マダラと改めて戦う訳だが、後ろの三人の援護を迂闊には受ける事が出来ない。
ガイは僕のチャクラを上乗せすれば、体術なら十分通用するので無理ではない。
ミナトの飛雷神の術は頼りになるが、穢土転生は六道仙術に無力化されるので今のマダラと直接戦うのは相性が悪い。
カカシは致命傷は受けていないが傷だらけの満身創痍で、その上…
「ハジメさん…」
僕の名を呼ぶカカシは、無理矢理動きを封じられ輪廻眼を奪われた事で息絶え絶えのオビトを抱えている。
一目で死にかけているのが解るが、カカシもマダラに利用されていたとはいえ敵だったので治療してほしいとは言いだせないといった様子。
僕は影分身を一体出して二人の元に送る。
「カカシ、そいつを連れて下がれ」
「ハジメさん。 しかし…」
「お前もその傷じゃ碌に戦える状態じゃないだろう。
影分身に治療させるから、一旦ここを離れろ」
「…ありがとうございます」
影分身を出す負担を思ってお礼を言ったんだろうが、一体くらいならまだ誤差だ。
オビトも原作では最終的には味方側に立ってくれていた。
どうなるかは分からないが、助けられるならそれに越したことは無い。
カカシがオビトを連れて影分身一体と離れた所で、再びマダラを見据える。
二人が下がるのを見過ごしたあたり、十尾を取り込み輪廻眼を取り戻したことで余裕綽々と言った様子が見て取れる。
マダラにとってオビトはもう用済みという事だろう。
「気をつけてくれハジメ。 奴は…」
「ああ、わかってる。 ガイの中の僕のチャクラと繋いだことで大体状況は解ってる。
ただでさえ輪廻眼だけでも厄介なのに、十尾の人柱力になってしまったって事だ」
ミナトに状況は理解出来ていると答える。
「そうだ。 俺は今、忍の祖である六道仙人と同じ力を手にしている。
前の時の様に俺の相手が容易に務まるとは思わない事だ」
「だが、戦わない訳にはいかないだろう」
少し跳躍して前に飛び、ガイ達から距離を開けて宙に浮かんでいるマダラと相対する。
「ハジメ! 一人じゃ無理だ!」
「まずは小手調べだ。 二人は見ていてくれ。
それからガイ。
「!? 解りました先生!」
ガイ達にもマダラの力を分析するよう様子見に徹させる。
僕は多重影分身の術を使い、百体近い分身を生み出してマダラを包囲するように向かわせる。
「影分身を使って小手調べとは、舐めているのか?」
マダラがそう言った直後、影分身が先頭から次々と見えない攻撃を受けて吹き飛ばされ、その衝撃で消えていく。
それは神羅天征の様に斥力でまとめて一気に吹き飛ばすようなものではなく、見えない攻撃が順番に影分身を打倒しているのが解った。
間違いなくマダラの輪廻眼の能力、輪墓・辺獄によるものだが、どんなに凝らしてみてもその姿を僕に確認することは出来ない。
そうしている内に影分身はほとんどやられて、本体の僕にも突然の衝撃が襲い掛かり吹き飛ばされる。
攻撃されてようやくマダラの分身がこちらにも来ていたことを悟った。
「先生!」「大丈夫かハジメ!?」
「あ、ああ。 仙術を使って体の強度を上げてなかったら不味い威力の攻撃だった。
だがやっぱり神羅天征とは違う、見えないが明確な物理攻撃だ。
攻撃されるまで何も感知することが出来なかった」
超能力の透視やシャーマンキングの霊視が出来る僕ならもしかしたら見えるかと思ったが、影一つ見ることが出来ない。
知ってはいたが相当厄介な術だ。
「どうやらお前でも俺の輪廻眼の瞳術には手も足も出ない様だな。
教えておいてやる。 この術の名は輪墓・辺獄。
長門やオビトが輪廻眼を手にしようと、この瞳術だけは本来の持ち主である俺にしか引き出す事の出来ない力だ。
