カーラside
昨日の啓示から一夜が開けました。 既に偽りの力を持つ男は学園でもそれなりの強者を倒して女共を手込めにしている
あの女(生徒会長)は有能な部下や見込みがある女共には極力近づけさせないようにしているがそれが何時まで持つのかは私にも分からない所
「アウアウ!」
「美味しいですか?クロさん」
「アウアウ!」
「それは良かった♪」
クロさんを飼い初めてからそれなりに時間が経ちましたが相変わらずクロさんの大きさに変化は無く仔狼の大きさのままです。 何か原因があるのか魔法や魔導書で探しましたが原因はよく分かりませんでした
「クロさんは何時になったら大きくなるんでしょうね?」
「アウゥ?」
クリクリした瞳で私を見つめてくるクロさんに小さく微笑みながら優しく頭を撫でる
何故動物はこんなにも素直で賢く愛らしく生きられるのに人間はあんなにも醜いのでしょうね……
主は私達に多くの試練を与えてきましたが恐らくはこの醜い感情や思考がある限り我々は決してその先には行けないでしょう
「クロさんにだけには私の本音を吐きましょう。 実は私は争うことはあまり好きではないのです。 もっと言えば争うこと事態が嫌いなんです」
ゆっくりと優しい手つきでクロの柔らかい毛並みを撫でながら目を閉じる
「傷付くのが怖い、仲間の誰かが傷付くのが怖いの。 だから私は争いが嫌いなの、でもね」
ゆっくりと目を開けてクロを両手で持ち上げて抱える
「皆が傷付くのが嫌だから私は他の皆よりも前に出て他の誰よりも傷付いて他の皆を守るの。 だって私は皆が大好きだから、こんな私を受け入れてくれた皆を守りたいから…………」
ギュッとクロを抱き締めるカーラは小さく震えていた。 それは今まで溜め込んできた物が少し溢れ始めていたからだ
「アウアウ」ペロペロ
「あら、慰めてくれるの?」
「アウ♪」
「ありがとう」
クロに舐められてカーラは小さく微笑んだ。 この身は既に隊長であるイクスに捧げて居るのだ、あの人の為にカーラはこれからも笑顔で血を浴びながら狂人を演じ続ける。
だって初めて生きる光を見せてくれた私の主なのだから
ガサッ
「お、こんな所に凄く可愛い子はっけーん」ニヤリ
「…………」
どうやら気をクロに回しすぎたせいで後ろから近付いてくる気配に気が付かなかったようだ
「クロさん、逃げなさい。 ここは私が何とかするから」
「キュウ……」
「早く行きなさい。 そしてイクス様にこの事を伝えなさい」
「アウ!」
クロは大きく吠えた後にイクスが居る方へと走り出していった
さて、どれくらい持つでしょうね。 主よ、お守りください
着実にイクスの怒り爆発が近付いてますね