亜種特異点:EX 人害怪因地区 アマゾン   作:16:25教

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ナイチンゲール

???


第4節 DEAREST DUSTS 3/3

多数のアマゾンたちが押し寄せてきている。

 

エミヤからそんな念話を受けた貴方は眠気眼を一気に覚醒させて、いまだ回復しきっていない人々たちを避難させるために動いた。

エミヤへは弓による狙撃で時間を稼ぐように頼み、貴方は人々をどこに避難させるか考える。平屋では戦闘に巻き込まれる恐れもあり、外ではアマゾンたちの格好の餌になる。ならばと貴方は人々を地下室へと誘導した。もちろんあの惨状の元に戻ることを人々、さらにナイチンゲールさえも渋ったが、命に変えられるものはないと貴方は諭し、彼らを納得させてなんとか連れていくことができたのだった。

 

そして現在。屋上からアマゾンたちを迎え撃っているはずのエミヤを援護するために、貴方とナイチンゲールは屋外へと走った。その時貴方ははじめて、エミヤと念話で連絡がとれないことに気づいた。

 

「交戦中の可能性もあります。ひとまず状況を確認しましょう」

 

ナイチンゲールの言葉に貴方は頷く。しかし、貴方はとても大きな焦りを感じていた。急いでエミヤのもとへと向かわなくてはいけない、そのような焦燥感があったのだ。

そして貴方たちが平屋の外へと出た時、その懸念は当たっていたことに気づいたのだった。

 

外に出た貴方たちの目に、一匹の怪物、アマゾンに胴体を切り裂かれているエミヤの姿が映っていたのだ。

 

【エミヤっ!!】

 

信じられない光景を前に、貴方は叫ぶことを抑えられなかった。皮肉屋な部分もあるが、いつも人の心配をしている根の優しい彼がうちひしがれた姿に貴方は、感情を抑えることが出来なかったのだ。

しかしその叫びに答えたのは赤い外套を着た彼ではなかった。

 

「ーーーあんたか。カルデアのマスターって奴は」

 

エミヤの体を切り裂いた下手人、鷹山が変身したアマゾンアルファの姿に酷似しているそのアマゾンは、エミヤの胴体から腕の刃を引き抜くと、静かに貴方に尋ねた。

 

【エミヤから離れろ!】

 

【そこをどけ!】

 

しかし貴方はアマゾンの問いに構わずに怒声を放つ。アマゾンは貴方の様子に呆れたように首を振り、小さくため息をはいた。

 

「無駄だ。こいつは既に詰んだ。もう助からなーーー」

 

「ほう、誰が詰んだと?」

 

何っ、とアマゾンーーーシグマが言い終える前にその腹に鋭い蹴りが放たれる。完全に不意を突かれたシグマはその蹴りをまともに受け、後方へと吹っ飛ばされた。

しかしシグマはすぐに空中で体制を立て直し、片膝で着地し、自分を蹴り飛ばした赤い弓兵を見やる。

 

「何故だ。お前は完全に詰んだはず」

 

「英霊を甘く見るなよ下郎。なまじ地獄を見てきたわけではない」

 

シグマが見つめる先には自らが切り裂いた腹の傷を負い、全身がボロボロになりながらも立ち上がる弓兵の姿があった。しかしその腹の傷は、シグマが想定した手応えよりも幾分か小さいものであったのだ。

 

【エミヤ!!】

 

【無事でよかった!】

 

貴方もまた、エミヤの立ち上がる姿を見て涙目になりながら喜びを示す。

そんな貴方の姿を横目に見て、エミヤは腹の傷を押さえながら自嘲ぎみに小さく笑いをこぼす。

 

「ふっ、なんだそれは嫌みか。どう見ても無事ではなかろう。辛うじて致命傷を避けられただけなのだからな」

 

エミヤがあの窮地から生き延びることが出来た理由。それは彼の持つスキル、心眼(真)のおかげであった。修行、鍛練により培ったその洞察力により、彼はシグマの猛攻の最中、瞬時に生存するための最適解の行動をとり、ダメージを最小限に抑えたのだ。そのため、シグマの最後の攻撃を浅く抑えることができたのだった。

