ランキング掘ってたらアズレンの二次もっと読みたいとか書いてたので書いてみた。
可愛い女の子といちゃいちゃしようぜ!というだけの話。
ただ今回は結構毒たっぷりの語り口にしてみたので、合わない人には合わないかも。
タイトルとあらすじ?ちょうど手元にのどスプレーがあったんで……(ステマ)
「ジャベリンです、指揮官。どうぞよろしく。
あれれ、好みの女の子が配下になったから、どうしていいか分からないって顔してる!」
鼻にかかった甘い声に、好奇心にきらきら輝く瞳。
その愛らしい女の子と初めて会った時、あなたはこう思った。
ああ、こいつうぜえ――――。
………。
あなたはオリ主である。
いや、完全プレイヤー視点である元のゲームにおいて主人公に人格が設定されていない以上、それと対比する概念であるオリ主もクソも無いのだが、とりあえずオリ主って言っとかないと騒ぐ人間もいるのであなたはオリ主なのである。
名前はまだ無い。どのみち指揮官としか呼ばれないので不便はないだろう。
そんなあなたはある日生まれ変わって転生オリ主となっていた。
正直中身オタクの外見乳児が死んで生まれ変わったことにどんな風に混乱していたかなんて描写しても誰得でしかないので、その際の葛藤やらなんちゃらは極力省くが、敢えて感慨を抱いたことに触れるとすれば、愛すべき日の出る祖国が重桜とかいうよく分からん名前になっていて無性に悲しかったことか。
紳士っぽいイメージの畜生国家がロイヤルとか、平成生まれにはそんなに正義大好きのイメージがない気がする覇権国家がユニオンだとか、数十年後に今度は人道を掲げて欧州を混乱に陥れる元凶になるとは流石の総統閣下も予想していなかっただろう元第三帝国が鉄血―――そこはドイツ語じゃないのかよ―――だとか。
そういうツッコミどころではあるが何らかの配慮というか作為が見える元の世界との差異に嫌な予感を覚えていたあなたは、海洋に大量の化け物が発生しシーレーンを塞ぎ、それと戦う軍艦の擬人化少女達が現れたと聞いて確信した。
ここは艦これの世界だと(※違います)。
生前というか転生前は課金が怖くてソシャゲ関係には手を出していなかったゆるオタだったため、あなたはあまり知識の無いゲームの世界に入ってしまったと知ってもいまいち興奮も狼狽もできない。
焼酎みたいな名前のメガネ掛けた巫女服がヘッドバットやヤクザキックを繰り出していたにっこにこな動画を思い出し、げんなりしつつも二度目の青春を過ごしていたが。
繰り返す、あなたはオリ主である。
当然のように指揮官適性があるとかいうお決まりの謎パターンに乗せられ強制徴用、数日間マンツーマンで逃げ場のない講習をみっちりと受けさせられ、寝落ちしている間に車で放り出されたのは周囲に家一軒見当たらない寂れた港。
そこで待っていた自分の最初のパートナーになるジャベリンに、あなたはこう思った。
ここがゲームの世界だとか、相手はヒロインなのだとか、これまでの辟易する経緯とは一切関係ないところで、それら全てを脇に置いて、ただ純粋に。
ああ、こいつうぜえ――――、と。
「指揮官っ!?そんなこと考えてたんですか!?」
ぱちりと開いてまつ毛の長さを見せる眼を全開のままにしながら、紫の髪を後頭部で纏めたミドルティーンほどの少女は、執務室で空き時間に突撃してきた自身との出会いを語るあなたに詰め寄った。
紺と白の袖なしセーラー服とミニスカートから細い手足が伸び、透き通った翡翠色のバングルを装着した白魚のような繊手があなたの両肩に置かれるが、悲しいかな彼女は陸上では見た目相応の馬力しか発揮できず揺さぶることもできていない。
なのでクッションの利いたお高めのオフィスチェアの背もたれに躰を投げ出したあなたには全くダメージが無いのだが、興奮するジャベリンには一応否定の言葉を返した。
“考えてた”訳じゃない、と。
「え、なんだ冗談ですか。それにしたってひど―――、」
だってジャベリンは今でも普通にうざ―――可愛いとずっと“考えてる”し。
「本当ですか、わーい………とか言うとでも思ってますか、指揮官?」
