Game of Vampire   作:のみみず@白月

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紅き館と月下の屋敷

 

 

「ごきげんよう、パチュリー・ノーレッジ。私が紅魔館の主にして至高なる紅き支配者、レミリア・スカーレットよ。」

 

吸血鬼の世界には大仰な自己紹介をしなければいけない決まりでもあるのだろうか? 薄い胸を張りながら尊大に振る舞う可愛らしい吸血鬼を前に、パチュリー・ノーレッジは内心ちょっとだけ呆れていた。

 

視界に広がる色取り取りのモヤモヤに対する興味が薄れ、何なら多少鬱陶しいとすら思い始めた頃、キングズクロス駅に迎えに来たリーゼにいきなりこの館へと連れてこられたのだ。会わせたい吸血鬼が居るとか何だとかって。

 

詳しく聞いてみれば、前に言っていた従姉妹のうちの姉に会わせたいとのことだった。そして駅から煙突飛行で直接この巨大な館に連行された私は、人間にしか見えない赤い髪の変な妖怪にリビングまで案内されて、今まさに吸血鬼の自己紹介を受けているという訳だ。我ながら激動の二十分間だったな。

 

「あー、初めまして。もう知ってるみたいだけど、私はパチュリー・ノーレッジ。ええっと……ただの魔女よ。」

 

「ふーん? 賢者の石を呑み込んだ人間が『ただの』魔女ね。随分と謙虚なヤツみたいじゃないの。」

 

そんなことを言われても、まだ全然実感が湧いてこないのだ。物語に出てくる強大な魔女になったという気分ではないし、何か特別な魔法が使えるようになったわけでもない。

 

どう返したらいいのかと困っていると、苦笑しながらのリーゼが助け舟を出してくれた。

 

「もう少し柔らかく接したまえよ、レミィ。大事な協力者なんだから。」

 

「おっと、そうだったわね。……妹の問題を解決するために協力してくれると聞いてるわ。だったら私も敬意を払いましょう。この館を我が家と思って寛いで頂戴。」

 

うーむ、現金なもんだな。途端にスカーレットさんは穏やかな態度で微笑んでくるが……まあ、長いものには巻かれておくべきだろう。私がぺこりとお辞儀をするとスカーレットさんは満足したようで、真っ赤なソファに座るように手で促してきた。

 

「はい、どうぞー。」

 

「あの、ありがとうございます。」

 

私が座った途端に紅茶を用意してくれた赤髪の妖怪……美鈴さんだったかな? にお礼を言ってから、おずおずと一口飲んでみる。美味しいな。どうやら高価な茶葉を使っているようだ。館の規模を見るに、別に意外でもなんでもないが。

 

温かい紅茶で一息ついたところで、この館に入ってからずっと気になっていた疑問をテーブルに放った。

 

「この館の中、何と言えばいいのか……禍々しい? ような雰囲気が凄いのだけど、吸血鬼の館はみんなそうなのかしら?」

 

感覚的なことなので言語化するのは難しいが、この館に入った瞬間から頭をかき回すような空気……というか、気配? に包まれているような感じがするのだ。首を傾げる私に対して、スカーレットさんがよくぞ聞いてくれたとばかりに返答を寄越してくる。

 

「それこそが我が妹、フランドール・スカーレットの抱えている『問題』なのよ。危険だから連れて行くわけにはいかないけど、この館には地下室があってね。あの子は狂気に囚われているために、そこから出られないような状態になっているの。」

 

「正確には『閉じ込めている』だね。あの子を外に出したが最後、たちまち討伐隊が結成されるだろうさ。いくら我々吸血鬼が強大な種族だとしても、目立ちすぎればいつかは敗れる日が来る。だからさっさと狂気から解放してあげて、フランには吸血鬼としての生き方を教える必要があるんだ。」

 

