Game of Vampire   作:のみみず@白月

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魂と望み

 

 

「えっと、初めまして。魔理沙の友人のサクヤ・ヴェイユです。よろしくお願いします。」

 

どうしてこんなことになっているんだ? ヘンなプリントが入ったTシャツを着ている褐色の肌の女性と、黒いワイシャツにジーンズ姿の背が高い男性。アフリカから旅行に来た二人組に自己紹介を送りつつ、サクヤ・ヴェイユは奇妙な状況に内心で首を傾げていた。

 

七月も上旬が終わり、気温が徐々に上がってきた晴れた日の昼。私は魔理沙と共に、イギリス旅行に来た彼女のペンフレンドを迎えにキングズクロス駅を訪れているのだ。文通相手である魔理沙はともかくとして、初対面の私が来る必要など当然ないわけだが、出発前の話の流れでこうなっちゃったのである。

 

『キングズクロス駅まで迎えに行った後、二人でマグル界のロンドンに買い物に行く』と朝食の席で魔理沙が話しているのを耳にしたリーゼお嬢様が、マグル界の常識に疎い魔女っ子一人じゃ不安だと呟いたのだ。だから思わず『私も付いて行った方がいいでしょうか?』と言ってしまったわけだが……お嬢様に対しての『頼りになる感』を出したくて口を滑らせたと後悔した時にはもう遅く、魔理沙も乗り気になって同行することになってしまった。

 

しかも、ヨーロッパ特急から降りてきたのは二人だぞ。女性一人じゃなかったのか? 事前の情報と食い違っていることに困惑する私に、男女がそれぞれ挨拶を返してくる。

 

「オルオチです。よろしくお願いします、ミス・ヴェイユ。」

 

「ゾーイだ。よろしく頼む! マリサも久し振りだな。」

 

静かで落ち着いた口調のオルオチさんと、快活そうな顔付きで周囲を見回しているゾーイさん。対照的な二人だなと思っている私を他所に、魔理沙が怪訝そうな表情で質問を口にした。

 

「久々に会えて嬉しいが……でも、何でオルオチが一緒なんだ?」

 

「よく聞いてくれたな、マリサ。手紙に書きたかったのは山々だったが、どうせならちょっとしたサプライズにしようと思ったんだ。……じゃーん、オルオチと私は結婚したんだよ。」

 

「けっ……はあ?」

 

結婚? いきなりの報告に絶句する魔理沙へと、ゾーイさんはしてやったりという顔で説明を続ける。ほんの少しだけ頬を染めながらだ。

 

「ワガドゥがホグワーツに負けた少し後、オルオチから求婚されたんだよ。最初は断ってたんだが、しつこくてな。毎日欠かさず花を贈ってくるんだ。朝昼晩に一輪ずつ、別の花を。」

 

「パパ・オモンディに恋愛の相談をしたら、想いを込めた花を毎日贈れとアドバイスしてくれたんです。だから毎日贈り続けました。隼の姿で遠方まで摘みに行ったり、植物学に詳しい友人に頼んで分けてもらったり。一輪一輪に私の恋心を込めて、求婚の言葉と共にゾーイに渡すという日課を続けてみた結果──」

 

「まあ、私が根負けしたわけだ。部屋が花でいっぱいになってしまったからな。ふと色取り取りの花で飾られた部屋を見た時、これだけの愛を注いでくれるなら伴侶として不足はないと納得してしまったんだよ。……オルオチは先ず婚約って形にすべきだと言ってきたんだが、私は迂遠なやり方が嫌いだ。それで卒業式と同時に結婚した。パパ・オモンディが直々に結び手をやってくれたんだ。とても名誉なことなんだぞ。」

 

「つまり、今回の卒業旅行は新婚旅行も兼ねているわけです。……すみません、驚かせてしまいましたか? 私は事前に伝えておくべきだと言ったのですが、ゾーイが伝える時は直接だと強く主張したものですから。」

 

