アズレンスルホン酸ナトリウム   作:サッドライプ

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ロドニー「いかがですか?ビッグセブン級のこの感触♪」

長門「…………」

陸奥「長門姉、どうしてあの人のおっぱいじっと見てるの?どうしてぷるぷる震えてるの?ねえなんでなんで?」


 アズレンの長門姉妹は、うん、まあ………。




水着ロドニー/サフォーク改

 

「指揮官、どうですか?ちょっと恥ずかしいですけど、ほら!」

 

 いや、なんで君は執務室で水着姿になってるの?

 

 

 またもやのっけからビッグセブンがとち狂っていたが、今回はノれなかった。

 

 何故か砲身が埋まっている物騒なビーチボールを抱いてむにゅりとバストの豊かさを強調しながら、紐で止めた布地の少ない白ビキニで張りのあるスタイルを曝しているのは眼福である。

 しかも透けるほど薄いレースの分離袖で肘から先を覆い、花をあしらった鍔の広い麦わら帽子を被っているあたりで、露骨な媚や破廉恥さを感じさせる要素を薄めていて技巧を感じさせる。

 

 が、普通に詰襟の軍服を着ているあなたの前で身体を夏にされても反応に困るだけである。

 

 正直内輪しかいないし部下はコスプレ会場と言っても通じる(というかある意味そのものである)装いをしている職場だし、自由とまではいかなくともラフに着崩すくらいは良いじゃないかというのはあなたの服装に関する本音ではある。

 が、言えばネルソン辺りに指揮官の威厳がどーのと説教をされるのが目に見えているし、ほんの僅かな袖の乱れでさえもベルファストが目ざとく発見しいそいそと直しに来るから、どうせ給料分の仕事の一部と諦めて、自分は窮屈で肩の凝る軍服をきちんと纏っているわけで。

 そんな上官をさておきファッションショーみたいにされるとなんだか釈然としない、という感覚はあった。

 

「せっかくの指揮官からのプレゼントですから、一番に指揮官に見せなきゃじゃないですか。ふふっ♪」

 

 ある意味あなたが蒔いた種であったが。

 

 

 話は一週間ほど前に遡るが、その日あなたは物品のカタログを漁っていた。

 供給のほぼ全てを配給に頼るこの軍港では、最低限の食料品や燃料以外は逐一注文しなければ届くわけもなく、部下達の要望を聞きながら予算の範囲で物品を仕入れる庶務のお仕事もあなたがしなければならない。

 

 人を殴り殺せそうな重さのカタログには生活雑貨から家具家電、果ては施設拡張工事の見積もりまで目録が載っている。

 同じ程の厚みがある別の巻が3冊ほどあり、書籍に映像や音楽媒体にゲーム機、菓子類や銘産品、香水や化粧品類や衣料品など多種多様な品が収録されているから、およそ資金限度さえ考えなければ不便は無いと断言してもいい。

 

 ある意味多様過ぎて選択肢に困らなくもないが、そこは実用品以外はほぼ秘書艦に選別を任せて自分はチェックをするだけ、という体制にしてあった。

 無茶なものでなければ自分の趣味を配給に紛れ込ませることができるので、この仕事をする日に秘書艦に当たった子はラッキーという風潮にもなっているようである。

 

 で、その日ラッキーだったロドニーも楽しそうにあなたの隣でカタログをめくってああこれいいですね、とかこれとこれどっちがいいでしょう、とか上機嫌に付箋をペタペタしていたのだが―――不意にそれを見つけてしまった。

 

 

 ロドニー用着せ替え水着。

 特製のためこちらの衣装で戦闘を行っても性能に一切差し障りはございません。

 

 

 正気かお前、とあなたは名前も知らない製作者の精神を疑ったが、次の瞬間こちらを見上げて瞳をきらきらさせているロドニーにこれを買わざるを得なくなることを予感してしまったのだった。

 

 特製故か値段もべらぼうに高く、ロドニーの為だけに経費で注文するのは依怙贔屓が過ぎる為あなたが自腹を切って購入する判断をすると、何故かますます上機嫌になっていたが。

 

 

 つまりは、ひらひらと長いレースの袖を舞わせながらターンを決めてポージングするロドニーのテンションの高さは、あなたのその判断の結果ということになる。

 期待の視線を向けられているが、今度は何をねだられているのか分からない―――ということは当然ない。

 

………。かわいいよ、ロドニー。

 

「~~っ、はい!ありがとうございます、指揮官!」

 

 女を口説く浮いたセリフのボキャブラリーなんて大して持ってないし、キャラでもない。

 そんなあなたのありきたりな褒め文句で、それでも女神像もかくやの悩ましい曲線を描く肢体を身悶えさせて歓喜する白銀の戦艦少女。

 

 この格好で海水浴場にでも出ていけばナンパには事欠かないであろう美女がプレゼントと言葉一つで舞い上がっている―――その相手が自分であることに不思議とあなたは穏やかな受容の気持ちになっていた。

 いい加減何故、と困惑するのも飽きたし、かと言って浮かれて優越感に浸ったり調子に乗ってスケベ根性丸出しにするのもなんか違う。

 

 でも、とりあえずはどのみち使う当ての無い給料を放出するには十分過ぎる使い道だったことを確認できただけでもよしという話だった。

 これだけ嬉しそうにされれば諸々のもやもやも流さざるを得ない。

 

 美人は得だね、ったく。

 

 そうあなたは小さく呟き―――。

 

「指揮官?今の聞こえなかったのでもう一回言ってもらっていいですか?

