「その辺にしたほうがいいよ~アフロディ。無理させて僕のおもちゃ壊さないでよね?」
「この程度で壊れるなら、神のおもちゃになる資格すらありませんよ」
アフロディと神は、こちらを小馬鹿にしたように大声で話をする。
「まさか、アフロディが敵側で、しかも今になって出てくるなんて…」
煜は動揺を隠せずにいた。
「あいつはそんなにやばいやつなのか?」
原作知識のない俺にとって彼がなにもので、どういったことをしたのか知るすべがない。
「最初はただただ、やばい奴だった。でも円堂たちと戦ってからは改心して、いい奴になったんだ。多分、原作とは微妙に違うと思うけどな。」
「円堂だって⁉︎」
「円堂を知ってるのか?」
「あぁ。ここにくる前に何度か顔を合わせたんだ。」
「そうだったのか…」
「とにかく、仕切り直さないとな。」
そういって、俺たちは所定の位置に戻った。
それからの試合は悲惨なものだった。
俺たちのボールからリスタートしたが、アフロディにすぐにボールを取られ、その後はそれはサッカーと呼べないプレイをされた。
「ほらよ」
「うっ…」
ボールを次々と、体に当てられ続ける。
「少しはボールを取り返そうとしてもらわないとこっちもたのしくないんだけどね」
アフロディは笑いながら、煜にボールをぶつけた。
「なんなんだよ…これは…」
ボロボロになるまで、ボールをぶつけられた煜をはじめとした、こちらのメンバー。
フィールドに立っているのはもはや、俺しかいなかった。
「さぁ、残るは、君だけだよ。この調子なら前半だけで試合は終わりそうだけどね。行くよ。」
アフロディはそう言うと、ボールを蹴る。
「うっ…」
それはシュートの為なんかじゃない。
ボールは俺の溝打ちに綺麗に入る。
「ほらほら。早くボールを止めてみなよ。」
アフロディは、跳ね返ったボールを蹴り続ける。
「もう辞めろ‼︎」
煜が最後の力を振り絞って、叫ぶ。
「無駄だよ。この試合は彼が必殺技でシュートを決めるか、彼が諦めるまで、終わらないよ。」
「なん…だと…」
神の説明に絶望する煜。
(痛って~な…なんなんだよこれ。これがサッカーだって言うのかよ…こんなんなら、いっそ諦めた方が楽なんじゃ…)
弱気な考えが俺の頭をよぎった。いっそ楽になりたい。俺はそう思いながら、顔を上げ、向かいにいる神に降参を伝えようと思った。
向かいにいる神を見たとき、俺は、不思議と諦める考えがなくなった。
天音が見てる。不思議とそう思えた。
(ここまでバカにされて諦めたらカッコ悪いよな?天音。もうちょっとあがいてみるよ)
「君の仲間もああいってるし、諦めたらどうだい?」
「悪いな。アフロディ。俺は往生際が悪いんでね」
「そうかい。なら、神の怒りをしるがいい‼︎」
アフロディがそう言うと、光の翼が生え、宙に浮いた。
「くらえ。ゴッドノウズ」
アフロディの必殺技が飛んでくる。
(手で止めようとしたって無理なら‼︎)
俺はゴッドノウズに合わせて、蹴りを入れる
「うぉーー」
「神に抗うとは…無駄なことを」
「やってみなきゃ…わかんねぇだろ‼︎」
そう叫ぶ俺の足が燃え上がる
「テメェの動揺した面みなきゃ…死んでも死に切れねぇよ‼︎」
そのまま俺はボールを蹴り返した。
炎に包まれたボールはアフロディの顔の横を抜けてゴールまで飛んでいく。
「へぇ~」
神は楽しそうにしながら、あっさりとボールを止めた。
「僕のゴッドノウズが返された…だと…」
アフロディは動揺していた。神の使徒として力を得た彼の必殺技をあっさりと蹴り返したのだから。
「へっ。やっとお前の驚いた顔が見れたぜ」
ピッピー
そのまま、前半が終了した。
思ったより駆け足になっちゃったかな?