アズレンスルホン酸ナトリウム   作:サッドライプ

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 またロイヤル艦ですまない………などと言うつもりはない!!

 ていうか嫁艦リアンダーだし。


 あとタイトルで遊ぶなって言われてる気がするけど、確かに問題だよね。

 タイトルでググって製薬会社のページしか出ない二次創作とかこの作品くらいじゃなかろうか。




エイジャックス/リアンダー

 

 それはともすれば聞き逃しそうな衣擦れの音だった。

 湿り気を含んだ生地と生地が擦れ合うから、本当に僅かな擦過音しか伝わらない。

 体表を伝っているのでなければ認識すら覚束ないことだろう。

 

 だが、―――この上なく艶めかしく鼓膜を揺らす。

 

「はぁ、ふっ……ぅ!ほら、いい声で鳴いてみせて?」

 

 エイジャックスのしなやかな脚を包む黒いストッキングの爪先が、上着を脱いだあなたのインナーを撫ぜる。

 優しく円を描き、蛇行し、気まぐれのように体重を乗せて圧迫しては痛みを感じるギリギリのラインで離れていく。

 その動きの一つ一つに発生する僅かな音が、心臓の鼓動と溶け合うようにしながら体内であなたの脳を揺らし、溶けてしまいそうな酩酊(めいてい)感を生んでいた。

 

 器用に脚を動かす彼女の下で、這いつくばってなすがままになるしかない。

 リクエストに応えるように、喉から気の抜けた声が自然と漏れた。

 

 ぶひぃ。

 

「~~~っ。いいわ、もっと聞かせて!

 私の可愛い可愛いこぶたちゃん、最高よ……ッ」

 

 ぞくぞくと震えを総身に行き渡らせながら、切れ長の眼を愉悦に歪めて美貌の少女がサディステックに嗤う。

 

 彼女の昂ぶりに合わせて波打つ銀の髪が宙に踊り、赤黒のチェックの帯で締められた臙脂のスカートが翻る。

 高揚に身を任せたエイジャックスの脚はよりテクニカルにあなたの躰を蹂躙していく。

 とんとん、と軽く叩いたかと思えば一瞬で力点を組み替え抉るように踵をねじ込むその巧みさは、強弱という陳腐かつ単調な概念では測れなかった。

 

 そこ……っ、もっと強く、ッ!?

 

 翻弄する彼女に気圧されるように、途切れ途切れに懇願するようになってしまったあなたの呻きは――――、

 

「あははは!もう、どこまで私の心を擽ってくれるのよ!?

 大丈夫、だぁいじょうぶ。こぶたちゃんのおねだり、全部エイジャックスが叶えてあげる」

 

―――たいそうお気に召したらしい。

 

 喜悦の光を湛えた瞳で慈しむように、しかしどこまでも高みから見下ろす傲慢さで少女は己の主を足蹴にする力を更に強める。

 

 こすっ、こすっ、こすっ、こすっ!

 

 動きだけで言えば一転往復するだけの上下運動に変わったが、ここに来て全力を込めてのそれはもはやそれ自体が技巧の極み。

 相応に消耗するのか一滴の汗が額から首筋を伝い鎖骨で飛沫く。

 黒地に白肌が仄かに透けるストッキングが衣擦れの音をいよいよわざとらしく強調し始める。

 

 シンクロするように、エイジャックスとあなたの荒い息が呼応しながらも間隔を狭めていく。

 そして、果てが。

 

 

「あはぁ…ッ。ふふふふ、うふ……っ!

 

―――――――いいのよ、逝っちゃっても。全て私に委ねなさいな」

 

 

「だめええええええええぇぇぇぇーーーーーーーっっっっッッ!!!!?」

 

 

 金切るような制止の絶叫と、その主に叩き開けられたドアの低い悲鳴に、その場に充満していた妖しい空気が霧散した。

 そのまま白金の髪を翻して床を蹴る少女が一人。

 

「な、な、ななな何をやっているのエイジャックス!?指揮官様になんてこと……!?」

 

「あら姉さん。姉さんも混ざるかしら?」

 

「ひうぃ!?混ざ……!?」

 

 元が白いだけに大変判りやすく顔中を真っ赤にした姉が目をぐるぐるして焦点も合わないまま妹に詰め寄るが、若干拗ねたように投げ遣りに放たれた言葉に絶句してしまう。

 “こうなると分かっていた”が、面白くはないエイジャックスは、その流れでさっさと種明かしをするのだった。

 