スカーレットさんに続いてリーゼが補足してくるのに、頭の中で噛み砕きながら頷きを返す。……なるほど、これで私のやるべきことが分かったぞ。討伐隊が組まれるほどの吸血鬼を囚えている、この館中に蔓延するほど強い狂気とやらをどうにかすればいいのだ。同じくらい強力な吸血鬼が二人がかりでどうにも出来なかったらしいが、賢者の石を呑み込んだ私にかかればちょちょいのちょいだろう。

 

……そんなわけないだろうが! 出来もしないことを約束してはいけない。また一つ賢くなれたな。学ぶのが少し遅かったようだが。

 

「まあ……うん、約束したからね。前にリーゼに伝えてある通り、私に出来ることなら協力させてもらうわ。」

 

「素晴らしい返答ね。頼りにさせてもらうわ。……それにまあ、何も今すぐどうこうしろとは言わないわよ。先ずはリーゼの屋敷で色々と勉強しておきなさい。詳しい話はそれからにしましょ。」

 

よかった、猶予はあるらしい。吸血鬼の寿命から考えるに、タイムリミットはかなりの長さだろうし、この四年間の進歩を考えれば不可能ではない……はずだ。今はそう信じておこう。

 

ほっと胸を撫で下ろす私へと、テーブルの中央にあったクッキーをいくつか頬張ったリーゼが声をかけてきた。立ち上がって大きく伸びをしながらだ。

 

「さて、それじゃあ行こうか、パチュリー。」

 

「へ? もう帰るの? ゆっくりしていけばいいじゃない。」

 

「いくら賢者の石を呑んだといっても、この狂気の中じゃまだキツいだろうからね。完璧に耐えられるようになってからまた来ればいいさ。大体、今日は顔合わせだけだって話だったろう?」

 

おっと、どうやら私はのんびり紅茶を飲んでる場合じゃないらしい。自覚症状はないが、そう言われるとなんだか怖くなってきたぞ。早くリーゼの屋敷に行ったほうが良さそうだ。

 

「ま、そうね。それならまた今度にしましょうか。……ゲームの話をしたいから、貴女は近いうちにまた来て頂戴、リーゼ。」

 

「はいはい、了解だ。そうさせてもらうよ。」

 

ゲーム? 何か企んでいるようだが、好奇心は魔女をも殺す。関わらないでおくのが正解だろう。今の私は積み重なる問題で手一杯だ。

 

「貴女も準備が整った頃にまた来てね、ノーレッジ。」

 

「ええ、その……またお邪魔させてもらうわ。狂気のことに関しても調べておくから。」

 

スカーレットさんに別れを告げてから、リーゼと共に何故かエントランスに設置されている暖炉へと向かう。見送りに来てくれた美鈴さんに私がさよならを言ったところで、一緒に暖炉に入ったリーゼが行き先を口にした。

 

「ムーンホールド。」

 

 

 

昔からあまり好きではない煙突飛行を終え、煤を払いながら暖炉から出ると……ここがリーゼの屋敷、『ムーンホールド』か。紅魔館と同じくらい豪華な屋敷だが、より重厚な雰囲気が漂っている。向こうの館から遊びをなくして、威厳を増したような造りだ。落ち着いたホグワーツって感じだな。

 

「先ずはキミの部屋に案内しよう。トランクもそこに置いてあるよ。」

 

トランクは駅で屋敷しもべ妖精に渡したのだが、彼が先に送っておいてくれたらしい。今まで住んでいた家の荷物は、ホグワーツの物と纏めてトランクの中の小部屋に入れておいたのだ。賢者の石の製造から引越し作業まで。つくづく便利なトランクである。

 

先導するリーゼに続いて、辺りをキョロキョロと見回しながら廊下を進む。調度品の一つ一つが高価そうだなと思ってしまうのは庶民的すぎる感想なのだろうか? 紅魔館は絵画の類が多かったが、この屋敷ではあまり飾られていないようだ。

 

しかし、紅魔館の時も思ったが……ここまで広いと『家』という感じがしないな。ホグワーツに居る時のような、ある種の公共施設を歩いている感覚になってきちゃうぞ。

 

