感想での指摘で気付きましたが、前話をよく見たら確かにあのまま終わっても切りのいい最終回っぽかったです。
勘違いされた方も何人かいるようです。
こういう時が、もうちょっとだけ続くんじゃ、の使い時ですかね。
原作終了まではいきます
原作展開は巻いていこうと思います。
みっちり原作を流れを書く力が無いので、ご勘弁ください
サスケがナルトとクシナと共に暮らしていることを除けば大きな変化もなく、二人はアカデミーを卒業し原作通りサクラ、カカシと共に第七班として下忍になった。
そして僕は相も変わらず火影代理、もとい三代目補佐として忙しい事務仕事と戦っていた。
今日も久しぶりに帰宅して、身支度を整えてから仕事場へ向かうところだ。
「それじゃあ、仕事に行ってくる」
『あなたも大変ですね。 影分身で仕事を終わらせられないのですか』
「分身に任せられない仕事もあるから、そういうわけにはいかないんだよ」
重要書類は特殊な処理が施され分身などでは扱えないようになっているので、影分身に任せて仕事の効率を上げられないのだ。
仕事に出かける僕を見送るのは、床に座り込んでくつろいだ様子の馬。
この世界の口寄せ動物は大抵喋る事が多いので馬がしゃべってもなにもおかしくないが、この馬は口寄せで呼び出される忍馬と呼ばれるような者ではない。
この馬の名は
つまり五尾のチャクラの欠片から作り出した分身みたいなものだ。
本来はイルカと馬が合わさったような姿なのだが、それでは不自然なので変化の術で普通の馬の姿にしている。
動けるようにしたのはいいが野に放つわけにもいかず、当初は戦った間柄なので険悪であったが今では家の留守を任せるようになっている。
周囲には忍馬として通している。
『なかなか帰ってこないから、すっかりここが私の住処になってしまってますよ』
「ご近所さんともうまくやってるみたいじゃないか」
『家の家事まで任せられるとは思いませんでしたよ』
普通に喋れるので、買い出しにも自由に出かけている。
「そこそこ人との生活を満喫してるみたいじゃないか」
『封じられていた時よりは自由に出来ますからね。
まさか私が人里で暮らす日が来るとは、夢にも思っていませんでしたよ』
「そこも不思議なんだよな。 尾獣の力は確かに強いが、大きさだけなら口寄せ動物でも匹敵するのがいる。
人柱力に出来るという点もあるけど、会話能力があるんだから口寄せ動物みたいにうまく友好関係を作れないことはないと思うんだが…」
『そんな事言えるのは私たちと互角に戦える、あなたのようなおかしな人間だけですよ』
穆王は呆れたように言うが、尾獣の中でも一体くらいどこかの忍一族と契約しててもおかしくないと思うんだ。
まあ尾獣という括りで見られているからかもしれないが。
「おかしな人間とは酷いな」
『おかしいでしょう。 尾獣である私を断片とはいえ野放しにしているのですから。
そうだ、出かける前に影分身を一人置いていってください。
私では家の掃除が行き届かないところがあるのですよ』
穆王は人の家での生活に結構順応していた。
少ししてナルト達が関わった波の国の事件を耳にし、その後に里で行なわれる中忍試験の話題が上がった。
お陰で書類仕事が増えたが、処理した書類の中にナルト達の参加証明書も確認できた。
そして中忍試験が開始し、さなか大蛇丸の存在が確認されたと報告が上がった。
「どうします三代目。 大蛇丸は試験を中止にするなと言ったそうですが…」
「受験者の安全を考えれば中止すべきなのだろうが、他里の受験者もいる手前簡単に中止にするわけにもいくまい。
だが奴が試験中に何か事を起こす気なのは間違いないだろう。
その時は儂が大蛇丸を止める」
大蛇丸は三代目の元弟子で、今は罪を犯して里を出た抜け忍。
師匠として大蛇丸に決着をつけねばならないと考えているのだろう。
「今の三代目では返り討ちに合いかねませんよ。
僕か里に戻ってきているらしい自来也様に任せませんか?」
自来也は大蛇丸と同期の三代目の弟子だ。
必ず勝てるとは言わないが、三代目自身が戦うよりは可能性は高い。
「大蛇丸が道を踏み外し里から逃がしてしまったのは儂の失態じゃ
火影として師として儂に決着をつけさせてくれんか」
「………死ぬかもしれませんよ」
「もう年だ、いつでも覚悟は出来ておるよ」
「………」
ミナトが死んだときと同じ覚悟を決めた英雄の気配を感じた。
ここまで言われてはこれ以上説得しづらく、黙って三代目の決めたことを見守るしかなかった。
