漸くなのは編を最後まで書き上げられそうなので、投稿の決心がつき更新しました。
あと数話程度ですが、GOD編をよろしくお願いします。
ヴィータの案内でなのは・フェイト・シュテルはハジメの元へと向かっていた。
なのは達が張った封時結界を抜けると、外側には更に広大な封時結界が張られていた。
「今この町と周辺の街一帯を結界が張ってある。
さっきの魔力体みたいな魔力のある奴が現れたら、すぐに結界の中に引き込むようになってんだ」
「そんなに広い結界を?」
なのは達も個人で結界を張れるが、複数の街を覆うほどの結界は個人では不可能だ。
その事にフェイトは疑問に思った。
「この結界はハジメの作った魔導艦が魔力炉の魔力で維持してるんだ。
そいつが街の中心にある。
ほら、あそこだ」
海鳴の都市中心部の上空に、小型の船とそれに並んで魔力を発する大きな船が二隻浮かんでいた。
船の近くにはヴィータと同じようにFAを纏った人影が二つ浮かんでいた。
ヴィータが戻ってきたことに気付き近寄ってくる。
「戻ったか」
「ああ、こっちは何もなかったか、ザフィーラ?」
黒い装甲のFAを纏ったザフィーラがヴィータを出迎えた。
ザフィーラのFAの名前は【エアロオー】。
ハジメがロボットアニメのビッグオーをモデルにして、ザフィーラ用のFAとして形にした。
脚部と副碗も太く重厚な装甲をしており、頭部には赤い水晶のようなヘルムが装着されている。
主武装の大きな副碗は、ストライクパイルによって圧縮空気を打ち出すサドンインパクトと内蔵された機関銃が主な攻撃手段だが、守護騎士専用のそれぞれの機体には秘密道具の力を特殊機能として内蔵された。
エアロオーにはその名が意味する通り、空気に関する秘密道具を取り入れている。
撃ち出す圧縮空気は、【空気砲】の機能を兼ねる事で宇宙船を落とせる威力を持ちながら人に当たっても吹き飛ばすだけになる非殺傷的な機能を持ち、機関銃は実弾だけでなく【空気ピストル】によるの空気の弾丸を撃ち出すことが出来るようになっている。
他にも水中でも撃ち出せる【水圧砲】に、空気を固めて自在に物体化出来る【空気ブロックせいぞう機】と【空気手ぶくろ】、空気の弾を強力な光線に変更出来る【超強力波動化アダプター】など、空気に関連する秘密道具の機能を盛り込まれた。
「空を飛ぶ魔法生物の魔力体が何体か飛んできた位だ。
あとは魔導師の姿をした魔力体だ」
「アタシら守護騎士の誰かか?」
「いや、見覚えのない魔導師だった」
「魔導師の魔力体が出たんですか?」
「アタシやそいつみたいな高町の偽物がいるんだ。
他にも色々いておかしくねえだろ」
気になって訪ねたなのはに、ヴィータが不思議ではないと答える。
「どうやら魔力体は存在が不安定なのか、ある程度ダメージを与えれば容易に形が崩れてしまうようでござる。
この付近にどんどん姿を現しているようでござるが、拙者らの力であれば敗れる事は無いでござろう」
「ござる?」
「わっ、すごい鎧。 もしかしてロボットですか?」
全身金属装甲の人型にFAを装備したもう一人の姿に、なのははロボットではないかと思う。
「ご明察の通りロボットでござるよ。 お主らの事は知っておったでござるが顔を合わせるのは初めてでござるな。
拙者、主君であるハジメの護衛を務めるドラ丸でござる」
「本当にロボットなの! ヴィータちゃん!?」
「そうらしいぞ。 アタシはあんまりそうとは思えねえけどな」
「なのは、私ござるって言う人初めて会った」
「ロボットだよ、フェイトちゃん!」