一緒に説明していたオルオチさんは申し訳なさそうな表情になっているが……何て言うか、ロマンチックだな。物凄くロマンチックだ。愛を込めた花を朝昼晩に一輪ずつ、か。聞いているだけでムズムズしてくるぞ。

 

擽ったいような惚気話に口をムニムニさせている私の隣で、魔理沙もまたちょびっとだけ恥ずかしそうな半笑いで応答した。ロマンスの質はホグワーツよりもワガドゥが上らしい。

 

「そりゃあ、もちろん驚いたが……うん、めでたいことじゃんか。結婚おめでとうな、二人とも。祝福させてもらうぜ。」

 

「結婚おめでとうございます、オルオチさん、ゾーイさん。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ありがとう、マリサ、サクヤ!」

 

まあうん、幸せそうに見えるぞ。この二人は正反対の雰囲気だが、それだけに『お似合い』だと言えるのかもしれない。遠く離れた土地で結ばれた夫婦のことを祝福していると、若干出端を挫かれた感のある魔理沙が先導し始める。

 

「とにかくよ、新婚旅行ってんなら尚のこと楽しい旅行にしないとな。ホテルは決まってるのか?」

 

「いえ、まだ決まっていません。どこか良さそうなホテルを知りませんか?」

 

「魔法界のホテルならダイアゴン横丁にいくつかあるが、マグル界……非魔法界となるとちょっと分からんな。まあ、何にせよ先ずは魔法省で杖の登録だ。通貨の両替なんかもそこで出来るはずだぜ。」

 

「ああ、杖の登録は必要ありません。我々は杖を使いませんから、そもそも持ってきていないんです。」

 

そっか、そういえばアフリカではこっちの魔法界ほど杖を使わないんだっけ。でも、そうなるとどうすればいいんだろうか? まさか無登録で杖なし魔法を使い放題ってわけではないんだろうし……うーむ、謎だ。前を歩く二人の会話を耳にしながら薄い魔法法の知識を掘り起こしている私に、身を寄せてきたゾーイさんが話しかけてきた。人懐っこい態度が魔理沙と似ているな。

 

「サクヤはマリサと一緒に住んでいるんだろう? 手紙に名前が何度も出てくるから、初めて会ったとは思えない気分だ。」

 

「はい、今は一緒に住んでます。」

 

「銀髪と、青い瞳。想像してた通りの綺麗な組み合わせだな。気高さを感じるぞ。」

 

「気高さ、ですか。」

 

むう、不思議な感覚だ。イギリス魔法界だとこの髪と瞳は大抵『両親から受け継いだもの』として受け取られるから、私個人のものとして評価されるのは実に新鮮だぞ。パチクリと目を瞬かせている私の顔を覗き込んだゾーイさんは、うんうん頷きながら独特な『人物鑑定』を継続してくる。

 

「サクヤは犬か狼かのどちらかだな。……微妙なところだけど、どちらかと言えば犬っぽいぞ。白銀の毛並みと青い瞳を持った大型犬だ。サクヤの魂の形はそれに違いない。」

 

「魂の形? ……もし私がアニメーガスだったら、白い大型犬になるってことですか?」

 

「そういうことだな。私が黒豹なように、オルオチが隼なように、マリサが豹なように、サクヤはきっと狼犬なんだ。守護霊は使えるか? 動物に変身できなくても、あの魔法を使えば魂の形が分かるかもしれないぞ。」

 

「守護霊の呪文はまだ使えませんけど……『かもしれない』ってことは、変身する動物と守護霊が違うってケースも有り得るんですか? 私、何となく同じ形になるんだと思ってました。」

 

何故そう思い込んでいたのかは分からないが、そうだとばかり考えていたぞ。私の疑問に対して、ゾーイさんは大きく首肯してから解説を寄越してきた。

 

