Game of Vampire   作:のみみず@白月

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発覚

 

 

「あの、鈴川先生。細川先生ってもう授業に復帰してるんでしょうか?」

 

四限目の日本史学の授業が終わった直後、東風谷早苗は黒板を消している鈴川先生に近付いて問いかけていた。ちょっと苦手なんだよな、この先生。無派閥に近い松平派の中年の女性教師なのだが、そこそこ厳しくて神経質なタイプの人なのだ。本当は進んで話しかけたい先生じゃないんだけど……お二方の指示なんだから仕方がない。手早く済ませちゃおう。

 

十二月に入って、ようやく冬休みが見えてきたマホウトコロ。『ゲーム解禁』を目指して冬休み前のテストで良い点を取るべく、私は日々勉強に励んでいたわけだが、お二方の留守中に勝手にゲームをしていたことが昨日バレてしまったのだ。

 

『セーブデータ調査』という人権を無視した非道な捜査方法によって罪を暴かれてしまった私は、お二方にその日のことを洗いざらい自白することで減刑を狙ってみたのだが、黒蛇と一緒に白木校長に会ったと報告したところでお二方がシリアスな雰囲気になってしまったのである。

 

そして一夜明けた今日、お二方の指示で訳も分からず鈴川先生に細川先生のことを尋ねているわけだけど……うわぁ、めちゃくちゃ嫌な顔をされているじゃないか。私の質問を受けた鈴川先生は、『面倒くさい』という表情を隠そうともせずに応答してきた。

 

「またその質問ですか。余程女生徒に人気があるようですね、細川先生は。学校は教師との『不純異性交遊』を目論むための場ではありませんよ。」

 

「いや、違うんです。そうじゃなくて、えっと……単純な疑問でして。随分経つのにまだ復帰しないのかなぁ、と。」

 

ああもう、誤解されちゃっているじゃないか。わたわたと手を振りながら弁明した私に、鈴川先生は『どうだか』という疑わしそうな顔付きで答えを教えてくれる。同じ質問を他の女子たちから何度もされているらしい。

 

「本来もう授業に復帰しているはずだったんですが、土壇場でやはりまだ無理だということになったそうです。『心の病気』とやらで部屋から出られない状態が続いているようですよ。情けないにも程があります。」

 

うーん、鈴川先生は細川先生が休んでいることを快く思っていないみたいだ。あんまり精神的な病気に明るくない人なのかもしれない。私はあんな状態の細川先生を働かせる方がマズいと思うけどな。苛々している様子の鈴川先生に怯みながら、恐る恐る問いを重ねてみた。

 

「こんなに長く休むってことは、結構悪いんでしょうか?」

 

「さあ? 私は知りませんし興味もありません。私に分かるのは、仕事を増やされて迷惑だということだけです。……だから若い教師を入れるのは反対だったんですよ。おまけに溝口先生と吉村先生も『心の病気』らしいですからね。細川先生が『休めている』のを見て影響されたんでしょう。やる気がないなら辞めてしまえばいいでしょうに。この学校に勤めたいという魔法使いは山ほど居るんですから。」

 

「あー……ええっと、溝口先生と吉村先生も休んでるんですか。知りませんでした。」

 

吉村先生は藤原派の英語の先生で、溝口先生は松平派の技術非魔法学の先生だったはずだ。三人も休んでいることを知って小首を傾げた私へと、鈴川先生は大きく鼻を鳴らして文句を続けてくる。

 

「『調子が悪い』んだそうですよ。信じられません。昔のマホウトコロの教職というのは、『調子が悪い』程度で休めるような甘い仕事じゃありませんでした。いつからこんな緩い職場になってしまったのやら。昔の白木校長はもっと厳しかったはずです。」

 

「それはその、良かったですね。」

 

「……何が『良かった』んですか? 私は今規律の乱れを嘆いていたんですよ?」

 

「へ? いやあの、てっきり厳しくなくなって良かったって話だと……ごめんなさい、勘違いしてました。」

 