ロボットだと聞いて興奮して喜ぶなのはに、そういった人間は初めてでドラ丸も少し戸惑いながらうれしくなる。
フェイトも日本のドラマでしか聞いたことの無い語尾に興味を示していた。
ドラ丸もまたハジメに改良され、従来の二頭身ではFAを装備するのにバランスが悪いため、全身装甲の七頭身のヒューマノイド型に変身出来るようになった。
パーソナルカラーの青をそのままにブルーメタリックな装甲にして、胴体を侍の袴姿を思わせる形状に、顔はフルフェイスのヘルメットの様にツルンとしており、後頭部からは髷をイメージする紐飾りを垂れ流している。
ついでに人前に出る時の為に、完全な人間の姿をした形態も用意されている。
FAもドラ丸の戦い方である刀を使った近接戦に特化した物になっており、小宇宙戦争で使った専用MSアストレイレッドドラゴンの改造機であったブルードラゴンをモデルに、副腕がカレトヴルッフを融合させた形状になっている。
ひみつ道具の機能ももちろんあるが、ドラ丸自身が元々秘密道具の機能を多数搭載しているので、FAは本来主目的の人サイズによる高速機動戦闘の為の物になっている。
「普段の姿を見てないからそう言えんだよ。
無茶苦茶カッコ良くなってるじゃねえか」
「そういうヴィータ殿も殿に姿を変えてもらったではござらんか」
「姿まで変えてもらったのは我等の中でお前だけだ」
「うっせえ、アタシだけ小さいままは嫌だったんだよ」
この数か月の間にハジメの部下達は何かしらの強化が施されていた。
「拙者らはこのまま船の守りを続けるでござる」
「主が待っている。 ヴィータは案内を任せる」
「あいよ」
ドラ丸とザフィーラはそのまま外に残り、ヴィータの先導で船の中へ向かう。
「ヴィータちゃん、あっちのおっきい船の方じゃないの?」
「あっちの魔導艦は魔法を扱う為に作られた、小さい方の護衛艦みたいなもんらしい。
こっちの小さい方がハジメの専用の船なんだと」
小さい方の船が時空船ヴィディンテュアムで、秘密道具の機能も多数盛り込まれている事から見た目では測り切れないほどの性能を秘めている。
ミッド世界の技術を取り込んで作られた大きい方の魔導艦だが、船に乗った状態で魔法技術を使いたい時にヴィディンテュアムの四次元空間から呼び出される事になる。
もし艦隊戦闘が起こった時でも、ヴィディンテュアム一隻あるだけで魔導艦以外にも映画の事件で作った兵器軍がいつでも展開できるというわけだ。
活躍の機会が今のところないので、ヴィータも四次元空間に収納された艦隊の存在までは知らない。
「あっちの魔導艦には今はシャマルが一人で動かしてる。
結界の展開や周囲の調査の魔法なんかを魔導艦を使ってやってんだ」
「シャマルさん一人で? 大変そう」
『それがそうでもないのよ』
「シャマルさん」
「聞いてたのかよ」
通信モニターが開いてシャマルの姿が現れる。
『この船はいわば巨大なインテリジェンスデバイスなの。
だから魔法の制御は殆ど肩代わりしてくれるし、魔力炉があるから魔導師にもほとんど魔力の負担がかかってないわ。
サーチャーで探索して集めた情報もコンピューターが解り易く処理してくれるから、私は簡単に指示を出すだけでこの船を運用することが出来ているの。
お陰で話し声の中に私の名前が聞こえたのがすぐに分かったわ』
「そんなら何か騒動に関係する新しい情報はねえのか?」
結界内の事が殆ど分かるというならと、ヴィータはシャマルを試すように言う。
『既にいくつか手掛かりを見つけてハジメ君に報告してるわ。
そこのシュテルちゃんみたいに事件に関係ありそうな人たちがいて、エルちゃん達が連れて来ているところよ』