しかしそれでも受けた傷は深く、エミヤが押さえる腹からは今もなお血が流れ続けていた。

 

「患部を見せてください。すぐに処置します」

 

あなたとナイチンゲールはエミヤの近くへと寄る。その際、腹から血をながし続けるエミヤの姿を見てナイチンゲールが応急処置を促した。しかしエミヤはナイチンゲールの行動を手で遮った。

 

「そんなことは後でいい。それよりも今は自分をシグマと呼んだ、あのアマゾンの対処が先だ」

 

【シグマ...?】

 

【あの姿、鷹山さんのようだ...】

 

エミヤの言葉に、貴方は今度こそシグマの姿を冷静に眺める。体色は違えどその姿や形、なによりも腰に巻いているベルトから、貴方は真っ先に鷹山仁の存在を思い出した。

同じベルトをした人物が二人いるという事実に、貴方はこれが大きな手がかりになると踏み、警戒を高めた。

しかしそんな深刻な雰囲気のなか、その空気を壊すものがいた。ナイチンゲールだ。

 

「患部を見せなさいと言っているのです! 処置を後回しにすれば傷口から雑菌が混ざり化膿する恐れもあります! すぐに洗浄、殺菌を!」

 

「ええい、サーヴァントが化膿などするものか! こんなときまで狂化属性を持ち出すのはやめろと言っているだろうに!」

 

エミヤの傷をどうしても見逃せないナイチンゲールは、手に持つ水と消毒液をかぶせようと無理矢理エミヤの腹にしがみつこうとしていた。そんな彼女を、エミヤは頭を掴むことで止めさせようと力を入れる。

筋力ステータスの差からどっちが優勢かは丸わかりであったが、貴方はそんな二人を見てあーもうめちゃくちゃだよと頭をかくしかなかった。

 

『三人とも、コントなんかしている場合じゃないぞ! あのアマゾンは魔力を含んでいる! 紛れもないサーヴァントだ!』

 

崩れた空気の中カルデアから通信が入り、珍しくかなり真剣な顔のダ・ヴィンチの姿が映る。さらにその口から驚くべき事実も告げられたのだった。

 

【アマゾンのサーヴァント!?】

 

【サーヴァントのアマゾン!?】

 

ダ・ヴィンチの発言に貴方は驚きを隠せなかった。なぜならば貴方は、鷹山仁という存在を除いて、これまで魔力のないアマゾンとしか相対してこなかったからだ。

 

「それだけではない。奴はサーヴァントにもあるはずの生者の気配が存在していない。死んでいるはずだが生きている矛盾を持った存在だ」

 

知っているのかエミヤ!、と貴方は振り返ると、そこにいたのはいつものクールな彼ではなく、ナイチンゲールにより消毒液をふんだんにぶっかけられ、腹を包帯でぐるぐる巻きにされた少し残念なエミヤの姿があった。

その横ではナイチンゲールがやり遂げた雰囲気を醸し出しながら救急用具を片付けていた。カオスだった。

 

 

『え、エミヤさんの言う通りです! 今までのアマゾンとはまるで逆で、魔力反応は検知されていますが、生体反応がまったく反応されないです!』

 

マシュがエミヤをフォローするようにシグマの生体反応について貴方に報告する。さらに続いてダ・ヴィンチ回線を挟んできた。

 

『例えるなら魔力で作られたゾンビというところだ。ともかく今まで戦ってきたアマゾンとは一線を画す存在というのは確かだ。気を付けて相手をーーー』

 

と、ダ・ヴィンチが言い終える瞬間。

警告も、前動作も、風切り音もなく、シグマが貴方たちへと腕の刃を向けて切り込んできたのだった。

人間では決して出せないスピードで跳んでくるシグマに貴方は対応できずにいると、襟をナイチンゲールに捕まれて、シグマの攻撃を避けるように横へと引っ張られ貴方は何とかシグマの脅威を脱した。

 

