Game of Vampire 作:のみみず@白月
「ふむ、もう行くのかね? ノーレッジ。」
すっかり本が無くなったホグワーツの校長室。部屋の中央に置かれたソファに座るダンブルドアの声を受けて、パチュリー・ノーレッジはこっくり頷いていた。任された期間は全うしたはずだ。文句は言わせんぞ。
「自分の図書館が心配なのよ。夏は本が傷みやすい季節だし、管理を任せてる部下もサボりがちなの。早く帰ってチェックしないと。」
「それはまた、らしくないのう。君ほどの魔女ならばどうにでも出来るじゃろうて。つまり、魔法でね。」
「もちろん魔法も使ってるわよ。だけど、最後は自分の目で確認したいの。こればっかりは理屈じゃないわ。」
仕方ないだろうが。これが私の『拘り』なんだから。呆れたように言ってきたダンブルドアに返事を返しながら、部屋の隅に纏めておいたお菓子の箱……マカロンが入った箱の山を杖なし魔法で紅魔館に飛ばす。何故か生徒たちや、その親たちから大量に送られてきたのだ。
まあ、保存魔法でいくらでも持つさ。紅魔館の備蓄も少なくなっていたし、ゆっくり消費していこうじゃないか。去年お気に入りの店が無くなってしまったから、この山の中から新しく好みの店を見つけるのもいいかもしれない。
うんうん頷きながら忘れ物はないかと部屋を見回す私に、ダンブルドアが思い出したように報告を寄越してきた。
「そういえば、今日の午前中にハグリッドが奇妙な知らせを持ってきてのう。曰く、湖のほとりで新種のカエルを見つけたのだとか。興味を惹かれて見に行ってみれば、驚いたことにピンク色の縞々が入ったカエルだったのじゃ。……思い当たる節はあるかね? ノーレッジ。」
「……私は悪くないわよ。いつの間にか居なくなってたアンブリッジが悪いの。戦いが終わったら解呪しようとは思ってたわ。」
「ううむ、見解の相違がありそうじゃな。少なくともアンブリッジ監査員はそうは思っていないようじゃ。わしが解呪してみたところ、激怒しながら君を訴えると叫んでおったよ。……どうもこのひと月の間、湖のゲンゴロウを食べて過ごしていたようでね。至極真っ当な怒りだと言えるじゃろうて。」
「あら、冬だったら冬眠を経験できたのにね。是非とも感想を聞いてみたかったわ。……ま、大丈夫でしょ。今のイギリスで私を訴えるのは不可能よ。そもそも出廷する気なんか無いし、引きずり出そうにも住処は紅魔館。先日大量の死者が出たばっかりの、お偉い吸血鬼の館なんだから。放っておいても問題ないわ。」
考えるに値しない『小さな問題』を頭から追い出しつつ、最後に杖なし魔法でお気に入りの揺り椅子を紅魔館に送ってやれば……よしよし、片付け完了。これでようやく帰れるぞ。
やけに広くなってしまった校長室に一つ頷いてから、一応ダンブルドアに別れの挨拶を放とうとしたところで、頭上からガーゴイル像の動く音が聞こえてきた。続いて階段を下りる規則正しい足音もだ。
「マクゴナガルね。」
「ミネルバじゃな。」
この一年で分かるようになっちゃったぞ。その特徴的な足音を聞いて二人同時に予想してみると、ドアをノックする音と共に入室の許可を求める声が部屋に響く。予想通りのキビキビとした凛々しい声だ。
「ノーレッジ校長代理、入室してもよろしいでしょうか?」
「入りなさい。」
「では、失礼します。……これは、ダンブルドア校長。こちらにいらっしゃったんですか。」
少し驚きながらも近付いて来るマクゴナガルは……うーむ、ご機嫌だな。私としては何が嬉しいのかさっぱりだが、彼女にとってホグワーツの次期校長というのはかなり名誉なことのようで、発表があって以来傍目にも分かるご機嫌具合なのだ。