「有り得るぞ。動物に変身する時はその人の魂の形がそのまま出て、守護霊の時は『望む形』になるからな。望みは魂に左右されるから殆どの場合は同じになるけど、たまに違う形になる人も居る。……パパ・オモンディは若い頃の守護霊がドラゴンだったらしいんだ。でも、今はカワセミになってしまった。」

 

「それはまた、随分と違う生き物に変わりましたね。」

 

「だろう? 私がまだ小さかった頃、『どうして弱そうになっちゃったの?』と聞いたことがあるんだ。そしたらパパ・オモンディは微笑みながらこう答えた。『それは違う、むしろ強くなったんだよ』って。」

 

「強く?」

 

ドラゴンとカワセミならどう考えてもドラゴンの方が『強い』んじゃないか? 小首を傾げる私へと、ゾーイさんはどこか大人っぽい表情で続きを教えてくれる。

 

「その時は意味が分からなかったけど、後になって別の先生がこっそり教えてくれたんだ。パパ・オモンディの伴侶が美しいカワセミの魂を持った女性だったことと、大昔にその人と死別した時に彼の守護霊がカワセミに変わったことを。……それを聞いた時、パパ・オモンディの言葉の意味が少し分かった。きっと魂の形を上回るくらいの強い強い想いが、守護霊の形を変えてしまうんだよ。だからパパ・オモンディは『強くなった』と言ったんだ。強大なドラゴンに守られるよりも、そのカワセミが寄り添ってくれる方がずっとずっと頼もしいって意味なんだと思う。」

 

「……オモンディ校長は愛していたんですね、奥さんのことを。」

 

「ああ、そういうことだな。少し悲しくて、それでいてとても美しい変化だ。私とオルオチもそういう夫婦になりたいと思っている。」

 

確かアリスは言っていた。私がまだホグワーツに入学していない頃、ある切っ掛けで守護霊がお婆ちゃんと同じライオンに変わったのだと。そしてリーゼ様からも聞いたことがある。スネイプ先生の守護霊がリリー・ポッターさんと同じ牝鹿だということを。

 

……もしかしたら守護霊の呪文というのは、数ある呪文の中でも一際深く精神的な部分に関わっているのかもしれないな。ホグワーツに戻ったら練習してみようと決意したところで、行き先の相談をしていた魔理沙とオルオチさんの話がようやく纏まったようだ。こちらに振り返って声をかけてきた。

 

「やっぱ先ずは魔法省だな。杖無しでも魔力反応の登録をしなくちゃいけない……はずだ。ハーマイオニーがそんな感じのことを言ってた覚えがあるから。」

 

「それが終わったらロンドンでホテルを探しつつ買い物をしましょう。荷物はイギリス魔法省のロッカーに一度預けます。」

 

「よく分からないし、ルートは任せる。決まったなら行こう。」

 

ゾーイさんが胸を張って応じたのと同時に、ホームの隅の暖炉へと四人で歩き始める。しかし、思わぬところで面白い話を聞けたな。魂と望みか。アニメーガスが多いワガドゥだからこそそういう視点にたどり着けるのかもしれない。

 

他国の学校も中々侮れないなと見直しつつ、サクヤ・ヴェイユはまだ見ぬ自分の守護霊の形を思い浮かべるのだった。

 

 

─────

 

 

「ママ、大丈夫だから。飲み物もお菓子も充分すぎるほどにあるよ。こっちのことは心配しないで家事に集中してくれ。」

 

まあ、心配にもなるだろうさ。五分に一回のペースで世話を焼きに来るモリーに注意しているロンを見ながら、ダイニングテーブルに頬杖を突いているアンネリーゼ・バートリは苦笑を浮かべていた。今日だもんな、結果が出るのは。

 

七月十五日の昼前、隠れ穴に集まったいつもの四人で『勉強合宿』に励んでいるのだ。『集まった』というかハリーはこの二週間ウィーズリー家に泊まり込んでいて、私とハーマイオニーが毎日のように煙突飛行で通っている状態なわけだが……今日は緊張感が違うな。

 