―――ロドニーは美人だね、ですか?」

 

 おー暑さで沸いてるのは耳かそれとも頭かー?

 

「きゃー♪」

 

 互いに憎からず想っているのは分かっていても、もう暫くはこのじゃれ合う関係が続きそうだと思った。

 

 

 

 

…………。

 

 サフォークは空を見上げる。

 

 モノ言わぬ鋼鉄の塊であった頃から世界の各地の海を転戦してきた彼女だが、そのどこでも同じであった冷たい青さの空を、虚無を感じさせるほどに仄暗さを秘めた白さの雲を、自由に歩める意思と足を持った今でも見上げている。

 

 何も感じない訳ではない―――水平線の向こうまで続く無限の広大さも、その果てない空間を飛び続ける海鳥達の勇気も、様々な発見が心を揺らしてくる。

 だがそれが身を焦がすほどの高揚を彼女にもたらすかと問えば明確に否であり、では何故飽きもせずに茫洋と視線を飛ばすのかと問えば、それはただの惰性に他ならなかった。

 

 隠し要素まで全てクリアし終えたゲームのキャラのレベルを上げ続けるような、徒労以上習慣未満のサフォークの日課。

 けれど、この時ばかりは特別だった。

 

 

「それで、指揮官さん。なにやってるんですか?」

 

 ツーサイドアップ!!

 

 

 いつも通り中庭で空を見上げぼーっとしていた彼女の背後に回り、そのピンク色のふわふわ髪を弄っていたあなたは声高にテキトーな言葉を叫ぶ。

 その数秒後に遅れて彼女の髪留めを付け替え、やはりテキトーにそれっぽく髪を二つに縛るぐだぐだ具合である。

 

 もしかしたら気づかれてないのでは、とすら考えながら悪戯されていたサフォークは、しかしほえほえと微笑みながら嬉しそうにあなたを歓迎する。

 振り向いた彼女の動きに合わせ、柔らかな髪の房が宙に踊った。

 

「指揮官さん、こーいう髪型が好きなんですか?」

 

 そこそこ?しかし、元気さをアピールする感じの髪型だと思うんだけど、サフォークだとやっぱりなんかゆるっとするんだな。

 

「えっと……褒められてます?」

 

 いやあそれほどでも。

 

 雑な感じでよく意味を咀嚼すればひどい答えを返すが、それでもやはり彼女は笑っている。

 女の命というらしい髪をもてあそばれた訳だが、こんな緩くて大丈夫なのだろうか。

 特に心配になった訳ではないが、純粋に疑問だった。

 

 ところで、サフォークは何されたら怒るんだ?

 

「はい?」

 

 おっぱいを揉むというど直球なセクハラを働いたこともあるが、その時ですらのほほんとしていた彼女が怒る瞬間というものが想像できなくて、好奇心が擽られる。

 いや、別にキレさせたい訳ではないのだが。

 

「んー………指揮官さんに何かされて怒ることは、多分ないと思いますよ?」

 

 えーほんとー?

 

「ほんとーですっ。絶対の、ぜーったいです!」

 

 さっき“多分”って言ったのに?

 

「たぶん、ぜったいです」

 

 どっちだよ。

 

 間の抜けた言葉遊びを挟みながら、空を写してきらきらするラピスラズリの瞳を覗き込むと、混じりっ気の無い信頼が真っ直ぐに視線に乗って突き刺してくる。

 少なくとも今この時、彼女があなたに怒りを向ける機会などあり得ないと確信していることだけは事実のようだった。

 

 

―――サフォークは空を見上げる、だから怒らない。

 

 しばしば意識を虚空に飛ばす癖のある彼女にとって、起伏の大きい類の感情は長続きしない。

 よく言えばおおらか、悪く言えば……薄情。

 

 そうでなくともたびたびぼーっとしている彼女であるから、基地で親しくしている仲間もあまりいない。

 怒るほどに彼女に対して何かをする存在自体が稀で、強いて挙げれば家事を強制してくるベルファストくらい。

 

 何も感じないわけではない―――寂しいと思うし、けれどその孤立は自業自得と諦めてもいる。

 

 

 さて、そんなサフォークに度々ちょっかいをかけるあなたが、彼女の目にどう映っていただろう。

 勿論あなたが自分をいつも心配して構ってくれている、なんて都合のいい妄想をするほどお天気な頭をしているわけではない。

 けれど、それでも命を預ける指揮官が他でもない自分だけを見て、相手をしてくれている時間がある。

 胸を揉まれようが、髪に悪戯されようが、空に惹かれる“サフォーク”を繋ぎ止めていてくれる。

 

 それでいい。

 それだけでいい。

 

 たとえ相手がどんな人間であっても全てを許せるくらい好きになる理由には、十分過ぎるほどだった。

 

 

 





 今やってる鉄血復刻イベ、前半のボスがこれでもかってくらいかませ発言を連発して逝くのはわざとなんだろうか……。

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