柱間をも超えるチャクラを持つお前であっても、真の輪廻眼の力までは手に負えまい」
「それはどうかな」
新たに印を組んで術を発動させる。
――忍法・創造再生――
本来この術は百毫の術とセットだが、僕にはもともと膨大なチャクラを持っている事でなくても発動が可能だ。
先ほど受けた攻撃も重症ではなくとも結構なダメージがあったが、それも創造再生により瞬時に回復する。
そしてこの術は常時発動型で、ダメージを受ければ自動で回復する。
攻撃が見えず避けられないなら、ダメージを受けても耐えて回復するしかない。
更に現身の術を身に纏う大きさで発動し、再び多重影分身をしてマダラに向かわせる。
今度は本体の僕も一緒にだ。
「同じ手を繰り返したところでこの術は破れんぞ。
いくら膨大なチャクラを持つ貴様でも、今の俺に持久戦は無意味だ。
むっ………」
影分身達と共にマダラに仕掛けるが、今度は闇雲に一直線に向かってはいかせない。
マダラの周囲を無作為に動き回って、どこから来るか分からない攻撃が少しでも当たらないように攪乱する。
更に半数の影分身は宙に跳びあがって、空を足場にして方向転換を繰り返し空中でも攪乱する。
昔、ガイを騙して上忍体術の技だと言って習得させた技術だ。
当然原作で八門遁甲の陣を完成させ宙を力ずくで駆けたガイほど早く飛び回れるわけではないが、空を蹴る事による方向転換は本来空中では出来ない多角的な動きを可能にしている。
マダラでもこんな動きをされれば攻撃を狙い辛いはずだ。
「空中を蹴って飛ぶとは多才な奴だ」
マダラが求道玉を射出して一体の影分身を狙うが、その影分身は空を蹴って回避する。
しかし回避した影分身は直後に輪墓の攻撃を受けて吹き飛び消えてしまう。
求道玉は塵遁の如く触れた物を消し去ってしまうが、影分身でも回避出来たように射出速度はそれほどでもない。
「行け!」
――螺旋丸――
――仙法・沸遁・熱波弾――
――雷遁・雷球――
――仙法・火遁・大炎弾――
――風遁・風刃――
――仙法・螺旋丸――
影分身と共に動き回りながら多種多様な忍術を放ち、忍術を放たない者も手裏剣や苦無を投げてマダラを攻撃する。
マダラは求道玉の一つを変化させて、自身の周囲を包み込む球体状に変化させ攻撃を防いだ。
苦無や通常の忍術はあっという間に打ち消させるが、仙術を使った攻撃にだけ求道玉の守りを僅かに歪ませるのを確認する。
「この程度の攻撃、小賢しいわ!」
そう言い放った直後、マダラから全方位に神羅天征が放たれ、本体の僕を含めた影分身全員が吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた衝撃で影分身はすべて消え、僕は空中で体勢を立て直そうとしたところで更なる衝撃に襲われる。
「うっ、ぐっ、あっ、がっ!」
輪墓の攻撃を連続で受け、僕はダメージを受けながら吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。
現身の術の守りを纏っていたが、それを破られたり貫かれたりする感覚もなく直接体にダメージが入った。
この事から輪墓に対して、通常の守りでは透過されて無意味だと分かった。
「大丈夫ですか先生!」
「ああ、大丈夫だ」
「ハジメ、やはりオレ達も一緒に戦う」
倒れていた所にガイとミナトが傍までやってくる。
輪墓の攻撃力はかなり高いが仙術で強化されている僕なら耐えられないほどではなく、創造再生で即座に回復して起き上がる。
「この程度で終わりか? 前に使った術はどうした。
輪廻眼と六道仙術の前には無意味と悟ったから使わないのか?」
