Game of Vampire   作:のみみず@白月

322 / 566
忠節ある富者

 

 

「んー、私は遠出しないと思うわ。強いて言うならダイアゴン横丁くらいじゃないかしら? パパとママがこの前買ったふくろうをえらく気に入っちゃって、甘やかしすぎるもんだから肥満気味らしいの。ふくろうショップで健康グッズを仕入れないと。」

 

布張りの座席に腰掛けて苦笑するハーマイオニーの話を聞きながら、アンネリーゼ・バートリは車窓を横目にぼんやり頷いていた。見慣れたホグワーツ特急の車窓。つまり、学期を終えた私たちはキングズクロス駅に向かっている最中なのだ。

 

マクゴナガルが挨拶するという違和感たっぷりの学期末パーティーを終え、憑き物が落ちたかのように穏やかになったケイティ・ベルがハリーとロンにチームの将来を託したのが昨日の夜。一夜明けて朝食を食べた後、例年と同じようにセストラルが牽く陰気馬車に揺られてホグズミード駅まで移動して、先程全校生徒が真紅の列車に乗り込んだところなのだが……ルーナやジニー、アレシアや魔理沙なんかと別のコンパートメントに乗っている咲夜が別れ際にこっそり耳打ちしてきたのだ。『紅魔館に戻ったら大事な話があります』と。

 

ぬう、そんなこと言われたら気になって仕方ないじゃないか。実のところ、紅魔館に帰ったら私とレミリアからも話をしようと思っていたのだ。イギリスか、幻想郷かという話を。咲夜の方の話題は何だろうかと悩む私を他所に、欠伸しながらのロンがハーマイオニーに相槌を放つ。

 

「僕もそんな感じになりそうかな。成人祝いにビルとパーシーがどっかに連れてってくれるって言ってたから、もしかしたら日帰りでクィディッチ観戦とかには行くかもだけど。」

 

「あら、いいじゃない。私も兄か姉が欲しくなってくる話だわ。取締局の仕事は順調なの?」

 

「最近マグル問題が大きくなってるだろ? その影響でマグル関係の部署の待遇がどんどん良くなってるみたいなんだ。……まあ、これまでが悪すぎたのかもしれないけどな。何にせよパパとパーシーの給料が上がってママは大喜びだよ。」

 

「取締局にも影響があったのね。マグル連絡室とか、対策口実委員会なんかがオフィスを広げたのは広報で読んだけど。」

 

魔法省の広報なんか読んでるのか。毎月広報室からせっせと送られてくるのを、レミリアが一瞥すらせずに焚き付けにしているのは内緒にしておこうと考えていると……魔法界の旅行雑誌を読んでいるハリーが別の話題を場に投げた。談話室でも魔理沙と盛り上がっていたのを見るに、彼は大型犬との旅行が楽しみなようだ。

 

「ロンやハーマイオニーは行ったことある? フランス魔法省って。」

 

「僕はないな。ちなみにビルは行ったらしいけど、フランスの話をすると惚気話に繋がるから聞かない方がいいぞ。」

 

「私も実際に行ったことはないわね。もちろん本では読んだけど。……動く壁画のホールは一度実物を見てみたいわ。挿絵の段階でもう美しかったもの。」

 

「うん、それ。どうせパリには行く予定だから、シリウスがついでに見に行こうって手紙で提案してきたんだよね。リーゼは見たことある?」

 

今度は私に飛んできた質問に、肩を竦めながら返答を返す。壁画なんかに興味はないぞ。紅魔館の芸術担当はフランなのだ。

 

「私もないかな。……ただし、ゲラートがぶっ壊した旧魔法省だったり、出来かけの段階は見たことがあるよ。昔は明るい色の近未来的な建物だったんだが、今は古臭い造りになってるらしいね。」

 

建て直した後に懐古的な建物になるってのには皮肉を感じるな。未来派から古典派へ。芸術の都は忙しないもんだ。建築家たちの流行の移り変わりを感じていると、ハリーは難しい顔で返事を寄越してきた。

 

