雷門中に向かう途中、俺らは変な人を見た。
頭に黄色いバンダナを巻いて、サッカーボールをヘディングしながら歩く男がいた。
服装からするに雷門中の生徒みたいだ。
「もしかして…サッカー部の人かな?」
俺がボソッと呟くと、
「なに言ってるの?今日、登校するのは、新1年生だけだよ?」
天音が、笑いながら答えた。
「そうだったのか…なら、あいつはサッカー部に入るのかな?」
「あいつは って…君もサッカー部にはいるんでしょ?」
「さっきも言ったが、まだ決めてないんだよ」
「筋金入りのサッカー馬鹿なのに変なところあるんだから…」
天音はもったいなさそうに言った。
「サッカー馬鹿だって‼︎」
気がつくと、目の前にはさっきのバンダナ男がいた。
なぜだか、目がすごいキラキラしている。
「うおっ、なんだよ急に」
「俺、円堂守っていうんだ。俺もサッカー部に入ろうと思っていたら、サッカー馬鹿って聞こえたからつい、声をかけちゃったんだよ‼︎」
どうやら、このバンダナ君は円堂守というらしい。
「まてよ。俺はまだ、サッカー部に入るって決めたわけじゃないんだぜ?」
「でも、サッカーが好きなんだろ?」
「そうなの‼︎昔っから雨が降ろうが嵐が来ようが、ボールを蹴り続けるぐらいよ」
なぜか天音もノリノリで、円堂の話に乗っかった。
「なら、仲間じゃないか。名前はなんていうんだ?」
円堂が握手を求めながら、名前を聞いてきた。
名前…その単語を聞いた瞬間頭が割れるように痛くなった。
「彼の名前は………だよ」
俺の代わりに、天音が答えるが、肝心の名前が聞こえない。
「へぇ~、お前……っていうんだな。よろしくな」
おかしい。円堂の声も俺の名前の部分だけ聞こえない。こんなことあるのか?それにしても頭が痛い…
この痛みは、転生をしたせいなのか?俺がこの時に馴染めるようにみたいな…
だめだ。わけがわからない…
「円堂くん、早く行かないと遅刻しちゃうよ?」
「あっ、やばい。じゃあ、またな……」
そう言って円堂は走っていった。
それはそうと、俺らも急がないとやばいのでは…
「ごめんね、円堂くん。君はもうすぐ私たちのことは忘れちゃうんだよ?」
天音は小声でそう呟いた。
俺たちを忘れる…どういうことだ?俺は天音に問いただそうとしたが、声が出ない。
「気にしないでね。それよりも早く行こ」
天音は無邪気な笑顔でそういった。
時は過ぎ行く。過ぎ行く中、人と人とが出逢う。それは運命なのか?それとも神の戯れなのか?その真意を知るものはいない。
円堂守と主人公。決して交わらない2人であったが、時を越え、次元を越えた先に出会った。これはやはり、神の戯れなのだろうか…
私は神にそう問いたかった。神は子供みたいな屈託無い無邪気な笑顔でこちらを見続けた。なぜ、私にこんな役回りを回したのだろう?私はなぜ、彼と関わってしまったのだろう?私は無駄と知りながらも悩み続けた。
主人公の名前は決めてあります。が、まだ、わからない感じになってます。話が進むにつれてわかるようになっていきます。
また、主人公と円堂は、まだ仲間にはならない予定です。
この展開ってありなのかな…