「こいつ以外にもいたって訳か。 人たちって事は一人じゃねえのか」
「シュテルちゃんのお友達かな?」
「私は生まれたばかりのようなので友達などいないでしょう。
ですが私と同じと聞くと、何かを思い出しそうな気がします」
「その人たちに会えば何か解りそう?」
「…恐らくは」
確信は持てないが、自身の正体を知るに手掛かりにシュテルは期待していた。
『こっちに着くまでももう少しかかるみたいだから、先に船の中に入って。
ハジメ君も中で待ってるみたいだから』
「んじゃ、いくぞ、お前ら」
ヴィータに続いてヴィディンテュアムの中に入っていく三人。
内部は空間拡張をされ広くなっている部屋もあるが、通路は広くなりすぎないように簡素ですぐに艦橋にたどり着いた。
「ハジメ、連れてきたぞ」
「ありがとうヴィータ。 それとようこそ、僕の時空船ヴィディンテュアムへ」
そこでは船の操作を任されているレーナと、船長席に座ったハジメがいた。
「お邪魔します」
「この間はありがとうございました」
なのはが礼儀正しくお辞儀をし、フェイトは先日の夢幻三剣士の事でお礼をした。
「ん? ああ、夢幻三剣士のゲームの事かな?
あれはアリシアがゲームをやってみたいと言ったから君を誘っただけだよ。
確かに夢見る機は僕の物だけど、遊んだだけなんだから気にしなくていい」
「はい」
「フェイトちゃん、何のお話?」
「え、えっと…」
なのはに問われたフェイトは、言い淀んでハジメの様子を窺う。
「無闇矢鱈に話を広めないなら、友達になら事情を話しても構わないよ」
「わかりました。 なのは、後で話すから今は事件の事を聞こう」
「うん、じゃあ後でね。
あの、ハジメさんは街で何が起こっているのか知ってるんですか?」
なのはがフェイトの話を一旦切り上げ、今海鳴で起こっていることについて尋ねた。
「僕もまだ確証があるわけじゃないんだけど、闇の書の事件と関連があるんじゃないかって思ってる。
町で現れてる魔力体からは、事件の時に書から切り離された防衛プログラムと酷似した魔力が検出されてる」
「闇…」
シュテルが闇と言う言葉に反応して小さく呟く。
「じゃあ、あの事件はまだ終わっていなかったって事ですか?
あっ、闇の書が関わってるって事ははやてちゃん達は!?」
嘗て闇の書だった夜天の書を持つはやてに何かあったのではないかと、なのはが気付く。
「彼女たちの所在も確認したけど、いつも通りアースラの方で過ごしてるみたいだよ。
ただこの町周辺に巨大な結界を張ったから、あっちではちょっと騒ぎになってるみたいだけど」
「よかった。 アースラに連絡を取ってくれたんですか?」
「いや、こっそり様子見をね」
「え”…」
勝手に見たというハジメに、なのははそれは不味いのではと困惑する。
「いいのいいの、 管理局みたいな治安維持組織はそういう事に自ら気付かないといけないんだから。
気づかないってのは向こうの落ち度だよ」
「そ、それはちょっと…」
「あの、あまりクロノやリンディさんに迷惑は…」
フェイトも気拙げにハジメを諫めようとする。
ハジメも二人の様子にこういう悪戯話は向かないのだと気づき、話題を戻す事にする。
「ま、まあ冗談はこれくらいにしておこう。 現状はやてさんは何事もないのは保証する。
だけど町では際限なく魔力体の存在が現れ続けてる。 うちの子たちが倒して回ってるけどキリがない。
原因の大本を探しているのが僕達の現状だ」
「その手掛かりが…」
「私と言う訳ですか」
話が進み、自身に関わる事だとシュテルが前に進み出る。