「でもさ、体験としてはそっちの方が貴重なんじゃない? この本に『47年の末に改装工事を始めた』って書いてあるし、古いフランス魔法省を知ってる人はそんなに居ないと思うよ。」

 

「こう見えても『年寄り』なんでね。……まあ、魔法界の観光名所に関してはブラックに任せていいんじゃないかな。キミはマグル側で色々と見たいものがあるんだろう?」

 

「そうだね、ずっと行ってみたかった場所が沢山あるんだ。卒業した後は忙しくなるだろうから、今のうちに行っておかないと。」

 

輝く笑顔で言うハリーに首肯してから、緑だらけの田舎の景色へと視線を戻す。……むう、やっぱりダメだな。咲夜のことが気になりすぎて話に身が入らん。今年の列車の旅は長く感じることになりそうだ。

 

───

 

そして予想通り例年より長く感じた移動を終え、ようやくたどり着いた9と3/4番線のホーム。トランク片手に車両を出た私たちの方に、赤ん坊を抱いたルーピンが近付いてきた。おおう、小さいな。ぶん投げたらかなり遠くまで飛ばせそうだ。

 

「お帰り、みんな。」

 

背後にニンファドーラとブラック、モリーなんかを従えながら挨拶してきたルーピンへと、六年生三人組が満面の笑みで近寄って行く。もちろんルーピンがふわふわな人気者になったわけではなく、その手の中の赤ん坊が目当てなのだろう。

 

「ルーピン先生! ……小さいですね。それに、赤毛? もしかして変身しちゃったんですか?」

 

「そうなんだよ。ここ暫くは明るいブロンドだったんだけど、今朝急に赤毛になっちゃってね。抱いてみるかい?」

 

「でも、僕……ちょっと待ってください。一応手を綺麗にしますから。スコージファイ(清めよ)。」

 

慌てて自分の手を清潔にするハリーを尻目に、ニンファドーラに歩み寄って声をかける。髪の色がショッキングピンクじゃなくなってるな。子供とお揃いの赤毛にしたようだ。モリーと並んでるとウィーズリー家の人間にしか見えないぞ。

 

「やあ、ニンファドーラ。母親になった気分はどうだい?」

 

「やっほ、バートリさん。……それがね、すっごく大変なの。闇祓いの訓練の時よりきついくらいだよ。モリーさんに色々教えてもらってるんだ。」

 

内容とは裏腹になんとも楽しそうな表情だし、そう悪くない生活を送れているようだ。『幸せ密度』の高さにやれやれと首を振っていると、咲夜たちも合流して赤ん坊を囲み始めた。ルーナですらもが目を輝かせているぞ。

 

「大人気じゃないか、キミの小さなびっくり人間は。」

 

「いやー、まさか七変化が遺伝するとは思わなかったよ。ノーレッジさんから可能性はあるって言われてたんだけど、すごく小さなものらしかったから全然考えてなかったの。狼人間の方を気にしすぎてたみたい。」

 

「まあ、他にない力があるのは良いことじゃないか。これといったデメリットはないわけだろう?」

 

「親としては子供の顔がくるくる変わっちゃうのは困るんだけどね。リーマスが写真を撮りまくってるんだけど、全部違う赤ん坊に見えちゃうの。整理する時に混乱すると思うなぁ。……私が変身する度に文句を言ってたママの気持ちが少し分かったよ。」

 

変な悩みだな。七変化はアルバムを作るのが難しいという新たな知識を獲得したところで、今度は微妙な表情のモリーが話しかけてくる。喜ぼうとしているが、どうにも喜びきれないという感じの顔だ。

 

「バートリさん、これを。」

 

「ん、手紙? どうしたんだい?」

 

これはまた、ウィーズリー家らしからぬ堅苦しい封筒じゃないか。差し出された手紙を受け取りながら問いかけてみると、モリーは深々とため息を吐いた後で説明を放ってきた。

 

「うちのバカ息子が八月に結婚式を挙げる予定なんです。スカーレット女史とマーガトロイドさん、それにフランドールやノーレッジさん、サクヤの分の招待状も入ってますので、お暇でしたら参加してやってください。」

 

「おやまあ、遂にゴールインか。キミはまだ反対なのかい?」

 