キョロキョロと視線を彷徨わせながらも二階に上がり、一つの部屋の前にたどり着く。リーゼがドアを開けると……広い。寮の部屋の三倍はありそうだ。あちらが三人で一部屋だったことを考えれば、生活する上で広すぎることは間違いないだろう。

 

「ここを使ってくれ。家具は一通り揃っているが、足りない物があったらロワーに……うちのしもべ妖精に言ってくれればいい。それから──」

 

説明しつつも部屋の奥へと移動したリーゼは、いくつもあるドアの一つをコツンと叩きながら微笑んできた。ちょっと悪戯げな表情だ。

 

「んふふ、このドアを開けてみたまえ。きっと驚くぞ?」

 

これ以上何に驚けというのか。豪華すぎる部屋に戸惑いながらも、部屋の隅にあるリーゼが示したドアを開けてみれば……これはまた、言葉も出ないな。この屋敷の中でも一番素晴らしい光景が広がっていた。

 

「どうだい? ドアを取り付けて、ここと直通にしてみたんだ。その方が便利だと思ってね。」

 

ドアの先に見えてきたのは、白を基調とした美しい図書館だ。どうやら最上階までの吹き抜けになっているようで、一階部分を見下ろせばズラリと多種多様な形の本棚が並んでいる。鎖で本を吊るしている棚や、木箱にしか見えないような入れ物、金庫みたいな鉄製の箱まで置いてあるぞ。

 

「私の父はかなりの読書家でね。まだ本なんて物が貴重だった時代から集めていたから、少々、あー……乱雑になっているんだよ。」

 

「素晴らしいわ、リーゼ。最高の部屋よ。」

 

言いながら今度は上を見上げてみれば、バルコニー状になっている各階の張り出しに本が堆く積まれているのが目に入ってきた。本棚に仕舞われていない、未分類の本も大量にあるわけか。あれを読んで、分類して、整理することを考えると胸が躍る。楽しい日々になりそうだ。

 

一歩外に出れば本の山。そんな夢みたいな新居に感動している私へと、リーゼが頬を掻きながら肩を竦めてきた。

 

「ただまあ、ちょっと整理が追いついていなくてね。ヤバめな魔導書もあるから、ロワーや使用人たちに触らせるわけにもいかないんだよ。もし雑多なのが気に食わないんだったら、私が適当に片付けを──」

 

「私がやるわ。やらせて頂戴。」

 

「それなら……うん、キミに任せるよ。ただし、修行や狂気の対策なんかも忘れないでくれると助かるかな。」

 

やる気が漲っている私に、ちょっと引いた感じでリーゼが頷く。もちろんそっちもきちんと進めるさ。力の制御に、本の整理、それが終われば狂気の対策。この屋敷での日々はえらく充実したものになりそうだ。

 

胸躍る生活のことを考えながら、パチュリー・ノーレッジは満面の笑みを浮かべるのだった。

 

 

─────

 

 

「いらっしゃい、リーゼお姉様!」

 

紅魔館の地下室の中、隣のレミリアを完全に無視したフランに抱き着かれながら、アンネリーゼ・バートリは持ってきた紙袋をフランに差し出していた。気に入ってくれればいいんだけどな。

 

「やあ、フラン。今日はお土産もあるよ。」

 

「ふわぁ、やったー! スゴいスゴい、美鈴そっくりのお人形さん! お散歩ごっこに使うよ。ありがとう、リーゼお姉様。」

 

「えぇ……妹様にとってはペットみたいな感じなんですか? 私って。」

 

どうやら満足してくれたようだ。フランのはしゃぎっぷりに頷きながら、最後に部屋に入ってきた美鈴が何とも言えない顔をするの横目にしていると、姉バカ吸血鬼が毎度お馴染みの無駄な抵抗をし始める。

 

