亜種特異点:EX 人害怪因地区 アマゾン   作:16:25教

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第1節 ART IS CRUEL 2/3

「ふっ、はっ!」

 

エミヤの二刀が地面より現れた異形の怪物を切り裂く。腕を切り裂かれた怪物は呻き声をあげるが、それでも逃げる様子を見せず、それどころかなおも貴方たちに襲い掛かった。

怪物は前衛に立つエミヤや貴方を守るナイチンゲールでなく、確実に貴方に殺意、いや()()を向けて襲いかかってきていた。

しかし怪物の奮闘は虚しく終わる。

 

「戦っている相手の姿も見えていないとはなーーー。ふんっ!」

 

エミヤの渾身の斬撃が怪物の体を袈裟に切り裂くと、遂に怪物は倒れ、断末魔と共に体を錆びさせるように変色させた。

 

「まったく、なんて生命力だ。ただの魔獣やホムンクルスという訳ではなさそうだな」

 

【お疲れ様】

 

戦闘を終えたエミヤを労うため貴方は彼に声をかけた。しかしエミヤはそれに首肯で返答するものの、いまだ警戒を解くことはしなかった。

 

『気を抜くのは早いよマスターくん。さきほどの戦闘音からその怪物の仲間がその場所に集まってきているようだ。すぐにでも場所の移動をおすすめするよ』

 

「だろうな。こちらからも多くの気配を感じる。マシュ、包囲の甘い部分を教えてくれ。一点突破する!」

 

『はい! すぐに生命反応を検知します!』

 

新たな危機が迫っていることを知り、周囲の警戒体制がさらに引き締まる雰囲気を貴方は感じる。と、そこで貴方はさきほど襲ってきた怪物の方を見ると、ふと違和感を感じた。

 

「私は引き続きマスターの護衛を行います。しっかりとついてきてください...どうしました、マスター?」

 

ナイチンゲールが貴方に話しかけるが、貴方の様子に気づいた彼女は貴方へと質問を投げ掛けた。

 

【怪物がジーパン履いてるから】

 

【変だなって】

 

「何を馬鹿なことを言って...確かに履いてますね。いえ、それどころではありません。すぐに移動しますので、走る準備をお願いします。でなければ無理にでも担がせていただきますよ」

 

【ごめんなさい!】

 

【さぁ急ごう!】

 

ナイチンゲールに急かされた貴方はすぐに気持ちを切り替え逃げる準備を整えた。彼女を怒らせると怖いのは、第5特異点でのことで貴方は理解していた。

 

『東の方角で逃走ルートを作りました! エミヤさん、道中の敵をお願いします!』

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「なんとか逃げ切ったか。しかしどの怪物もマスターに向かって血眼で襲いかかってくるとは。マスターからしたら肝を冷やしたことだろう」

 

【少し怖かったけど】

 

【二人がいたから無問題】

 

公園から抜け出し、貴方たちは市街地の古い家屋の中に隠れた。エミヤの言ったとおり、道中では多くの怪物達がサーヴァントに構わず貴方にむかい襲いかかってきたので、護衛のナイチンゲールの負担は大きかっただろうと貴方は思う。

 

「それこそ問題ありません。むしろターゲットがマスターに絞られていたおかげで、怪物たちの動きも単調になり対処が楽であったと感じています」

 

「ふむ、では今後はマスターを囮にして戦闘を行ってみるか」

 

【それだけはやめて!】

 

【マスターとして戦うの当然(ガクブル)】

 

「冗談だとも。真に受けるな。さてダ・ヴィンチ、そろそろ聞かせてもらえるか。あの怪物の正体を」

 

危機から脱出した貴方たちは冗談を交えた会話ができる程度には心の余裕を取り戻していた。大分和らいだ雰囲気のなか、しかしエミヤは本題に移り、立体映像に映るダ・ヴィンチへと話しかける。

 

『うん、正体ね。分からないんだ』

 

「何、分からないだと...」

 

『あぁ、分からない。先ほど君も言ったとおりあんな形状の魔獣やホムンクルスは存在しない。合成獣や死徒の可能性もあるが、あんなに増殖してその世界の魔術協会や聖堂教会が見逃しているわけがない。そしてなによりも...』

 

【なによりも?】

 

ダ・ヴィンチの思わせぶりな言葉の引き方にあなたは聞き返すと、ダ・ヴィンチとは別の立体映像からマシュの姿が出てきた。

 