中忍試験は予選と本戦に分かれ、その間を一か月の準備期間が設けられた。
木の葉出身の忍ならともかく、他里の忍がここで一か月の準備期間は長いと思うんだけどね。
予選の方も覚えている限り原作と大きな違いはなく進行した。
明らかに変化があったのはロック・リー対我愛羅の戦いだ。
結果は原作通りだったが、先生であるガイを僕が鍛えたことで間接的にリーが原作以上の力を発揮して我愛羅を追い込み一尾・守鶴を暴走させることになり、一時期騒然となった。
試合後暴走は収まったが、人柱力としての力を知られたことで我愛羅は各所から警戒されることとなった。
ひと月の準備期間後、何事もなく本戦が始まり順調に試合が消化されていく。
そしてサスケ対我愛羅の試合の最中に試合会場全体に幻術が行使され、砂と音による騒乱が始まった。
里内各所で砂と音隠れの忍びによる襲撃が起こり、口寄せされた大蛇が暴れまわっている。
三代目は大蛇丸との決着に向かい、僕はそれを邪魔しない為に里内で暴れている者達を鎮圧しようと動こうとしたとき、横合いから突如振り下ろされた大鎌を避けた。
「お前らは?」
砂とも音とも思えない風貌の二人が現れた。
黒地に赤い雲が描かれた装束は…
「大蛇丸からの依頼でな。 テメーをジャシン様の下に送ってくれってよ」
「高額の賞金首だ。 取り逃がすなよ飛段」
暁のメンバー。
そうか、大蛇丸が僕に差し向けたのか。
不本意だが今では僕も名の売れた木の葉の忍だからな。
大蛇丸は暁の元メンバーだったらしい。
抜けた後は暁とどのようなつながりが残っているのかは不明だが、依頼を出せるくらいには繋がりが残ってたという事か。
「暁か」
「知ってたか」
「まあな」
実際に原作知識でなくても火影側近として情報を得ているし、イタチからの内偵報告もある。
こいつらは共に不死身と呼ばれるほど死ににくい、不死身コンビと呼ばれる飛段と角都。
「なるほど、大蛇丸の依頼で僕の足止めに差し向けられたのか」
暁の本来の活動は尾獣を集める事だが、現在はその目的のための準備段階。
里に集められた情報では戦争屋として各地で傭兵紛いの事をしているらしい。
「足止めぇ? いいや、ジャシン教の布教だ」
「大蛇丸には足止めでいいと言われたが、貴様の首は高い金になる。
逃す手はないのでな」
「…足止めではないのか。 ならさっさと行かせてもらおう」
侮られるのは別に構わないんだが、簡単に倒せるほど弱いと思われるのも癪に障る。
それに僕はこれでも今少し機嫌が悪い。 三代目の覚悟と約束があるから大蛇丸との決着に手出しできないが、ほぼ間違いなく原作通りになる事から三代目の死を見過ごすことになる。
いくら三代目の望みとはいえ、死を容認するのは気分がいいはずはない。
「ああ、逝かせてやるよ。 ジャシン様の元へなぁ!」
「代金は勝手にもらっていく」
挑みかかってきた飛段と角都に僕は力を開放した。
飛段は不死身であるが故に死んではいないが体はバラバラになり、角都は不死の源である五つの心臓のうち四つを失ったことで倒れていた。
周囲には誰もいなかったのでドラゴンボールの戦闘力を瞬間的に発揮して、一分と経たず戦闘は終わった。
飛段は現身の術で作った刃によってメタルフリーザのように一瞬でバラバラにし、角都はフリーザのデスビームを真似て透視で五つの心臓を見抜いて的確に撃ち抜いた。
「なんじゃこりゃあ! こんなに強いなんて聞いてねえぞ!」
「馬鹿な、俺の心臓を一瞬で見抜いて
飛段は首だけになっての平然としゃべって動いているが、角都は心臓を一気に失ったことで動きを止めている。
その間も僕の指先は角都の最後の心臓を指している。
「じゃあ、さっさと止めを刺して行かせてもらうよ」
――ビッ!――
指先から放たれる光速の気功波の閃光が、角都の最後の心臓を貫く。
これで角都は完全に死んだ。
「ぐうっ………」
「角都!」
「次はお前だ」
飛段の頭部を掴んで持ち上げる。
「ハッ! 悪いが俺には角都と違って弱点はねえ。 心臓を貫かれようと死なねえぜ」
「バラバラの体で身動きが取れずよく言う」
確かに死なない様だが、バラバラにされてしまえば抵抗出来ず死んだも同然だ。
飛段にかかっている不死身の術に興味がないこともないが、再生能力もないようだしゾンビみたいになるだけの不完全な不死だ。
さっさと処理しよう。
「確かにバラバラになっても死なないようだが、火遁なんかで火葬されたらどうするんだ。
まあせっかくだからこの術を試してやろう」
「なんだと、……う…ぐ、ああぁぁぁぁぁ!!