「唐突に仕掛けてくるとは、まったく卑劣なのか合理的なのか」

 

「狩りの場で呑気に喋ってるお前らが悪い」

 

エミヤの煽りにシグマは感情がないような雰囲気を持ちながら答える。貴方が見た喋るアマゾン、ゾウアマゾンを思い出す。下卑た物言いだったがあのアマゾンにも確かに感情は存在していた。しかしそれと比べてシグマからはなにも感じなかった。本当に死人のようだったのだ。

 

貴方は次にエミヤの方を見る。

ナイチンゲールと同じ方向に跳んだエミヤは、シグマに話しかける余裕を見せながらも、しかしその片手は切り裂かれた腹に当てられており、先ほどナイチンゲールが巻いた包帯からは血が滲み出ていた。まだ戦闘に参加できるほど回復しきれていないのは明白だ。

 

「Mr.エミヤ。マスターの護衛をお願いします。その怪我では足手まといです」

 

「辛辣だなナイチンゲール。しかしまことに遺憾ながら事実だ。こいつは任せるぞ」

 

エミヤはそう言うと、ナイチンゲールから貴方を譲り受け後方へと下がる。

その様子を見ながらシグマはなおも感情がない口調で言葉を放った。

 

「いいのか? 俺にかまけていれば大量のアマゾンたちが生き残った人々を食らいに行くぞ」

 

その言葉に貴方はハッと今の状況を思い出し、そして平屋の近くから人間のものではない唸り声が聞こえてくるのに気付いた。

 

『大量のアマゾンたちが建物へと押しかけようとしています! バリケードをしていても何分持つか...!』

 

【まずい!】

 

【あの人たちを助けに行かないと!】

 

マシュの報告から貴方は思わず叫ぶ。シグマの言う通り、アマゾンたちはおそらく真っ先に地下室に逃げ込んだ人たちを食らいに行くだろう。昨日救出されたばかりでまだ回復しきっていないあの人たちでは逃げることなどまず不可能だ。

あなたは人々を助けるために平屋の中へ戻ろうとするが、そこをエミヤに止められる。

 

「ダメだマスター! 今君がここを離れればナイチンゲールへの魔力供給が薄くなる。そうなれば勝ち目はない! 私がアマゾンたちを抑えに行く!」

 

エミヤがそう確信づけるのも理由があった。生物の急所を突き戦うナイチンゲールにとって、本来ならば急所である部分に攻撃を受けようとも動じなかったあのシグマというアマゾンは、おそらく天敵であるからなのだ。ゆえにもしもの時に対応できるようにするためにも、貴方にここから離れないようにさせねばならないとエミヤは考えているのだった。

 

『しかし、エミヤさんもシグマの攻撃によって負傷しています! 大量のアマゾンたちに一人で行っては勝ち目が...』

 

マシュの言う通り、エミヤもまた先ほどの傷により、十全なパフォーマンスができない状態になっている。彼を一人で行かして無事である保証もなかった。

 

「いえ、行ってくださいマスター。ここは私がいかようにでも食い止めます。その間に人々の救出を!」

 

二人の言葉に貴方は悩む。人々を救出するか、シグマを抑えるか。貴方は決められ切れず歯軋りするほど歯を食いしばる中、シグマは興味がなさそうに戦闘体制にはいった。

 

「どっちでも同じことだ。ここで俺に殺されるか、他のアマゾンたちに食われるか。どっちも嫌だったら尻尾を巻いて逃げることだな」

 

その言葉に貴方はシグマを強く睨み付ける。しかし貴方はまだ諦めない。どちらも成し遂げるために貴方が方法を考えようとした、その時。マシュから唐突に連絡が入ったのだ。

 

『先輩っ! そちらの付近にて、新たな霊基反応が現れました!』

 

【次から次へ!】

 

【いったい何者!?】

 

新たな問題に貴方はまた声をあげる。シグマは今にでも攻撃できる体制にある他、アマゾンたちの呻き声が近くなってきている。そのような中での新たな乱入者など、貴方では手も付けられない存在だったのだ。

 

 

