亜種特異点:EX 人害怪因地区 アマゾン   作:16:25教

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プロローグ

そこは地獄だったーーー

 

それ以外に例えられないほど、そこは荒れ果て、朽ち果てていた。

かつてこの場所に多くの人が住み、笑い、人並みの幸せを謳歌していたなど、思わせられないほどに。

 

元々はそこは栄えた街だったのだろう。しかし今はもう見る影もなく姿を変えていた。

通りは血に汚れていない場所を見つける方が難しく、民家からは異臭が放たれ玄関に入ることすら躊躇われる。

人の姿などなく、見かけるのは人であったであろう残骸。

そして、それに群がる異形の怪物の姿のみであったーーー。

 

 

 

 

 

 

「先輩。おはようございます。朝は早いですが、今日もカルデア内はいつも通り、平和と英霊たちによる混沌で充ち溢れています。微力ですが、先輩の平穏と安静のため、不肖マシュ・キリエライトが本日もお供させていただきます!」

 

【おはよう、マシュ】

 

【うん、今日もよろしくね】

 

雪に被われた山の中にそびえ立つ施設、人理継続保障機関フィニス・カルデアの中で貴方は朝早く起きていつのまにかマイルームにいる、最も頼りになる相棒兼サーヴァント、マシュ・キリエライトに挨拶をした。

世界に陥った危機、人理焼却を阻止し、大きな犠牲を払いながらも世界の安寧を取り戻した貴方は、新たな特異点等を解決しながらも以前より落ち着いた生活を送っていた。

 

「今日の厨房当番はエミヤさんだそうです。とても健康的な食事が予想されますので、早く食堂へと向かいましょう」

 

【そうだね、急ごう】

 

 

ーーーーー

 

 

「おはようマスター。朝食は既に出来上がっている。他の大飯食らいのサーヴァントに根こそぎ持ってかれる前に早急にいただくことをお勧めするよ」

 

食堂に着いた貴方とマシュは、厨房が見えるカウンターから今日の当番であるエミヤに声をかけた。

 

「おはようございますエミヤさん。今日の朝食はなんでしょう?」

 

「ふむ。それは実際に見てからのお楽しみに、と言いたいところだが、あまり凝ってもいないのでな。隠していても仕方がないだろう。今日は鮭のムニエルとスープ、付け合わせのサラダにパンだ。ありふれていて申し訳ないがな」

 

【そんなことはない】

 

【エミヤが作ればなんでも美味しい】

 

「ふっ嬉しいことを言ってくれる。すぐに用意しよう。席で待っていたまえ」

 

エミヤと話終わると貴方とマシュは食堂の席へと向かう。食堂には貴方達の他にもカルデアの職員やサーヴァントもおり、簡単に挨拶をしながら貴方たちは席へとついた。

 

「エミヤさんのご飯楽しみですね、先輩! 私も料理などを作れればいいのですが...申し訳ございません先輩。知識としてあっても、私には厨房の経験がいかんせん少なく...」

 

【いつかマシュの作った味噌汁を飲んでみたいな】

 

【ブリタニア料理以外なら大体食べれる】

 

「お心遣いありがとうございます、先輩。いつか先輩に胸を張って提供できる料理が作れるよう、私頑張ります!」

 

マシュと話をしていると、ふと食堂にはいる人影を貴方は見かけた。よく見るとそれは赤い軍服を着た女性であることがわかり、貴方もよく知る人物、サーヴァントの一人だった。

 

「あっ、あそこにいるのはナイチンゲールさんですね。さすがに看護婦ということもあって朝は早いようです」

 

マシュもナイチンゲールを見つけ話題にすると、話が聞こえたのかナイチンゲールはこちらへと歩みを寄せてきた。

 

【おはよう、ナイチンゲール】

 

【朝早いんだね】

 

「おはようございます、マスターにマシュ。えぇ早起きは清潔な体の基です。清潔な体はよき健康習慣からといいます。貴方たちも心がけるよう、気を付けなさい」

 

「はい! ご忠告ありがとうございます。ナイチンゲールさん」

 

「...いえ、出すぎた失言でしたね。規則正しいマシュと、そんな彼女にお世話をされているマスターに心配する必要はないようです」

 

【お世話って...】

 