なんだこれはぁ!」
「魂を肉体から引き剝がす術だ。 これなら不死身でも関係ないだろ」
「なぁ!?」
超・占事略決、禁人呪殺。
魂を強制的に引きはがす、屍鬼封尽と似たような術なのは今大蛇丸と戦っているだろう三代目の事を考えていたからか。
原作通りなら、おそらく三代目が屍鬼封尽を使っているはずだからだ。
「や、やめ!」
「不死身なら死んでから自力で復活して見せろ」
そういって飛段の魂を肉体から完全に切り離した。
残ったのは完全に動かなくなった飛段のバラバラ死体だけ。
うん、完全に猟奇殺人事件の現場だな。
大蛇丸の寄こした暁二人は足止めにすらならなかったが、僕は三代目の救援ではなく里内で暴れる敵勢力鎮圧に尽力した。
それにより被害をいくらか減らす事は出来たが、大まかな事は原作と変わらず砂と音の忍を撃退し木の葉が事実上勝利するが、三代目は大蛇丸との一騎打ちで討ち死にした。
葬式は厳かに執り行われたが、三代目が亡くなったことで火影が不在。
結果、以前から五代目にと推薦されていた僕が就任しないかという話が再浮上した。
当然僕はそれを拒否し、巡り巡って綱手様を五代目にしようと自来也がナルトを連れて探しに出かけた。
そして僕は火影側近から火影代理としてデスクワークに励むことになる。
書類と格闘を続けていた最中に、里の近くまで意識して気配を探っていた人物の気を感知した。
任せられる書類仕事を影分身に任せ、僕は里外れに来ているその気の持ち主の元へ向かう。
「………」
「おや、いきなりこんな大物がかかるとは思いませんでしたね」
「久しぶりだな、イタチ」
うちはイタチ。 そして相方の干柿鬼鮫の暁のメンバー。
そろそろ来る頃だと思っていたが、僕がいる事で来ないかもしれないと思っていた。
原作ではサスケを預けた三代目が死んだことが理由だった気がするが、今は名目上僕がサスケの保護者になっている。
「………」
「どうしますイタチさん。 こんなに早く見つかるとは思いませんでしたが、一戦交えますか」
「待て鬼鮫、この人を相手に不用意に戦うのは得策ではない。
久しぶりです、ハジメさん。 我々は少し気になる事があってここまで来ました。
少し前に俺達と同じ外装の者が来ませんでしたか」
「ああ来たぞ。 大蛇丸の依頼とかで僕を襲ってきたが返り討ちにした」
「不死身コンビがやられましたか。 あの二人は殺すのがかなり面倒なはずなんですが…」
「不死身というには口ほどにもなかったな」
「ほう、それは恐ろしいですね」
厄介な二人を倒したと聞いて、干柿鬼鮫は戦意を高ぶらせて背負った武器の柄に手をかける。
「この人と戦うのは俺達の予定にない。 それに他が来た」
「む」
干柿鬼鮫が僕の後ろから来た者たちに気を向けた一瞬、イタチと
「突然執務室を飛び出したと聞いたから、何があったのかと追ってきましたがこれは」
「あの装束は噂の暁か」
「それにあれはうちはイタチね」
はたけカカシ、猿飛アスマ、夕日紅が僕を追って現れた。
「………」
「………引くぞ鬼鮫。 これ以上は分が悪い」
「あなたにそこまで言わせるとは、ますます彼と戦ってみたくなります。
ですが楽しみは取っておくことにしましょう」
「待て、簡単に逃げられると思うな」
引こうとした二人を捕らえようとカカシが一歩踏み出すが、同時にイタチの右目にチャクラが集中するのがわかる。
とっさに僕はカカシの前に出て現身の術の鎧をまとうと、黒い炎が表面に灯った。
イタチの万華鏡写輪眼の瞳術、天照だ。
「ハジメさん!?」
「大丈夫だカカシ。 ちゃんとガードした」
現身の術のチャクラを操作し、燃えている黒い炎の部分を一纏めにする。
黒い炎によって視界を遮られた一瞬で、イタチと干柿鬼鮫は既にいなくなっていた。
「逃げられたようだな」
「すいません、ハジメさん」
「謝るなカカシ。 簡単に捕らえられる奴らじゃない。
大きな被害が出なかっただけマシだ。
(とはいえ、逃げる為にいきなり天照とは無茶してくれるよ、イタチも)」