とはいえ、その理由がダンブルドアの死だと知れば一転するだろう。喜びに水を差すのはどうたらこうたらってことで伝えていないらしいが、私はきちんと教えておくべきだと思うぞ。……まあ、その辺はダンブルドアのタイミングに任せるべきだな。私は知らん。逃げるが勝ちだ。
知らんぷりするダンブルドアにジト目を送っていると、驚いたように部屋を見回したマクゴナガルが話を続けてきた。
「本が無くなっているようですけれど……まさか、もう帰ってしまうのですか?」
「そうよ。任期も終わったし、さっさと老人にお家を返してあげないと可哀想でしょう?」
「ですが、それなら送別会なんかを……開かない方が良さそうですね。」
『送別会』と聞いて途端に嫌そうになった私の気持ちを察したのだろう。苦笑しつつも後半を付け足したマクゴナガルは、いきなりペコリとお辞儀をしながら言葉を放ってくる。
「お世話になりました、ノーレッジさん。僅か一年でしたが、おかげさまで良い経験を積むことが出来ました。」
「世話になったのは私の方だと思うけどね。」
「それなりに大変ではありましたが、その甲斐あって天井の高さというものを実感できましたよ。私如きの立つ場所で満足していてはいけませんね。」
「……ま、頑張りなさいな。貴女はまだ『若い』んだしね。」
私の言葉を受けて、もはや見慣れた困り顔をマクゴナガルが返してきたところで……ダンブルドアがゆったりと立ち上がって話しかけてきた。
「では行こうか、ノーレッジ。外まで見送るよ。ミネルバには申し訳ないことじゃが、用件はその後でも構わないかね?」
「勿論ですわ。お待ちしております。」
「……別に煙突飛行で帰れるんだけど? もう封鎖は解いてるでしょ。」
「ほっほっほ、いいではないか。最後にもう一度二人でホグワーツを歩きたいのじゃ。」
最後にもう一度、ね。微笑みながら言ってきたダンブルドアに、渋々頷いてから歩き出す。再び別れの言葉を寄越してきたマクゴナガルに背中越しに手を振った後、校長室を出て短い螺旋階段を上り始めた。
「……レミィはもう動き始めてるみたいよ? グリンデルバルドも、リーゼもね。」
「となれば、わしもそろそろ動かねばならんのう。マグル学に詳しい知り合いに手紙を送ろうと思っておる。意見に箔をつけるのも大事なことじゃろうて。」
「『マグル学の権威』を味方に付けようってわけ? 重要なのは誰が言ったかじゃなくて、何を言ったかの方でしょうに。」
「それでも世間への影響というものは確かにあるのじゃ。わしらのような凡人は、君ほど合理的に物事を考えられないのじゃよ。」
アルバス・ダンブルドアが自分を凡人扱いか。その辺にわんさか居る自称天才に聞かせたらショックで泣いちゃうぞ。呆れて首を振る私へと、ダンブルドアは三階の廊下を歩きながら声をかけてくる。
「懐かしいのう。百年前、君に初めて話しかけた時を思い出すよ。ほれ、あの中庭じゃ。君にはまだ棘がなく、わしにはまだ分別がなかった頃じゃな。」
「……覚えてるわ。論文がどうだとか、他人の評価がどうだとかって、急に話しかけてくるから意味不明で混乱したわよ。学生時代の貴方は私と関わるようなタイプじゃなかったし。普通に怖かったんだからね。」
「ほっほっほ、若き少年の嫉妬じゃよ。……あの頃のわしは自己過信が酷かったからのう。今思い出すと情けない限りじゃ。」
「今の貴方しか知らない人は驚くでしょうね。……ただまあ、私の方はあんまり変わってないと思うけど。学生時代も今も、『根暗のノーレッジ』のままよ。」
ダンブルドアと初めて話したのは、リーゼから本を受け取った年だったはずだ。つまり私が四年生の頃だから……確かにほぼ百年前か。一世紀。いやはや、改めて考えると遠い昔の話だな。
