亜種特異点:EX 人害怪因地区 アマゾン   作:16:25教

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スカディを育てていたら遅れてしまいました。だが私は謝らない。


第5節 EAT KILL ALL 2/6

「あらかた仕留めたか...」

 

地みどろの風景のなか、エルドラドのバーサーカーが警戒を緩めずにしかし、状況確認としてふと呟く。

貴方たちは新たに現れた二人のサーヴァントの力を借り、平屋を襲いに来たアマゾンたちを撃退することに成功した。現在の平屋のまわりでは、消滅せずに数多くのアマゾンの屍体が積み重なっている様子だけがあった。

 

「.........」

 

アマゾンたちの屍体を、緑色のアマゾン、アマゾンオメガこと水澤悠は、アマゾン体から人間の姿に戻ると、悲しそうな表情を浮かべて見つめていることに貴方は気づいた。

 

【あの...】

 

【貴方は一体...】

 

水澤悠の醸し出す雰囲気から話をかけづらい貴方であったが、意を決し彼へと言葉をかける。すると水澤悠も貴方の存在に気づき、悲哀を浮かべていた表情を隠すと、貴方に体をむけた。

 

「あぁ。ごめん。気が抜けていたよ。僕たちのことについてのことだよね。さて、どこから説明しようか...」

 

貴方に声をかけられ、水澤悠は顎に手を当て俯きながら考え込む。その様子が、先ほどの荒々しい戦闘スタイルからはとても遠いものであったため、貴方は少し戸惑った。

そんなとき、貴方の通信端末から映像が飛び出る。そこには現在のカルデア責任者代理、ダ・ヴィンチが写りこんでいた。

 

『こんにちは、水澤悠くん。でいいのかな? あぁそっちではおはようございますの時間帯であることは理解しているが、そっちの挨拶に関してではなく、呼び名についてもうひとつの異名で呼ぶべきなのかという意味の疑問系だ。ややこしくてごめんね?』

 

【絶対わざとだ...】

 

【話が長い】

 

ダ・ヴィンチは映像に映り込むと早々に貴方の目の前にいる水澤悠に対してコンタクトをとる。その際天才特有の意味のない話術が発揮されたが、貴方がツッコんだだけにとどまり、水澤悠についてはその通信端末のテクノロジーに目を見開いていた。

 

「この技術、現代の科学ではまだ出来上がっていないものだ...やっぱり聞いていた通りカルデアってところはスゴいんだね」

 

水澤悠の感嘆の言葉に今度は貴方が目を見開き、ダ・ヴィンチは目を鋭くして彼を見る。

 

【カルデアを知っているの?】

 

【エルバサちゃんから聞いた?】

 

貴方が尋ねると、水澤悠は頷く。

 

「うん、少しね。ただ、僕たちの事情を話すと長くなるからとりあえず場を整えたほうがいいと思う。あっ、呼び方についてはどのように呼んでもらっても大丈夫ですよ、お姉さん」

 

『お姉さっ...!?』

 

水澤悠の唐突なダ・ヴィンチへのお姉さん呼称にモニターの向こう側が大騒ぎしていると、ナイチンゲールが貴方の近くに寄ってきた。

 

「失礼しますマスター。状況が終了しましたので地下にいる人々を迎えに行って貰えないでしょうか? 私の方ではMr.エミヤの本格治療をしなければなりませんので...」

 

【うん、分かった】

 

【そっちも気を付けてね】

 

ナイチンゲールは地下に避難してもらった人々のことを心配していたようで、貴方に迎えを頼んだ。貴方は快く頷きつつ、水澤悠に断りを入れて平屋の中へと入ろうとすると、水澤悠と、そしてアマゾンの生き残りを確認していたエルドラドのバーサーカーから言葉がかかった。

 

「よければ僕も手伝うよ。人が多い方がいいと思うし」

 

「私も手を貸そう。話さねばならないことも多くある。些事はさっさと終わらせるべきだ」

 

水澤悠とエルドラドのバーサーカーの提案に貴方は礼を言いつつ、二人とともに平屋の地下室へと向かった。

 

 

―――――

 

 

『さて。人々を地下室から移し、エミヤくんの治療もナイチンゲールのおかげで無事終わった。そろそろ君たちのことについて教えてもらえるだろうか?』

 

為すべき事を終えた現在。アマゾンたちが襲ってきたのが日が顔を出して間もない頃だったが、今はすでに太陽は貴方たちの頂点まで昇っていた。貴方は人々を別室に移し終え、ゾウアマゾンを倒した部屋の中に集まっていた。貴方の横にはナイチンゲールと治療の終えたエミヤが控えており、目の前には先ほどの混乱の中で合流したエルドラドのバーサーカー、そして謎の多い人物、水澤悠が立っていた。通信越しから質問するダ・ヴィンチに対し、最初に口を開いたのはエルドラドのバーサーカーであった。

 

「私から話そう。と言っても、話せることなどあまり多くもないが...その前にマスターよ、ひとまず仮契約を結んではもらえないだろうか?」

 