スパイであると知っている僕はイタチを捕らえるつもりはないが、あえて逃がすには干柿鬼鮫とカカシ、アスマ、紅にバレないようにしないといけない。
それを考えてたところをイタチがアドリブで、天照を目隠しにするという無茶をしてきた。
この黒い炎は延焼し難い様だが、対象が燃え尽きるまで消える事はないという厄介な特性がある。
現身の術のような切り離せるガードをしないと体が燃え尽きるまで焼かれ続ける事になる。
結果として傍から見ればイタチは顔合わせをしてさっさとこの場を去っていっただけだが、本命は僕と視線を合わせたことに意味がある。
イタチの万華鏡写輪眼のもう一つの瞳術は【月読】という、相手を自身の支配する精神世界に引きずり込む幻術だ。
その術をイタチは掛け、僕はあえて掛かりに行くことで誰にも邪魔されない情報交換の場にしたのだ。
『改めて、久しぶりだなイタチ』
『お久しぶりですハジメさん』
幻術の世界では穏やかな会話からお互いの情報交換が始まった。
暁の情報や先の里での被害と現状などあらかた必要な情報を交換し終えてから、サスケの事を聞いてみた。
やはり三代目の死が、サスケにどのような影響が出るか確認しにきたようだった。
『サスケは今、クシナのところで一緒に暮らしてるよ』
『あの人のところですか。 それなら安心です』
『すまないな、僕では親代わりなど到底無理だからな』
『それなら俺は当の昔に兄失格ですよ』
『………すまん』
『いえ、こちらこそ。 冗句のつもりだったんですが…』
サスケとイタチの家庭事情を、冗句にするのはブラック過ぎやしないか。
そもそもイタチが冗句を言うようなキャラではないと思うのだが…
『ンンッ。 それでイタチ、サスケの事はどうするんだ。
このままでいいのか?』
『…俺は木の葉の忍として最後までやるべきことを成すまでです。
ですがサスケには俺なりに残せるものを残してやりたいと思っています』
黄昏た雰囲気を見せながらサスケを思う様は、ミナトや先の三代目を思い浮かばせる。
まったくどいつもこいつも死を受け入れて進もうとする奴らは、どうしてこうも物悲しくもカッコいいのだろうか。
『イタチ、お前死にそうな顔をしているぞ』
『まだ死にませんよ。 やるべきことを終わらせていませんから』
そしてイタチは立ち去るように消えていき、僕は幻術の世界から解放されて現実世界のやり取りに繋がった。
透視での確認が出来なかったが、既に病を患っているのかもしれない。
僕なら治せるかもしれないが、イタチはおそらく治療を受け入れないだろう。
逃亡したイタチと鬼鮫は、その後ナルトと自来也に接敵。
その際イタチの事を知ったサスケが現れて、攻撃を仕掛けるが月読により昏倒。
原作では綱手様に治療されて目覚めたが、ここでは僕が治療を施した。(リーも既に治療済み)
無事に目覚めたはいいが、イタチに返り討ちに合ったサスケは相当思いつめた表情で塞ぎ込んでいた。
里抜けすると知っているが、このサスケを見ていると相当危ういというのがよく分かった。
少しして自来也とナルトが綱手様を連れて帰還。
綱手様が正式に五代目に就任して、ようやく僕も火影代理という重い肩書きを下ろせた。
「全くこの私が火影とはな。
ハジメ、お前がしっかり代理を務めていたのだから、そのまま火影になればいいではないか」
「昔から言っているでしょう。 僕に火影は務まらないと」
「だが里では外にいた私より、お前を火影にという声が多いではないか。
突然帰ってきて火影についた私の肩身が狭いんだが」
「そこは諦めてもらうしか。 里の者に納得してもらうために、僕も今後も火影側近を続けますので」
「それは助かるが、そこまで火影になるのを頑なに拒む理由は何だ。
私も一度は断った身だが、ここまで要望の声があれば簡単には断りきれるものではない」
僕が火影になるのを拒む理由が気になるのか、綱手様は真剣な表情で尋ねてくる。
火影になろうとしないのは原作を意識しての事だが、今の僕には他にも理由があった。
「綱手様、僕はこの里が好きですよ」