一世紀も前の光景を思い出している私へと、ダンブルドアは目を細めながら質問を飛ばしてきた。
「ノーレッジ、君は自分の人生に満足しているかね?」
「概ね満足よ。不足はあれど、それを求めるのは強欲に過ぎるわ。だからこれで充分。」
「羨ましいのう。わしは後悔ばかりが積もっておるよ。……じゃが、百年前のあの秋の日、勇気を出して君に話しかけたことだけは正解じゃったな。それが詰まらん嫉妬からだとしても、そのお陰でこうして百年後に笑い話に出来るのじゃから。」
「……そうかもね。」
小鳥の鳴き声が響く三階の廊下を抜けて、忙しなく動く階段を下りて行く。私の素っ気ない返事を気にすることもなく、ダンブルドアはご機嫌な口調で話を続けてきた。
「数日前、復帰記念にとホラスと酒を飲み交わしてのう。とある拍子に『運命』の話題になったのじゃ。彼はそういったものをあまり信じておらぬ人間なのじゃが、唯一認めていることがあるらしい。……世代の重なりじゃよ。彼の長年の教師生活で得た経験によれば、数年に、ともすれば数十年に一度、信じられぬような『当たり』の生徒が入学してくるそうじゃ。それも必ず一人ではなく、二人以上が。まるで競い合うことを運命付けられているかのように。……面白い意見だとは思わんかね? 言われてみれば思い当たる生徒が何人も居るのじゃ。」
そんなもん単なる偶然だ。……私の理性は間違いなくそうだと言っているのだが、確かに思い当たる節は多いな。身近すぎるいくつかの『例』を思い浮かべる私に、ダンブルドアは苦笑しながら続きを語る。
「わしの場合、それは君なのだと言われたよ。わしの宿命のライバルはゲラート・グリンデルバルドではなく、パチュリー・ノーレッジなのだと。」
「あら、スラグホーンの意見は世間の意見とは違ってそうね。魔法界の誰もが貴方のライバルはグリンデルバルドだと答えるはずよ?」
「うむ、わしもそう答えた。確かにノーレッジは同世代の学友じゃが、ライバルとは言えないのではないかとね。するとホラスは酔っ払った顔で得意げにこう聞いてきたのじゃ。『では聞くが、君は二人のうちどちらに勝ちたいんだ?』と。」
「『勝つ』? 何の話よ。」
意味が分からん。私とダンブルドアは協力こそすれど、何かを競い合うような関係ではないはずだぞ。仮に『勝ち負け』を論じるのであれば、尚の事グリンデルバルドが相手として相応しいはずだ。
眉をひそめる私に対して、ダンブルドアの考えはまた違っているらしい。困ったように笑いながら答えを寄越してきた。
「いやはや、意表を突かれたよ。わしはゲラートをライバルだと思っておるが、ホラスの言う通り勝ちたいとは、打ち破りたいとは思っておらぬのじゃ。彼の横顔を見てはいるが、背中を追ってはおらぬ。わしが追いつきたいと、追い越したいと、百年もの間背中を追い続けていたのは……うむ、君だったわけじゃな、ノーレッジ。」
「……何よそれ。少なくとも私と貴方は『伝説の決闘』を繰り広げてないわよ?」
「つまるところ、目標じゃよ。わしはゲラートに勝っていると感じたことはないが、劣っていると思ったこともない。じゃが、君に対しては違う。わしは常に君の背中を見ていたのじゃ。いくら足掻いても超えられぬ、しかしいつの日か超えたい壁として。……結局最後の最後までわしの視界には背中しか映らなかったのう。それが少し残念で、それ以上に痛快じゃ。」
ともすれば諦観の言葉とも取れるが、それを口にするダンブルドアの表情は何故か晴れやかだ。その皺くちゃの横顔を見ながら、一つため息を吐いて言葉を放つ。勝手に自己完結するなよな。私には私の言い分があるんだぞ。
