Game of Vampire   作:のみみず@白月

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情報屋

 

 

「……どうも、紅さん。」

 

うーん、相変わらず声と見た目が一致しない妖怪だな。キュートすぎる声で挨拶してきたアピスさんに手を振りながら、紅美鈴は笑顔で返事を返していた。癖のある長髪と猫背の長身、薄汚れた軍の払い下げらしき迷彩柄のリュックサック、絵の具で汚れた青いジャンプスーツ。彼女の中では『身嗜み』という項目の優先度がかなり下に設定されているようだ。

 

「やーやー、アピスさん。とりあえず座ってくださいよ。元気にやってました?」

 

「さっきまでは元気でした。つまり、創作活動の邪魔をされて強引に呼び出される前までは。……誰なんですか? この人たち。っていうか、吸血鬼?」

 

「知り合いですよ、知り合い。ちなみにこっちの子は魔女です。」

 

「……なんか、怖いんですけど。いきなり殺されたりしないですよね?」

 

被害妄想も健在か。面倒くさい反応に内心でため息を吐きながら、不安そうな顔で躊躇うアピスさんを強引に席に着かせる。小心なこの妖怪とは千年以上の付き合いなのだが、毎度毎度初見の相手から殺されないかを心配するのはやめて欲しいぞ。私が紹介したヤツに殺されかけたのなんて一度か二度くらいなのに。

 

「しませんって、この方は良い吸血鬼ですから。……ね? 従姉妹様、ね? 花とか小鳥とかを愛でて過ごしてる、穏やかで心優しい吸血鬼ですもんね?」

 

「花も小鳥も嫌いだし、場合によっては初対面の相手をいきなり殺すさ。それが妖怪ってもんだろう?」

 

「あーほら、そういう冗談はダメなんですってば。アピスさんは怖がりなんですから。」

 

余計なところでサディスティックになるのは吸血鬼の悪い癖だぞ。途端に席を立って逃げ出そうとするアピスさんの肩を押さえつつ、従姉妹様にお願いの目線を送ってみると、黒髪の吸血鬼は渋々といった様子で普通の自己紹介を口にした。

 

「ま、今日は情報を買いに来ただけさ。私はアンネリーゼ・バートリだ。よろしく頼むよ、情報屋さん。」

 

「バートリ? 同族狩りのバートリ? ……吸血鬼の中でもとびっきり危ない部類じゃないですか。そんなのと同席なんて無理ですよ。」

 

「……へぇ? 随分と古い呼名を知ってるじゃないか。」

 

『同族狩り』? 微かな警戒を滲ませて言った従姉妹様は、疑問げな表情の私とアリスちゃんを見て苦笑しながら説明してくる。

 

「大昔のバートリ家は吸血鬼の裏切り者の始末も請け負ってたんだ。父上の代にはもうやらなくなってたけどね。だから心無い一部の吸血鬼が『同族狩り』なんて呼ぶようになったのさ。……依頼したのは自分たちだってのに、失礼しちゃうよ。」

 

「えっと、リーゼ様はやってないってことですよね?」

 

「残念ながら、私に依頼が来たことは一度もないね。そもそも吸血鬼の数が減ってるから当然っちゃ当然だが。」

 

吸血鬼を始末する吸血鬼か。バートリ家も中々に奥が深い家系らしい。アリスちゃんの質問に肩を竦めて答えると、従姉妹様はアピスさんに向けて問いを投げかけた。先程までの適当なものではなく、見定めるような顔付きでだ。

 

「それでキミ、バートリの仕事をどこで知ったんだい? 極一部の古い吸血鬼しか知らない事実のはずだが。」

 

「……情報源は明かせません。一応情報屋なので。」

 

「ふぅん? 気に食わないね。どこまで黙っていられるか試してみようか?」

 

「ぼ、暴力はやめてください。……これだから嫌なんです。人外は気に入らないことがあるとすぐ暴力に訴えます。少しくらい文明的に話そうとは思わないんですか?」

 