『1つはカルデアで確認されている霊基です! もうひとつの方が今そちらに向かっています!』

 

 

マシュの報告と共に、貴方とシグマが対峙している近くの茂みから大きな音を立てて、何かが間に割り込んでくる。

 

唐突の乱入にエミヤが前に出て貴方の盾になり、ナイチンゲールとシグマはその乱入者に向けて警戒を表した。

貴方も同様にその乱入者へと視線を向けた。そこにいたのはーーー。

 

「君が、カルデアのマスターかい?」

 

赤いバイクに跨がった好青年。

 

それがその人物に対する第一印象だった。

モデルでもやってそうなほどに整った顔立ち。汚れた服を着ているが、それでも人に悪印象を与えない物腰で、それでいて幼さを感じる佇まい。普通の道端であっていたならば見入ってしまいそうになるほどにその人物は落ち着いた雰囲気をまとっていた。

ただ、その腰に巻いたベルトを除いては。

 

【そのベルト...鷹山さんと同じ宝具】

 

【あなたはいったい誰だ】

 

貴方は、乱入してきた青年の問いに答えず、そのベルトを見て反対に彼へと問いを投げつけた。しかし青年はそんな貴方の対応に嫌な顔をせず、さらにその問いですべてを察したかのように胸を撫で下ろす。

 

「どうやら合っているようだね...なら間に合って良かった。話したいこともたくさんあるけど、その前に彼をどうにかしよう。あぁ、アマゾンの集団の方なら心配いらないよ。僕の同行者がそちらの方を対応している。いや、やっぱり心配だ。彼女、やり過ぎてしまうきらいがあるみたいだし」

 

貴方の問いに答えず、青年はひとしきり貴方に語りかけると、バイクを降りた。貴方は彼のあまりにも自然とした口調に唖然としているが、青年はそんな貴方を無視しシグマの方へと体を向けた。

かくいうシグマは突然の乱入者に指を顎にあて、頭を傾ける。

 

「おまえ...まさか生きていたとはな」

 

「貴方も、また甦させられるなんて、悲しくはないんですか」

 

「どうだろうな。死んでいなければそう思っていたかもな」

 

二人の会話に、貴方やサーヴァントたちは割り込めずにいる。どうやら二人は顔見知りのようであった。

 

「だったら、ここで決着を付けよう。もうこれ以上悲劇を産み出さないために」

 

青年はそう言うと、ベルトに据えられたグリップを握り、先ほどからの落ち着いた雰囲気から一変した強い口調でその言葉を叫んだ。

 

「おおおぉぉぉ...アマゾンっ!!」

 

[Omega!! Evolu-E-Evolution!!]

 

乱調な機械音とともに青年の体から熱波が放たれる。その様子は、以前に見た鷹山仁の変身する様子とまったく同じだった。

そして熱波が収まり、その中より現れたのは先ほどの青年の姿ではなかった。

 

それは全身を、緑を基調にして彩られた怪物だった。

胸のアーマー部分は黄色く塗られ、腕には生物を傷つけることだけを目的としたような刃が生えている。その顔つきは鷹山仁が変身したアマゾンアルファとは違うものであったが、しかし醸し出すその雰囲気は鷹山のそれと遜色のない迫力であった。

 

「ウゥゥ...」

 

緑色のアマゾンへと変身した青年はシグマへと威嚇するように唸り声をあげて、獣のような体制を取る。対するシグマもそれを向かい打つべく、先ほどと同じように戦闘体制に入った。

貴方はその二体の姿を見て状況を整理し、ナイチンゲールへと指示を出した。

 

【なんかよくわかんないけど...】

 

【敵の敵は味方だからたぶん大丈夫!】

 

「大分適当ですが、この際仕方ありません。緑のアマゾンの方を援護します。マスター、巻き込まれないように気を付けてください!」

 

 




次回、アマゾンvsアマゾン

誤字報告、話として不自然な点などご報告ありがとうございます。
ご覧の通り筆者は未熟なアマチュアでありますので、また不自然な点などありましたらどうぞご指摘ください。
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