「なのはちゃんの姿をしたしっかりした自意識のある魔力体。 他の魔力体と違って何かあるのは確かだろう。
これを持ってもらえるかな」
ハジメは球体の機械をシュテルに差し出す。
「これは?」
「君の体を調べる事の出来る検査装置のセンサーだ。
持っているだけで、後はこちらで調べることが出来る。
体を調べられても構わないなら、調査に協力してほしい」
「…いいでしょう。 ただし調査の結果は私にも教えてください」
「もちろんだ。 解析にはそんなに時間は掛からない筈だから、なのはちゃんとフェイトちゃんは少し待っていてくれ。
他に関わりがありそうな人達ももうすぐうちの子たちが連れて来てくるはずだから、それから解析結果を話そう」
シュテルの検査は直ぐに終わり、解析に時空船のコンピューターと魔導艦のシャマルの科学と魔導の両面で行ない、そんなに掛からない内に結果が出ると見られた。
解析の結果が出るまでに、ハジメの部下のアイナが一人を連れて戻ってきた。
「お! おお!!」
突然聞こえた驚きを表す声に声の主を見ると、なのは達もまた驚く。
「今度は私に似てる?」
「髪が青いけどフェイトちゃんにそっくり!」
アイナが戦況に連れて入ってきたフェイト似の青髪の少女は、声を挙げながらなのは達に近づいてくる。
「おおおおおっ!! 解る、ボクには解るぞ!」
実に嬉しそうに少女は相手の手を両手で握った。
「シュテルン、シュテルンだろ! ボクには一目でわかったぞ!
ボクだ、レヴィだ!」
「レヴィですか?」
「うん! これまですっかり忘れてたけど、シュテルンを見ていろいろ思い出してきたぞ。
ボクには仲間がいたんだ!」
ぶんぶんと両手を掴んで振り回すが、相手は困惑するばかり。
「どうしたんだ、シュテルン? ボクの事がわからないのか?」
「私もレヴィの事を見ていろいろ思い出してきました。
ですが…」
「私、なのはです…」
レヴィが両手を掴んだ相手はなのはだった。
「………あれ?」
「私はこちらです、レヴィ」
レヴィはシュテルとなのはを数度見比べて考え込むと…
「おお、こっちがシュテルンだったのか! そっくりだからわからなかったぞ」
「そっくりなのは解りますが、あなたは何をもって今の姿の私をシュテルと判断したのですか?」
「んー…勘?」
「はぁ…」
シュテルは額を押さえてため息を漏らす。
「シュテルちゃん、この子って…」
「ええ、なのは。 私と同じ存在です。
レヴィ。 いい加減にその手を放してあげなさい」
「おお! すまなかった、シュテルンのそっくりさん!」
「あはは…」
シュテルがなのはにそっくりなのである。
「私も今会って思い出しましたが、彼女はレヴィ。
私と同じマテリアルで『力』を司る存在です」
「そう、『力』のマテリアル、
カッコいいだろ! 強いんだぞー!」
レヴィは高らかに自分の名を名乗り上げた。
「す、すっごく元気な子だね」
「私とは全然違うね」
「無駄に元気が良すぎてあっちこっち興味本意で動くもんだから、連れて来るのに苦労したよ」
「お疲れさま、アイナ」
連れて来るのに苦労した様子のアイナをハジメは労う。
「シュテルちゃん、その子と接触したことで何か思い出したようだけど大丈夫?」
「ええ、お気遣いなく。 確かに多々思い出したことはありますが、まだ何か引っかかりを感じています。
おそらくまだ思い出せていない事があるのでしょう。
ですが、私達がどういう存在なのかは思い出せました」
「是非、聞かせてほしい…と言いたいところだが、次のお客さんがついたみたいだ」
艦橋の扉が開いて、エルの先導で四人の人間が案内されて入ってくる。
