Game of Vampire   作:のみみず@白月

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運命の夜

 

 

「ゔぉくは、あんな禍々しい生き物を今まで見たことがない。……気を付けろ、ポッター。次にあれを見たら、逃げろ。全力で。」

 

憔悴しきった顔で助言を残したクラムが別の道に進んで行くのを見送って、アンネリーゼ・バートリはハリーと共に迷路の中を再び歩き出していた。……ふざけるなよ、ハグリッド! 危うくハリーとハーマイオニーの『お相手』がスクリュートの餌食になるところだっただろうが!

 

最後の課題が始まり、私とハリーが迷路に入ってからは三十分ほどが経過している。方向感覚を奪う霧、悪魔の罠、石像のパズル、真似妖怪。それらの比較的『常識的』な障害をハリーが見事に突破したところで、ハグリッドの用意した『非常識』な障害……つまり、スクリュートから逃げるクラムにばったり出くわしてしまったのだ。

 

成長したスクリュートは……うん、クラムの言う通り、実に『禍々しい』生き物だった。エビとサソリとトカゲとクモを滅茶苦茶に混ぜ込んだような見た目で、ギュルギュルと耳障りな鳴き声を上げながらハリーとクラムを猛然と追いかけてきたのだ。しかも、尻尾を爆発させて加速しながら。

 

ハリーとクラムが撃ちまくる呪文もなんのそので追いかけ回された結果、最後は曲がり角で二人の視線が切れた瞬間に私が『対処』する羽目になった。……バジリスクの時と同レベルの妖力弾を撃ち込んだのにも拘らず、表面の殻すら貫通しなかったが。衝撃で気絶したから良かったものの、あの感じだと殺しきるのは私でも苦労しそうだぞ。

 

ハリーの背に続いて生垣に挟まれた薄暗い通路を歩きながら、後で来るアリスにハグリッドの『悪行』を言いつけてやろうと決意していると……おや、救難信号だ。北側の空に上がっていく赤い煙が目に入ってきた。どうやら遂に誰かが脱落したらしい。

 

先程クラムが消えて行った方向ではないということは、ディゴリーかデラクールのどちらかが上げたものなのだろうか? ハリーは少しだけ立ち止まって心配そうにその煙を見つめた後、一度首を振ってから再び歩き始める。……きっと代表選手の誰かがスクリュートの餌になっていないかを心配しているのだろう。気持ちはよく分かるぞ。

 

ポイント・ミー(方角示せ)。」

 

何度か方角を確認しながらのハリーと共に、そのまま中央に向かっていくつかの角を抜けて行くと……これはまた、想像してたよりも迫力があるな。少し広めの通路に立ち塞がるビッグな猫女が目に入ってきた。『非常識障害』の一つ、スフィンクスだ。

 

五メートルほどの巨大な獅子の胴体に、黒髪で端正な女の顔。アイシャドーで際立てられたアーモンド型の目と、ルージュで染まった真っ赤な唇がなんとも特徴的だ。……うーむ、エジプト感の主張が強すぎるな。金のメニトなんかが実にステレオタイプだぞ。

 

曲がり角でこんにちはするにはあんまりな存在を見て、ビクリとその身を硬直させてしまったハリーへと、スフィンクスが顔に似合わぬ嗄れ声で話しかけてくる。中性的な老人、といった具合の声だ。

 

「ゴールはここからすぐ近くにある。そして一番の近道は、私の背中の道を抜けて行くことだ。」

 

「えっと、通してくれるんですか?」

 

「それは君次第だ。……今から私がなぞなぞを出す。一度で正解出来れば通してあげよう。不正解なら君を襲う。そして黙して引き下がるなら見逃そう。」

 

なんとも分かり易いじゃないか。謎めいた微笑みを浮かべるスフィンクスの説明を受けて、ハリーはゴクリと喉を鳴らしてから返事を放った。スフィンクスについては事前に対策済みなのだ。とりあえずなぞなぞを聞いてみて、無理そうなら引き返すことになっている。

 

「分かりました。なぞなぞを出してくれますか?」

 

ハリーの返答を受けて満足そうに頷いたスフィンクスは、腹這いにその巨体を落ち着かせてから、まるで歌うようになぞなぞを繰り出してきた。

 

 

最初のヒント。変装して生きる人だれだ。秘密の取引、嘘ばかり吐く人だれだ。

 

二つ目のヒント。だれでもはじめに持っていて、途中にまだまだ持っていて、なんだのさいごはなんだ?