私の返事を聞いて怖い顔になってしまった鈴川先生に謝ってみるが……ああ、ダメっぽいな。更に怒らせちゃったらしい。鈴川先生はこれ見よがしに巨大なため息を吐いて話を切り上げてしまう。だって、ちゃんと休めるのは良いことじゃないか。そんなに怖い顔をしなくてもいいのに。

 

「……何にせよ、貴女もしっかりと勉強をするように。冬休み前のテストで『調子が悪かった』などという言い訳は通用しませんからね。白木校長は許すようですが、私は違います。そのことはよく覚えておきなさい。」

 

「はい、分かりました。」

 

『超怖い声色』で釘を刺されて慌てて頷いてから、急いで席に戻ってバッグを手に取りながら一息つく。怖かったぞ。やっぱり鈴川先生は苦手だ。校長先生や教頭先生の怖さとはまた種類が違う怖さだったな。

 

楽しい冬休みのことを無理やり考えることで、一気にすり減ってしまった精神の回復を試みている私に、ずっと黙っていたお二方がそれぞれの意見を口にした。当然ながら、私にしか聞こえない声でだ。

 

『ふーん、細川はまだ休んでるんだ。怪しいなぁ。やっぱ妖怪か何かなんじゃないの? あの蛇。』

 

『早苗の話を聞く限りでは確かに怪しいが、前に直接見た時に妖力らしきものは一切感じなかったぞ。細かい妖力の感知に関してはお前の方が得意だろう? どうだったんだ? 諏訪子。』

 

『前にも言った通り、私も妖力は感じなかったよ。だけど集中して探ってたわけじゃないから、気付けなかっただけって可能性も全然あるし……んー、どうなんだろ。難しいところだなぁ。早苗、一回寮の部屋に戻ろっか。みんなでご飯食べながら話し合おう。』

 

「でも、今日は担々麺の日です。なのに購買のパンにしちゃうんですか? ……すぐ食べますから。パパッて。パパパッて。」

 

楽しみにしていたのに。購買のパンはいつでも買えるけど、担々麺はたまにしか出ないんだぞ。小声で抵抗してみるが、諏訪子様は無慈悲な返答を返してくる。

 

『担々麺は今度にしな。結構重要なことなんだから、ちゃんと話し合わないとダメなの。』

 

「だけど、ピリ辛なんです。コクがあるんです。美味しいんです。」

 

『あんたはもう、本当に暢気な子だね。……じゃあほら、今度リーゼちゃんに連れて行ってもらえばいいでしょ。担々麺の有名店とか、高級中華の店とかにさ。その時美味しく食べられるように今は我慢しときな。』

 

「なるほど、それなら我慢します。」

 

高級中華には心惹かれるものがあるぞ。あの回る大きなテーブル。ああいうのがある店に行きたいな。想像だけで込み上げてきた唾を飲み込みつつ、即座に了承してバッグを片手に教室を出た。物事には優先順位というものがあるのだ。マホウトコロの担々麺の順位は物凄く高いけど、高級中華にはさすがに負ける。当然の判断と言えるだろう。

 

後でガイドブックをチェックして店の候補を選出しておこうと心に決めながら、二階の四面廊下を出て一階への階段を下りて、パンを買おうと購買の方に向かうと……わあ、混んでいるな。『昼練』に向かうクィディッチ部の生徒たちとかち合ってしまったようだ。

 

「……やっぱりやめませんか?」

 

『何怯んでんのさ。私はカレーパンとコロッケパンね。』

 

『おにぎりも売っていただろう? 私は梅とシャケとおかかとおかずセットを頼む。お茶は部屋の冷蔵庫にあったよな?』

 

『お茶はあるけど、私はパンだから……コーヒー牛乳にしよっかな。瓶のやつ。』

 

行くのか。体格が良い男子が多いから怖いんだけどな。軽く頼んできたお二方に恨めしい感情を送りつつ、ゆっくりゆっくりと売り場に近付いていくが……うう、ヤダなぁ。運動部の人たちって何であんなに大きな声で話しているんだろう? 『凶暴さ』を感じるぞ。