「……貴方ね、勘違いしているようだけど、私だって貴方の背中を見ていたのよ? あらゆる人に好かれ、道を歩けば声をかけられ、何をするにも常に中心に居た貴方の背中を。……超えたい、っていうのとは少し違うけどね。憧れよ。貴方は私に無いものを持っていたわ。私はそれが羨ましかったの。」
一階の廊下を歩きながらの私の言葉に、ダンブルドアは驚いたように目を見開く。……私にだって人並みの願望くらいはあるのだ。似合わないと、不向きだと分かっていても、それでも求めてしまうのが人間だろうが。
「君が、わしの背中をかね? ……それはまた、意外な言葉じゃな。」
「結局のところ、隣の芝生は青く見えるってやつでしょ。貴方は私に追いつけなかったんじゃなくて、追いつこうとしていなかっただけよ。単に正反対の道を歩んでたから、振り返ってもお互いの背中しか見えなかったってわけ。……そうね、未練なのかもね。大昔に断ち切った道への未練。私にとっての人の道、貴方にとっての魔の道。それをお互いを通して見ていたってことでしょう。」
「なるほど、そうかもしれんのう。……驚いたよ。わしにとっての君は、付け入る隙も無いほどに完成された魔女だったからね。もっとずっと強くて、ずっと高みに在るものじゃと思っておった。」
「勝手なイメージはよして頂戴。私は貴方が思っているよりも弱い存在よ。……だから私はリーゼと一緒に住んでるの。彼女は私にとっての初めての友達だからね。本当に魔女として完成されてるなら、山奥にでも籠って一人で研究してるわよ。たまに変な手伝いを要求されたり、こうして面倒なゲームに巻き込まれても離れようとしないのは……まあ、多分そういうことなんでしょ。」
きっと、私に残った人間の欠片がそうさせるのだろう。未練ったらしく棄て切れなかった小さな欠片が。……我ながら情けないことだな。これを棄てればもっと高みに至れるというのに、私はどうしても手放せないのだ。お前は魔女だろうが、パチュリー・ノーレッジ。
自虐的な笑みを浮かべる私へと、ダンブルドアは一度ポカンと口を開いた後……心底愉快そうに笑い始めた。失礼なヤツだな。他人の『不幸』を笑うとは何事だ。
「ほっほっほ、実に素晴らしい。やはり君こそがわしの目標じゃな。魔の道を極めながらも、きちんと人の心を残しておる。うむ、羨ましい限りじゃ。わしが思うに、君こそが完成された魔女なのじゃよ。」
「あのね、本来の『完成された魔女』ってのは……そう、モルガナみたいなの魔女のことを言うのよ。私は出来損ないのどっち付かずね。」
「そうかね? じゃが、伝承によればモルガナは孤独に死んでいった。多くの人間に恨まれながら、失意の中死んでいったそうじゃよ? しかし、君はそうはならないはずじゃ。……わしには魔女の『常識』など知る由もないが、君の方が正しい存在なのだと確信できるよ。間違っておるのは前例の方なのじゃろうて。」
なんだそりゃ。何やら滅茶苦茶なことを言い出したダンブルドアは、私が反論する前に強引に話題を締める。
「このアルバス・ダンブルドアが明言しようではないか。パチュリー・ノーレッジの在り方こそが正しい魔女の姿なのじゃと。……おお、そんなに呆れた顔はよしておくれ、ノーレッジ。きちんとした理由もあるのじゃよ? 何たって、その方が粋じゃからな。」
「貴方は本当に……ま、いいわ。その言葉だけはありがたく受け取っておくわよ。」
「うむ、代わりにわしの墓に花でも添えておいておくれ。誰からも供えられなかったら少々悲しいからのう。」
「心配しなくても貴方の墓は花だらけになるわよ。私に予言の力はないけど、それだけは断言できるわ。」
