ゴーゴーストーリアガッチャで限界アップル叩きつけて財布が傷ついた記念にささっと書きました。臥薪嘗胆の心意気ってやつです。あぁ、(預金残高が)儚い……。
この小説は基本的にガルパガチャの爆死で生じた熱エネルギーを利用してちまちま執筆していきます。更新がない時はネタに困っているか時間がないか天使長ツグリエルがつぐりまくって爆死してないかのどれかです。つまり更新があった時は単色サイリウムがブンブンされた時。
タイトルもサブタイもですが、蛆虫などの生理的嫌悪を煽るワードが出てきます。ご留意ください。
今回はプロローグ、といいますか、主人公の内面の概要です。
いつからだろう。
そう問いかけてみても、さっぱり見当がつかない。『彼女』が生まれてから、15年もの月日を共に過ごしてきたのだから。
そも、決定的な瞬間なんてあったのだろうか。この想いは自然発生したものなのだろうか。
……わからない。それほどに彼女との思い出は多すぎた。
想いを自覚したのは中学1年生、彼女が小学6年生の時だ。それは、はっきりとわかる。
僕と同じ学び舎に通うガールフレンド……気取った言い方をしたが、まぁ要は当時の恋人だ。学校帰り、その娘をはじめて家に招いた。
制服姿のその娘を見て、彼女は『わたしもそれ、着てみたい!』と言ってのけた。迷惑だろうと思ってなだめたが、その娘は彼女をいとおしむように笑いながら承諾してくれた。
……今もそうだが、恋人はその頃から既に大人びていた。
いったん隣の部屋に引っ込んだ二人は、壁を貫通して聞こえるほどきゃいきゃい騒いだのち戻ってきた。
着こなしの観点から見れば、似合っているとはいえないだろう。どうしても、服に着られているという感じが否めなかった。小学校に制服の概念はなかったので、これが彼女が着るはじめての制服だったというのも要因にあるだろう。たった1年といえど小学生と中学生の隔たりは大きかったらしい。
それでも感じるものがあった。袖を余らせた手で首元をいじりまわし、動きづらそうにする彼女に。
いつも見る幼げな彼女とは違う背伸びした装いの、その新鮮さに心が躍り、不器用なかわいらしさに和み、体の中心が、かっと熱を帯びて、………?
ああ、僕の顔に浮かんだのは、慈愛の微笑みではなくおびただしい脂汗。
自覚してしまった。
わかってしまった。
ついに気づいてしまった。
いつからか心の内側にあった、ひとつの卵の存在に――――!
そして、卵は汚濁した汁を噴き出しながら割れた。……おぞましい蛆虫が一匹、うぞりと這い出してくる。
この瞬間から僕は、蛆虫を押し込めるために死力を尽くすだけの死体になって、蛆虫は脳内に巣食い、人生をぐちゃぐちゃに搔き乱す。以後、僕はこの日を忌み、悔やむようになる。
その日は恋人との会話も曖昧になり、食事は喉を通らず、風呂にも入らずに自室に引きこもった。混乱が渦を巻いて脳内を舐め尽くしていた。
……ドア越しに僕を気遣う彼女の声だけは、はっきりと、福音のように脳裏に響いてきた。
……実家から離れた高校に進学しようと思った。今も持て余すこの灼熱した感情が、いつ決壊するとも知れなかったし、決壊を迎えたその時、近くに彼女がいたら……すべてが終わる。
高校生から一人暮らしを始めることになろうが、実家から離れなければならない。そのタイミングは早ければ早いほど良い。そも、何かあってからでは取り返しがつかないし、これを逃せば3年先の大学進学まで実家離れのチャンスは無い。なりふり構っていられない、中学3年生、高校進学先選び……絶好の機だった。
両親には多大な苦労をさせることになるだろう。僕の家庭は喫茶店を営んでいて、商店街の表通りにあるからお客様の入りは多い。が、儲けているというわけでは決してなく(詳しく話されたわけではないので憶測の域にとどまるが。両親は儲けの額だとか家計の詳細だとかの生臭い話をあまり僕らにしたがらない)、暮らしぶりは人並程度。高校生の時点で一人暮らしをさせる余裕はおそらくない。
しかし……しかし、僕があやまちを犯せばそれと比べ物にならないほどの迷惑をかけることになる。
