やはり俺のゾンビ生活は間違っている 作:やりゾン
投稿続けていけるように頑張ります。
何時から?
そう聞かれた時、貴方ならどう答えるだろうか。
俺は、こう答えるだろう。
「んなこと、覚えてない」
高校二年生になった俺こと、比企谷八幡はゾンビが大好きだ。冒頭に戻り何時から?なんて聞かれたら「んなこと、覚えてない」と答える。だがどうして?なら答えられる。
あれは俺がまだ小学生2年生の頃だった。
教室で一人ラノベを読んでいる時に視線を感じた。小学生になってから会話なんて、おはよーからさようならーくらいしか使っていなかった。それも先生に。
そんな俺に声をかける相手がいた。上級生だったのを覚えている。サラサラの少し灰色がかった黒色の髪を腰まで伸ばしている。スラッとした体に小学生にしては発達した胸、それに上級生だからか大人っぽく感じてしまう。
「ねえ、君ってさ」
そんな校内ヒエアルキートップのような人に話しかけられれば何も返事を返せないのは、俺のせいじゃない。こんな社会を作った俺以外の人間が悪い。あ、小町以外な。
「ねえ、聞こえてる?」
「...何か用でしょうか?」
なんとか絞り出せた言葉に、キョトンとした顔を一瞬作ると微笑みながら言ってくる。
「君、ゾンビみたいって言われたことない?」
「....は?」
今日何度、俺の意識は停止すれば良いのだろうか。新手の虐めか?そう思って教室の入口を開けて廊下を見たが誰もいなかった。
「何してるの?」
「いえ...新手の虐めかと思ったもので」
「虐め?あー違う違う。ごめんね、勘違いさせちゃったみたいだね。私ね、ゾンビ映画が好きでさー、あ、勿論ゾンビが好きで見てるんだけどね」
余程ゾンビが好きなのか、ずっとゾンビについて目の前の美人は語っている。小学生なので美人というよりは、可愛いと言った方がいいのか?
「それでね、君を見付けたんだ!」
元気よく言った言葉に、いよいよ着いていけなくなった俺は一言こう返した。
「帰って良いですか?」
そして翌日。
放課後になると、また同じ上級生が現れた。しかも今回は速い。嫌な予感したから早めに帰ろうとしたら既に入口にいるものだから帰るに帰れないし、何よりクラスには生徒が沢山残っている。
「昨日ぶりだね、比企谷君♪」
教えてもいない名前を呼ばれて、笑顔で現れた。
「あ!あの!」
「んー?」
俺がどうやって帰ろうか悩んでいるとクラスで人気がある、イケメンが話しかけに言った。このクラスの中心人物であり、こいつがいれば自然と和が出来るレベル。因みに俺は苦手だ。
「5年2組の雪ノ下陽乃さんですよね?」
「そうだけど、私に何かようかな~?」
あの人雪ノ下さんって言うのか..そして気のせいかな?教室の温度が下がっている気がする。陽乃さんから、放たれてるし機嫌が悪いのか?
「あ、あの!俺恋久保哲史って言います!」
そんな雪ノ下さんの態度に気付いていないのか同じクラスの男子生徒は話を続ける。
「前から雪ノ下さんのこと気になっていて、友達になってもらえないでしょうか!?」
あ、友達なんだ。この流れからなら公開告白かと思ったわ。教室内で雪ノ下さんに手を差し出す恋久保君。話したことすらないがミニバスに所属しているらしくバスケが上手い。体育で皆練習してるときに一人だけシュート決めてたから覚えている。
雪ノ下さんは、ゆっくりと近付いていく。まあ友達になるだろう。俺とは違うしな。さて俺はランドセルを背負ってと。
「じゃ、行こっか♪比企谷君」
ランドセルを背負った俺の前には何故か雪ノ下さんがいた。恋久保君は手を差し出したまま固まっている。つまりスルーして俺のとこまで来た、と。
いや、何でだよ。友達になっとけよ...恋久保君泣きそうじゃん、いやあいつが泣きそうとか、ざまぁとしか思わないが。今は、雪ノ下さんを止めてほしかった。そんな俺の心情を知ってか知らずか雪ノ下さんは、笑顔で俺の腕を掴んで引っ張っていく。
「ま、待ってください!」
何を言わず、振り返らずに止まる雪ノ下さん。雪ノ下さんが恋久保君を少し越したところで止まったせいで俺は、恋久保君と目が合うどころではない。真横にいるのだ。悔しいのは分かるが、俺を睨むな、俺は悪くない。雪ノ下さんが悪い。
「こんな男と一緒に行くより俺と行った方が絶対楽しいです!だからこんなやつではなく、俺と行きましょう!」
小学生だからって言いたい放題だな...けど的を得てるから何も言い返せないんだよなぁ。
「はぁー、君ってさつまらないよね?自分が一番だと思ってるのかな?小学校はお家じゃ無いんだよ?何でもくれるママはいないんだから、少しは学びなよ。それに君なんかより、彼といた方が面白いからね、それじゃ」
そうして手を引かれ屋上に連れてこられた。
暁の夕焼け空の下で秋風が雪ノ下さんの髪を揺らす。夕焼けに染まった雪ノ下さんは、何処か哀しげに屋上から見える町を見つめる。その光景が扇情的に見えて手を伸ばしかけるが途中で下げる。あまりに儚くて触れれば壊れてしまいそうだったから。
「ねえ、比企谷君」
「何ですか?」
「私ね、明日引っ越すんだ。父の仕事の都合でね」
言葉は続かなかった。言いたいことはある筈なのに、口が重くて開かない。
「引っ越し先は...アメリカ。帰ってこれるとは思うけどそれは、5年後。私が高校生になる頃だね」
「5年...」
「経った2日だったけどさ君には言っておこうと思ってね」
「俺が、俺がゾンビに似てるからですか?」
「...うん、そうかもね」
夕焼けは太陽と共に見えなくなり変わりに月が登ってくる。先程まで見えなかったのに今は、悠然と輝いている。
「それなら、俺は待ちますよ」
「え?」
「俺は、ゾンビですからね。ゾンビは気長で執着深いんです。知らなかったんですか?」
「....ぷ、あははは。そうだね、知らなかったよ。それじゃ待っててね比企谷八幡君?」
「うす」