「あの術を今のお前に使ってもあまり効果はないだろう」
今のマダラに巨体で動き回ったらいい的にしかならない。
「それにお前に勝つには手の内を探る必要があった。
ガイ、答え合わせだ。 今の攻防、何が見えた?」
「はい、先生を攻撃する幾人かの人影が見えました!」
「なに!?」
ガイの答えに、マダラが目を見開いて驚きの声を上げる。
写輪眼すら持たぬガイに、輪墓を見抜く事など出来るはずがないのだから。
「奴の輪墓という術は見えない人型、おそらく分身による直接攻撃です。
攻撃を受けた先生の影分身のダメージの受け方から、人の打撃による攻撃の受け方だと朧気に見えました。
見えない人による攻撃なのではと気づけば、それからの攻撃の全てが俺の眼には人の打撃によるものにしか見えませんでした。
見えない分身の数は三人から四人。 奴自身は宙に浮いていますが、見えない分身は地面を走るのみで飛ぶ様子はありません。
打撃による攻撃しか行なっていない事から、おそらく分身は術が使えないのかと」
「…流石だなガイ。 体術のスペシャリストは伊達じゃないな」
そう見抜ける様に解り易く動き回ったとはいえ、ガイは輪墓の正体を見事に見破った。
影分身の倒される様を見て、どのように攻撃されたのかを逆算し、そこから見えない実像を認識した。
輪墓が見えないだけで術の使えないマダラの分身である事を予測できるように、空を駆け回って攻撃を当て難くすることで、本体と違い空を飛べない事も分かりやすくさせる。
肉弾戦に特化したガイならば、見えない肉弾戦を仕掛けてくるマダラの分身を見抜けるのではないかと試してみたが、見事に見抜いて見せた。
見抜けなかったとしても、僕が今の戦いの中で見抜いたことにすればいいから何も問題ない。
カカシとの勝負で写輪眼を警戒して、足元を見るだけで動きを予測したガイならばと思った結果だ。
「輪墓が見えておらんというのに、その正体を見抜くとは。
なかなか面白い男ではないか」
「すごいじゃないか、ガイ!」
ミナトだけでなく、この時ばかりはマダラも素直に称賛した。
「いえ、先生が見ていろと言って戦ってくれたからです」
「だが術の正体を見抜こうと、未だ見えぬ事に変わりはないだろう。
傷を治し痩せ我慢しながら俺と戦うつもりか?」
「ああ、そのつもりだ!」
輪墓が見えないのは、輪廻眼も六道仙術も無いのだからどうしようもない。
ならば攻撃に耐えてダメージを回復しつつマダラを直接狙うごり押しの手段しかない。
だが脳筋戦法はここからが本番だ。
「仙法……創造再生……沸遁・怪力無双……」
体内にいる穆王から送られてくる沸遁チャクラで怪力無双を発動し、体から蒸気を発する。
「そして最後に!」
――八門遁甲・第七・驚門――
「開!」
八門遁甲を発動し、蒸気に驚門を開いた証の碧い汗の蒸気が上乗せされる。
これが輪墓に耐えながらマダラと戦う脳筋戦法の仕上げだ。
「行くぞ、マダラ!」
――ダダダダダダダダダン!!!――
上乗せに上乗せした身体強化の術で先ほどとは比べ物にならない速度で空を蹴って、動きが補足されないように縦横無尽に空中を駆け回る。
「速い!?」
「ガイ、お前の技を使わせてもらうぞ!」
「ッ!?」
――夕象――
「壱足!」
高速で目の前まで迫り、驚くマダラに本来ガイの技である夕象を打ち込んだ。
拳圧による空気砲に飲み込まれ、マダラはその圧力に吹き飛ばされる。
本来は原作でガイが八門遁甲の陣を完成させる事でようやく使える体術だが、第七・驚門に仙術と沸遁・怪力無双を重ねる事によって無理矢理使用可能にした。