『それは実際にモニターしていた私から報告します。先輩たちが交戦したあの怪物たちですが、こちらからの反応では魔術による作用は一切なく、その存在は人間や動物と同じような熱源反応のみでした』

 

【あの怪物が...】

 

【ただの動物だっていうこと?】

 

『そういうことさ。不思議だろう? 普通の生物ならば敵うはずもないサーヴァント相手に、取っ組み合いすらできるようなあの怪物たちは、実は君と同じように自然界により生まれた生物なのだということさ』

 

貴方達を襲った異形の怪物が、まさか神秘の欠片も含まない存在であることに貴方は驚きつつも、貴方は新しい疑問を思い浮かんだ。

 

【今回の特異点の原因って】

 

【あの怪物たちのこと?】

 

『おそらくはそうだろうね。君たちを追っていたのは十数体程度だったが、その世界の日本にはさきほどの怪物がごまんと存在するだろうね』

 

【日本?】

 

【場所が限定されているの?】

 

貴方の問いに答えてくれたダ・ヴィンチだったが、その言葉のなかの一言に貴方は新たな疑問を抱いた。その言葉に答えてくれたのは貴方のとなりにいたエミヤであった。

 

「シバの観測結果を思い出してみろ。あれでは血まみれになった部分は日本地区だけだ。おそらくやつらに国外に出るまでの飛行、航行能力がないか、もしくは他国が日本の惨状を知り封鎖を行っているかのどちらかだろう」

 

エミヤの言葉を聞き貴方はあぁ、と納得する。あの怪物たちはこの日本に現在閉じ込められているということになるのだろう。

 

「この状況ならば、生存者の存在にはあまり期待は持てないようですね...」

 

ナイチンゲールは眉を少し下げながら、しかし淡々と状況を確認する。彼女の生前の立場を知っている貴方は彼女の心境を慮るが、きっとこれを本人に言えば叱られるため、貴方は口に出さずに心にしまった。

 

『さて、あの怪物の正体は後々考えるとして、先ほどと状況は変わったがやることは変わらない。とりあえず霊脈を探し、召喚サークルを確立させよう。そんな場所ではおちおち作戦会議も出来ないだろう』

 

「そうだな。出来れば紅茶を落ち着いて飲める空間を持ちたいが、そちらの方では既に霊脈を見つけているか?」

 

『はい、そちらからさらに東の方角の採石場で霊脈の流れを感知しました。今マップを送ります』

 

マシュから送られたマップを貴方も覗き場所を確認する。そこは拓けた採石場であり、身を潜めにくそうなところであったが、同じくマップを見るエミヤとナイチンゲールは気にしていないようだった。

 

「拓いた場所だが、崖や凹凸地帯も多い。アーチャーである私にとっては独壇場になる良い場所だ」

 

「はい、周りに遮蔽物になる樹木や家屋もありません。高台をとれれば、こちらからは守りやすく監視もしやすい良い立地です」

 

【それじゃここを目指そう】

 

【レッツゴー!】

 

新たな目的を見つけ、貴方は気合いを入れるために音頭を取る。あいにくこの場にはノリのよいサーヴァントはおらず続く言葉はなかったが、知った上での行動だったため貴方は特に気にしなかった。

 

「さて霊脈に向かうにあたってだが、例の怪物たちはこの周辺ではどのように群がっている?」

 

『はい、所感ですが群がるというより所々に点在しているという感じです。いくつかで複数の生命反応を感知していますが、そのルートを避けて向かえば、安全性は確保できるかと』

 

「...こちらを探し回っているということか」

 

『彼らが人間を食う食欲の怪物であるのならば、協調性等はないと考えられるけどね。十分な警戒体制で臨んでくれ』

 

ダヴィンチのその言葉を区切りに、貴方たちは今いる家屋を撤収する準備を行った。エミヤが外の安全を確認すると、貴方とナイチンゲールはそれに続き家屋の出口に向かう。

 

だがその時、貴方は天井が軋む物音を耳にし、足を止めた。

 

【何だろう?】

 

【ネズミ?】

 

足を止めた貴方は音のする方へ顔をあげる。よく見ると軋む音と共に塵が天井より落ちてきた。貴方の前にいたナイチンゲールはマスターである貴方の様子に気づき、その視線を同じく見る。

 

「っ!! マスター!!」

 

「■■■■■■ーーーっ!!!」

 

異変に気づいたナイチンゲールが貴方に声をかけたその時、家屋の天井から貴方に向かい怪物が大口を開けて飛び出して来たのだったーーー。




次回、伝説のあの男登場
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