 

最後のヒントはただの音。言葉探しに苦労して、よく出す音はなんの音?

 

つないでごらん、答えてごらん。キスしたくない生き物はなんだ?

 

 

謎かけを終えると、スフィンクスは黙してハリーを見つめ始める。……ふむ、とりあえず事前に読んだ本に出てこなかったなぞなぞなのはハッキリしたな。談話室での『なぞなぞ大会』は何の役にも立たずに終わりそうだ。

 

「あー……つまり、全部のヒントを集めると、『キスしたくない生き物』の名前になるってことですか?」

 

ハリーの質問を受けたスフィンクスは、目をパチパチさせながら謎めいた微笑みを強めるだけだった。……多分、それで合ってるはずだ。そしてハリーもそれをイエスだと受け取ったらしい。

 

「ちょっと待って、考えさせてください。……変装、秘密、嘘。ペテン師? あるいはスパイとか──」

 

ブツブツと呟きながら考え始めたハリーを横目に、私も一応考える。……最初のヒントは当て嵌まるものが多すぎるな。となれば、残りの二つで可能性を絞るべきだろう。

 

「えっと、最後のヒントをもう一度お願いできますか?」

 

ハリーの声を受けたスフィンクスが最後のヒントを繰り返すのを聞きながら、翼をピコピコ動かして思考を回すが……んー、結構難しいぞ。最後のヒントは『あー』か『えー』だろうが、残りの二つがよく分からん。長い年月で頭が凝り固まってるのかもしれんな。

 

だれでもはじめに持っていて、途中にまだまだ持っていて、なんだのさいごは……ああ、なるほど。単なる言葉遊びか。ってことは──

 

「──だから、スパイ、あー? スパイ、アー。キスしたくない生き物……そうか、スパイダー! 蜘蛛だ!」

 

私とは別の思考回路を辿ったようだが、ハリーも同時に同じ答えに行き着いたらしい。一応不正解に備えて身構える私を他所に……スフィンクスはニッコリ微笑みながら道を開けた。どうやら大正解だったようだ。

 

「ありがとう!」

 

お見事、ハリー。笑顔でスフィンクスに礼を言って脇を抜けるハリーに続いて、私もうんうん頷きながら先へと……おい、どういうことだ、猫女。スフィンクスはハリーと私との間にその巨大な前足を置いて行く手を阻む。ああ、嫌な予感がしてきたぞ。

 

「……まさかキミ、私が見えているのかい?」

 

角を曲がって行くハリーに聞こえないように小声で問いかけてやると、スフィンクスは謎めいた微笑みを浮かべたままで返事を寄越してきた。先程と全く一緒なのに、何故か不気味な微笑みに見えてしまう。

 

「私は王の墓を守る者。盗掘者たちを阻む者。嘘や惑わしを見抜く者。……ここを通りたければ私のなぞなぞに答えることだ。」

 

「参ったね、ちょっとキミを見くびってたよ。……ファラオの門番は伊達じゃないってことか。」

 

さて、どうする? 代表選手の不正を防ぐため、迷路の上を抜けるのはダンブルドアの魔法で封じられている。となれば素直になぞなぞを解くか、別の道を探すか、目立つのを覚悟で生垣を吹っ飛ばすか、それとも目の前のスフィンクスを──

 

「一度で正解出来れば通してあげよう。間違えれば君を襲う。黙して引き下がれば見逃そう。……そして、押し通る気ならそれを阻もう。」

 