 

購買から少し離れた位置で立ち止まった私に、諏訪子様が無茶苦茶なアドバイスを寄越してきた。

 

『蛇語で威嚇してやりな。シューシュー言えばビビって道を空けるって。』

 

「嫌に決まってるじゃないですか。そんなことしたら、また変な噂になっちゃいます。」

 

『ただ突っ立ってたら私のパンが売り切れちゃうでしょうが。やりな、早苗。神の宣託だよ。あんたがいきなり訳の分かんない蛇語で喚きながら登場すれば、あいつら絶対怖がって近付いてこないから。』

 

「それは『ヤバいヤツ』だから近付かないだけですよね? それをやるくらいなら普通に買いますよ。」

 

諏訪子様に囁き声で答えてから、なるべく人が少なくなる一瞬の隙を狙って……今だ! クィディッチ部員たちの隙間を抜けて商品へと近寄る。素早くカレーパンと、コロッケパンと、おにぎり三つと、唐揚げや卵焼きなんかがプラスチックのパックに入った『おかずセット』と、コーヒー牛乳と自分用のパンを適当に回収して、事前に計算して財布から出しておいた代金と一緒に職員さんに渡してみれば──

 

「はい、ちょうどね。」

 

「あっ、どうも。」

 

見事な手付きだな。流れるような動作で袋詰めされた商品たちが手元に戻ってきた。これにてミッションコンプリートだ。きちんと『お使い』を達成できたことにふんすと鼻を鳴らしつつ、その場を離れて寮へと向かおうとしたところで、クィディッチ部の男子生徒たちの話し声が耳に入ってくる。

 

「あいつ、すげー食うな。葵寮の蛇舌だろ?」

 

「おい、関わるなって。蛇舌を『イジる』と中城先輩から棍棒でぶん殴られるぞ。今度また練習を見に来てくれるっぽいし、その時に怒られたくないだろ?」

 

「でもよ、食い過ぎじゃないか? 蛇舌だと腹が減るのかな?」

 

「だからやめとけっつの。さっさと練習に行くぞ。」

 

あああ、違うぞ。全部を私が食べるわけじゃないんだからな。あらぬ疑いをかけられて顔を赤くしながら、早足で廊下を歩いて行く。

 

「……もう、勘違いされちゃったじゃないですか。」

 

『反論すればよかったじゃん。偉大な神々への供物だって言ってやりなよ。』

 

『よく食べるのはいいことだぞ、早苗。何を恥ずかしがっているんだ。胸を張れ。』

 

「言えませんし、張れません。」

 

小声で言い返しながら寮へと足早に移動して、玄関を抜けて階段を上がって自室に入った。安心できる場所にたどり着いて一つ息を吐いていると、早速顕現したお二方が私の手からお昼ご飯を回収してくる。

 

「さあさあ、食べよう食べよう。美味しいのに安いよねぇ、購買のパン。……お、まだあったかいじゃん。ラッキー。」

 

「おい、諏訪子。私のおかずセットから手を離せ。お前はパンなんだからおかずは必要ないだろうが。……カップ味噌汁はどこだ? 前に纏めて買ったはずだぞ。」

 

カレーパンを食べ始めた諏訪子様と、棚の中にあったカップ味噌汁に電気ポットのお湯を注いでいる神奈子様。そんなお二方の姿を横目にしつつ、自分の分のパンを袋から取り出してみれば……私、こんなのを買ったのか。残っていたのは三色パンとクリームパンだった。急いでいたから適当に選んだ結果、カスタードクリームが被ってしまったらしい。

 

大体、私は『お昼ご飯に甘いパンを食べる派』の人間じゃないぞ。高級中華の代償は高く付いたなと物悲しい気分になっていると、豪快にカレーパンを頬張っている諏訪子様が話しかけてくる。美味しそうだな。購買のカレーパンには小さなお肉が沢山入っているのだ。