更に創造再生によって負荷による体へのダメージを回復させることで、死ぬリスクの無い八門遁甲の陣に近い力を発揮しているという訳だ。
夕象の攻撃は、拳圧による空気砲の一撃では終わらない。
吹き飛ばされるマダラに先回りして、別方向から続けて攻撃を行なう。
「弐足!」
二撃目の夕象が一撃目の夕象と交錯する事で、マダラの体が空中に固定される。
体が強化されている事で、反動による痛みも大したことは無く即座に回復する。
「参足! 肆足!」
三撃目四撃目と更に別方向から拳圧砲が交錯する事で、マダラの体を空中に縫い止め動きを封じ込める。
「伍足!」
動きを止めたマダラに五撃目に直接の打撃を打ち込むべく接近する。
だがマダラも動きは封じられても無抵抗の筈はなく、複数の求道玉をこちらに打ち出し、更に残した求道玉で球体の幕を張って全身を覆い隠す。
撃ち出された求道玉が僕に向かってきて、何の抵抗もなく突き抜けると僕の姿は幻影の様に歪んで消えていく。
「幻術!?」
「いえ、あれは残像拳! 先生の歴とした体術です」
残像拳はドラゴンボール初期の頃に使われていた技で、僕も一応習得していた。
術をあまり使えないガイに何かいい技はないかと思い出し、相手を翻弄出来る体術として伝授もした。
その場に残像を残して、僕は既に別方向からマダラに接近している。
「ハアァァッ!!」
マダラは求道玉で自身を包み込んで守りを固めたが、求道玉も絶対ではない。
仙術チャクラであれば他の術や物体の様に即座に消されることは無く、威力があれば求道玉を砕けない事は無い。
現身の術で腕にチャクラを纏い、更に回転拳を行なったうえで求道玉の幕に五撃目の打撃を叩きこんだ。
拮抗は一瞬で、求道玉の幕に罅が入ると回転拳が穴を押し広げて中のマダラの姿を顕わにする。
「求道玉を砕くだと!?」
「おまけだ! 陸足!」
本来夕象に六撃目は無いが、求道玉の幕を貫くのに五撃目の威力を殺された。
創造再生で本来の夕象の反動を減らせているので余力があり、マダラの目前で空を踏み込んで打撃の威力を捻出。
回転拳も載せた打撃を叩きこみ、マダラごと反対側の求道玉の幕をぶち抜いて突き抜けた。
更に叩き込んだ打撃に捩じりを加え、マダラの体を上空へ打ち上げる。
地上に降りられては輪墓の攻撃を受けやすいので、マダラには上空に居てもらった方が好ましい。
吹き飛ばしたマダラを空を駆けて再び追い抜き、先回りして回転させているチャクラを腕から切り離し、螺旋丸のように球体にせず円盤状にして更に高速回転させる。
投げる必要はなくチェーンソーの様に高速回転の刃で、マダラの胴体を横に一閃する。
――気円斬――
忍術ですらないが、この際マダラの体を真っ二つに出来ればどうでもよかった。
強力な切断技として真っ先に思いついたのがこの技だったので、つい使ってしまっただけだ。
マダラの体は上半身と下半身に分かれたが、これくらいで死ぬはずもない。
原作でも真っ二つになっていたし、今も吐血しつつもこちらを認識して睨んできている。
フリーザでも真っ二つにされた時は、力尽きて地に伏したんだが。
上半身だけになってもマダラは健在で、腕をこちらに向けて術を発動してきた。
――天道・神羅天征――
僕の体に不可視の衝撃が走るが、空を蹴る事で踏ん張りバランスを取るために空を受け身をする様に叩いて衝撃の威力を殺しその場に留まった。
その場に無理矢理留まった事で神羅天征の力が逆流し、マダラの方が反対に吹き飛ばされていく。
それを好機とみて、僕はその場に残されたマダラの下半身を、飛んでいったマダラの上半身とは別の方向に蹴り飛ばす。
六道の力を得たマダラなら、斬られた上半身と下半身を即座にくっつける事など不可能ではないだろう。