私が妖力を纏った瞬間、スフィンクスは巨大な前足から見事な爪を出してその微笑みを強めた。……さすがに負けるとは思えないが、透明化が通じない以上は時間が掛かるかもしれんな。パチュリーでさえ『強力な』魔法生物だと評価していたのだ。先程痛い目を見たことだし、もう王墓の門番を侮るべきではあるまい。

 

「いいだろう。問いかけを受けようじゃないか。」

 

仕方ない、サクッと解けなさそうなら『横穴』を空けちゃおう。そして後でハグリッドをぶん殴ろう。内心に最終手段を隠しつつ言ってやると、スフィンクスは再び歌うようになぞなぞを繰り出してくる。ハリーの時より、若干暗めの音調で。

 

 

最初のヒント。クロワッサンは平気でも、フランスパンは平気でも、食パンだけは嫌いなのなんだ?

 

二つ目のヒント。出会ったときは真っ黒け、知り合ううちに赤くなり、そして別れは鼠色。

 

最後のヒント。全ての木の天辺なんだ? オーク、シラカバ、スギ、エボニー。どんな木にもあるものなんだ?

 

合わせてごらん、答えてごらん。画家の最初の友達だあれ?

 

 

謎かけを終えると、スフィンクスは黙して私を見つめてきた。……画家の最初の友達? それに、ハリーの時とは最後の文句が違ったな。『つないでごらん』ではなく、『合わせてごらん』か。一つの答えを出すための、別個のヒントという意味なのだろうか?

 

焦る気持ちを抑えて思考を回す。出会った時は真っ黒け、そして赤から鼠色。ブラック、レッド、グレー。クロワッサン、食パン、フランスパン。……うーむ、イライラしてきた。やっぱり『リドル』は好かんな。私とは相性が悪いようだ。

 

「……ふぅ。」

 

ごちゃついた思考をリセットするため、一度大きく息を吸って……吐き出した。空っぽになった頭で、連想ゲームのように考え始める。こういうのは筋道立てて考えるべきではないのだ。もっと軽く考えねば。

 

食パン、色、木、画家……そら、閃いた。一つピースが嵌ればすぐじゃないか。浮かんでくるニヤニヤという笑みをそのままに、お行儀の良いアルカイックスマイルのスフィンクスへと答えを放つ。

 

「木炭だ。」

 

木炭画は食パンで消すし、火にくべれば黒、赤、灰色に変わる。木の天辺は木の端……『木端』という言葉遊びで、画家の最初の友人ってのはデッサン画に使うという意味だろう。

 

果たして正解を射抜く事が出来たようで、墓守どのは微笑みながら道を開けた。

 

「どうも。……ちなみに聞くが、『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足』これが何か分かるかい?」

 

「……少し時間が欲しい。」

 

「ゆっくり考えたまえ。」

 

適当に答えてから、ハリーが進んで行った方向へと走り出す。……やっぱりギリシャ神話ってのは何の役にも立たんな。テーバイの連中がバカばっかりじゃなくて安心したぞ。

 

そのまま気配を辿っていくつかの角を抜けて行くと……そら、少し目を離すとすぐこれだ。二匹のアクロマンチュラに追い回されているハリーとディゴリーが見えてきた。どうやら今度はディゴリーの逃走劇に巻き込まれたらしい。

 

ステューピファイ(麻痺せよ)! くそ、全然効かない!」

 

「こっちだ、セドリック!」

 

呪文を放ちながら奥の角を曲がって行く二人を一度見送り、先ずは後ろ側の蜘蛛の脚を掴んで思いっきり引っ張る。……ありゃ、捥げなかったか。結構頑丈だな。っていうか、体毛の感触が死ぬほど気持ち悪いぞ。掴むんじゃなかった。

 

そのままギチギチと嫌悪感を誘う鳴き声を出しながら、自分を拘束している存在を見つけ出そうともがくアクロマンチュラに……杖を押し当てて呪文を放った。静かにやるんならこの方法が一番だ。潰すと体液とかが出ちゃうし。