 

「んでさ、例の蛇についてだけど……あんたが白木と会った後、『生徒相手なら油断すると思った』みたいなことを言ってたんだよね?」

 

「えと、多分言ってたはずです。……でもですね、そんなに深刻な意味はないと思いますよ? あの蛇はかなりのおバカちゃんっぽかったので、テレビとかの知識をそのまま喋ってるだけじゃないでしょうか?」

 

「『おバカちゃん』はあんたでしょうが。他には何か怪しいことを言ってなかった?」

 

「えぇ……私、おバカちゃんじゃないです。あの蛇よりは絶対に賢い自信があります。」

 

幾ら何でもあれよりは上だぞ。ムッとしながら抗弁してみれば、諏訪子様は呆れ声で指摘を飛ばしてきた。

 

「クリームパンと三色パンを両手に持ってる子の発言とは思えないね。あんた、気付いてる? クリームが被ってるよ?」

 

「き、気付いてます! そんなにバカじゃないですよ。急いでたから選べなかっただけです。」

 

「はいはい、コロッケとクリームを半分トレードしてあげるよ。……で、蛇は他に何か言ってなかったの?」

 

やった、クリームの割合が減ったぞ。諏訪子様にクリームパンの半分を渡して、代わりにコロッケパンの半分を受け取りつつ、曖昧な記憶を何とか掘り起こして返事を送る。

 

「えーっと……あ、言ってました。あの蛇が人間を支配した後、私は見所があって可愛くて賢いので特別に奴隷長にしてくれるんだそうです。」

 

「……は? どういうこと?」

 

「ネズミとかウズラとかを食べさせてくれるって言ってましたよ? あとあと、駒の話……というか、将棋? のことも話してました。詰みまでの時間がどうこうって。」

 

「えー? 全然分かんないよ。人間を支配して、あんたを奴隷長にする? バカっぽい会話だなぁ。」

 

それは私も思ったけど、実際そう言っていたのだ。意味不明だという顔付きになってしまった諏訪子様は、むむむと唸りながら話を続けてきた。

 

「あーもう、分かんない。リーゼちゃんに不自然に近付こうとした飼い主の細川が急に病気になって、その後にあんたを使って白木を『狙う』ような動きをしたかと思えば、アホみたいな発言もしてるわけでしょ? 妖怪なのかも断定できないし、意図もさっぱり掴めないよ。」

 

「だから、ただの蛇なんですってば。『時代劇口調』も、『人間支配』も、『奴隷長』も全部テレビの知識ですよ。細川先生の病気は単なる偶然なんじゃないでしょうか?」

 

「そうかもだけど、白木のことを気にしてたってのがどうもねぇ。……一応聞くけどさ、あんたに蛇が接触してきたのって一回だけなんだよね? つまり、白木と話した時だけってことでしょ?」

 

「それはそうですよ。細川先生と一緒に寮の裏手で見つけた時が最初で、次は……あっ。」

 

そうだった、夏頃にも一度会っていたんだ。でも、どうしてお二方は知らないんだろう? いつも一緒に居るはずなのに。自分の記憶を探りながら首を傾げている私に、カップ味噌汁を作り終えた神奈子様が突っ込んでくる。

 

「早苗? 今の『あっ』は何だ? 他にも思い当たる節があるのか?」

 

「あの、あります。七月の……初め頃? にも一度会ってるはずです。」

 

「何故それを内緒にしていたんだ。」

 

「いやいや、別に内緒にしてたわけでは……あっ。」

 

思い出したぞ。あの日はリーゼさんと移住のことを話すためにお二方が守矢神社に行っていて、私は神の居ぬ間に大きなテレビでゲームをしようと思ったから……そう、神奈子様からやっておくようにと言われた宿題をやらなかったんだ。逃げ出した蛇を細川先生の研究室に届けた後、ゲームに熱中しちゃったはず。

 