おかしい。誤魔化したはずなのにジト目でこちらを睨んでいるし、肩を掴んでいる手が離れる機会がない。
そして急に不自然な笑みを浮かべると、わざとらしい口調で言葉を次いだ。
「し~き~か~ん~?ジャベリンおこらないから、さっきなに言いかけたか言ってみてください?」
おこらないと言いつつ多分既に怒ってる。おこである。
笑顔は本来獲物を攻撃する時の表情~、をやっているほど激おこなのだろうが、残念ながら元ネタの筋肉達磨と違い迫力はゼロだった。
特に怯む理由もないあなたは、軽い調子で先の発言を正確に繰り返せという彼女の頼みに投げ返す。
ジャベリンうざ可愛い。
「繋げられた!?」
つまりはアレだ。ジャベリンの可愛さは単に可愛いというだけでは上手く言い表せられないのでより正確な表現を求めた結果だ。
スペシャルな感じのアレなわけだ。そう、つまりスペシャルな感じでジャベリン可愛い。
「本当ですかっ?わーい!!」
……どんな感じのスペシャルなアレだよ、とあなたは自分でも内心つっこむ程の適当をほざいたが、ころりと機嫌を直したジャベリンはあなたからあっさり離れて、きゃっきゃっと室内で飛び跳ねながら踊り出す。
壁に立てかけてあった銘の通り艦首を模した槍をバトンのようにぐるぐる回し始めるのを横目に机の書類やコーヒーに被害がいかないよう注意しながら、あなたは微妙な笑みを浮かべるしかなかった。
「もう指揮官ってばー。もっとジャベリンのこと褒めてくれていいんですよ?
でももっと上手な褒め方してくれればなおのことよしです!」
ちょろい。でもやっぱりうざい。
流石にそれは声に出さずに、代わりにこれみよがしに近づけてくるつむじをぽんぽんと撫でながらあなたは可愛い可愛いと投げやりに呟く。
それでもご満悦なのか、むふー、と鼻息荒く綻んだ顔は赤く染めて、しばらく頭をぐりぐり掌に押し付けてきた。
………そういえば出会ったあの時からずっと、彼女に対してこんな感じで発言を適当に流しながら可愛い可愛いと言ってきたのをなんとなくあなたは思い出す。
「よし、ジャベリン、指揮官分の充電完了です!寮舎で待機してますので、執務、頑張ってくださいね!」
数分にも満たない時間の後、にぱっと満面の笑みを溢して切り上げたかと思うと、軽やかに執務室のドアまで駆けたところで振り返ってねぎらいの言葉をくれる。
そんな彼女に言っている、可愛い、という言葉自体はその場しのぎのお世辞ではなく事実で、そのあたりはジャベリンも分かっているのだろう。
美少女ゲームのヒロインという前提を差し引いても、火薬と燃料で駆動する鋼の乙女達の戦争の中、最初の最初からこの調子でパートナーをやってくれている子が可愛くないなんてことがあるだろうか。
まして、嫌いだとか面倒だとか思うことがあるだろうか。
続く反語が、きっとあなたの答えであり。
あなたとジャベリンの絆の形なのだろう。
……………。
「ああああっ!!結局指揮官、ジャベリンのことうざいって思ってるの否定してない~~!?」
そしてたっぷり数十分の後、寮舎の休憩スペースで幸せのひと時を思い出し笑いしながら悶えまくる奇行を繰り広げてから、そんな今更の事実に気づいて叫ぶ。
いきなり現れて関わりあいたくない言動をしていたジャベリンであったが、彼女が来る前から先にそこのソファで居眠りしていたのを安眠妨害されて起こされ、そのままエスケープする時機を逸した哀れな同僚が一名。
「………ジャベリン、うるさい。ラフィーはいまお昼寝中」
「そんなことより聞いてよラフィーちゃん!指揮官がひどいの!」
「……そんな、こと?」
人は食う寝るヤるの三大欲求を満たす瞬間を邪魔されることで深くキレる。
まして謝るでもなくそんなこと扱いである。
人型にして人ならざる彼女もその法則には漏れなかったようで、垂れ下がった眦を軽く吊り上げてジャベリンを睨んだ。
ベンソン級駆逐艦、ラフィー。
ジャベリンと同じくらいの年頃の少女の外見だが、活動的な彼女と対照的にラフなトップスにピンク色のハーフコートを羽織っただけの気怠げな雰囲気が特徴的。