「ただ今戻りました、マスター」
「お疲れ、エル」
一緒に入ってきた四人の中の一人が環境の様子を確認すると驚きの声が上がる。
「ええぇ! なのはママとフェイトママが二人いる!?」
「「ママ!?」」
自分たちの名でママと呼ばれた二人も驚きの声を上げ、事情を察してしまったハジメが頭を抱えた。
現れた四人はヴィヴィオ、アインハルト、トーマ、リリィといい、話された情報から未来から来た存在だと分かった。
二人をママと呼んだヴィヴィオは大人になったなのは達の養子だと答え、なのは達は非常に困惑している。
「わ、私達がママって…。 どうしようフェイトちゃん!?」
「わ、私もどうすればいいのか… そうだ、母さんに相談すれば!」
ここに居ないプレシアにヴィヴィオを紹介してお祖母ちゃんと呼ばせてみるかと悪戯心が沸くハジメだが、そんなことを考えている場合じゃないと気を引き締め直す。
他の三人はよく分からないが、ヴィヴィオだけは原作の知識としてハジメの記憶にしっかり残っていた。
第三期の物語の重要な存在であり、後になのは達の養子になるとちゃんと覚えていた。
そのヴィヴィオが未来から現代に来たのだ。 魔力体の発生よりもそっちの方がハジメにとって大事件だ。
時間移動の危険さを良く知るハジメには、未来から来る存在など厄介極まりない相手なのだ。
幸い四人は敵ではない様だが、敵として未来から現れる刺客など、現代の自身以上に自身を知るという厄介な相手となるのだ。
少なくともハジメは時間移動をよく理解しているが故に、未来からの敵など絶対に会いたくはない。
何かが起こったのを察知して海鳴に到着して直ぐ、ハジメの物とは違う時間移動による時空震を検知した。
時間移動を行なうような存在が現れたのではとハジメは直ぐに調査を始めたのだが、未来から来たヴィヴィオ達の存在によって、少なくともこの一件には時間移動も関わっていると確信した。
思った以上に厄介な事になるかもしれないと、ハジメはこれまでにない危機感を覚える。
昆虫人間の時とは違って完全に原因不明なのだから。
ヴィヴィオ達がここに居るのが時間移動が出来るロストロギアによる事故か、或いは何者かによる意図した策略家は知らないが、とりあえずハジメは時間移動についての説明と忠告をしておく事にした。
「ともかく君らは何らかの理由でこの時代に来た、なのはちゃん達と関わりのある未来人という事は解った。
君らが意図してここに来たわけじゃないのはいいが、経緯はどうあれ過去に来たことで何かしらの歴史改変が起こる可能性がある。
厄介な事になりたくなければ、未来の情報は極力口にしないように」
「厄介な事ですか?」
四人の中で唯一の男のトーマがハジメの言ったことを気に掛ける。
「例えば君らの知る大人のなのはちゃん達は、過去に君達と会ったと言っていたことはあるか?」
「いえ、聞いたことありません」
他の三人にも様子を窺うが顔を振って否定する。
「それは会った事を隠しているのかもしれないし、実際には会っていないのかもしれない。
もし会っていないのだとすればその大人のなのはちゃん達は、ここに居る子供のなのはちゃん達とは既に別人になってるという事になる」
「それって、どういう事ですか!?」
何か拙い事なのではないかと、慌てた様子でヴィヴィオがハジメに尋ねる。
「僅かではあるが既に歴史が変わってしまったという事だ。
今は小さなボタンの掛け違いでも、時間が流れるにつれて大きく歪んでいく。
そうなると君達となのはちゃん達、双方の出会いその物が無かった事になってしまうかもしれない」