 

「……アバダ・ケダブラ(息絶えよ)。」

 

杖から発せられた緑の光が全身を伝うと、何かが収縮するような異音の後で……うん、上出来。蜘蛛は脚を畳んでピクリとも動かなくなる。いやはや、便利なもんだな。なんだってこの呪文を毛嫌いする魔法使いが多いのやら。

 

ゲラートも言っていたが、こんなもんマグルの『銃』と同じなのだ。要は使い方次第。死の呪いそのものではなく、向ける対象こそが問題なんだろうに。……いやまあ、強い殺意を必要とするあたりが問題視されてるのかもしれんが。その辺は確かに『最悪の呪い』に相応しい条件だな。

 

考えながらもハリーたちを追って角を曲がると……おやまあ。蜘蛛の前脚に掴まれて逆さ吊りになっているディゴリーが見えてきた。ここから眺める分にはちょっと楽しそうだが、やられてる本人は全然楽しそうじゃないな。ハリーが呪文を撃ちまくって必死にそれを助け出そうとしているようだ。

 

「ステューピファイ! インペディメンタ! ……エクスペリアームス(武器よ去れ)!」

 

おっと、武装解除を受けた蜘蛛が遂にディゴリーを取り落とす。そのまま落ちていた杖を掴んだディゴリー、杖を振り上げるハリー、そして蜘蛛の背中側に回り込んで杖を押し当てる私。三つの杖から同時に同じ呪文が放たれた。

 

「ステューピファイ!」

 

三人分の失神呪文を受けたアクロマンチュラは、ようやくコロリと丸まって動かなくなる。押し当てても若干赤い閃光が漏れてしまったわけだが……うん、大丈夫そうだな。二人とも気付いた様子はない。そんなもんを気にしてる余裕などなかったようだ。

 

恐らく掴まれた時に足を痛めてしまったのだろう。生垣に寄りかかりながらヨロヨロと立ち上がったディゴリーは、転がっている蜘蛛を嫌そうに一瞥した後、ハリーに向かって口を開いた。

 

「ありがとう、ハリー。お陰で助かった。」

 

「いいさ。それより……。」

 

言いながらハリーが目線で示したのは……ありゃ、優勝杯じゃないか。クリスタル製の青く輝く優勝杯が、少し離れた場所に設置された台座の上に載せられている。どうやら逃げているうちに迷路の中央に到着してしまったらしい。

 

優勝杯を見つめて沈黙している二人のうち、先んじてディゴリーが声を上げた。その顔にはくたびれたような諦観の苦笑が浮かんでいる。

 

「取れよ、ハリー。今日だけで君は僕を二度も救った。クラムの時と、今。……君が居なければ僕はとっくに脱落してたんだ。だから、君が優勝すべきだよ。」

 

『クラムの時』? どうやら私が目を離していた僅かな隙に、大蜘蛛だけではなくクラムとも何かあったようだ。透明な私が首を傾げているのに構うはずもなく、ハリーはディゴリーに向かって返事を返した。……何故か首を横に振りながら。

 

「カッコつけるな、セドリック。君は本気で優勝を目指してるんだろう? 僕は本来なら選手になるべきですらなかったんだ。優勝するのは君さ。……ホグワーツのみんなも、きっとそれを望んでる。」

 

「それは違う、ハリー。ドラゴンが君に容赦したか? 水中人は君を助けてくれたか? ……君はどれも自分の力で乗り越えたじゃないか。誰も君の優勝を否定したりはしないさ。そんなことは僕がさせない。」

 

「違うんだ。僕は色んな人の助けがあったからここまで来れただけなんだよ。……ほら、君だって助けてくれたじゃないか。リーゼを通じて、僕に卵の謎の解き方を教えてくれただろう?」

 

「それは、君がドラゴンのことを教えてくれたからだ。忘れちゃったのかい? ハリー。君が居なければ、僕は第一の課題すら突破出来なかったんだよ?」

 