要するに、今日の正午にイモリ試験の結果が届くのである。その所為でモリーとハーマイオニーは朝から落ち着きがないし、ハリーとロンは魔法法の勉強に身が入っていないし、ジニーはひたすら窓際でふくろうが来ないかと空を見続けているわけだ。ちなみにアーサーとパーシーも昼休みに帰ってくるつもりらしい。時間的にはそろそろだな。

 

私が腕時計を確認しているのを他所に、モリーがロンへと反論を放つ。もう何も手に付かないというご様子だ。

 

「家事に集中ですって? 集中できるわけがないでしょう? あなたたちの将来が決まる日なのよ? ……ああ、心配だわ。こんなに心配なのは初めてよ。ジョージとフレッドはそもそもイモリを受けなかったし、ビルやパーシーは成績が良かったし、チャーリーは卒業の前に就職が決まってましたからね。」

 

「僕だって就職先は決まってるよ。闇祓いさ。」

 

「チャーリーの場合は『就職が』決まっていたのよ。貴方の場合は『就職の希望先』が決まっているだけでしょう? ……もうダメ、心配のしすぎで何だか具合が悪くなってきたわ。」

 

立ち眩みを堪えるかのようにテーブルを支えにしたモリーは、尚も『心配』を吐き出そうと口を開くが……そこから言葉が出てくる前に窓際のジニーが勢いよく立ち上がる。視線を窓の外の青空に固定したままでだ。

 

「来た! みんな、ふくろうが来たわよ! これで関係ないふくろうだったら『ローストオウル』にしてやるんだから。」

 

「キミね、ふくろうに罪はないだろうに。……どうする? これまでのホグワーツのやり方からすると、間違いなく三人分を運んでいるぞ。」

 

「私は無理。お願いだから誰か代わりに確認して頂戴。」

 

「僕は自分で見るよ。」

 

座ったままで真っ青な顔になっているハーマイオニーに対して、ハリーは覚悟を決めた表情で席を立った。ロンもゴクリと喉を鳴らしてから無言でそれに続き、モリーが見ていられないとばかりに顔を手で覆う中、ジニーが大慌てで開け放った窓からふくろうが飛び込んでくる。

 

予想通り三通の封筒を持っていた茶色の羽毛饅頭は、それを一番近いジニーの手元にぽとりと落とすと、見事なターンで再び窓の外へと飛び去ってしまう。……さて、運命の瞬間だ。私もさすがに緊張してきたぞ。

 

手紙を持ったままで固まっているジニーから『将来』を受け取ったハリーとロンは、三通のそれを私たちが居るダイニングテーブルまで持ってきた。ハーマイオニーは……むう、ダメそうだな。私が代わりに開けるか。

 

「……準備はいい? せーので開こう。いくよ? せーの!」

 

ハリーの合図と共に私とロンも封筒を開いてみると……ん? 何枚か入っているな。成績表はどれだ?

 

「リーゼ、どうだった? 私は大丈夫だった?」

 

「ちょっと待ってくれたまえ、余計な就職案内のチラシみたいなのが……おっと、これが結果かな。」

 

ハーマイオニーの震える声に応じつつ、魔法省に関する物らしい大量のチラシの中からお目当ての羊皮紙を探し当てる。それを開いて確認してみれば──

 

「まあうん、分かってたけどね。見事に10と9が並んでいるよ。」

 

フクロウ試験はイギリス魔法界っぽい『ユーモアのある』評価制度だったが、イモリ試験は何の面白味もない十段階の真面目くさった評価システムになっているらしい。数値が高いほど良い点数であり、低ければ当然悪いというわけだ。内心で少しホッとしながら口にした私の報告を聞いて、ハーマイオニーはパッと顔を上げて成績表をひったくってきた。

 

「……悪くないわね。8はルーン文字学だけよ。対象となる教科はどれも基準を超えてるし、これなら試験免除で入省できるわ。」

 

「おめでとう、ハーマイオニー。キミは九月から晴れて国際魔法協力部の新入職員だ。」

 