「ねえ、フラン? 私にはいらっしゃいしてくれないの? 抱き着いてもいいのよ?」

 

「リーゼお姉様、今日は遊びに来てくれたの? そうだなぁ……ナイフで的当てでもしようよ! 美鈴が的ね!」

 

「ちょっ、違いますよね、従姉妹様! 話があって来たんですもんね? ね?」

 

どうも最近のフランは、罵倒するよりも無視したほうがレミリアへのダメージが大きいことに気付いたらしい。情けない表情を浮かべるレミリアを尻目に、苦笑しながら口を開く。この門番が本気で避けようとするのであれば的当ても楽しそうだが、今日はもっと楽しめそうな話があるのだ。

 

「それも面白そうだが、今日は別の用事があるんだよ。……フランは前に話した代理戦争のことを覚えているかい?」

 

「うんっ、もちろんだよ! フラン、そのために色々ベンキョーしてたんだ。なんたってリーゼお姉様のサンボー役だからね。」

 

「おや、それは頼りになりそうだね。……それでだ、ようやく必要な一人の選別が終わったから、フランにゲームで使う駒を選んで欲しいんだよ。」

 

部屋にあるテーブルに着くように促すと、フランは元気いっぱいの様子で椅子に飛び乗った。そんなフランに必死に話しかけているレミリアも座ったのを確認してから、私もゆっくりと席に着く。いつまで姉妹漫才をやってるんだよ。

 

「レミィ、いいから書類を出してくれたまえ。フランも無視はいけないね。ゲームの対戦相手には敬意を払うべきだよ?」

 

「んぅ……わかったよ。ほら、早くショルイを出しな。」

 

「なんか納得いかないわね。……まあいいわ、この二人が今回のキングよ。どっちがいい? フランに先に選ばせてあげる。何故なら私は優しい姉だからね!」

 

レミリアがダンブルドアとグリンデルバルドの履歴書もどきを机に置くと、それを見たフランはうんうん唸りながら比較し始めた。美鈴から紅茶を受け取りつつそれを眺めていると……おっと、どうやら箱入り娘どのは自分の使う駒を決めたようだ。

 

「こっちにする! 名前も、見た目も、こっちの方が強そうだもん!」

 

ふむ、グリンデルバルドか。となれば、先ずは現在の居場所を特定する必要がありそうだ。中々苦労しそうだな。指名手配されてるわけだし、簡単に見つかるような場所には居ないだろう。

 

「ってことは、私と美鈴の駒はダンブルドアね。そうと決まれば……えーっと、どうしようかしら?」

 

「始める前にルールを決めるべきだろうね。例えば、私が直接ダンブルドアを殺しに行けば一瞬でゲームが終わっちゃうだろう? それはさすがに詰まらないよ。」

 

苦笑しながら提案してみれば、スカーレット姉妹は二人揃って悩み出す。顎に手を当ててるところなんかそっくりだぞ。何だかんだいってもやっぱり姉妹だなと感心していると、レミリアがルールの基盤となる条件を提示してきた。

 

「そうね……大前提として、相手のキングに対する直接の妨害は禁止にしましょう。私たちは脚本家であって、演者ではないわ。そこさえ理解しておけば無様な劇にはならないはずよ。」

 

「だったら魅了もキンシね! 全部思い通りなんてつまんないもん!」

 

「つまり、あくまでも駒を誘導するに留めるわけだ。……それにしたって、直接ヒントをくれてやるくらいは許されるだろう? でなきゃ脚本家どころか観客に成り下がっちゃうぞ。」

 

三人で騒がしく話し合いながら、ゲームの詳細を詰めていく。武器や情報の供与は可、ただし強力すぎるものは不可。直接敵勢力を殺害するのは禁止、ただし木っ端だったら何人かオッケー。正直穴だらけのルールなわけだが……まあ、身内で遊ぶだけなら問題あるまい。何か不都合な点が出てきたらその都度調整すればいいだけだ。そんな感じで話を進めていると、やおらフランから根本的な部分に関する疑問が放たれた。

