ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版)   作:黒好きのシン

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今回はマナト達の話し合い! 少し早い気がするけど良いですよね……


過去に囚われた男

 デスワルズブラザーズとの騒動が広がったころ。俺は細野君から娯楽室に来るよう言われたのでそこに向かっていた。

 やはりあの時は気まずくて聞けなかったのだろうけど、寮なら聞いても大丈夫と思ったのかな。それにしても娯楽室に誰がいるのか俺には想像がつかなかった。

 

「マナト、遅いよ」

 

 階段を上りきると鹿島さんが出迎えをしてくれた。遅いとは何だろうか。その疑問は直ぐに解決する。

 

「……こんな大勢で話とは」

 

 部屋中を見渡すと、第一小隊の四人、第四小隊の四人、あとは磯谷君とその執事さん、あとはフミカたち三人と俺を含めた十四名が娯楽室に集まっている。

 

「すまんがサクヤから話を聞いて気になったんだ。話してはくれないか?」

 

 出雲君が申し訳なさそうな表情をしている。

 あれだけ言い争ったことを聞いたらなんでそうなったのか気にならない人はいないだろう。

 ここはあいつの話をするしかないか。

 

「……雅央イズヤって人は知ってるよな」

「ええ、もちろんよ。知らない人なんていないはずだわ」

 

 キャサリンさんが胸を張って答える。

 

「……なら話が早い。そいつは俺の知り合いで、俺の、いや、俺たちの人生を無茶苦茶にした人の一人だ」

 

 俺の表情を見て察したのか、空気が重くなっていく。

 

「……集まっている人の中で知らない人もいるだろうけどここで言うね。俺の目は青く光るんだ」

「なっ」

「それはほんとなのか?」

「ほんとだよ。このようにね」

 

 俺は憎い相手を思い浮かべて感情を高ぶらせる。そうすると視界がクリアになってくる。

 そして俺の目を見たのか、驚いて口が閉じれない人や、一瞬で目を逸らした人、興味津々になっている人もいた。

 

「……俺はこの光る目のせいで化け物と呼ばれるようになった」

 

 そう呼び名が広め始めたのが雅央イズヤだった。

 

「黒山マナト、その光る目で化け物と呼ばれるようになったのは分かった。だがそれだけであんなに噂を広めるだろうか」

 

 磯谷君が鋭い指摘をしてくる。確かにその通りだ。光る目だけでそんな噂を流しても信じる人なんていなかっただろう。それを制御することができていたら。

 

「……それだけじゃない。この光る目は制御できないんだ」

 

 俺の話を聞いて半分の人が下を向いている。その中にフミカたち三人も含まれている。

 

「制御ができていない? だが先ほどは光らせることが出来ていたと思うが」

「……確かに光らせることができた。だがこれは任意じゃないんだ。感情が高ぶると勝手に光り始めるんだ」

 

 今は落ち着いているので俺の目は多分光っていないだろう。だが実際この力を発動してみないと分からない人も多い。

 

「……ただ光るだけじゃない。目が光る代わりに大きな力が発動するんだ」

「大きな力? なんだそれ」

 

 瀬名君が頭上にクエスチョンマークを付けている。

 

「オーバーロード。その力の名前だ」

「オーバーロード。聞いたことないな」

「俺もない。サクヤは?」

「僕も知らないよ」

 

 出雲君達がそれぞれ意見を言い合っている。キャサリンさんたちも小隊内で意見を言い合っているようだ。

 

「その力はどんなものなのか、詳しく教えてくれないか」

「……まあ今回集まった理由の中に入るし、話すよ」

 

「オーバーロードって言うのは、基本人間の脳の力は二十%くらいしか引き出せていない。だがこの力は百%の力を引き出すことが出来るんだ」

「……ただこの力の代償に凄い疲労感に襲われる。諸刃の剣だね」

「待って、それだと今まだLBXバトルをしているときは発動していたってこと?」

「……そうだね」

 

 今まで俺の戦闘を見ていたのか、細野君の中にある疑問が少し解けたように感じる。

 

「その力は欲しくて手に入れたのか?」

 

 星原君が喰いついてくる。強い人を倒したいという気持ちからか、今まで敵対していたことを忘れていそうだ。

 

「……欲しくて? 冗談じゃない。この力のせいで周りの人に迷惑をかけているんだよ。今も制御ができていないのに、ただ寿命を縮めているだけのこの力を貰って誰が嬉しいと思うか!」

 

 俺は机を勢いよく叩く。その後ジンが急いで俺の方に近づいて止めに入ってくる。

 

「落ち着け、今感情的に当たっても誰もいい気はしないだろ」

 

 ジンの言葉に俺は正気に戻る。そうだ、今ここで怒っても何か良い方向に向かうわけでもない。ただ人を傷つけるだけだ。

 

「……ジン、みんなすまない。少し感情的になった」

 

 周りの人へ少し頭を下げ、椅子に座る。

 

「そ、そこまで感情的になるほど酷かったってことよね」

 

 園山さんが共感してくれている。だが少し怖がらせてしまったようで、声が震えている。

 