椅子の上で縮こまりながら非難するアピスさんへと、従姉妹様は不気味なものを見るかのような目付きで呆れ声を放つ。まあうん、気持ちは分かるぞ。

 

「驚いたね。本当に妖怪なのか? こいつ。『文明的に話そう』だって? ……初めて見たぞ、そんなアホみたいな台詞をのたまう人外は。」

 

「貴女が無学で野蛮だからアホだと思うんです。私はただ、知性ある存在として最も理性的な選択を……紅さん、やっぱり私は殺されるかもしれません。あの吸血鬼の目を見てください。殺してやるって語ってますよ。」

 

「ああもう、従姉妹様! 脅さないであげてくださいよ。あんまり怖がらせると何も喋ってくれなくなるんですから。」

 

これじゃあ話が進まないじゃないか。疲れた気分で注意した私に、従姉妹様は鼻を鳴らしてやれやれと首を振ってくる。『やれやれ』したいのはこっちだぞ。

 

「はいはい、無学で野蛮な吸血鬼は黙ってることにするよ。さっさとそこの『妖怪もどき』から情報を引き出してくれたまえ。私が我慢していられるうちにね。」

 

「そうしてもらえると助かります。……さて、アピスさん。ご飯を食べながら話しましょうか。さっき小さい変なおばさんが用意してくれたんです。」

 

気を取り直してテーブルに並んでいる料理を勧めてやると、アピスさんは従姉妹様の方を警戒したままでおずおずとポタージュに手を伸ばした。わざわざ一番遠い場所にあったスプーンを選び、尚且つそれを紙ナプキンでゴシゴシ拭いてからだ。露骨すぎる行動だな。

 

「お腹が空いてるから食べますけど……毒とか、そういうのは入ってないんですよね?」

 

「あのおばさんが私たちを殺そうとしてなければ大丈夫なはずです。……大体、貴女は毒なんかじゃ死なないでしょう? 無用な心配ですよ。」

 

「私が死ぬような毒が存在するかもしれないじゃないですか。そして、それを口にするのは今日かもしれません。保証なんてどこにもないんです。」

 

「そんなこと言ってたら何も出来ないじゃないですか。……まあいいです、アリスちゃんもどうぞ。お腹空いてるでしょう?」

 

少し緊張が解れてきたらしい『最年少人外』に声をかけてやれば、アリスちゃんは苦笑いでやんわりとした断りを入れてくる。そんなんじゃ大きくなれないぞ。……いや、魔女だから関係ないか。すっかり忘れてたな。

 

「いえ、私は大丈夫です。……あの、貴女は妖怪なんですよね? どんな種族なんですか?」

 

「秘密です。その情報だけは売れません。種族はそのまま弱点に繋がりますから。」

 

「あー……なるほど、それは失礼しました。」

 

スープをちょっとずつ飲みながらボソボソと放たれた返答を受けて、アリスちゃんは怯んだように頷いてから口を閉じるが……やがて沈黙に耐えきれなかったかのように再びアピスさんに問いを送った。私は食事に夢中で、従姉妹様はだんまりを決め込んでいる。アリスちゃんにとってはかなり居心地の悪い空間らしい。

 

「それじゃあ、その……絵を描かれるんですか? 服に絵の具の汚れが付いちゃってますし。」

 

「描きます。最近は絵の勉強をしてるんです。……食事が肉体の糧なら、絵画は精神の糧ですから。こういうものを楽しむことこそが文化的な生活に繋がるんだと確信しています。」

 

「それはまあ、そうかもしれませんね。絵を楽しむ余裕があるってことは良いことですから。」

 

「……見たいですか? 私の絵。」

 

『見て欲しい』という感情の篭った質問に対して、アリスちゃんは他所行きの笑顔を浮かべながら首肯を返した。会話の取っ掛かりになると判断したようだ。

 

「いいんですか?」

 

「紅さんの友達なら特別に見せてあげます。……どうぞ、これです。最近描いた中では一番の手応えを感じました。」

 