「ん、そうか。 ならば火影になって里を守ってもいいのではないか」
「僕にとって火影は英雄のような、憧れの存在なんですよ。
そんな役割に僕がなるなんて烏滸がましい」
「お前も里の者達からは、英雄と呼ばれてるではないか」
「僕なんか多少力を持っているだけの紛い物ですよ。
本当の英雄は、もっと尊い眩しい物を持っているんです」
思い出すのはミナト、三代目、イタチの覚悟を決めて、大事なものを捨ててでも何かを成そうとする姿。
僕なんかには絶対真似出来ない本物の英雄の生き様だ。
「ミナトも三代目も、僕が決して持つ事の出来ない憧れられるものを持っていました。
彼らだからこそ火影を務めたのだと僕は思っています。
そんな彼らに憧れるからこそ、そんな風に成れない僕が同じ様に火影の席に着くのが嫌なんです」
憧れるからこそ、相応しくない自分が同じ席に着くことに耐えられない。
英雄の姿を見る観客席が僕にはふさわしい。
「憧れるが故か。 まあ、わからんでもない。
だが私も腐って里の外をウロウロしていた身だぞ。
その私がお前の憧れの火影の席についてよかったのか」
「綱手様は三代目の弟子じゃないですか。
こうしてちゃんと里に戻ってきて火影の席に着いたんですから、三代目の言う火の意志ってのをしっかり受け継いでいるんですよ」
「そうだといいがな。
お前にもちゃんと火の意志があるんじゃないか」
「さあ、どうでしょうね」
里の事は長い間暮らしてきて好きだと言い切れる。
英雄でなくとも火の意志というものが僕にも宿ってるといいのだけど。
綱手様が五代目に就任し諸所の手続きに奔走していた時に、サスケが音の四人衆と接触した。
こうなると分かってサスケに影分身をつけていたのだが、里に先の騒動で暴れた音隠れの忍が容易に侵入出来たのは不可解だ。
のちの調べで大蛇丸とダンゾウの密約で、サスケを引き渡すために誘い入れたと分かり腸が煮えくり返った。
うちは一族の時も僕はいろいろと動き回ったのだが、ダンゾウに手を回されイタチの凶行を食い止めることが出来なかった。
何かと暗躍するダンゾウとサスケやイタチの関係で動き回っていた僕は、お互いに邪魔となる目の上のたん瘤になっている。
里の闇として公に出来ないことを処理してきた功績は認めるが、近年は手段を選ばな過ぎる悪辣な手法ばかり取っていて、すべてが公になればその恨みだけで里が潰されるんじゃないかと思うほどだ。
里の為という免罪符でも誤魔化しきれないレベルで、いずれ時が来たら必ずこの手でこれまでの借りを返してやろうと思っていた。
ダンゾウの思惑はさておき、サスケは音の四人衆の誘いで里抜けを決意したようだ。
説得しようとしたサクラを振り切って、音の四人衆を通じて大蛇丸の元へ向かおうとしている。
そんなサスケの前に僕は姿を見せた。
「ッ!? あんたか!」
「………」
里抜けしようとしているサスケは苦無を構えて警戒するが、それを止める気のない僕はどう話を切り出すかと頭をかきながら戸惑っていた。
里の忍として、里抜けを見逃す事に肯定的と言うのは如何なものかと思ったからだ。
まあイタチの時点でどうこう言っても仕方ない訳だが。
「…少しお前と話をしに来た。
サスケ、お前は自分が何をしようとしているのかわかっているんだな」
「…ああ、俺は大蛇丸のところへ行く」
「よく考えて自分で決めた事か?」
「そうだ」
「本当にそうだというのなら、僕はお前を止めん」
「なに?」
てっきり力ずくで止められると思っていたのだろう。
怪訝な顔をして僕の言葉に戸惑いを見せている。
「僕は誰かの生き方に指図が出来るほど立派な人間じゃない。
いち忍としてはお前を止めなきゃいけないが、本当に覚悟を決めた決断なら僕には止められない」
「俺を見逃すってのか」
「それを口にするな。 自分が間違ったことをやってるってわかってるんだ」
「俺が言うのなんだが、あんた何考えてるんだ」
「言うな、こっちの都合だ!」
腹立たしいことに僕を含めて、どいつもこいつも自分の都合のいい思惑でサスケを動かしている。