実際に綱手様が不本意だろうが先ほど実演していたし、創造再生を使っている今の僕も同じ事は出来そうだ。
だが距離をとって引き離しておけばマダラは直接下半身を再生させるだろうし、実際に原作でもそうだった。
僕の狙いは切り離したことで残るマダラの下半身だ。
原作では切り離された下半身から六道仙人が顕現出来たように、下半身にも六道仙術のチャクラである尾獣達のチャクラは残っている。
そこからナルトの不足している一尾と八尾のチャクラを回収するのが僕の狙いだ。
先ほど大量の影分身を出した時に、マダラの下半身をナルトに届けるための運搬要員を近くに潜ませておいた。
いくら六道仙術のマダラの体と言っても下半身で自立して襲ってくることは無いだろうが、重要な役割なので下半身に簡易の封印をかけて運ばせるように指示を出している。
後は下半身がナルトの所まで運ばれるのを気付かれないように、僕はマダラに追い打ちをかけ続ける。
神羅天征で逆に吹き飛んでいった上半身だけのマダラを、空を蹴って追いかける。
見れば気円斬で斬られた断面から再生が始まっており、肉が盛り上がってきている。
十尾の力とはいえ呆れた再生力だが、上半身だけではマダラも流石に動き辛い筈。
神羅天征も使ったばかりでインターバルに入っており、今がチャンスと真っ直ぐに追いかけた。
だが途中の空中で顔に衝撃を受け、動きを止められた事で追撃を中断させられる。
まるで見えない物理攻撃に、それが輪墓によるものだと直ぐに分かった。
輪墓は飛べないがマダラ自身から分離するように現れる。
出した輪墓を空中でその場に残し、追っていた僕がすれ違ったところを攻撃されたのだと悟る。
攻撃には耐えられるが空中で体勢を崩した。
再び追いかけようとした所に求道玉を打ち込まれ、回避したところに広範囲の雷遁らしき術(仙法・陰遁雷派)が放たれた事で大きく回避する為にマダラから距離をとった。
その間にマダラは地上近くに降りて、その場で下半身をゆっくりと再生させていく。
その場から動かずじっとしている様子に、おそらくマダラの周囲には輪墓が守りを固めているはずと、追撃を諦めた。
「やってくれるではないか。 タダの体術と仙術のみで求道玉の守りを破り、俺にここまでの深手を負わせるとは。
十尾を取り込んでいなかったら終わっていたぞ」
「平然と下半身を再生させている奴が、それを深手と言えるのか?
どうやら頭か心臓を叩き潰さないと死なないらしいな」
「その通りだ。 だがもう油断はせんぞ。
貴様は今の俺をも殺しうる存在だ。 もはや手は抜かん」
マダラが油断していたのは真実だろう。
その間にマダラの頭に拳を叩きこんで、輪廻眼ごと叩き潰していれば終わっていたかもしれない。
だがナルトの復活の為に、今のマダラの体の一部を奪うのが先決だった。
ナルトとサスケには六道仙術と輪廻眼に目覚めてもらい、六道仙人の力を受け継いでもらう必要がある。
カグヤが復活する事で大筒木一族の存在を明らかにしておきたいが、その為の無限月読は世界を滅ぼしかねない事に変わりないので、大きなリスクを伴う。
なのでカグヤが復活するにしろマダラをこの場で倒すにしろ、対抗手段となるナルトとサスケの力の継承だけは必要不可欠だ。
条件は既にクリアしている。
ナルトにはマダラの下半身がすぐに届くだろうし、サスケの方も影分身からの情報でカブトによって柱間細胞を植え付けることが出来た。
その時サクラと一悶着があり、更に香燐達も辿り着いたことでややこしくなった。
