を撮ってもらおうじゃないか。」

 

「いいけど、リーゼも一緒に写ってよね? それならいいわよ。」

 

「別に構わんが……なんか怖いぞ、ハーマイオニー。」

 

「怖くないわよ! ほら、早く行きましょう。写真もそうだけど、貴女はサクヤを迎えに行かなきゃでしょ?」

 

そうだった。私には咲夜をエスコートするという重大任務があるのだ。背を押すハーマイオニーに従って女子寮の廊下へと出て、そのまま咲夜の部屋へと向かう。……なんかえらく注目されてるな。洗面所から戻った時もそうだったが、やっぱりこういう格好は珍しいのだろうか?

 

「ほら、みんな見てるじゃない。」

 

「珍しいだけだろうさ。動物園のパンダと一緒だよ。」

 

「もう、違うわよ! 何で分からないのかしら。」

 

意味不明なことを喋るハーマイオニーと共に廊下を進み、咲夜の部屋のドアをノックする。ドア越しにお決まりのやり取りを終えた後で入室してみると……またそれか。私を見た咲夜と魔理沙が二人揃ってポカンと大口を開けてしまった。

 

「やあ、咲夜。よく似合ってるよ。」

 

開口一番、先ずは褒める。これが出来ないヤツにエスコートをする資格などないのだ。ただまあ、今回ばかりはそう難しい作業ではなかったな。単に本音を言えばいいだけなのだから。

 

白黒ツートンの可愛らしいドレス姿。夏休みに一度見たとはいえ、やっぱりこれを着た咲夜は格別だ。ブラックの贈ったピンブローチがいいアクセントになっている。やるじゃないか、犬コロ。後でドッグフードでも送ってやろう。

 

しかし……全然反応がないぞ。訪れた沈黙に私が首を傾げていると、口をパクパクさせる咲夜に代わって、先んじて復活した魔理沙が声を上げた。呆れたような、感心したような半笑いの表情だ。

 

「おいおい、二人とも化けたな。ホグワーツに来て一番魔法の凄さを感じたのは今だぜ。」

 

「女の子なら誰でも使える魔法だろうに。驚きすぎだよ、魔理沙。」

 

「少なくとも私は使えんぞ。……リーゼ、いつもその格好でいろよ。その方が絶対にいいぜ。」

 

「そのやり取りはもうやったよ。」

 

デジャヴの多い日だな。うんうん頷いてるハーマイオニーを他所に、機能停止中の咲夜に近付いてみる。

 

「咲夜? 準備は出来てるかい?」

 

顔を覗き込んで問いかけてやれば……大変だ。咲夜が故障してしまった。私を見て、魔理沙を見て、ハーマイオニーを見て、もう一度私を見ると顔を真っ赤にして唸り始めてしまったのだ。

 

「咲夜? ……まさか、具合が悪いんじゃないだろうね? 顔をよく見せてごらん?」

 

「あの、あのっ、大丈夫ですから! 元気です! 私、元気ですから!」

 

「本当に大丈夫なのかい? 無理しなくても──」

 

「すっごい元気です! えっと……咲夜です! よろしくお願いします!」

 

これは……何だ? どうすればいいんだ? 急に謎の自己紹介を放った咲夜は、そのまま私の後ろにサッと移動してしまった。くるりと振り返ってみれば、咲夜も慌てて背後に移動する。まるで意味が分からんぞ。どういう状況なんだ、これは。

 

くるくると回り続ける私たちに、ハーマイオニーがクスクス笑いながら話しかけてきた。

 

「まあ、気持ちはちょっとだけ分かるわ。しばらくすれば落ち着くと思うから、談話室に行きましょうよ。」

 

「そうなのか? ……それじゃあ、行こうか。」

 

尻尾を追う犬の気持ちが少し理解できたところで、談話室へ向かって歩き出す。今日は変な日だ。パーティーのせいでみんなおかしくなってるぞ。

 

そのまま階段を下りて談話室へと入ると……あれは酷いな。一人だけ七十年代に取り残されているヤツが見えてきた。一体全体何を考えているのかは分からんが、我らがロニー坊やは二歳のガキでも流行遅れだと分かるようなドレスローブを着ているのだ。

 

紆余曲折あった末にハリーはルーナを、ロンは私と同室のパーバティ・パチルをパートナーとして迎えることが出来たらしいが、あの姿を見たら今からでも断られるかもしれんぞ。少なくとも私なら絶対に断る。どう見ても未来旅行に来た『過去人』だ。