【いいけど...】

 

【急にどうしたの?】

 

エルドラドのバーサーカーの急な申し込みに貴方は疑問を呈す。

 

「すまない。ここに召喚されてから霊基の調子がとても不安定でな。おそらくマスターたちに会わなければ一日持つかどうかほどだったのだ」

 

貴方はその話を聞き慌てて了承すると、右手に灯る令呪をエルドラドのバーサーカーの前へと出す。

彼女もまた貴方の出した令呪の前に立つと、目を瞑る。そして貴方が契約に必要な呪文を唱えたのち、あなたの中にエルドラドのバーサーカーとつながった感覚が入り込んだ。

 

「―――感謝する。おかげで霊基も安定してきた」

 

【よかった】

 

【どういたしまして】

 

感謝を述べる彼女へ貴方が返事をすると、貴方のあとに続いてダ・ヴィンチがエルドラドのバーサーカーに質問を投げた。

 

『ときにアマゾネスの女王よ。召喚と言ったが、それは魔術師によるものかい? それとも世界から?』

 

ダ・ヴィンチからの問いに貴方たちも気になり、一同がエルドラドのバーサーカーに目を向けるが、彼女は素知らぬ面持ちで首を横に振った。

 

「分からん。が、少なくとも魔術師によるものではないだろうな。私がここに呼ばれた時、目の前に魔術師なるものはいなかった。いたのは私を見てよだれを垂らす、醜い化け物の姿だけだったからな」

 

エルドラドのバーサーカーは苦々しくその時のことを語る。どうやら彼女はあまりこの世界の状況について伝えられずに召喚されたようだった。

その時、通信からダ・ヴィンチ以外の姿が映る。オペレーターのマシュの姿だ。

 

『___確認がとれました。カルデアの方で在ったエルドラドのバーサーカーさんの霊基の反応が消えています。おそらく何らかの介入を受けて召喚の割り込みをされたのだと考えられます』

 

『ふむ。それが世界からの強制力か、はたまた第三者による魔術的な介入か。興味深い案件だが、まぁそれについては後々調査していこう。それで? 隣にいる彼は何者なんだい?』

 

状況を確認しつつ、ダ・ヴィンチはエルドラドのバーサーカーに彼女の隣に立つ青年、水澤悠について尋ねる。それこそ、貴方たちがとても気になっていたことでもあった。

またも視線を集まるエルドラドのバーサーカーだが、しかしその答えはとても呆気ないものだった。

 

「知らん。歩いていたらこいつと出会って着いてきた。それだけだ」

 

彼女の答えに貴方は思わずガクッと肩が下がる。エルドラドのバーサーカーと水澤悠は、先ほどの戦闘中では仲が良さげに話し合っていたのに、エルドラドのバーサーカーは彼に対してまったく興味を持っていなかったのだ。

なんとも彼女らしい答えにダ・ヴィンチすら苦笑いを浮かべて、話の先をエルドラドのバーサーカーから件の青年、水澤悠へと切り替えた。

 

『そうかそうか。では改めて直接聞こう。水澤悠くんと言ったね。君は何者だい?』

 

ダ・ヴィンチの問いに水澤悠は顔を引き締めて答える。

 

「そうだね、色々と複雑だけど...一言で言うのなら僕という存在は、アマゾンのサーヴァント、ということになるんだと思う」

 

『アマゾンのサーヴァント...?』

 

水澤から発せられた単語をマシュが繰り返す。それを聞いて貴方が思い浮かべたのは、昨日出会ったアマゾンであり守護者であった鷹山仁と、その鷹山仁と同じベルトを巻き魔力反応を出していた謎の存在、シグマの二人であった。

 

「アマゾンの来歴についてはもう知っているかい?」

 

【少し程度なら】

 

【鷹山さんから教えてもらった】

 

水澤の問いに貴方は正直に答える。その際、鷹山の名前を出すと水澤悠の顔が見るからに曇っていった。

 

「...そうか。仁さんから...」

 

「鷹山仁についてご存知なのですか?」

 

言葉を詰まらせる水澤に対してナイチンゲールが尋ねた。

 

「あぁ、大分ね...いや、それよりも僕についてのことを話さないといけない」

 

水澤は頭を振ると話を戻し、言葉を続けた。

 

「もう一度話すと、アマゾンはある製薬会社によって創られた実験生物なんだ。だけど実験により産み出されたアマゾンは、事故により社会のなかに解き放たれた」

 

『うん。鷹山仁からもそう聞いている、違いないね。そして鷹山仁はその実験体のアマゾンたちを駆逐するために自らにアマゾン細胞を移植させた、そこまでの話なら彼の口から聞き及んだよ』

 

水澤の談に、ダ・ヴィンチが今知り得ている情報を加味させて繋げる。水澤はそれを理解し、ダ・ヴィンチに続いて口を開いた。

 