「いえ、あの子が決めた相手ですから。母として祝わないわけにはいきませんよ。」

 

態度と台詞が全然合ってないぞ。これも一種の親バカか。頰に手を当てながら憂鬱そうな顔で呟いたモリーは、未だ赤ん坊を囲んでいるハリーたちの方に視線を移すと、やや明るい表情に変わって続きを語る。

 

「それでも孫は楽しみですね。……絶対にボーバトンなんかには行かせません。うちの孫はホグワーツですとも。ええ、絶対に。」

 

「それはさすがに気が早いんじゃないかな。生まれた後で考えたまえよ。」

 

まだ見ぬ初孫の進路を考え始めたモリーに対して、呆れ顔で助言を送ったところで……おっと、咲夜がこっちに近付いてきた。

 

「こんにちは、モリーさん、ルーピンさん。」

 

「わお、新鮮。『ルーピンさん』か。ちょっと照れるね。みんなまだトンクスって呼んでくるから。」

 

「いい加減慣れなさい。……久し振りね、サクヤ。クリスマスに会った時より背が伸びたんじゃない?」

 

「そう、ですか? 自分じゃよく分からないです。」

 

聞き捨てならんな。言われてみれば、見上げる時の角度がちょびっとだけ急になってる気がするぞ。横で聞いている私がもう伸びるなと無言で念じているのを他所に、咲夜は困ったような顔で話を続ける。

 

「だけど、困っちゃいます。お洋服がすぐに着れなくなっちゃって……またアリスに直してもらわないと。」

 

「あら、新しいのをどんどん買ってもらいなさい。女の子の洋服っていうのは親にとって楽しみの一つなんだから。でしょう? バートリさん。」

 

「ん? ……まあ、そうだね。アリスは何でも自分で作っちゃうタイプだったから、買ってあげる楽しみってのは咲夜が初かな。何なら店ごと買ってあげるよ。」

 

「んー……でも、お店で買うよりアリスに作ってもらった方が可愛いんですよね。サイズもぴったりにしてくれますし。だからこそすぐ着れなくなっちゃうんですけど。」

 

遠慮しているという感じではなく、本心からそう思っている雰囲気の咲夜の言葉を聞いて、ニンファドーラが思い出したようにお願いを寄越してきた。

 

「ああそうだ、マーガトロイドさんに子育て用の人形を頼みたいんだった。モリーさんから話を聞いて、私も欲しいと思っちゃったんだよね。ダメかな?」

 

「『子育てちゃん』か。アリスも久々に作れて喜ぶんじゃないかな。ホグワーツから戻ったら伝えておくよ。」

 

少なくとも嫌がりはしないだろうし、もしかしたらフランが一緒に作りたがるかもしれんな。ニンファドーラに請け負ったところで、ルーピンたちの方も一段落付いたようだ。さっきまで人間だった大型犬の尻尾に大喜びでじゃれ付く赤ん坊を背に、ハリーたちがこちらに近寄ってくる。

 

「リーゼ、僕はもう行くよ。一旦シリウスの家に荷物を置いてから、みんなでパパとママのお墓に赤ちゃんを見せに行くんだって。」

 

「私もそろそろ行くわ。両親が到着してないみたいだし、渋滞に巻き込まれてるんじゃないかしら。電話して位置を聞いた後、姿あらわしで近くまで行こうと思うの。」

 

「それじゃ、私も帰るとするか。レミィが首を長くして待ってるだろうしね。」

 

「今年も買い物はみんなで行こうな。詳しいことは手紙で伝えるよ。」

 

ロンの言葉に全員で頷いてから、他の学友たちにも挨拶をした後で咲夜と一緒に暖炉へと歩き出す。そのままいつも通りにフルーパウダーを投げ入れて、いつも通りに不快な煙突飛行を終えてみると……おいおい、危ないな。紅魔館のエントランスの風景が視界に映ると共に、いきなり妖精メイドが顔面に突っ込んできた。

 

「おおっと。……キミね、暖炉は飛び込むものじゃないぞ。何をしているんだい?」

 

