「あぁ…… お腹が空いたわ。 とてもお腹が空いたわ」
真っ白のワンピースを着た少女は銀色の狼の背に乗りながら自身の空腹を訴えた。 最後に食事をしたのは昨日だがそれは獣であって生きの良い獲物では無かった
「聖国はまだなのかしら? 私、お腹が空きすぎてフェンちゃんを食べてしまいそうだわ」
その言葉に銀色の狼は速度を上げる。 狼はこの少女に捕食されたくない為に速度を上げたのだ
「もし聖国にお父様が居なかったらお腹を満たす次いでに聖国に居る人達を全員食べましょうか♪ そして残った『皮』を使って獲物を誘き寄せては食べるとか良いかも♪」
クスクスと笑う少女に狼達は何も言わずに目的地を目指す。 早くこの化け物から解放されたいが為に狼達は己の限界が許される速度で目的地を目指す
「私、お父様にまだ1度もお会いした事が無いのよ。 何でもお母様がお父様の誕生日の日にサプライズとして教える予定だったとか。 でも私も早くお父様に会いたいが為に此処まで来てしまったわ」
少女はつまらなそうに狼相手に話し続けるが狼達は一切相槌の様な物はせずにひたすらに走り抜く
「何故お父様は人間と言う下等で愚かで醜い生き物と共に暮らすのか私には分かりません。 お母様達の様に偉大な方々やお父様の部下ならまだ分かりますが私にとっては人間とはただの餌に過ぎません……」
グゥゥゥ
「ああ、お腹が空きました。お腹が空いて頭が可笑しくなりそうです。 フェんちゃん、予定を変更するわ。 近くに村が無いか探してくれる?」
少女の指示に狼は足を止めて2匹の獣に首を動かすと2匹は物凄い早さでその場から離れていった。 そして10秒も経たない内に獣達は戻ってきた。 そして少女が乗る狼は向かっていた方向と少し方向を変えて走り出す
「一応食事の前にお父様が居ないか聞いておかなくちゃね。 もしそこに居たら一人だけ食べないであげましょう♪」
少女にとっては人間の生き死にとはどうでも良い事の様だった。 人が道端に落ちている石を見てその意思の始まりから終わりを考えない様に少女も人間とは道端に落ちている石程度の認識だった
「お腹が空いたわ。 この世界に居る人間全てを食べ尽くしたら私のお腹も少しは満たされるかしら?」
少女は微笑む、その微笑みは端から見れば見惚れる程に美しい笑みだが彼女の考えや行動を見ればその笑みは決して美しい物では無いと言えるであろう
その後、聖国付近での村が複数襲われ生き残りは誰一人として居ないと言われていた
恐らくはこの作中で最も人を殺めているのがこの子でしょうね