ちょびっとだけ嬉しそうな声と共に、アピスさんがリュックサックから取り出したのは……うわぁ、凄いな。麻薬中毒の三歳児が脳震盪を起こした状態で描いたような絵だ。多分パリの風景画だと思うのだが、沢山描かれているのが建物なのか二足歩行の牛なのかが判断できない。絵を分断している無数の青い線は……セーヌ川か? あるいは青いミミズの大群かもしれないが。

 

ジッと見ていると不安になってくる絵を前にして、アリスちゃんは目をパチパチさせながら一瞬言葉に詰まった後、どうにか絞り出したと言わんばかりの声量で感想を口にした。

 

「凄く……個性的な絵だと思います。こんな絵を見たのは初めてですから。これがアートってやつなんですね。」

 

「見る目がありますね、貴女。最近は現代美術がどうこうと独り善がりな絵ばかりが持ち上げられていますが、鑑賞する者を選ぶ絵など二流以下です。写実主義こそ至高であって、キュビズムなんてものは自己満足のパズルに過ぎません。抽象画に至っては議論にすら値しませんね。あれは絵ではなく、『汚れ』ですから。」

 

これ、写実画のつもりだったのか。世界がこんな見た目だったら私は絶望して自死するかもしれないぞ。戦慄の気分で『落書き』を見つめる私を他所に、アリスちゃんは引きつった笑顔で口を開く。彼女も私と同じ感想を抱いているようだ。口に出すつもりはないらしいが。

 

「しゃ、写実? ……まあはい、そうですね、素人としては分かり易い絵の方が助かります。」

 

「その通り、分かり易さこそが重要なんです。絵とは現実を確かめるための手段であり、鑑賞者は私の絵を通して世界が安定していることを認識するわけですね。不安定な絵から汲み取れるのは不安だけであって、それは一時的に感情を揺さぶるかもしれませんが、精神の糧として適したものではありません。」

 

あまりにも不安定な絵を指して自慢げに主張したアピスさんは、ご機嫌な様子で話し続けながらリュックサックから更なる絵を取り出した。今度のはやや小さめの作品だ。ふむ、私が題を付けるとすれば……『世界で一番不細工なチンパンジー』かな。

 

「こっちは数ヶ月前に仕上げた自画像です。クールベの作品にも劣らない出来だと自負しています。」

 

クールベとやらが誰なのかは知らんが、とにかく失礼なことを言ってるのは理解できるぞ。稀に見るハイテンションでえへんと大きな胸を張るアピスさんへと、アリスちゃんは見事なお世辞で対応する。

 

「わぁ……これは、深い絵ですね。さっきの絵は分かり易い美しさでしたけど、こっちはメッセージ性を感じます。」

 

多分本心から言ったのは『わぁ』の部分だけだな。どうやってあの短時間で準備したのかは謎だが、兎にも角にも見事な鴨肉のローストを頬張りながら推理していると、アピスさんはおかしくなったキツツキみたいに首を振り始めた。褒められたのが余程に嬉しいのだろう。つまり、これまでは誰も褒めてくれなかったわけだ。

 

「そうです、そうです! この絵はこう……四つの領域に分かれていて、それぞれが喜び、苦しみ、愛、恐怖を表しています。それらは同一であり、かつ分かたれている概念であることを一つの絵に纏めることで表現して──」

 

「ふぅん? 私は下手くそだと思うけどね。足の指を使ったとしても私ならもっと上手く描けるよ。」

 

おおう、容赦ないな。ウィスキーが入ったグラス片手に一刀両断した正直な吸血鬼は、ピタリと口を噤んだアピスさんへと辛辣な評価を続ける。アリスちゃんが頭を押さえているのが目に入っていないようだ。

 

「キミは先ず線の引き方を勉強すべきだよ。遠近感も狂ってるし、色の選択もひどすぎるが、何より線がおかしいね。どうしてこんなにぐにゃぐにゃなんだい? 盲目のトロールでももっと真っ直ぐな線を引けるぞ。」

 