「僕はその実験体のアマゾンとも、そして人間の体にアマゾン細胞を移植させた仁さんとも違うアマゾン。アマゾン細胞に人間の遺伝子を移植させたアマゾンなんだ。...そして、正史のなかで最後まで生き残ったアマゾンということになっているらしい」

 

【人間の遺伝子を持つアマゾン...?】

 

【どう違うの?】

 

水澤の話に、貴方は言葉を繰り返す。しかし貴方は水澤悠の話した内容をあまり理解できず、その顔をダ・ヴィンチへと向け、解説を促した。

 

『んー、人以外の存在を取り込んだ人間と、人の遺伝子を得た別存在というものは大分違うものだよ。前者が邪竜を倒し、その心臓を得たジークフリードだとすれば、後者は半神に近い事象だろう。本来合わさらない存在が結び付いた希少な例と言える、ということかな? 水澤くん?』

 

ダ・ヴィンチは一通り喋り終えると水澤悠に回答を求めた。それに対し水澤悠は小さく頷く。

 

「だいたいそのとおりなんだと思います。...僕は母といえる人からその遺伝子を細胞に移植されて生まれた、新種のアマゾンということになります」

 

水澤悠はそう言い切ると顔を少し俯かせる。貴方が隙間から見た彼の表情からは悔しそうな表情が表れていたのが見えた。

そんな彼の様子を見ながらもさらにダ・ヴィンチは水澤悠に質問を投げかけた。

 

『なるほど、君のことについてはよく理解できたよ。でもなぜサーヴァントに?』

 

水澤悠はその問いに俯かせていた顔をあげて答える。

 

「...それは、僕が最後まで生き残ったアマゾンということにより、アマゾン全体の総体としての霊基で現界していいます。人理を覆しかねない反英霊の存在。それがアマゾンであり、僕というカタチとして召喚されるんです。」

 

【それって】

 

【エジソンと同じ感じかな?】

 

貴方の疑問に、通信越しからダ・ヴィンチが返す。

 

『いや、根本としては全く別だね。エジソンは一人では現界できない霊基を大統領たちの知名度も組み合わせることで成り立っているサーヴァントだ。水澤くんの場合は、アマゾンという、人を食べる怪物の霊基を召喚する際に自動的に彼が現れるのだろう。言うならアマゾンの代表的存在は水澤悠である、と座に登録されたのだろうさ』

 

「僕も気づいたときには驚いたよ。と、言ってもアマゾンという存在自体が確立が不安定で召喚されることなんてないはずだったんだけど、今回はとても安定した状態で現界している。多分この惨状が原因だと思うけど...」

 

ダ・ヴィンチの説明に水澤悠が補足して話す。どうやら水澤悠は特殊な霊基によるサーヴァントであるのだと貴方は理解した。

 

『さて、水澤悠くん、君についてはよく理解できたよ。教えてくれてありがとう。しかしここからが本題だ。この世界の惨状、アマゾンによる殺戮について、君が知ることはあるかい?』

 

ダ・ヴィンチの問いに水澤悠は顔を強張らせて返答した。

 

「...いえ、詳しくはなんとも。でも一つ思い当たる節はあります」

 

水澤悠の一言に貴方たちは目を見開く。ここに来てようやくこの世界の謎を解く手がかりを見つけたからだ。

 

「でもこれは、この特異点の()()が分かるだけで、()()にまでは迫れない。ここまでの感染の拡大はあまりにも規模が大きすぎて彼だけでは出来ないはずだから...」

 

しかし水澤悠は意味深な言葉をその後も呟き続ける。貴方はそんな水澤悠へ声を掛ける。

 

【どんな情報でもいい】

 

【今は多くのことを知りたい】

 

「...そうだね。ただ、今から言うことは聞くにしてもとてもつらいものだ。カルデアのマスター。バーサーカーさんから君のことはよく聞いているよ。多くの特異点を回り、この世界を守ったことを。そのうえで君は、アマゾンを殺すことをどう思っている?」

 

『あの、水澤さん。それは一体どういった意図の質問なのでしょうか?』

 

水澤悠の質問にマシュが貴方の代わりに問い返す。しかし水澤悠はマシュの問いには答えず、貴方をジッと見つめ、先程の問答の答えを促していた。貴方はそんな彼の目を見つめながら答えを口に出す。

 

【人を救うために、アマゾンは生かしておけない】

 

【何も知らないままで殺したくはない】

 

貴方の答えに、水澤悠は小さく笑う。

 

 

「―――そうか。君は優しいんだね―――」

 

 

水澤悠は貴方をそう評すると、表情を変えて続いて口を開いた。

 

「アマゾンの増殖。それは僕が生きていた頃にも起きたことがあったんだ。それはある一つの過ちから成り立ってしまった、ある意味で奇跡の存在。僕や仁さんのアマゾン細胞とも異なる、()()()()()()()()()()()()()()第4のアマゾン細胞、溶原性アマゾン細胞が、この事態を起こしていると考えられる」

 

水澤悠が発した話は、奇しくも貴方たちが予想した仮説を裏付けるものであった。




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