「ご注文は?」
「俺はこれとこれで。貴女は?」
「え?えっと、じゃあ、これとこれで」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
注文を聞き終えた店員は奥へと消えた事を確認して女性に視線を向ける
「先ずは自己紹介しませんか?俺の名前はイクス、イクス・クラウンです。 貴女は?」
「あ、えっと、私の名前はオフィリア・ダルクです」
「えっとダルクさん?」
「オフィリアで大丈夫ですよ。 そちらの方が呼び慣れているので。 えっとクラウンさん?」
「自分もイクスで結構ですよ」
お互いに自己紹介を終えてからオフィリアは何処か落ち着かない様子を示していた
「どうかしましたか?」
「あの、私今持ち合わせがなくて……」
「ああ、その事ですか?安心してください。 今回はオフィリアさんと知り合いになれた事に対してのお祝いに俺が奢りますよ」
「い、いえ!悪いですよ!」
「大丈夫ですよ。 それにオフィリアさんくらいの美人と食事が出来るなんて本来ならお金を出す程ですしね」
「まあ♪」
イクスの冗談にオフィリアも口に手を当てて驚いた表情を浮かべた後に小さな笑みを浮かべる
「もし、食べ足りなかったら注文をしてくれて構いませんからね」
運ばれて来た料理を見てオフィリアは目を輝かせながら置かれた料理に感謝の言葉を述べてから食べ始める。 食べ方が汚い所か王族の様な品のある食べ方で出された料理を次々と食べていく
料理を次々と食べていくオフィリアを眺めながら祐介は彼女の容姿を改めて確認した
金髪碧眼で腰にまで伸びる綺麗なロングヘヤーに整った顔に肉付きもそこらに居る女性よりも遥かに良い。まるで何処かの旗を持って戦う聖女様を思い出すな。 しかもかなりの大食いだし……
「ん~♪お腹が減っていたから普段よりも更に美味しいですぅ♪」
料理を頬張るオフィリアに祐介は何も言う事は無く、ただ静かに自分の分の食事に手を付ける
「ふぅ、御馳走様でした♪」
「本当によく食べたね」
あれからかなりの量を食べたオフィリアは満足気に頬を緩ませた表情を浮かばせていた。 俺は店員から差し出された料金を見て小さく溜め息を吐きながらオフィリアに向き直る
「さて、話を聞かせてもらえないか? 何で【天使】が地上に居るのかを」
「…………」
イクスの言葉に先程まで笑顔を浮かべていた天使は表情から笑みを消して祐介を見る。 その表情はまるで能面だ
「何時から気が付いていたのですか?」
「君がガラスに張り付いてる頃からだな」
仕事柄気配には敏感になっていたがまさか天使が人間が経営している料理店のガラスに張り付いてるとは思わなかったがな
「……貴方から魔族の気配もしませんし、良いでしょう。 食事を恵んでくれた恩として先程の質問に答えましょう」
「私達は逃げた元智天使様を探しています。 数日前に忽然と姿を消していました。」
「智天使ねぇ」
そう言えばあの巻き込まれ勇者君の使い魔が智天使だったな。100%あれだろうなぁ
「因みにその智天使は何かやらかしたのか?」
「そうですね。 複数の女性天使との不倫ですかね」
……かなり面倒な存在だったな、アイツ
「だから彼の息の根を止めて首だけでも持って帰らないと大天使様に怒られてしまうんですよ」
こいつらも大変だな。流石にこのまま帰すのは可哀想だからヒントでも教えるか
「その智天使ならこの前見たぞ」
「本当ですか!?」
暗い表情から一気に希望に満ちた顔になるオフィリアに少しドキッと来たのは内緒だ。 バレたら殺される……
「ああ、少し前に智天使を使い魔にしている奴を見掛けたが顔までは分からなかった」
「いえ!それだけでも十分な情報です!ありがとうございます!このご恩は何時か必ず返します!」
凄い勢いで席から立ち上がったオフィリアは店から出ていってそのまま人混みの中へと消えていってしまった
「…………帰るか」
会計を済ませてから近くにあったお土産を買ってから帰宅した
オフィリアと会ってから数日後にある事件が起こった。それは複数の村が何者かによって壊滅させられると言う事件だった。 生存者は0で村に来た商人がこの事件をギルドに報告したと言う事だった
「ふふ、お父様は一体何処に居るのかしら?」
「ガウガウ!」
「あら、今度はあっちね?なら行ってみましょうか♪」
この世界に魔王よりも恐ろしい存在が現れた模様