「ええぇ!?」
驚きの声を上げたヴィヴィオだけでなく未来から来た三人、そしてなのは達も何か大変な事になっているのかもしれないと顔を強張らせる。
「人の出会いは一期一会という。
その人との出会いは生涯に一回しかないと思えという意味だが、一度出会えば縁が結ばれてまた会うときはあるだろう。
だが出会う切っ掛けが無くなってしまえば縁も結ばれず、そのまま関係を持つことなくお互いに別の生き方をしていた事になってしまうかもしれない。
二人と出会っていなければ君達がどういう人生を送っていたか、想像が出来るかい?」
なのは達はこの世界の物語の主人公であり、それ故に他者の人生に与える影響は大きい。
もし出会わなければというイフは、出会っていた時と非常に大きな違いとなるだろう。
出会わなければという可能性を想像をした彼らは、一部顔を青くして焦りの表情を見せている。
「ど、どうしよう。 なのはママと会ってなかったら私死んじゃってるかも」
「私はヴィヴィオさんと会わなければきっとここにはいません」
「俺もリリィもお世話になったし、あの時の助けが無かったらどうなってたか…」
「うん…」
全員なのは達との関係が違った場合を考えて、あまり良くない結果を想像してしまう。
そんな様子を真剣そうに見定めていたハジメは、ふと表情を緩めて口を開く。
「まあ君達がちゃんとここで無事に存在してるんだ。
何か変化があるかもしれないけど、そんなに悪い事になってはいないと思うよ」
「「「「「「ええぇぇ!?」」」」」」
これまでとは打って変わって、特に深刻そうな様子を見せずに軽口で前言を覆した。
「今、ものすごく大変な事みたいに言ってたじゃないですか!」
「確かに最悪の場合を想定したらね。
だけど時間移動による過去との接触って結構曖昧でね。
よほど歴史を歪めるようなことでなければ、大抵同じような道筋を辿る修正力のようなものがあるんだ。
それに君達の現状すら危ぶまれるような歴史改元が起こっていれば、既に君達の存在に歪みが出始めてる筈だ」
「歪みとは一体?」
文句を言うヴィヴィオにハジメはその根拠を答え、その理由をアインハルトが続いて問うた。
「君達は未来の存在だ。 故に現代の変化によって即座に影響を受ける立場にある。
大きな変化が起きていないという事は、過程はどうあれ元の時代での君達の歴史に大きなズレは出ていないという事だ。
致命的な事を起こさなければ過去に居ても問題は無いのだろう」
「致命的な事と言うと、例えば?」
「例えば君達を生む前の親を直接・間接的に関わらず、死なせてしまったら確実にまずいだろうね。
君達が生まれてこなかった事になって、パッと存在が消えてしまう事になるかもしれない。
会うだけでも結構影響があるはずだ」
再びぞっとするようなことを言われて顔を青くする四人。
「ヴィ、ヴィヴィオさんは大丈夫なのでしょうか?」
「んー、まあ養子だって話だから、誕生に直接関わりは無いし大丈夫じゃないかな。
出会う機会が変わってしまっても、修正力でヴィヴィオちゃんは今の年齢までちゃんと生きている事になるはずだ。
多少人間関係が変わって、可能性として養母になる人が別の人になってるかもしれないけど」
「今のママがいい! なのはママがいいです!
どうにかならないですか!?」
未来に戻ったら別の人が親になっているなどヴィヴィオは当然嫌だった。
「それは未来のなのはちゃん次第かな。 ヴィヴィオちゃんを引き取る当時のなのはちゃんが判断する事だし」
「お願いなのはママ! 私、ママはなのはママとフェイトママがいいの!