ぶつかるギリギリでキャッチして首根っこを掴みながら問い質してみれば、妖精メイドは能天気を絵に描いたような笑顔で返事を返してくる。妖精メイドにもそれぞれ個性があるのだが、こいつはとびっきりやんちゃな性格のようだ。

 

「おー、従姉妹様だ! おかえりー! みんなで遊んでたの!」

 

「はいはい、ただいま。遊ぶなら他でやりたまえ。火はついていないが、打ち所が悪いと一回休みになっちゃうぞ。」

 

「はーい!」

 

注意してから仲間の方へとぶん投げてやると、十五匹ほどの妖精メイドたちはどこからか持ち出したゴムボールで人数非対称の謎の球技をやり始めた。また新たな遊びを開発したのか。遊ぶことに関しては他の追随を許さん連中だな。小さく鼻を鳴らしながら煤を払ったところで、苦笑を浮かべた咲夜が声をかけてくる。

 

「実感しますね、帰ってきたって。」

 

「ま、そうだね。これでこそ紅魔館だよ。」

 

肩を竦めて言い放ってから、トランクを適当に放置して一階の廊下を進んで行く。やがてたどり着いたリビングのドアを開けてみると……うむ、揃ってるな。ソファに座るレミリアとフラン、給仕をしているエマの姿が見えてきた。ジメジメ魔女どのは咲夜から直接答えを聞くのが怖くて、小悪魔は焚書事件の『懲役』を終えていないのだろう。美鈴は門前かな?

 

「ただいま、諸君。」

 

「ただいま戻りました、レミリアお嬢様、妹様、エマさん。」

 

「お帰り、二人とも。そしてここに座りなさい。大事な話があるっていうのはリーゼから聞いているでしょう?」

 

あー、ヤバい。まだ伝えてないっけ。咲夜の話とやらで頭が一杯だったぞ。お澄まし顔のレミリアの指示を受けて、咲夜はとりあえず従いながらも小首を傾げる。

 

「えっと、私からも話があるんですけど……その件ですか?」

 

「そうね、咲夜からも……んん? ちょっと性悪、どういうことよ。」

 

「つまりだね、人伝に連絡するのは危険だってことだよ。こういう事態を招きかねないからね。……ホグワーツを出る時に咲夜から大事な話があるって言われたんだ。その上で私やレミィからも咲夜に話があるってことさ。」

 

空々しい言い訳をしつつ状況を整理してやると、途端にレミリアは翼を畳んで小さくなってしまう。列車に乗った時の私と同じく、『大事な』という部分に良くないものを感じ取ったらしい。そんなレミリアを横目にしながら、興味深そうな表情のフランが話を進めてきた。

 

「んじゃ、先にこっちの話からしちゃおっか。別に複雑なものじゃないしね。」

 

「フ、フラン? まだ早いんじゃ──」

 

「もう先延ばしにしたって仕方ないでしょ。……あのね、咲夜。今日私たちが聞きたいのは、貴女がどっちの道を選ぶかってことなの。私たちと一緒に幻想郷に行くか、それともイギリス魔法界に残って魔法使いとして暮らすか。……まだ決められないって言うならそれでもいいからね? ホグワーツの卒業までは時間が残ってるんだしさ。」

 

咲夜の隣に移動して顔を覗き込みながら問いかけたフランに、我らが銀髪ちゃんは間髪を容れずに口を開こうとするが……その前に私が言葉を付け足す。懐かしいやり取りだな。アリスの時を思い出すぞ。

 

「いいかい? 咲夜。これはキミにとって非常に重要な選択だ。キミが私たちのことを好いてくれるのは嬉しいが、それでも人間と人外には大きな隔たりが──」

 

「リーゼお嬢様、それは嘘です。だってお嬢様とハーマイオニー先輩たちには『隔たり』なんて無いじゃないですか。」

 

クスクス微笑みながら話を遮ってきた咲夜に、バツが悪い気分で弁解を飛ばした。その『例』を持ち出してくるのは少しズルいぞ。

 

「……それはだね、特殊なケースなわけだよ。普通はもっと遠い存在なのさ。」

 

