亜種特異点:EX 人害怪因地区 アマゾン   作:16:25教

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第3節 CURSE OF BIRTH 1/3

『鷹山さんが...守護者...!?』

 

鷹山仁が放った衝撃の事実に、立体映像の奥でマシュが驚く姿を見せているのを貴方は視界に入れた。

しかし、貴方自身も少なからず衝撃を受けていた。今回特異点に連れてきた2人のサーヴァントのうち一人も、彼と同じ守護者であったからだ。

 

『なるほど。しかし分からないな。守護者というのは君も言った通り、授かる力と引き換えに世界の奴隷となること。死後の安寧を捨て、ただひたすらに人の歴史の妨げとなる存在を始末する掃除屋を引き受けることだ。そんなデメリットを背負ってまで君は何を望んだんだい?』

 

ダ・ヴィンチが守護者について語り、それを以て鷹山に尋ねる。そこまでしてこの男が何をしたかったのかを。

 

「...この姿になってから俺はな、ろくなことしてこなかった。守りたいもん見捨てて、関係ないやつ巻き込んで、愛したやつらをこの手で殺していった。そんなことなんで続けたと思う? 全部俺のせいだからだよ。もとはといえばあいつら産み出しちまった俺が原因だからだよ。だからよ、何失おうが、命尽きるまでは精一杯やろうって決めてたんだよ」

 

鷹山は口を開くと自身の感情を吐露させながら、しかし幽鬼のようなうごきをしながら貴方に近づいてきた。貴方の後ろにいるナイチンゲールは咄嗟に貴方の前に出ようとするが、貴方は手でナイチンゲールの行動を制した。

鷹山はなおも話続ける。

 

「そんで、アマゾンたち殺してるうちにやっと俺も死ぬことができたさ。ただいまって言うことも出来た。嬉しかったさ!...だがすぐに未練が残った」

 

鷹山が座布団に座る貴方の前に立った。

 

「俺が死んだあとも、アマゾンたちは生き残っていた。そいつらが社会のなかで、また人間を食うかもしれない。そう思ったらおちおち死んでられもしねぇって考えちまった」

 

鷹山が座る貴方の視線に合うようにしゃがみこむ。

 

「だから世界と契約してやった。もともと死後の安寧なんて偉そうなもん俺が持てるわけがねぇからな。そんなもんに興味はなかったさ...おい、ダ・ヴィンチとかって奴。何を望んだとか聞いたな。教えてやる。アマゾンを殺させろ。俺が世界に言ってやったのはそれだけだ」

 

そして話をそこで区切らせた鷹山は、おもむろに貴方の胸ぐらを掴むと、無理矢理立たせ壁に打ち付けた。

 

『...っ! 先輩!』

 

「てめぇはどうだ? この有り様を見ただろう。人間として、どうしたい? どうするべきだと思う? アマゾンたちはどうならなければならないと思う? おい、なぁ!?」

 

【ぐっ!】

 

【そ、れは...】

 

鷹山は貴方に問いかけ、詰め寄り、大声をかける。その迫力に対して、貴方は言葉に詰まってしまう。

貴方はわからなかった。鷹山から話を聞き、先ほどまで自分たちを狙ってくる正体不明の化け物だと思っていたあれらは、確かに人間の敵である生命体であることを貴方は理解していた。しかしこの鷹山のこの迫力により、アマゾンという存在はそれだけではない()()があると、貴方は感じてしまい言葉を引き出せなかった。

その時、鷹山のこめかみに何かを当てられた音が聞こえた。

 

「そこまでです、鷹山仁。それ以上の暴挙は見逃せません。すぐにマスターから離れなければ、私はためらいなく引き金を引きますよ」

 

鷹山のこめかみに当てられていたのはナイチンゲールが所持するピストルの銃口であり、ナイチンゲールもまたいつでも銃弾を発射できるように引き金に指をかけていた。

鷹山は一瞬の沈黙のあと、貴方から手を離し貴方の側から離れた。

抑えこまれていた胸ぐらが解放され、貴方はへたりこんでしまう。そばにはすぐにナイチンゲールが来てくれて、貴方の脈拍などを測ってくれた。

 

『先輩! 大丈夫ですか!』

 

貴方を慕う後輩も、貴方の状態を見て心配したのか大きな声で呼び掛けた。

 

「悪いな、興奮するとすぐこうなっちまう性分でな。こっちでも抑え込めないから、次なんかあったら遠慮なく殴りかかってくれていいぞ」

 

「言われずとも、次はありません。同じようなことが起きれば今度は警告なしにその脳幹を抉ります」

 

鷹山は一応の謝辞を述べるが、ナイチンゲールはその怒気を潜めようともせず、鷹山に次はないと言い渡す。鷹山もその答えに満足したのか、笑顔でナイチンゲールに返答を示した。

 

『ふむ、鷹山仁。君、狂っているね。精神汚染の類のスキルを持っているようだ。なるべくこちらも言動に気を付けるとしよう』

 

「あぁ、それがいいだろうな」

 

鷹山は素っ気なく答えると自分のもとの位置に戻り座布団の上に腰を落とした。

 

『さて、君とアマゾンの関係、そしてアマゾンの誕生の経緯については理解した。だがまだこの特異点の謎については解決していない』

 

『はい。さきほどの話から、脱走したアマゾンによりこの事態が起きたとは思えません。もっと別の、何かの要因が存在すると考えられます』

 