あー……何だこれは? 驚いたな。光り輝く優勝の名誉が手の届く場所にあるのに、ホグワーツの代表選手二人は何故か譲り合いを始めてしまった。何をしているんだ、ハリー。キミをバカにしてた連中を見返すチャンスなんだぞ。

 

ヤキモキする私を他所に、ハリーとディゴリーはお互い一歩も引かぬという様子で話を続ける。

 

「僕はこれまで真っ当に戦ってきたわけじゃないんだ。第二の課題の時の鰓昆布だって、自分で手に入れたものじゃない。リーゼの知り合いから送ってもらったんだよ。」

 

「それも実力の内だよ。君にはそこまでしてくれる人たちがいるってことじゃないか。……そもそも、あの時僕は湖の底に残るべきだったんだ。君がそうしたようにね。僕は自分のことに必死で、他の人質のことなんて考えもしなかった。」

 

「それは、僕だけが大間抜けだったからさ。落ち着いて考えればダンブルドア先生が生徒を危険に晒すはずなんてないのに、僕だけがあの歌を本気にしたからだ。褒められるようなことじゃないよ。」

 

「そうかい? 僕はそうは思わないな。君のやったことはとても気高いことなんだよ。あの時、君だけが唯一正しい行いをしたんだ。……優勝杯を取れよ、ハリー。君が優勝するんだ。それ以上の結末なんか無いのさ。」

 

ディゴリーの真っ直ぐな視線を受けて、ハリーは一度優勝杯に目を向けると……何かを思いついたかのようにポツリと呟いた。

 

「二人ともだ。……そうだよ! 二人一緒に取ろう、セドリック! 僕らのどっちが取ってもホグワーツの優勝なんだから!」

 

「それは……君は、本当にそれでいいのか?」

 

「僕たちは一緒にここにたどり着いたんだ。助け合ってね。……だから、一緒に優勝しよう。それがきっと一番だよ。」

 

「君は、本当に凄い奴だな、ハリー。……分かった。一緒に取ろう。『ホグワーツ』の優勝だ。」

 

柔らかい微笑を浮かべたディゴリーに肩を貸して、ハリーは笑顔で優勝杯の方へと歩き始める。……うーん、青春だな。まさかこんな展開になるとは夢にも思わなかったぞ。

 

私としてはハリーの単独優勝の方が嬉しかったわけだが……ま、これもこれで悪くない終わり方だ。ディゴリーには土産話の借りもあるし、素直に祝ってやることにしよう。

 

二人三脚でゆっくりと優勝杯に近付いていくホグワーツの代表選手たちは、クリスタルのカップの前で一度足を止めた後、顔を見合わせて頷いた後でそれをしっかりと──

 

「……は?」

 

優勝杯を二人同時に掴んだ瞬間、キュルリという音と共にハリーとディゴリーの姿が掻き消えた。姿くらまし? 即座に近付いて跡追い姿くらましのために杖を振るが……アホか私は! ホグワーツで姿くらましが出来る訳がないだろうが!

 

落ち着け、アンネリーゼ。焦るな。冷静に考えろ。今の消え方は何だった? どこか特徴的な、裂け目に吸い込まれていくような消え方……ポートキーか? つまり、優勝杯がポートキーになっていたということか?

 

……あの、大馬鹿野郎の、役立たずの、イカれ男め! 自信満々に細工は有り得んとか言ってたのは何だったんだ! 内心に渦巻く怒りを感じながらも、妖力弾で生垣に穴を空けて一気に外側へと移動する。

 

保護呪文のかかっている生垣を強引にぶっ壊したので、競技場に木霊するほどの爆音が響いてしまったが……そんなもん知ったことか! こうなればもう隠密もクソもない。一刻も早くダンブルドアとレミリアに事態を知らせねば。

 

ビシビシと顔に生垣の枝が当たるのにも構わずに、アンネリーゼ・バートリは全力で迷路の外へと飛び出すのだった。

 


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