「私、そうは思いません。お嬢様方もエマさんも、パチュリー様や美鈴さんやアリスや小悪魔さんも……何て言うか、私にとってはそれほど遠い存在じゃないんです。私は人間ですけど、みんなを『別の存在』だなんて意識したことはありませんから。この前ようやくそのことに気付けました。吸血鬼とか、人間とか、妖怪とか、魔女とか。それに囚われすぎるのは良くないことなんですよ、きっと。」

 

驚いたな。咲夜が私に『反論』してきたのなんて初めてじゃないか? 明るい表情でハキハキ喋る咲夜をなんとも不思議な気分で眺めていると、彼女は顔を上げて吸血鬼たちの顔を順繰りに見てから続きを語り出す。

 

「私は両方の世界を捨てたくないんです。スカーレットも、ヴェイユも。どっちも私を形作る大切な要素ですから。どちらかを選ぶなんて出来ませんし、したくありません。……だから私はホグワーツを卒業して立派な魔法使いになって、その後は紅魔館に永久就職してバリバリ働いて、両親に胸を張れる生き方をしながら、お嬢様方にお仕えするに相応しい一流のメイドになってみせます。私は忠節ある貧者にも、不実な富者にもなりません。忠節ある富者に……欲張って全部手に入れられる人間になりたいんです。」

 

なんとまあ、確かに欲張りさんだな。グッと両手を握り締めながら宣言した咲夜は、困ったような笑みで話を締めてくる。

 

「つまりですね……私は幻想郷に行きますけど、ヴェイユであることを棄てたりはしません。私には沢山の親が居て、その全員を大切にして生きていきたいんです。とっても我儘で、もしかしたら不義理な選択かもしれませんけど……でも、そう決めました。だからそれを貫こうと思ってます。こんな私でもお仕えすることを許していただけるでしょうか?」

 

最後の最後でちょびっとだけ不安そうになってしまった咲夜へと、私、フラン、レミリアが答えを口にした。それぞれの笑みを浮かべながらだ。

 

「んふふ、良い選択だと思うよ。それでこそ吸血鬼の館で育った人間だ。全てを欲しがる強欲さがないと、全てを手に入れることなんて出来ないからね。この館のメイドに相応しい気概じゃないか。」

 

「えへへー、百点満点だよ、咲夜。花マルのちゅーをあげちゃう。ぜーんぶ手に入れちゃいなよ。咲夜ならきっとそれが出来るから。」

 

「そうね、見事な選択だわ。貴女を形作った全てのものに誇れる存在になりなさい。スカーレットと、ヴェイユと、バートリ。それにマーガトロイドやノーレッジにも。……私が望むのは貴女が我儘を貫き通すことだけよ。その覚悟があるのであれば、受け取ったものを全部食べ尽くして生きなさい。」

 

「はい、やってみせます!」

 

元気良く返答を返した咲夜に、満足げな雰囲気のレミリアが大きな頷きを送る。

 

「なら、先ずはホグワーツを立派な成績で卒業しないとね。本気でうちのメイドになりたいなら中途半端な成績じゃダメよ? ヴェイユ家は未だここに在りってのを示して、魔法省の各部署から誘いを受けた後、それを全部蹴って私に仕えると言い放ってやりなさい。三年後、イギリスのボンクラどもにスカーレットの名を思い出させてやるの。いいわね?」

 

「任せてください、レミリアお嬢様。必ず思い出させてやります!」

 

「大いに結構。だったら私は幻想郷でその知らせを楽しみに待っておくことにするわ。」

 

気取った顔の中に喜びを隠し切れていない親バカ吸血鬼のことは放っておくとして、咲夜の成長は私にとっても嬉しいことだな。私たち相手にも自分の意見をはっきり主張できるようになったわけか。

 

うーん、これは魔理沙に礼を言う必要がありそうだ。この件に関してはアリスやダンブルドアも手伝ってくれたようだが、やはり咲夜にとって一番大きな切っ掛けになったのはあの魔女っ子の存在だろう。旅行中にでも何かプレゼントしてやるか。

 

フランに抱き着かれて何度もほっぺにキスされている咲夜を見ながら、アンネリーゼ・バートリは静かに微笑むのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。