話を整理し、ダ・ヴィンチとマシュが論点を絞り始めた。

 

「あぁ。たかが4000体のアマゾンごときで墜ちるほどこの国は甘くねぇ。何より、この世界の俺がそいつらに遅れをとるわけねぇからな。間違いなく裏を引いてる誰かはいるだろうよ」

 

鷹山も二人の意見を補強するように意見を言う。どうやらこの事態を引き起こした黒幕が存在していることを貴方は理解した。

 

『...鷹山仁。これは憶測だが、もしや外にいるアマゾンたちの多くは...』

 

【ダ・ヴィンチちゃん?】

 

【どうかしたの?】

 

ダ・ヴィンチがらしくなく真剣な面持ちで鷹山に話しかけたため、貴方は気になりダ・ヴィンチに声を掛ける。しかしダ・ヴィンチは貴方の顔を見ると、言葉を発しようとしていた口を紡ぎ、なんでもないかのようにいつもの笑顔に戻った。

 

『...いや、まだ憶測で判断するには早いかもしれない。もう少し確証を得てから話すよ』

 

【ダ・ヴィンチちゃんがホームズみたいなこと言い出した】

 

『失礼な! あんな人の感情を持たない冷血漢といっしょにしないでくれたまえ!』

 

貴方とダ・ヴィンチが話すその頃、その違う場所で稀代の名探偵がくしゃみをする姿が目撃されたらしい。

 

『では、鷹山さん。私達はこの異変を止めるためやってきたものであるということは信じてもらえたでしょうか』

 

話を戻し、マシュが鷹山へと伺う。

 

「あぁ。魔術師っていうもんっていうことは信じてやるよ、それ以外に関しては知らねぇけどな。仮にお前らに裏があったとしても、この状況で人間ごときが何ができるんだって話だ」

 

鷹山は貴方たちのことをすべて信用したということではないようだが、ここにいる上では敵対関係ではないということは認めてくれたらしい。

 

『では! いっしょにこの特異点を調査することも...!』

 

「あ? なんで俺がそんなことしなくちゃなんねぇんだ」

 

マシュの期待のこもった提案は、しかし虚しくも鷹山により一蹴された。

 

「お前らは特異点とやらを修復する、俺はアマゾンを皆殺しにする。これはお互いの目的同士がぶつかり合わないだけで、協力し合う理由にはなんねえよ。俺は俺の好きにアマゾンを殺させてもらう。お前らはお前らの好きにこの特異点とやらを調査するといいさ」

 

鷹山はそれだけ言うと、またベルトを肩に担ぎ、部屋の外へと向かった。

 

【鷹山さん!】

 

【待って!】

 

貴方は彼を追い、その後姿に声をかけた。貴方は別にその後に続く言葉も、彼を説得しようとする魂胆も持ち合わせていなかった。ただ、その後姿があまりにも切なく、煤けているように見えたため、貴方は放っておけなくなったのだ。

そして貴方が立ち上がったその時、すぐ近くの誰もいない場所から、人の姿が浮かび上がってきた。それはサーヴァントが霊体化を解くときに表れる現象であることを貴方は知っており、予想通り、そこから現れたのは外で霊体化していたはずのエミヤであった。

 

「お取り込み中失礼するマスター。周りの怪物たちがこちらに寄って来ている。おそらく君の存在がバレたのだろう。すぐにここを引き払うぞ」

 

【まずい!】

 

【鷹山さんが外に!】

 

エミヤの報告を聞き、貴方は鷹山の後を追い部屋の外に出る。そこには、アパートの階段から、地上に群がるアマゾンたちを見下ろす、鷹山仁の姿があった。

 

「まったくよ。俺がいくら待っても寄り付かねぇくせに、人間の臭いがすればこんな簡単に集まるなんて、相変わらず単純なやつらだよな、お前ら」

 

鷹山は慈しむような、しかしそれでいて哀しんでいるような声をだし、アマゾンたちへと話しかける。

 

「まぁそんなところも本当は可愛いんだけどな。だけど世界はお前らの存在を許さない」

 

鷹山は担いだベルトを腰に巻くと、そのグリップを掴む。

 

「だから、俺が送ってやる。それが、俺の責任だからな...」

 

そして鷹山は、おもむろにグリップを回し、言葉を一つ呟く。

 

 

 

変身(アマゾン)

 

 

 

[Alpha Blood and Wild! W-W-W-Wild!!]

 

 

 

機械音とともに、鷹山の周りに凄まじい熱風が吹き荒れる。それをもろに食らった貴方は耐えきれず顔を手で守りながら、その隙間から鷹山の姿を見た。

その姿は貴方が最初に見たように赤く、禍々しく、触れるものすべてを殺し尽くすかのような雰囲気を流すフォルムであり、同時に貴方は深い業を背負った姿に思えた。

そしてその姿を見た瞬間、貴方は耐えきれなくなり、後ろに控えていた二人のサーヴァントに指示を投げた。

 

【エミヤ、ナイチンゲール!】

 

【鷹山さんの援護をして!】

 

「かしこまりました」

 

「まったく、何を聞いたか知らんが、やぶの蛇をつつきすぎだ!君は!」

 

ナイチンゲールとエミヤはすぐに戦闘準備をとり鷹山の背後からサポートに入った。

 

「今日は、何体だ...!」

 

鷹山の言葉を引き金に殺し合いは始まったーーー。

 




次回、グロ注意

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