【マシュのおかげで元気を維持してます】

 

「私が先輩をお世話なんて...恐れ多いです...」

 

照れ顔になるマシュを見ながらあなたはホッコリしていると、エミヤが盆を両手に持ちながら現れた。

 

「待たせたな。今日の朝食だ。むっ、ナイチンゲールもいたか。少々待ってもらえるか。すぐにそちらの分も用意しよう」

 

「お構い無く、Mr.エミヤ。私はサーヴァントの身。食事は娯楽にすぎません」

 

「ほう。清潔な体は良き健康習慣からではなかったのかね?」

 

「盗み聞きとは、はしたないですよMr.」

 

エミヤの言葉に少し眉をひそめ咎めるナイチンゲール。基本的に真面目で秩序的な二人だが、エミヤの皮肉屋な部分とナイチンゲールの頑固な部分が時折ぶつかってしまうことがあることを貴方は知っていた。

もちろん、エミヤの方はからかっているだけだということも、貴方は気づいている。

 

【ナイチンゲールさんも一緒に食べましょう】

 

【エミヤの料理はすごく美味しいですよ】

 

「...そうですね、マスターからの頼みでしたら仕方ないですね。Mr.エミヤ。私にはレーションをお願いします」

 

「残念ながらここにそんなものはない。マスターたちと同じもので我慢しろ」

 

貴方が取り持つと、ナイチンゲールは怒気を潜め同じ席へと着く。

すぐにナイチンゲールの分の朝食が届くと、貴方たち三人は話をしながら楽しく朝の食事を楽しんだった。

 

 

ーーーーー

 

 

「マスター、連絡がある。至急管制室へと来いと、あの希代の天才画家からだ。私も共に向かおう。あの様子だとおそらく特異点関連だろう」

 

「ですがエミヤさん。それだとこれから来るであろうハラペコサーヴァントたちの料理は...」

 

「案ずるな、すでに猫のほうの玉藻に連絡してある。いざとなればブーティカも手伝ってくれるだろうさ」

 

「なら安心です。ダ・ヴィンチちゃんのところへ急ぎましょう」

 

マシュの言葉に頷き、あなたとマシュ、エミヤは食堂をあとにする。

 

「しかし人理を修復したというのにいまだに特異点が発生するとは。まったく世界と言うものは何度危機に立たされれば気が済むのやら分からないものだ」

 

「そうでした。エミヤさんはその在り方として何度も世界の危機に...」

 

エミヤの英霊としての在り方を思い出したマシュは物憂げな表情を浮かべる。

 

「そう大したものではない。私がしてきたことは言葉にするにも足りないただの掃除屋稼業。マスターたちが行ったことに比べればしがないものさ」

 

【そんなことはない】

 

→【後悔しているの?】

 

「後悔か。そのような思いも抱いた時期もあったが、今の私は答えを得ている。何、マスターが心配することもない」

 

そう言うとエミヤ我先にと歩き出した。堂々と歩く彼の背中こそ、彼の得た答えの一端なのかもしれないと貴方は感じた。

 

「答え、ですか。私はまだ、エミヤさんのいう自分の納得しうる答えに出会えていないのかもしれません」

 

貴方がエミヤの背中を眺めていると、隣にいるマシュが伏し目がちに話し出した。

 

「私は時間神殿の闘いでデミサーヴァントとしての力を失いました。私にはもう先輩を守る力はありません。そんな私が、これからどうやって先輩のお役にたてるのかわからないのです」

 

マシュの悩みに貴方はふと考えた。彼女はもともと争いの苦手な少女だ。そんな彼女が前線に出られないことをとても悔やんでいる。それは貴方を守りたいという思いから来ていることに貴方は嬉しく思うと同時に、マシュの苦悩を解決してあげたいとも思った。

 

【マシュは戦いたいの?】

 

「戦いたい...いえ、それは違います。うまく言葉にできないのですが、私はただ先輩を守りたいのだと思います」

 

貴方の問いにマシュは真っ直ぐな眼差しで答える。

 

【じゃあ守って】

 

【もう守られてるよ】

 

「えっ、でも私は先輩に何も...」

 

貴方の言葉にマシュは困惑した表情を見せる。

 

【帰ってきて笑顔で迎えてくれれば】

 