 

「ロン、そのドレスローブは何だい? 気でも狂ったのか?」

 

「ママがこれしか用意してくれなかったんだよ! 安かったからって、古着で済まされたんだ! 今からこの馬鹿みたいなレースを切り裂くから、それで少しはマシに……リーゼ?」

 

「もういいよ、それは。私は正真正銘アンネリーゼ・バートリだし、この格好は今日限りだ。」

 

三回目ともなるとスムーズに答える私に、驚愕の表情で何かを言い募ろうとするロンだったが、後ろのハーマイオニーを見ると再び硬直してしまった。……何か変な悪戯グッズでも流行ってるのか? 今日は急に硬直するヤツが多すぎるぞ。

 

三秒、五秒、十秒……おや、先んじてハリーが復活したらしい。ここまでだと魔理沙が最短記録だな。残念ながら、生き残った男の子は二位に甘んじることになってしまったようだ。

 

「リーゼ、ハーマイオニー、サクヤ。その……似合ってるよ。みんな綺麗だ。」

 

「素晴らしい対応ね、ハリー。ルーナにもちゃんと言わないとダメよ?」

 

「目玉が沢山繋がってるネックレスを着けてなかったら言うよ。……ほら、この前着けてたやつ。」

 

「もし目玉ネックレスを着けてても言うの。それが親指ネックレスでもね。」

 

ハーミーママのありがたい注意が飛んだところで、ようやくロンが再起動を果たす。彼は『変身』したハーマイオニーをジッと見た後、自分の着ているドレスローブを見て呆然と立ち尽くしてしまった。何を考えてるかは大体分かるぞ。彼は今、様々なことを猛烈に後悔しているに違いない。

 

「気持ちは分かるが、先ずは火急の問題を片付けるべきだと思うよ。つまり、その『アーティファクト』を現代に近付けることをだ。」

 

「同感だな。今のままだと女性用にしか見えないぜ。」

 

私と魔理沙の声を受けて、ようやくロンは現実に戻ってきたようだ。無言で杖を抜きながら頷くと、半ばヤケクソ気味にドレスローブのレースを切り取り始めた。

 

ディフィンド(裂けよ)。……くそっ、全然上手くいかないよ。ディフィンド!」

 

「何でもっと早く言わなかったのよ。そしたらクリスマスプレゼントにでも贈ったのに。……ほら、私がやるわ。貸して頂戴。」

 

袖口をボロボロにするロンを見兼ねたのか、ハーマイオニーが手伝い始めるが……うーむ、なんとも酷な光景ではないか。今のロンはハーマイオニーに手伝って欲しくはなかろう。今にも首を括りたさそうな表情になっている。

 

悪夢のような光景をもう見てられなかったのか、ハリーと咲夜が助け船を出し始めた。

 

「じゃあ、僕は裾の方をやるよ。」

 

「細かいところはナイフでやりましょうか。ちょっとは滑らかに出来るはずです。」

 

そのまま魔理沙と私も協力してレースを切り取っていけば……まあ、多少マシにはなったな。ハリーが着ている『普通の』ドレスローブには及ばないが、少なくともアーティファクトとは言えなくなった。ギリギリ九十年代でも通用するレベルだ。

 

「んー、こんなもんだろ。これ以上やると逆におかしくなっちまう。」

 

「そうね。これ以上はもうどうにもならないわ。」

 

とはいえ、魔理沙に答えた咲夜の台詞が全てを物語っている。もうどうにもならないのだ。要するにダサいもんはダサいままなのである。そしてここにアリスが居ない以上、もはや打つ手はあるまい。

 

「……うん、何とかなるよ。多分ね。」

 

全員の同情の視線を一身に集めながら呟くロンは……これはまた、どう見ても今からダンスパーティーに行きますってテンションじゃないぞ。まだパーティーの会場に到達すらしていないというのに、ロンは既に今日という日が終わって欲しそうな顔になってしまった。

 

……現状でこれなら、ハーマイオニーのパートナーが誰だか分かったらどうなるんだろうか? クィディッチ界のスーパースターがハーマイオニーとダンスしてるところを見たら、砂とかになるかもしれんな。こう、サラサラって感じに。

 

今夜がロンにとってはあまりいい思い出にならないであろうことを予想しつつ、アンネリーゼ・バートリはやれやれと首を振るのだった。

 


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