「ひどい姉さんね。指揮官の背中を足でマッサージしてたのを邪魔するどころか、自分がするのも嫌がるなんて。甲斐のない部下を持ってかわいそうなこぶたちゃん」

 

「そんな、でも、指揮官様をまっさーじなんて…………、マッサージ?」

 

 いやーすっきりしたわー。ありがとなーエイジャックス。

 

「よくってよ、何なら毎日でもしてあげます。

 それで、なんだかすごく興奮しちゃってる姉さんはどうしたのかしら?ねえ?」

 

「あ…れ……?」

 

 にたり。

 

 悪魔のように妖しくエイジャックスの頬が歪むと、要素に共通点はありながらもまるで対照的な温厚そのもののリアンダーの面立ちが、事態をうっすらと理解し始めて情けなくへにゃりと歪む。

 それを隠すためか、あるいは意地の悪い妹の顔を見られないためか。

 

「はぅぅ~~~……」

 

 両手で顔を覆いながら、ぺたんとその場に膝を落として座り込むのだった。

 

 

 

 

 リアンダー級軽巡洋艦、姉のリアンダーと妹のエイジャックス。

 実際はこの基地にはもう一人姉妹がいるのだが、それは別の話として、向かい合わせにすると実に対照的な姉妹だった。

 

 淡く光を反射して煌く金銀の波打つ髪や、表情や雰囲気が片や天使で片や小悪魔なところ、衣装も姉が品のいいお嬢様学校のセーラー服とすれば妹はそれを胸元が覗ける煽情的な仕様に改造してしまっている我が道を行くスタイルだ。

 ワンポイントのチェックの帯などの柄がリアンダーが赤白でエイジャックスが赤黒なのも存外違う印象を与えてくる。

 

 それはさておき。

 

 あなたとエイジャックスがコトに及んでいたのは、寮舎の重桜艦向けに和風アレンジされた一室。

 あくまで和風というだけで、畳敷きなのに安アパートよろしく出入口がドアだったり、どこぞっていうかユニオンの幽霊さんが積みまくっているゲーム関係の荷物が一角を占拠していたりするなんちゃって和室だが、そこに敷かれた布団の上であなたは寝転がり、エイジャックスはその背中を踏んでほぐしていた訳である。

 

 前日までに出撃が重なりばたばたしていたせいで事務仕事が溜まり、一日中椅子に拘束されていたせいで背中が妙に突っ張っていたのをちょうど通りかかったエイジャックスに話したところ、マッサージを申し出てくれたため移動したのだが―――あんな変な空気になるとは思っていなかった。

 

 まあ、何もいかがわしいことをしていないのに勘違いして突入してくる純真(?)ヒロインっていうシチュを自分で体験するのはなかなか新鮮だったので、面白ければそれでよし。

 

「………こぶたちゃん、私が言うのもなんだけど、ちょっと趣味悪くないかしら?」

 

 本当にお前が言うなの話だなおい。

 

「エイジャックス、いい加減指揮官様をそのひどいあだ名で呼ぶのやめませんか?」

 

「い・や。こぶたちゃんはこぶたちゃんよ」

 

 くすくすと笑ってあなたの呆れとリアンダーの不服を切り捨てるエイジャックス。

 妹のことだからこそより生真面目になっている姉はあなたにも食い下がった。

 

「指揮官様も、本当によろしいのですか?

 示しがつきませんし……」

 

 示しがつかないのはいろんな意味で今更だし、呼び方も別に自由でいい。

 ただし愛を込めること。

 

「指揮官様……」

 

「あら姉さん、今の『指揮官様』には愛は込められていて?」

 

「にゃっ!?」

 

 からかわれて一撃で沈黙するリアンダー。

 普段戦場では頼れる前線の司令塔だが、ちょっと撃たれ弱かった。

 

 初心なねんねそのものでわたわたと意味もなく腕を振るその仕草を暖かく見守っていると、横座りに崩していた脚を揃えてエイジャックスが立ち上がる。

 

「それでは私はこの辺りで失礼。不肖の姉の後始末は任せますわよ」

 

 引っ掻き回して逃げる、だと……?それは俺の専売特許だった筈……!

 

「ろくでもないですわね、こぶたちゃん」

 

 で、結局その呼び方<こぶたちゃん>は永遠に継続ですか?

 

 

 

「あなたの出した条件を満たしているのだから、何も問題はないのではなくて?」

 

 

 

 そう言い残して心なしか足早に和室を立ち去ったエイジャックス。

 ドアが閉まってから数拍置いて、その言葉の意味があなたの脳の回転に追いついた。

 

…………。

 

―――デレたっ!?