【それだけでもう守られてるよ】

 

「先輩...はい分かりました。今回の任務の帰還後も、しっかりとお迎えさせていただきます!」

 

マシュのしっかりとした返事に貴方は満足し、マシュの手を取り先に歩くエミヤを追うべく駆け出す。その間、マシュの面持ちは先ほどと違い笑顔であったことに貴方はとても幸せを覚えたのだった。

 

 

ーーーー

 

 

「ーーー来たぞ、ダ・ヴィンチ。さて、用件を伺おうか」

 

カルデアの要所である管制室のドアが開くと、開口一番にエミヤは現在のカルデア最高責任者代理であるかの天才芸術家の名を呼ぶ。そしてその声に答えるように管制室の奥より誰かが現れた。

 

「やあやあ諸君。よくぞ集まってくれた。エミヤくんまで付いてきてくれたのは嬉しい予想内の誤算だけどね」

 

澄んだ声で挨拶を返すこの美女だが、彼女こそ稀代の天才芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチ当人であることはこのカルデア内でまかり通っている常識のひとつである。彼女ないし彼は自身が出会ったなかで最高の美女を描くに止まらず、自身の姿にするという暴挙に至り、このような霊基になってしまったという。

 

【おはよう、ダ・ヴィンチちゃん】

 

「うん、おはようマスターくん。朝は早いが元気満々で何よりだ」

 

貴方の挨拶にダ・ヴィンチは満足そうに頷く。

 

「おはようございます、ダ・ヴィンチちゃん。単刀直入ですが御用とはいったいなんでしょうか?」

 

「そうだね。説明するよりまずは見てもらった方がいいだろう」

 

マシュの問いに対してダ・ヴィンチは答えるより早くコンソールを叩き、映像を出した。

 

「これは...」

 

貴方たちの眼前に出された映像(ホログラム)に貴方のとなりにいたマシュは思わず声を出す。その映像には立体化された地球が写っていたが、一部分に限り貴方の知る地球と違う部分があったのだ。

 

「これは、シバによるカルデアスの観測結果か?」

 

映像にたいしエミヤが疑問を投げる。

 

「実際には違う、と言うべきだろうね。確かにこれはシバが観測した座標だけど、位相の数値が正常のそれとまったくのデタラメだ。おそらく実際のこちらの世界とは異なる世界をシバが観測してしまった、すなわちエラーであると私は考えている」

 

エミヤの問いに淡々と答えるダ・ヴィンチだが、その表情はいつもと違いどこか曇りがちになっていることに貴方は気づいた。

 

【エラー?】

 

【そんなこと今までなかったのに...】

 

「その通り。シバ、及びカルデア全体の設備は世界全体がかかったとしても敵わない最高の演算能力と最高のエンジニアと、なによりこの私がついている。つまりエラーなんてものは起こりうるはずはあり得ないんだが。しかし実際ご覧の通り、シバはこの観測結果を生み出した。それはすなわちここに映る地球はいずれこの世界が至る未来の可能性そのものであるということさ」

 

「すなわちここに映る()()()()は、この世界の未来の日本であるということなのだな?」

 

エミヤの言葉にダ・ヴィンチちゃんはゆっくりと頷いた。

そう。エミヤが言った通り、貴方の眼前に浮かぶ地球の映像ではおよそ日本列島と思われる場所が赤く染まっているのだ。それはいつか見た、炎に包まれた眩い太陽のような赤ではなく、見たものを引き込むような、深淵のごとき朱色であった。

 

「本当に...赤いです。見てるだけで足がすくむほどに...」

 

【嫌な色だね...】

 

「詳細は追って確認中だが、おそらく君たちの想像通りこれは血の色と見て間違いないだろうよ。まったく悪趣味にもほどがあるね」

 

ダヴィンチは呆れたとばかりに嘆息をつき、首を横に降る。貴方はその姿だけでも絵になるものだと感心していると、またもエミヤがダ・ヴィンチに質問を投げた。

 

「これによるこの世界への影響はあるのか? 見る限りではただ事で収まりそうもないが」

 

「分からない、というのが今のところの答えさ。なにしろ観測した位相があり得ない数値なのだから、演算しようにも公式がない。本来ならこのような結果は捨て置くのが常識的な判断なのだろうが...」