ちょうどいい高校も見つかった。都内から県境をまたいで、行き来はしやすいといえるが気軽に通えるところではない絶妙な位置。この程度なら両親の手の届く範囲といえるだろう。……偏差値は高めだが、まぁ問題はない。手前味噌だが、僕は器用だ。勉強もスポーツも、美術系統も音楽系統もなんでもハイレベルにこなせる。何より彼女のためだと思えば努力などまったく苦にならない。さらにその高校は全国でも珍しい、つまり特色のある高校だから、やりたいことがあるからここに通いたいんだと言えば両親や先生方への言い訳もじゅうぶん利く。
一人暮らしをする以上、バイトも始める。時間を余らせるつもりは毛頭ない。食費くらいは自分で稼ぐつもりだし、余分は貯金して両親へ返却する。それくらいはする。なにせ、ひと山できるくらいの嘘を吐いて遠くの学校に進学して、金も気苦労もかけさせようというのだから。
……ここしかない、今しかない。ベッドの中で体を丸め、目を瞑り歯を食いしばって、そう心に決めたのだ。
一世一代といっていい、僕の少ない人生の中で最大の、そして唯一高尚な決断だった。
彼女に泣かれた。そして僕は木っ端微塵に砕けた。
決意も覚悟も、かわいらしいパジャマの袖を涙で濡らしてしゃくりあげる彼女の前では……ああ胸糞悪い、自分がつくづく嫌になる。
……本当にあっけなく、本当にあっさりと折れてしまったのだ。僕の人生は僕にとって、彼女の涙、そのひと粒以下のものだったらしい。
次の日、進路担当の先生に志望校を変えることを伝えた。先生は困惑しきりで、なぜだなぜだと聞いてきた。……舌がよく回った。耳ざわりの良い言葉がこんこんと湧いてきた。全身がリラックスしていた。心の片隅で、どころではない。心と体、僕のすべてが安堵していた。何ということはない、これからも彼女と一緒にいられるからだ。
その際、僕は素敵な笑顔さえ浮かべてみせた。腐乱死体がぐちゃぐちゃ音を立てて微笑んでいるというのに、先生は、お前の意思は確かなようだな学力もまず問題はないだろうしこっちでやりたいことも決まってる何よりお前の人生だしなうんそうだよなよっしゃわかった先生はお前の意思を尊重するよ――――。
笑いが出た。さすがは先生だ、生徒を見る目がある。
そうだ、反吐が出るほど確かだよ。僕の中にある何よりも確かで、僕の中にある他のものすべてを合計しても釣り合わないほどに重い。四六時中を問わず、僕の意識の大部分に居座り続け、暴れうごめいている。
彼女のそばにいたいという、おぞましく汚らわしく、嘘と裏切りと背徳と抗いがたい獣性にまみれ、存在そのものが血への謀反であり両親への背信であり、
……誤魔化しようもない、僕の本心の具現化である、この蛆虫は。
「おはよう、お兄ちゃん!」
「あぁ、おはよう、つぐ。コーヒーを沸かしたところなんだが、カフェオレ飲むだろ?」
「うん! ……お兄ちゃん、寝ぐせひどいよ」
「俺のこと言えないぞー。洗面所に行って鏡見てこい、それまでに作っとくから。……砂糖はいくつだ? ひとつかふたつか」
「ひとつ~! …………ひゃー! びょんびょん跳ねてるーっ!」
「ふん、朝から騒がしいやつ。――――――、…………」
……つぐみ。羽沢つぐみ。
それが僕の、血を分けた、いとおしい『妹』の名前で。
忌々しいほど恋焦がれる『想い人』の名前。
せめて……せめてこの蛆虫が。
肌を食い破って、僕の意思を離れて、蠅になって………彼女のところに飛んでいかないように。
どれだけ僕が食い散らかされようと、決して行かせはしない。
肥え太らせるだけ太らせて、そのまま。同じ火に撒かれて、同じ骨壺に入って、同じ墓で眠ろう。
……きっと僕とお前は、生涯の付き合いになるだろうから。
今回はここまでです。読了ありがとうございました。
ひねくれた文体になってしまったと思っております、読みづらかったら本当に申し訳ございません。誤字報告などあれば、よろしくお願いいたします。
とりあえず今から提供確率3%と戦ってきます。多々買わなければ生き残れない!