「でも、私……そういうことになるわね。決まっちゃった、就職。」

 

ぽかんと口を開けて現実を認識したハーマイオニーのことを、モリーが押し潰さんばかりの勢いで抱き締める。これで私の不安の三分の一は解消されたわけだ。残るはジッと成績表を読み込んでいる二人だな。

 

「おめでとう、ハーマイオニー! 良かったわ。本当に良かった。早くご両親にも知らせないと!」

 

「ママ、そのままだと入省する前に窒息して死んじゃうって。おめでと、ハーマイオニー。」

 

「ありがとう、二人とも。ハリーとロンの成績を確認したら、煙突飛行で家に戻ってパパとママに……どうだったの? 二人とも。黙ってないで何か言って頂戴よ。」

 

モリーとジニーの祝福を受けて喜んでいる途中で、ずっと沈黙したままの残る二人を見て冷静になったハーマイオニーの問いに、先ずはロンが微かな声量で答えを返した。

 

「僕、頭が真っ白になっちゃって。だから上手く計算できないんだ。頼む、代わりにチェックしてくれ。これってギリギリで足切りを抜けてる……よな? 防衛術が8、変身術が7、呪文学が8、魔法薬学が7。」

 

「そして薬草学が8ってことは……抜けてるわ、ロン! セーフよ! 貴方は入局試験に進めるの!」

 

「僕、僕……良かった。危なかったよ。」

 

気が抜けた様子で椅子に崩れ落ちたロンは、呆然とした顔付きを徐々に笑みの形に変えていく。いやぁ、ヒヤッとしたぞ。ギリッギリだったな。闇祓い試験の受験資格は防衛術が8以上、変身術と呪文学を合わせて15以上、それに加えて魔法薬学、薬草学、マグル学、ルーン文字学の中から二教科を選んで、その点数を足した数値も15以上にならないと得られなかったはずだ。

 

モリーが安心のあまりしゃがみ込む中、ハリーも自身の成績表をテーブルに広げてきた。満面の笑みでだ。

 

「僕も突破だ。ギリギリ突破! 防衛術が10、呪文学が7、変身術が8。それで薬学が7で薬草学が8だから……うん、やっぱり突破してるよ! 僕も進める! 闇祓いの試験を受けられるんだ!」

 

「ハリー、よくやったわ!」

 

ジニーがハリーと熱いキスを交わすのを横目に、一応テーブルの上の成績表を確認してみると……うむうむ、確かに受験資格に届いているな。ハリーとロンは何とか第一の関門を突破したらしい。

 

「私、両親に報告してくるわ! ロンとハリーも大丈夫だったって!」

 

「そうだ、僕はシリウスに伝えてこないと。行ってくる!」

 

ハーマイオニーとハリーが慌ただしく暖炉に近付いたところで、そこに緑の炎が燃え上がる。ちょうど良いタイミングでアーサーとパーシーが帰ってきたようだ。

 

「おっと、危ない。……ひょっとして、もう結果が届いたのかい? どうだった?」

 

最初に出現したアーサーが暖炉の前に立っていた二人に驚き、直後にパーシーも姿を現す。そんな二人にモリーが物凄いスピードで近付いたかと思えば、喜びを全身から発しながら『勝利報告』を送った。

 

「ハーマイオニーは就職決定、ロンとハリーは足切り突破です!」

 

「そうか、それは良かった。素晴らしいよ。最高の結果だ。今夜はお祝いだね。」

 

「よくやったね、三人とも。」

 

アーサーとパーシーも顔を綻ばせる中、冷めてしまった紅茶を飲んで一息つく。最近は心配でよく眠れなかったが、今日は心地良い気分で寝られそうだな。ハリーとロンはまだ最大の難関である入局試験を残しているものの、かなりの進展には違いないだろう。

 

歓喜に支配された隠れ穴のリビングの中で、アンネリーゼ・バートリは笑顔で椅子に背を預けるのだった。

 


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