 

ダ・ヴィンチはそこで一度言葉を切ると、貴方に顔を向ける。ダ・ヴィンチがなにを言いたいのかわかっている貴方は返答するように笑顔を見せた。

 

「...まったく、マスターくんもたくましくなったね。そうとも。私たちはこれまで()()()()()を数多く経験してきた。ならば今回のこの異変とも言えない異変も、何もないなんてことはありえない、つまりは修復すべき特異点であるということさ」

 

「...ダ・ヴィンチちゃん、それは...」

 

マシュもダ・ヴィンチが言いたいことを理解したようで、悲しげに目をうつむかせた。

 

「マスターくん。これは今までのグランド・オーダーやレムナント・オーダーとはまったく関係ない、もしくは杞憂で終わるかもしれない特異点調査になるが、行ってくれるかい?」

 

【もちろん!】

 

力強く貴方は返答すると、ダ・ヴィンチは困ったような笑みを浮かべた。

 

「うん、お願いしているこっちが申し訳なくなるような気持ちのいい返事だ...本当にごめんね」

 

【謝らなくていいよ】

 

【やりたいからやるだけだから】

 

本当に申し訳なく思っているのだろうダ・ヴィンチに貴方は気にしないようになんでもない素振りとともに言葉をかける。稀代の天才芸術家も、人並みの罪悪感を抱えることを貴方は知っているからだった。

 

「そうかい。なら私たちも、君が安心して調査し、無事にここへ帰られるようにサポートに尽力しよう。マシュ、君もね」

 

ダ・ヴィンチは貴方の思いに答えるように返事をすると、マシュの方へ視線を向けた。マシュもその視線の意味を理解し、目を伏せながら答えた。

 

「はい、今回も私は先輩とともに前線に出ることはできませんが、でもしっかりと先輩をサポートさせていただきます。それで...」

 

「それで?」

 

いつもと調子の違うマシュに怪しんだダ・ヴィンチは返答を促す。するとマシュは笑顔を浮かべ貴方の顔を見つめ言葉を放った。

 

「先輩に、おかえりなさい、と迎えさせていただきます」

 

【うん、よろしく!】

 

マシュの笑顔につられて貴方も笑顔でマシュに言葉を返す。そうだ、彼女の迎えてくれる姿があるから、自分は危険な亜種特異点でも戦い続ける意思を持てたのだと、貴方は決意を新たにするのだった。

 

「まったく、教え子というものはして私の知らないところで育っていくものだね」

 

「君は特にマスターたちの師匠というわけでもないだろう。ところでダ・ヴィンチ。私は今回、マスターの護衛ということで同行すればよいのだろうか?」

 

「そうとも。しかし今回の特異点調査はそのあり方から全てが未知数であると言える。だから君たちが来るまでに、もう一人サーヴァントを読んでおいたよ。もうそろそろ来るはずだけど」

 

ダ・ヴィンチの言葉に答えるように、貴方たちの後ろの官制室の扉が開く音が聞こえた。貴方が振り替えると、そこにいたのはさきほど食堂で出会ったサーヴァントの一人であった。

 

「ごきげんようダ・ヴィンチ。ナイチンゲール、召還命令に応じここに来ました。御用とはなんでしょうか?」

 

「やぁ来たねナイチンゲール。マスターくん、彼女には私から説明しておくから準備をして来るといい。なに、彼女の性格から断ることはないだろうし揉めることはないさ」

 

【そうだね】

 

【それじゃよろしくお願いします】

 

「あぁ、任せたまえ!」

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「今回のレイシフトは未知数が多い点で今までのものと比べようもない危険が潜んでいる可能性がある。だからこれだけは覚えておけ。いざというときは世界なんてものは放っておいて逃げてもいいんだ、ってな」

 

【大丈夫だよ】

 

【皆がいるから安心できる】

 

レイシフト前の準備中、貴方はカルデア職員のなかでは貴方と交流のあるムニエルと話をしていた。

 

「ホントに分かってんのかねぇ? お前に何かあったとき、誇張なく俺らはマジで泣き叫ぶぞ。分かるか? 大の大人が外聞気にせず泣くところなんて想像したくもないだろ?」

 

【それは確かに...】

 