「……貴女に見せてるわけではありません。こっちの芸術を理解できる魔女さんに見せてるんです。」

 

「おや、『鑑賞する者を選ぶ絵は二流以下』じゃなかったのかい? キミの絵はこの世のどんな絵画より人を選ぶと思うがね。察するに売れてないし、評価されてもいないんだろう? 世の人間たちはそんな絵のことを『駄作』と呼ぶんだよ。これ以上絵の具を無駄にする前に筆を折った方がいいんじゃないかな。」

 

吸血鬼の笑みできっぱりと断言した従姉妹様のことを、アピスさんは暫くの間ぷるぷる震えながら睨んでいたが……あー、泣いちゃった。ポロポロと涙を零しつつしゃくり上げ始めた。生れながらのいじめっ子といじめられっ子か。相性が悪い二人だな。

 

「わた、私だって頑張って描いてるんです。絵の学校に行って勉強して、毎日朝から晩まで筆を握ってるのに、それなのに……それなのにどうしてバカにするんですか? 貴女に人の心は無いんですか?」

 

「無いよ、吸血鬼だからね。キミだって妖怪なんだから無いだろう?」

 

「貴女は人でなしです。外道です。悪魔です。」

 

「だから全部合ってるよ。ずっと吸血鬼だって言ってるだろうが。……おい美鈴、いつまでこんな無駄話を続けるつもりなんだい? 早く本題に入りたまえよ。『絵の具汚れ展覧会』に付き合ってる暇なんかないはずだぞ。」

 

イライラと翼を揺らす従姉妹様に促されて、ため息を吐いてから本題を切り出す。折角アリスちゃんが話し易い空気を作ってくれてたのに、僅か一分でもうこれだ。ここから持ち直すのは難易度が高すぎるぞ。

 

「もう従姉妹様は黙っててください。絶対に喋っちゃダメですからね! ……ほら、アピスさん。悪口吸血鬼は黙らせましたから。」

 

「……あの吸血鬼とは喋りたくありません。嫌いです。情報も売りませんから。」

 

「いやいや、違うんです。情報はアリスちゃん……こっちの魔女ちゃんのために欲しいんですよ。口の悪い吸血鬼はおまけで付いてきたに過ぎません。私もちょっと邪魔だなぁと思ってたくらいでして。」

 

従姉妹様がぎろりと睨め付けてくるが、先に状況をややこしくしたのはそっちじゃないか。私はそれを必死に解決しようとしているだけだぞ。無言の文句を黙殺する私へと、アピスさんはアリスちゃんに視線を向けながら疑問を投げてきた。

 

「……魔女さんのため、ですか?」

 

「そうですとも。アピスさんの絵を気に入ったことからも分かるように、とっても優しい良い子なんですけど……変質者みたいな魔術師に命を狙われちゃってるんです。魔法族の少女を誘拐してる魔術師のことを知ってます?」

 

「勿論知ってます。情報屋ですから。……あの男に関する情報が欲しいんですか?」

 

「ええ、出来れば工房の場所を教えて欲しいんです。やられる前にやっちゃおうと思ってまして。」

 

人外の基本ルールを語る私の頼みを受けて、アピスさんは困ったように微笑むアリスちゃんを見ながら少し悩んだ後……ピンと立てた人差し指を示してくる。

 

「一本で売ります。」

 

「おお? やっすいですね。本物の魔術師相手ですし、三、四本は取られると思ってたんですけど。」

 

「本来なら四本ですけど、芸術を理解する魔女さんに免じて一本、紅さんに免じて一本、そして情報が不明瞭なので一本おまけします。だから一本です。」

 

「いやぁ、持つべきものは話が分かる友人ですね。」

 

アリスちゃんの努力は無駄にならずに済んだわけか。しみじみと言いながら鉛筆程度の大きさの金属の棒を懐から抜いて、アピスさんへと差し出した。ヨーロッパじゃあまり流通していない妖怪の通貨だ。棒自体も価値の高い金属らしいが、どちらかといえば貸し借りを明確にするために使っている部分が大きい。アジアの人外相手なら色々と使い道があるだろう。