 

「ねーねー、そもそもさ、この二人ってどうやって戦わせるの?」

 

フランの純粋な問いを聞いて、一瞬思考が止まる。思わずレミリアの方を見てみれば、向こうも私を見つめた状態で思考停止しているようだ。うーむ、すっかり忘れていたな。その問題があったか。

 

「あー、そうだな……どうする? レミィ。そこだけ頭を弄ってみようか?」

 

「それは美しくないわ。適当に誘導して接触させたら、いきなり犬猿の仲になったりは……しないわよね、やっぱり。」

 

まあうん、その可能性はかなり低いだろう。……これは悩ましいな。適当に憎しみを植え付けるのだって勿論可能だが、頭がパーになってしまう可能性もあるし、レミリアが言ったように美しくない。どうせ戦わせるならもっとドラマチックな理由を切っ掛けにすべきだ。

 

「むうぅ……オマエはなんか思いつかないの? 美鈴。」

 

「私ですか? そんないきなり言われても……じゃあじゃあ、家族を殺させるってのはどうでしょう? ありきたりですけど、古来からの伝統ですよ?」

 

フランからの無茶振りを受けた美鈴の答えを聞いて、腕を組んで思考を回す。ふむ、『家族を殺させる』か。……仮にやるとすれば、ダンブルドアの家族になるな。グリンデルバルドの方はもう遠い親戚しかいないようだし、顔も知らんような親戚を殺されたところで仇を討とうとするタイプじゃないだろう。対するダンブルドアは母、弟、妹が存命のはずだ。

 

レミリアもそこまで思い至ったようで、一つ頷いてから提案を寄越してくる。

 

「悪くないわね。妹は可哀想だから、グリンデルバルドにダンブルドアの弟か母親を殺させましょう。ヤツが卒業旅行とやらに行ってる間にやればいいわ。」

 

そうなると、ダンブルドアの家がある……ゴドリックの谷だったか? そこまでグリンデルバルドを誘導する必要があるな。

 

「だが、グリンデルバルドはどうやって誘導する? ダームストラングでの態度を見るに、探し当ててゴドリックの谷に行けと言ったところで素直に聞きはしないと思うよ。」

 

「だったらあれはどうですか? 前にほら、グリンデルバルドに会った時になんか……杖? の在り処を知っているのかとか聞かれたじゃないですか。」

 

ああ、ニワトコの杖か。あの後軽く調べたところによれば、死の秘宝とやらの一つで『最強の杖』と呼ばれている代物らしい。魔法界のおとぎ話に登場する杖みたいだが、パチュリーは本物が何処かにあると睨んでいるようだった。グリンデルバルドもそのクチなのだろう。

 

「なるほど、それでいこうか。ゴドリックの谷にニワトコの杖があると言えばいい。パチュリーによればあの谷には色んな逸話が残っているらしいから、説得力は一応あるだろうしね。」

 

「決まりね。それじゃ、ゲームを始める前に二人を因縁付けちゃいましょう。私はダンブルドアの家族のことを探るとして、リーゼと美鈴はグリンデルバルドを探し出して頂戴。フランは……どうやってグリンデルバルドに殺させるかを考えておいてくれる?」

 

「ん、わかった。」

 

レミリアがそれぞれの動きを指示するのに、フランがぶっきらぼうに答える。レミリアの言う通りにするのは癪だが、役割を貰えるのは嬉しいらしい。ちょっと可愛い反応だな。

 

しかし……うーん、今度は人探しか。ダームストラングを探した時ほど面倒なことにならなきゃいいんだが。チラリと美鈴の方を見てみれば、彼女もうんざりした表情を浮かべている。探しに行く道中で美味いものでも奢ってやるとするか。

 

再び始まった面倒な『捜索作業』のことを思って、アンネリーゼ・バートリは疲れたような気分でぬるくなった紅茶に口を付けるのだった。

 

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