具体的にはサクラと香燐の視線が交錯した瞬間、二人の間に見えないチャクラのオーラがぶつかり合い、近くにいたカブトを含めた大蛇丸組も全員僅かに慄き、影分身の僕ももういいかなと術を解いてそのまま撤退してしまうほどのややこしさだった。
分身を解く直前に、水月がずるいと言っていた気がするが気のせいだろう。
サスケは………周りがあの状況でちゃんと起きれるか少し心配になった。
ともかく後は二人が目覚めるのを待つだけだが、マダラ相手に時間を稼ぐ必要がある。
だが…
「こちらも準備は整った。 この仙術と体術なら今のお前にも十分通用するのが証明できた。
今度は全員で行かせてもらう。 ガイ! ミナト!」
「はい、先生!」
「出番があってよかったよ。 いや、本来は喜ぶところじゃないんだろうけどね。
ハジメが一人で倒してしまうんじゃないかと思ったよ」
飛び回った僕等を追いついてきて、ガイとミナトが現れる。
更に今さっき影分身からの情報で知った援軍も駆け付ける。
「おまたせしました」
「来たか、カカシ」
「カカシ、その目は!?」
近くの空間が渦巻き、神威によってそこからカカシが姿を現す。
その両目には万華鏡写輪眼を宿し、戦場に戻ってきた。
時は少し遡って…
弱り切ったオビトを抱えたカカシと共に、戦場から少し遠ざかって影分身の僕は二人の治療をしようとしていた。
だが治療を始めようと手を翳したところで、オビトが手を跳ね除けた。
「………やめろ。 治療などいらない」
「何を言ってるオビト! そのままじゃ死ぬぞ!」
「俺とお前たちは敵同士だ。 敵を助けるんじゃない」
治療を拒むオビトを説得するカカシ。
僕は治療を強行しても仕方ないと、手を出さずに様子を見る。
「奴が言っていただろう! リンのこともすべてはマダラの仕組んだことだって。
お前は利用されていたんだ!」
「…ああ、そうだ。 俺は利用されて裏切られた。
だからどうした。 俺がお前たちの敵になったことに変わりはない。
俺は五里全てを敵に回して忍界大戦を引き起こした!」
「ッ!………」
そう、第四次忍界大戦を引き起こしたのは、間違いなくオビトだ。
今は復活したとはいえ、マダラはつい先ほどまで死んでいた死者だった。
マダラの死んでいる間、暗躍していたのは間違いなくオビト自身だ。
それをカカシも否定する事は出来ない。
「マダラに利用されていることくらいわかっていた。
だが分かっていても、リンのいないこの世界が憎くて仕方なかった。
リンを助けられなかった先生が、リンを殺したカカシが、間に合わなかった俺自身が憎くして仕方ない。
だから誰もが幸福な夢を見る事で世界を
溢れる憎しみからオビトは満身創痍でもなお強く拳を握り締める。
「…何となく察していた。 リンが死んだのはマダラが仕組んだ事なんじゃないかって」
「何? だったらどうして…」
「リンが死んだとき、俺もあそこにいた。 リンが危ないと白ゼツに聞かされて、マダラのアジトから抜け出す手助けもされた。
何もかもが憎くて全てがどうでもよくなって俺は目を背けていた。
あの時あの光景を見て俺が憎しみを抱いたのは都合が良すぎるんだって。
リンはマダラが俺を利用する為に殺されたんだと!
リンは俺のせいで死んだ!」
「違う! 悪いのはマダラだ!」
「違わない! だが、そんなことはどうだっていい!
元から俺自身も憎くて仕方ないんだ。 今更俺自身への憎悪が増したところで何も変わらない」
万華鏡写輪眼が開眼する条件の宿業を表すかのように、オビトの残った片方の目から血の涙が流れる。
「だが、それを認めてしまったから、今はマダラが一番憎くて仕方ない。
奴も奴のやろうとしている事も、何もかもをぶっ壊してやりたくて仕方ない!