 

「……まったく、あの子は。指揮官様も指揮官様ですけど」

 

 衝動的に叫んだあなたに、再起動したらしいリアンダーの嘆息が返ってくる。

 わずかに苦笑を混ぜた微笑みで、じっとあなたを見据えていた。

 

「実は、この時間、この部屋を出てすぐそこのダイニングで一緒にお茶をする約束をしていたんです。

 だから待ち合わせ場所に来ないあの子を探しに私がここを通ることも、読んでいたでしょう」

 

 ああ、それであんなわざとらしい演技してたのね。それにリアンダーはきれいに引っ掛かったと。

 

「わ、忘れてください………」

 

 困り顔のリアンダーは、そこでふと思い直して話すのを止める、妹が指揮官のマッサージと称してこの部屋に連れ込んだ理由を。

 『こぶたちゃん』とじゃれたり姉に悪戯を仕掛けるという目的もあるにはあっただろうが―――今この時、期せずしてリアンダーは指揮官と二人きりの時間を過ごしている。

 偶然通りがかったあなたを確保しておいて、把握してしまっている姉の感情と欲求を満たすために気を回したのだ。

 

 そのことには素直に感謝するし嬉しいとも思う。

 が、妹に一方的に施されるだけではいけないというのがリアンダーの流儀だった。

 

「あの子は色々なことによく気が付く子ですし、気が付いたら解決しないと気が済まない子ですから。

 その分気苦労も絶えないでしょうし、あれで指揮官様に甘えているつもりなのでしょう」

 

 だからエイジャックスを気にかけてあげてくださいと、頭を下げるリアンダー。

 

 それこそ気が付く範囲でならな、とあなたは敢えて軽く―――しかし確かに了承した。

 

 

…………実際のところ、人を初対面で豚呼ばわりしてきたエイジャックスに対して、最初は良い印象を持っている筈がなかった。

 

 なのにあなたが彼女と気安い関係を築いてこれたのは、こうしてリアンダーが姉として何度も仲を取り持ってきたからである。

 真剣に頼まれれば一方的に忌避しているわけにもいかず、そうして交流を持てばひねくれたエイジャックスの態度の裏も分かるようになってくる。

 

 だがそうなるまでには妹を気に掛けるリアンダーの想いがあったからこそで。

 

――――少し、うらやましい。

 

 前世の家族は当然ながら死に別れ、今世の家族も軍事機密の関係で今あなたが生きているかどうかさえも知らないだろうから。

 とっくに整理はつけて今更の話にはなっているが、その分だけ彼女達の絆に対して感じる憧憬は大きい。

 

「……………」

 

 それ以上何か話す気にもならず黙り込むと、リアンダーもその沈黙に寄り添う。

 数分、数十分、温かくももの寂しいその感情が落ち着くまでの間に、窓から赤みがかった西日が兆してくる。

 

 畳敷きの部屋が夕陽に染まっていると無性に郷愁が湧くのは何故だろうか。

 別段似たような環境で育ったわけでもないのに。

 

 

「――――指揮官様」

 

 

 湧いて出たとりとめもない疑問を断ち切るように、穏やかな声で呼びかけてくる少女。

 どうした、と問いを返すと彼女は静かに首を横に振る。

 

「いえ、呼んでみただけですわ。でも……」

 

 でも?

 

 

「愛は込められている………筈、です」

 

 

 わずかに揺れる、夕陽に煌く白金の髪と、海の碧を映す澄んだ瞳。

 朱に染まりながらそう告げた巡洋艦の少女は、どうにも言い表せないほど綺麗で。

 

「んー――――」

 

 気が付けば抱き寄せた勢いのまま、目を瞑った彼女の唇があなたのそれと合わさっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 





 前半と後半の落差ァッッ!!?

 もうなんかこれで完結でもいいかなとか微妙に思ったけど次話以降またいつものノリに戻してラブコメるんでもうちょいお付き合いいただければ。

 ところでリアンダー最高だと思うんだ。
 前衛巡洋艦全員の火力を底上げするんで居ると敵の殲滅速度がかなり変わってくる指揮スキル持ち。
 入手条件の都合上指揮持ちで簡単に来てくれるのは彼女くらい。
 ノーマルレアなんで燃費良好で強化もサクサク、しかも改にすれば高レア艦にも食い下がれるステータスになるという。
 始めたばかりの頃からずっとお世話になってます。
 それでいて見た目も性格も天使なのはゲームで確認すれば分かる筈。

 リアンダーちゃん可愛いやったああああああああああああっっっっ!!!!!(暴走中)


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