→【ムニエルって人の目とか気にしたことあるの?】

 

「失礼な!すこしぐらいは気にするさ! ...だからまぁ、必ず無事に帰ってこいよ」

 

【もちろん!】

 

【心配してくれてありがとう】

 

「まったく本当に分かってんのかねぇ...ほら、準備OKだ。お前の後輩に挨拶してこい」

 

身体調査を終えたムニエルは貴方の背中を押しマシュの方へと向かわせた。貴方はムニエルの気遣いに頭を下げてお礼しながら自信を慕う後輩の下へと足を運んだ。

 

「先輩、準備は終わりましたか?」

 

【オールオッケー】

 

【皆に任せっきりだった】

 

「それはよかったです。ナイチンゲールさんの方は今回の件を快く引き受けてくれました。エミヤさんが一緒にいることには少し眉をひそませていましたが」

 

【あの二人なら大丈夫だよ】

 

【きっとなんとかなるさ】

 

心配そうに言葉を紡ぐ後輩に貴方は安心できるように声をかける。

 

「そうですね。あの二人はなんだかんだと言っても波長が会いますのできっと大丈夫でしょう...それで先輩、お話があるのですが...」

 

マシュのただならぬ雰囲気に貴方は疑問に思った。そこ雰囲気はまさしく彼女がこれから一世一代の偉業を成し遂げようとしているそのようなものであったのだ。

 

「さきほどエミヤさんから伺ったのですが、日本には迎える際の挨拶の他に送るときの挨拶もあるようで、あの、差し支えなければ私にもその言葉を...」

 

【マシュ】

 

「はっ、はい先輩」

 

言い澱むマシュの言葉を切り、貴方はどこまでも愛しい後輩に一言、言葉をかけた。

 

【行ってきます】

 

「...! はい先輩! いってらっしゃい!」

 

マシュの眩しい笑顔を見ながら、貴方はムニエルの言葉を思い出した。逃げたければ逃げてもよいという助言は確かに心惹かれる提案だろう。しかし、貴方はこの後輩を残して自分だけ逃げることはできないと、改めて心に誓うのだった。

 

 

ーーーーー

 

 

「さぁマスターくん。準備はいいかな? ブリーフィングでも言ったように今回の特異点は未知数が多すぎる。危険と判断した場合はこちらで強制的に帰還できる準備も整えておこう。その上で君たちにはこの未知の特異点の探索をお願いしたい」

 

【了解!】

 

【任せて!】

 

ダ・ヴィンチからの最終確認を聞きながら貴方は大きく返答する。すでに貴方はコフィンにて準備を終えており、いつでもレイシフトに出られる状態であった。他のサーヴァントに関しても同じであろうと貴方は予想している。

 

「覚悟はいいね? さぁ行ってらっしゃい。願わくば君に幸あらんことを祈ろう」

 

ーーーアンサモンプログラム スタート。

霊子変換を 開始します。

 

聞きなれたアナウンス音声が貴方の耳に伝わる。そして次の瞬間には貴方の視界は白い光に包まれ、体に重さがなくなったかのようなレイシフト特有の感覚に陥った。

 

次に視界が開いたとき、自分はいったいどんな景色を見ているのだろうか。そんなことに思いを馳せながら、貴方はレイシフトに身を任せたのだった。

 

 

ーーーーー

 

 

腹が減った。

 

感じることはそれだけだった。悲しいとか、寂しいとか、怒りとかつまらないとか楽しいとかくだらないとか怖いとか。

 

そんな感情が表れることもなく。

 

ただ生理的に、動物の本能的に腹が減る感覚だけが体のなかに伝わっていくことが分かった。

 

じゃあ何か食べに行こうかと足をあげれば。

 

隣にいた二体の怪物が自分の後ろについてきた。

 

この二体がどんなやつなのか自分は知らない。

 

ただこいつらだけ他のやつと比べ自分によく付き従うことだけは知っていた。

 

特に不便はないし放っておいたがそろそろ名前ぐらいつけてもいいかもしれない。

 

ただやはりそんなことよりも。

 

この空腹を収めることが優先すべきことなのだろう。

 

あぁそれにしても...腹が。減ったなぁ...

 

 




次回、血とか内蔵とか出る
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