邪魔くさいほど供えられるに決まってるだろうが。私が花を添えるスペースなんかきっと無いぞ。素っ頓狂な心配をしているダンブルドアに呆れた返事を送ったところで、ホグワーツ大橋の袂にたどり着く。さて、終点だ。
「それじゃ、思い出話はここまでにしときましょうか。もう気は済んだでしょ?」
「わしとしてはまだまだ語り足りぬが……まあ、この辺で満足しておくべきじゃろうて。過ぎたるを求めるは強欲じゃからな。」
人の台詞を勝手に引用したダンブルドアは、陽光に煌めく湖の水面を眺めながら一つ頷きを放ってきた。遠くの大イカは春の陽気を受けて日向ぼっこ中だ。暢気なもんだな。
「ひとまずお別れじゃな、ノーレッジ。近いうちにもう一度くらいは会えるはずじゃ。……そうであったら嬉しいのじゃが。」
「嫌でも会うことになるでしょ。『革命』のことはともかくとして、分霊箱の一件には私にだって多少の責任があるもの。何かしらの形できちんと見届けるわよ。」
そして、それが最後になるはずだ。本当の最後に。平坦な口調で言った私に対して、ダンブルドアは嬉しそうな表情で微笑んでくる。
「ほっほっほ、それは重畳。その時を楽しみに待っておくよ。」
「……あっそ。じゃあね、ダンブルドア。それまで死なないように気を付けなさい。」
「おお、その心配は不要じゃよ。最近は毎朝野菜のジュースを飲んでおるからのう。……君も風邪など引かぬようにね。研究に熱中するのは結構じゃが、体調管理を怠らぬように気を付けるのじゃぞ?」
「うっさいわよ、世話焼き。」
魔女が風邪なんか引くわけないだろうが。言い放ってから腕を一振りすると周りの景色が螺旋を巻くように歪み、次の瞬間には懐かしき我が図書館の姿が……おい、なんだこれは。ぐっちゃぐちゃじゃないか。
「……こあ?」
目の前には本の山。恐らく私の図書館魔法で新たに複製された『新刊』の山だ。乱雑に積まれている本に表情を凍らせつつ、少し遠くの地面に寝そべっている部下の背中に声をかけてみれば……堕落を絵に描いたようなポーズだった小悪魔は、ビクリと身体を震わせながら慌てて振り返ってきた。
「へっ? ……あれ、パチュリーさま? ホグワーツに居るはずじゃ?」
「仕事が終わったから帰ってきたの。それより、これは? どうしてこんなことになってるの? 説明してみなさい。一応聞いてあげるから。一応ね。」
堆く積まれている本の山を指差して早口で聞いてみると、おバカ悪魔はファッション誌やら食べかけのチップスやらを背中に隠しながら言い訳を述べてくる。額に汗が滲んでるぞ。
「いやぁ、そのですね。つまり、あれです。私も忙しかったんです。妹様のお相手とか、エマさんや美鈴さんの仕事を手伝ったりとかで。それでその……こう、ね? 本がどんどん増えるから整理が追いつかなくなってきて──」
「もういいわ。よく分かったから。今日からしばらくの間は休み無し、おやつ無し、言い訳無しよ。この山を分類して、既存の本をメンテナンスして、魔法のチェックをしないとダメみたいね。……それと、使い魔の『調教』もやり直さないと。」
聞くや否や無言で逃げ出そうとしたダメダメ悪魔を魔法で拘束してから、大きなため息を吐いて額を押さえた。これだから図書館を離れるのは嫌なんだ。たった一年空けただけでこの有様か。やっぱり似合わないことはするもんじゃないな。
「たすけてー! か弱い悪魔が上司にいじめられてますよー! 誰かはや、ぐっ……絞まってます! パチュリーさま、絞まってますけど!」
諦め悪く拘束を抜け出そうとしている小悪魔を必要以上に締め付けつつも、パチュリー・ノーレッジは愛する図書館の管理業務に戻るのだった。