イタチは復讐の誘導、大蛇丸はサスケの肉体、ダンゾウはサスケの排除、そして僕はイタチへの義理と原作の都合。
様々な思惑でサスケが振り回されていて、それを教えてやれない自分が腹立たしかった。
「……サスケ、その道が間違ってるという自覚はあるな」
「ああ、イタチへ近づけるならなんだってやってやる」
「間違った道を進んだからと言って、目標に早くたどり着けるとは限らない。
正しい道でも正しい結果を得られるとは限らない」
「何が言いたい?」
「どの道を選んだところで、望みが叶うとは限らないという事だ。
復讐を望み続ける限り、お前に幸福は訪れないかもしれない」
「幸福など望んでいない! 俺の望みは一族を滅ぼしたイタチに復讐を果たすことだ!!」
真実を知る手前、イタチの思惑とは言え兄を憎み続けるサスケの姿が痛ましかった。
「その道を諦めるのも一つの道だ」
「諦められるものか」
「ナルトやクシナとの生活はどうだった」
「!………」
「すべてを忘れて、一緒に暮らし続けるのはお前の幸福じゃないのか?」
「…あいつらは俺の本当の家族じゃない。
イタチに復讐を果たすためなら切り捨てるだけだ」
苦々しく切り捨てると口にするサスケの言葉に多くに未練を感じる。
この辺りは原作と違い、クシナがサスケに接したことで生まれた功績だ。
「その割には割り切れてない様子だな」
「そんなことはない」
「じゃあクシナをここに連れてこようか?」
「馬鹿やめろ!」
「ぶふっ」
クシナを連れてくると言っただけで、大慌てするサスケに吹き出してしまう。
「テメェ、ふざけてるのか!!」
「すまんすまん。 だがすっかりクシナに頭が上がらないようだな。
お前はそんな生活が好きになれなかったか?」
「………いや、悪くはなかった。
だが俺はうちは一族として、イタチに決着をつけなきゃなんねえんだ」
「いいんじゃないか。 復讐を果たすだのなんだのと言うより、ずっといい顔をしている」
「ふん」
先ほどより緩んだ雰囲気で、不貞腐れたようにサスケは顔を背けた。
「サスケ、お前がちゃんと決めた事ならどの道を選ぼうが僕は止めない。
ただ、常に考え続ける事を忘れるな。
正しい道か間違ってる道かだけじゃない。
これまで本当に正しかったのか間違っていたのか、考え続けて自分で決めるんだ」
「自分で決める…」
「そうだ、自分で決めたという事実が重要だ。
自分で決めた道なら、誰にも言い訳は出来ない。
正しいと思ったら進めばいいし、間違えたと思ったら引き返せばいい。
もちろん引き返せないことも多いだろうが、立ち止まり別の道を行くという選択肢もあるんだと、頭の片隅にでも入れておけ」
「里抜けして簡単に戻れるわけないだろう」
「恥と汚名を晒すだけだ。 本当に戻りたいと思えばそれくらい耐えられるだろう。
なんなら今から戻って、サクラにやっぱ行くのやめると謝ってもいいんだぞ」
「謝れるか! っていうか何時から見ていやがった!」
「音隠れの忍とお前が接触した時からだな」
「止めろよ! お前、木の葉の忍だろ!」
里抜けを決めた奴に言われるとは思わなかった。
「まあいろいろあって僕は止めないが、ナルト達は違うだろう。
お前が里抜けしたことが発覚すれば、すぐに追いかけてくる筈だ。
僕も止めはしないが報告しないわけにはいかない」
「あいつが俺を止めようというなら、倒してでも進むだけだ」
「今のナルトじゃ簡単にはいかないぞ」
「それは俺が一番よく知っている。
………じゃあな」
もはや僕が本当に止める気がないと分かり、振り向くことなく一目散に里の外に出ていった。
「行ったか。 見逃したとはいえ、流石に綱手様に報告しない訳にもいかないからな。
クシナにも相当どやされそうだ」
綱手様に事の次第を報告に行き、その後クシナにもサスケが里抜けしたことを説明しに行った。
そしてサスケが出ていくのを見逃した事に、僕は甘んじてクシナの鉄拳を受ける事になるのだった。
見返してサスケとのやり取りがほのぼのした。
クシナと絡ませたのは大正解でしたね