それだけだと寝起きを差し引いてもダウナーな印象を与えるが、長い銀髪を二つにまとめる髪留めや上着の袖口など随所にあしらわれたウサギの意匠が、あどけない顔立ちと相まって独特の魅力を振りまいている。
そんな彼女が発する分かりやすい怒気に気づく素振りすらせず、まくし立てるように先程のあなたとの一幕を愚痴り始めるのがジャベリンのジャベリンたる所以であるが。
しかもオーバーな身振り手振りを交えながら、詰め寄ったり頭を撫でてもらったりなどの接触時のくだりで抑えきれない笑みを溢しながら、………怒っている体をみせながら、要は盛大に惚気てきたわけである。再確認するが気持ちよく昼寝していたのを叩き起こした直後に。
それもラフィーも憎からず想っているあなたとのことで。
正直彼女はこう思ったというか指揮官の言葉をそのまま借りて口に出した。
ここが屋内だとか、相手は同僚なのだとか、これまでの辟易する経緯とは一切関係ないところで、それら全てを脇に置いて、ただ純粋に。
「―――ああ、こいつうぜえ」
「ラフィーちゃん!?」
キャラの崩れた罵声にびくっとなって震えるジャベリンであったが、殲滅戦神状態で533mm五連装魚雷T3をぶち込まれなかっただけ有情である。
指揮官にねだって置いてもらった白くてもこもこの雲みたいなソファに座り直し、仮眠用に執務室に置かれてあるのと色違いのマイタオルケットを抱いてなんとか気分を落ち着けたラフィーは、その深紅の瞳で無感情な視線をジャベリンに投げた。
「あの、あの……なにか怒らせちゃうようなことしちゃったかな、ラフィーちゃん?」
「………はあぁぁ」
「すごい溜息!?」
流石に自分が悪いことをしたのだろう、程度は察したのかトーンダウンしてしおらしくなったのを見て、もともと怒りが長続きするたちでもないのでそれ以上攻撃するのはやめておくことにした。
代わりに、なぜこうやってしおらしいところを指揮官には見せないのかという以前からの軽い疑問をぶつける。
「なんで指揮官の前だと、ジャベリンはずっと暴走しっぱなしなの?
指揮官、普通にしてれば、普通に優しくしてくれるよ?」
「………う」
からかってきたり軽い憎まれ口をたたくことはあるが、うざいなんて直接言われるほどオープンというか明け透けなのはこの軍港でジャベリンだけである。
当番制の秘書艦を任されながらよく応接椅子で居眠りしているラフィーにさえ、寝冷えしないようタオルケットをかけてくれるし、起きてぼーっとした頭で仕事をする指揮官の方を見ていたら手を振ったり温かいココアを淹れてくれたりするのだ。
まったくこの寝坊助は、なんて言いつつ頭を軽く揺らしてきたりもするが、それくらいの意地悪なら構ってもらえて嬉しいレベルでしかない。
その辺りは当然分かっているのだろう、気まずそうに人差し指で掻いている頬が、しかし何故か赤く染まっていく。
そして彼女らしからぬ小さめの声で、ジャベリンは静かに自身の内心を打ち明ける。
「だって………はじめて逢った時、いいなって想えた人が指揮官になったから、どうしていいか分からなかったんだもん。
それで、そのままずっと………」
「…………、………はあぁぁ」
「溜息二度目!?」
蓋を開けてみればあまりに幼稚な恋愛感情だったというオチだった。
ラフィーもあまり他人のことは言えないが、それにしてもというレベルで。
気になる異性にちょっかいかけて反応引き出そうとか、人間の子供で言えば一ケタ年齢の情緒だろうに。
「おやすみ、寝なおす」
「え、えぇー?」
色々と馬鹿馬鹿しくなったラフィーは、タオルケットを頭から被り昼寝の続きの態勢に入る。
今度はよく眠れるようにと願いながら、まどろみの世界に旅立つ。
こうやって寮舎の休憩スペースで寝ていれば、夕飯前の港内巡回の際にやって来た指揮官が起こしてくれるから、なんて。
他人のことは言えないことに、当のラフィー自身も気づいているかは不明なままに――――。
ジャベリン、ラフィーと来たら綾波は、って?
……いや、綾波ドロップしたステージ遅かったから委託にしか使ってないんで…。
ていうか綾波は初期艦なのにあんま二次に出てこないこの二人と違って出番多いからいいんだよ!!