色々迷惑を掛けちゃうと思うけど、昔の私をお願い!」
「きゅ、急にそんな事言われても!?」
「どうしたらいいの母さん!? 私が母さんになるの!?」
「ヴィヴィオさん落ち着いて! 今のお二人に言っても仕方ありません」
なのはとフェイトに母親になってくれと言われて非常に困惑し、アインハルトは慌てるヴィヴィオを宥める。
見た目同年代のヴィヴィオに母親になってくれと言われれば、なのはもフェイトもどうすればいいか困ってしまうだろう。
「まあ、未来が変化したかどうかは戻ってみないと分からない。
ここが過去だと認識したうえで、未来の自分に影響が出ないよう考えて行動してくれ」
「そもそも過去に来た原因がわかりませんので、未来に帰れるのかどうか…」
「未来に帰るだけなら、いくつか方法はあるよ」
「本当ですか!」
アインハルトだけでなく他の三人も、帰る方法があると聞いて表情に期待が表れる。
「難しい事じゃないよ。 時間という物は常に未来に向かって進んでいるんだ。
君達が元居た時代になるまで、過去の自分に関わらないようにしているだけでいい」
「…それって単に時間が経つのを待つだけじゃないですか」
「コロナとリオよりずっと年上になっちゃうよ」
「別に自分の寿命が尽きるほど未来じゃないんだから、最悪の場合はそれで元の時代にたどり着けるんだ。
百年千年も昔だったら、帰る手段がなければ目も当てられないよ」
「確かにそうなのですが…」
千年も昔と言われ、アインハルトは自身の中にある祖先の記憶からの過去への想念が思い浮かぶ。
祖先イングヴァルトの無念を過去に戻る事が出来れば果たせるという思いが生まれるが、今はヴィヴィオと共に元の時代に戻る事が優先とそれを振り払う。
「まあそれは本当にどうしようもなかった場合で、第二案はコールドスリープのような手段を探して、元々の時代になるまで眠るって手段かな。
ミッドチルダの技術なら老いずに眠り続ける方法位ならあるんじゃないかな」
「確かにそれなら可能かもしれません」
「それも原因を突き止めてもどうしようもなかった場合。
そもそも突発的な時間漂流なんてよっぽどのことが無ければ起きない。
何らかの原因があるはずだから、それが解れば元の時代に戻る手段もあるかもしれない。
君達がこの時代に来たことと今起こってる事件に関係がないとは思えないから、先ずは事件を解決するしかないね」
「でしたら私も事件の解決に協力させてください」
「私も協力する。 未来が変な事になっちゃう前に早く戻らないと」
「俺達も元の時代に帰らなければいけませんから」
「私達がいなくなって心配してると思うし」
四人とも未来に変えるための手段を探すために事件解決に協力するという。
ハジメは彼らの協力をどうするかはともかく、子供が事件の解決の為に動くという事に、この世界が物語である事を思い出した。
そういう物とはいえ、子供たちが事件の解決に動くことに少し複雑な思いを感じた。
「んー、まあ手が足りないと思ったら君達の協力を受けよう。
今はまだ調査段階だからもう少し待っていてくれ。
それまではこの船で過ごしてもらって構わないから」
「はい、ありがとうございます」
アインハルトが代表してお礼を告げると、他の三人も追従してお礼を言う。
「さて、後はシャマルから新たな報告を待つだけだが…」
『ハジメ君、いいかしら?』
「ああ、今ちょうど説明が終わったとこだよ」
シャマルの姿が通信モニターで現れる。
『リースちゃんがさっき交戦して、事件に関わりのありそうな人を連れてきたのよ。
ただ戦う前から体調が悪かったみたいで、直ぐに動けなくなってリースちゃんが抱えてきたの。
簡易の検査を私も手伝ってやったんだけど、ちょっと…いえ、いろいろ気になる事が出てきたわ。
出来れば連れてきた人をハジメ君に直接確認してもらえないかしら』
「わかった。 今何処にいる?」
リースの連れてきた者に会う為にハジメは席を立った。
ハジメの主人公組の呼称で、はやてが『はやてさん』でなのはとフェイトがちゃん付けなのは、ハジメがはやてに対して夜天の書を半分持ってった負い目からです。
リインフォースの修復の時にもその呼び方で意識して書いてます。
また、自分はViVidとForceをよく見ていないので、ハジメもアインハルトとトーマとリリィは良く知らないという事にしました。
中途半端にゲーム知識があっても面倒なので、BOAもGODもハジメは知らないという事にします。
夜天の書から出てきた書が、何かのフラグだといろいろ警戒していたということで。