だから、カカシ!」
憎しみのあまり爪が掌に食い込んで血を流していたその手を、オビトはカカシに伸ばす。
「無限月読ももうどうでもいい。 今度こそお前の勝ちを認めてやる。
戦利品だ。 俺の全てを持っていけ」
「オビト、何を…」
カカシはオビトの伸ばした手を握り、真意を測ろうとする。
「この残った目もくれてやるって言ってるんだ。 写輪眼は左右揃って本来の力を発揮する。
マダラと戦うなら多少は役に立つはずだ」
「馬鹿を言うな! そんな事出来るか!」
「やれ! 俺に勝ったんだったら、マダラにも勝って世界を救って見せろ!
倒した敵の事なんか、気に掛けてる暇はないだろ」
オビトの手からチャクラが流れ出し、その手を握るカカシに流れていく。
それは弱々しいが命その物が流れ出しているような濃密なチャクラだ。
「やめろオビト! そんな体でチャクラを出せば死ぬぞ!」
「くれてやるって言ってるんだ。 この目もこの命も。
どうせもうすぐ死ぬんだ。 有効利用しろ」
弱々しくもオビトはカカシの手を強く握って放そうとはしない。
オビトの最後の気迫に、黙ってみている僕も止めようがなかった。
「マダラを倒してリンの無念を………。
いや、これは俺の無念だ。 俺の無念なんざ晴らさなくていい」
「オビト……」
対となる写輪眼として共鳴したのか、カカシの万華鏡写輪眼からも血の涙が流れ落ちる。
「俺はリンの所へ行く。 お前はせいぜい木の葉のために戦って長生きしてろ…。
こんな真似をしたんだ…。 きっとリンも怒ってるだろうな……。
じゃあな…カカシ……」
オビトの荒げていた息吹が止まり、手から流れ出ていたチャクラが止まる。
だがそのチャクラはカカシが確かに受け取っており、繋いでいた手に宿っていた。
「………ハジメさん、オビトの眼を俺に入れてください」
「いいのか?」
「はい」
「おい、なにを!」
カカシは写輪眼ではない普通の右目に指を指し込み、自分で無理矢理抜き取ってしまう。
オビトの眼を入れる為とはいえ、自分の眼を抉るなんてかなりエグイ。
医療忍者としてそういう物は見てきたが、自分でそういう事をするのはやはり痛々しい。
「今のお前の心情は察するが、無理やり自分の眼を引っこ抜くな。
眼球以外も傷つけて、目の移植どころじゃなくなるかもしれないぞ」
「…すみません、気が逸ってしまって」
オビトの写輪眼の移植の前に、カカシの眼窩の止血を行ない問題がないか確認する。
その後、オビトからカカシの右目に写輪眼の移植を行なう。
毎度思うが、眼球の移植がその場で容易に出来るあたり、この世界の医療忍術はいろいろ可笑しい。
「オビト。 お前の無念は俺も同じだ。
俺もマダラのやったことに腹を立てている。
必ず勝つよ。 その光景をお前の眼でしっかり見届けてやる」
「カカシ、移植の最中なんだから目に力を入れないで」
「あ、すいません」
展開の都合でオビトの退場が早まったことにより、カカシが両目に写輪眼を宿す事となりました。
その関係でオビトに救いのない無念の退場が余儀なくされましたが、オビトも間違いなく主犯格の一人なので、この結末も順当な結果ともいえるのではないでしょう。
オビトが特別嫌いなわけではないのですが、前に本編で書いたように九尾事件もうちは事件にも関わってるので、騒動の原因を作った主犯である事には違いないのです。
カカシが両目に写輪眼を得ましたが、実は原作の終盤の期限付き写輪眼より弱いです。
オビトが十尾の人柱力になる前にカカシに受け継がれたので、原作のセリフで『六道の力を得た事で瞳力が上がっている』というパワーアップが無いです。
それでもオビト自身が柱間細胞で半身を補強していたので、通常の万華鏡写輪眼よりは力を持っているのではないでしょうか