それでそれで、帰ってきた神奈子様から宿題のことを聞かれたから、海燕係の仕事があって出来なかったことにしたんだった。自分でも忘れていた『悪事』を鮮明に思い出した私へと、神奈子様がジト目で問い質してくる。

 

「今度の『あっ』は何だ? 正直に言いなさい。これは大事なことなんだから。」

 

「……ええっと、確かに私は蛇さんと会ってます。お二方がリーゼさんと移住の話し合いをするために守矢神社に行ってた時です。掃除の時間に中庭で蛇さんを見つけたので、細川先生の研究室に連れて行きました。」

 

「何で私たちに話さなかったのさ。いつもは聞いてないことまで喋りまくってくるのに。」

 

「それはですね、つまり……話すと嘘がバレちゃうからです。あの日は神奈子様から宿題をやれって言われてて、ゲームに夢中で『やらなかった』のを海燕係の仕事で『やれなかった』ことにしたので、蛇さんのことまで話しちゃうと時系列がおかしくなるかなと思いまして。……でもでも、大したことじゃなかったんですよ? 蛇さんを見つけて、研究室に届けただけなんです。今の今まで私も忘れてました。」

 

正直に告白した私を見て、お二方は深々とため息を吐いた後……やけに真剣な表情になって顔を見合わせた。

 

「まあ、宿題のことは後で話そう。それより今は蛇のことだ。……あまりにも都合が良すぎないか? 私たちが揃って早苗の側を離れることなど滅多にないはずだぞ。二回が二回ともその時だというのは偶然では片付けられん。」

 

「ま、出来すぎてるよね。にしたって別に早苗に何かするわけでもないし、よく分かんないってのは同じだけどさ。疑いはちょっとだけ増したかな。……最終確認だよ、早苗。蛇が接触してきたのは七月の初め頃と、この前の白木の時だけなんだね?」

 

「そうです、そうです。今度こそ間違いないです。」

 

再度確認してきた諏訪子様に首肯してみれば、彼女はコロッケパンを食べ切りながら結論を述べてくる。

 

「ダメだね、材料が少なすぎて判断できないや。とはいえ疑わしいのは間違いないんだから、リーゼちゃんには伝えておこう。それと早苗、次に蛇を見かけたら札を貼ってやりな。妖怪なら死ぬか苦しむはずだから。」

 

「……そんなの可哀想ですよ。普通の蛇さんだったらどうするんですか? 動物虐待です。」

 

「へーきへーき、普通の蛇だったら死なないし苦しまないよ。……次の外出日っていつだっけ? 冬休みまでもう無い?」

 

「外出日は無いですけど、今年の冬休みは十八日の土曜日からです。……私は普通の蛇なんだと思いますよ?」

 

諦め悪くポツリと意見を付け加えてみるが、お二方は全く気にせずに会話を続けてしまう。ちょっとおバカちゃんなだけで、そんなに悪い蛇じゃなさそうに見えたんだけどな。子供っぽいところがあったし、迷惑だけど憎めないって雰囲気だったぞ。

 

「んー、どうする? 手紙を送る? それとも冬休みでいいかな?」

 

「札さえあれば早苗を守れる自信はあるが、知らせるだけ知らせておいた方がいいんじゃないか? 先に手紙で簡単に報告して、冬休みに入ったら直接詳しいことを伝えればいい。」

 

「んじゃ、そうしよっか。……今後は最低でもどっちかは早苗に付いてた方がいいね。どうしても神社の方に行く必要がある時は、神奈子がこっちに残りな。荒事はあんたの担当なんだから。」

 

「ああ、分かった。杞憂かもしれんが、備えておいて損はないはずだ。」

 

ぐああ、今後はずっと神奈子様の『監視』が付くのか。『神の居ぬ間に作戦』は二度と使えなくなってしまったらしい。これは本気でテストの点数をどうにかする他なさそうだな。じゃないといつまで経ってもゲームの封印は解かれないままだぞ。

 

蛇なんかよりもよっぽど重要な問題に悩みつつ、東風谷早苗は悲しい気分で小さくため息を吐くのだった。

 


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