 

従姉妹様とアリスちゃんが不思議そうな目で棒を見る中、それをリュックサックに仕舞ったアピスさんはスラスラと魔術師の情報を語り始める。

 

「確かに受け取りました。……では、お話ししましょう。件の魔術師は流れ者で、三十年ほど前にパリに移ってきたばかりです。当時パリを縄張りにしていた魔女が南の方に移った後、空いた隙間にするりと入ってきました。他の人外とはあまり関わりを持っていないみたいですね。」

 

「いいですね、繋がりの薄い流れ者なら気軽に始末できます。」

 

「工房の位置は十五区と十四区の境にあって、古い小さなノン・マジークの家を乗っ取ったみたいです。あとは大戦で出た犠牲者を人肉業者からよく『購入』してたようで、それが一番深い人外との関わりってことになります。実験か何かに使っていたんじゃないでしょうか? ……基本的には迷惑がられてますから、殺しても文句は出ないと思いますよ。最近ちょっと目立ちすぎですし。」

 

「人外の中でも話題になってるんですか? 誘拐事件とやらは。」

 

あまり目にしたことがない生魚を食べつつ聞いてみると、アピスさんはこっくり頷いてから話を続けてきた。

 

「わざわざ死体を片付けないで残したあたり、意図的に事件にしてるのは明白ですから。嗅ぎ回る闇祓いたちを迷惑に思ってる人外は結構多いです。……人間を『人形』にしてるってことはもう知ってますか?」

 

「知ってます。アリスちゃんがちょっかいをかけられた時に本人が言ってたんだとか。」

 

「普通の人形にする以外にも色々と試してるみたいです。身体はそのままで脳だけ弄ったり、逆に脳だけそのままで身体を全部『換装』したり。……十二年前に一区で通り魔事件があったんですけど、あれも多分そいつの仕業ですね。身体が人間のままでどこまでやれるかを試したんじゃないでしょうか? 結局負荷に耐えきれず、屋根から屋根に飛び移る途中で壊れて墜落したらしいですけど。」

 

「悪趣味なヤツですねぇ。」

 

人間を弄って実験に勤しんでいたわけか。なんとも魔術師らしい魔術師だな。ありきたりな逸話に適当な相槌を打った私に、アピスさんもつまらなさそうな口調で同意してくる。

 

「加えて独創性もあまりないみたいですね。通り魔事件にしても、実験にしても、特徴的な部分が全然ありませんから。没個性的な人外なんて笑えませんよ。ちなみに名前はパリに来た当初から一貫してエリック・プショーと名乗ってます。……見た目の説明は必要ですか?」

 

「アリスちゃんが直接見てるので不要です。」

 

「なら、工房の詳細な位置を説明します。……トータルで見るとそれなりの量の死体を購入しているので、『戦力』はそこそこあるかもしれません。紅さんなら心配ないでしょうけど。」

 

「木っ端が多くても意味ないですよ。死んだ後まで働かされるのはちょっと可哀想ですし、なるべく壊してあげることにします。」

 

場所さえ分かればこっちのもんだ。これは今日中に方が付きそうだな。……現在アピスさんがせっせと描いている地図を解読できればの話だが。うーむ、字は綺麗なのになぁ。書法家になるんじゃダメなんだろうか?

 

まあ、絵描きも数十年やってればそのうち飽きるだろう。前は馬の調教に夢中になってたし、その前は時計技師、そして更に前は料理の研究をしていたはずだ。多趣味というか、飽きっぽいというか、アピスさんはそういう妖怪なのである。

 

しかし、ここまで上達しそうにないのは初めてかもしれない。時計技師としてはかなりの腕まで到達してたし、料理もまあまあ美味かった。馬は……どうなったんだっけ? 結構なスピードで飽きちゃったから全然覚えてないな。

 

長年付き合っていても謎が多い情報屋の経歴を思い出しつつ、紅美鈴はどうやって地図を描くのをやめさせようかと悩むのだった。

 

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