「……まあ、そういうことだな。この力を説明しようにもまだ世間には公表されていないし、どちらにせよ目が光るなんて気味が悪いからな。あれから扱いが酷くなったよ」

「でもさ、やっぱり説得できたんじゃないのか? 話せばわかるやつだっているだろうし」

「……瀬名君、そういうことじゃないんだ。さっき話したようにまだ研究者も公表していないし実際目が光っているところをいろんな人に見られているんだ。証拠もない意見と、証拠がある噂、どちらを信じる? 俺はもちろん後者の方だよ」

「うっ、確かにそうだけどさ」

 

 瀬名君はまだ納得がいっていないようだ。

 

「でもマナト君さ、雅央イズヤとはどんな関係だったの?」

「それ俺も気になる!」

 

 「僕も」「私も」といろんな人に聞かれ、俺は渋々話し始める。

 

「あいつとは昔からライバルだったよ――――」

 

 雅央イズヤとは小学生のころからの付き合いで、低学年の時からLBXを一緒に始めていた。

 勿論プレイヤースキルは五分五分。勝ったり負けたりが多かった。

 そこからフミカやエリ、ジンやムラクとも仲良くなり、屯うようになった。

 けどある時からイズヤとの連絡が途絶えた。

 理由は後から分かったけど、俺とのスキルの差が開き始めて、仲良くするのが馬鹿らしくなったそうだ。

 そんなの気にしなくて良いのにとか思うことがあったが、彼にとってはプライドだったのだろう。

 そんなことがあってから、俺たちはある組織に誘拐された。

 誘拐された先では人体実験をしており、その対象に俺が含まれていたそうだ。

 その時一緒に連れてこられたフミカたち三人は、別の場所に閉じ込められていたらしい。

 ムラクはその時用事で遊んでいなかったが、俺としてはムラクまで巻き込まれなくて良かったと思う。

 そこで俺はずっとLBXでバトルを続けさせられて、今の力が目覚めてしまった。それも半分強制的に。

 そこから制御をさせようとしたのだろうが、途中で国の救助隊が突入してきて俺は助かった。

 でもその代償が化け物として呼ばれるようになることだった。

 

「……昔話はこのくらいかな」

 

 周りを見るとみんな真剣に聞いてくれた様だ。

 

「酷い話ね」

「それにしてもあの事件で助かった子供の中の一人だったとは」

 

 出雲君が言う事件とは、誘拐事件の事だろう。

 まだミゼル事変が起きる1年ほど前のできごとだ。

 日本中で子供が行方不明になる事件が起きた。

 だがそれが一人だけではなく、およそ百人ほどの子供たちが一気にいなくなったそうだ。

 その中に俺もフミカたちも含まれているが、その時大騒ぎだったようだ。

 

「……それで、俺の昔話をしたわけだが、気持ちは変わらないか?」

「僕はデスワルズブラザーズに怒っていた理由は何となくだけどわかったよ。その雅央イズヤって人がいろんな人に吹き込んでいるでしょ?」

「……そうだな」

「まあ何がともあれ、話してくれて助かったぜ。ありがとな、マナト」

「……それはどうも」

 

 細野君は瀬名君の他に、第四小隊のみなさんや、出雲君からもお礼を言われる。

 でも俺はただ昔話をしただけでお礼を言われることなんてしてない。

 磯谷君なんて「迷ったことがあれば俺の所に来い。話だけは聞くからな」なんて言ってくるんだ。

 そこまで大層なものでもないだろうに。

 

「……それで、星原君は?」

「僕はまだ納得していない。化け物と呼ばれる理由は分かったけど、力なんていらないとか理解ができない」

「……そうだね」

 

 星原君には別のことで対立してしまったようだ。和解にはまだ時間がかかるかな。

 

「それじゃあ話も終わったし解散ー!」

 

 瀬名君の一言でみんなが自分の部屋に戻っていく。

 それを見送った俺たちは四人で椅子に座る。

 なにやら三人が俺の方を見てにやけている。

 

「まさかこんなに早く話すことになるなんてね」

「そうだね、まさかマナトが自分で話すなんて」

「俺はびっくりしたぞ、ほんとに話すなんて夢かと思ったぞ」

 

 それぞれ俺に意見をぶつけてくる。

 

「……いや、まあ、心配かけた。まだ解決したわけじゃないけど、これからもよろしくお願いする」

 

 俺は深く頭を下げる。

 

「いいってことよ」

「そうそう、あたし達だって嫌々来てるわけじゃないしね」

「そうだよ? やっと周りに頼むようになって、私感激したわ」

 

 フミカがハンカチで偽の涙を拭いている。妙に芝居掛けるのはやめてほしい。

 

「……そんなに泣くほどかよ。多分偽の涙だろうが」

「ばれた?」

「……バレバレだ」

「くっ、もう少し演技を練習しなければ」

「フミカ姉に変なスイッチ入った」

「マナト、これどうするよ。俺は寝るから頑張って止めろよー」

「あたしも寝るからー。おやすみー」

 

 エリとジンは逃げるように階段を下りていく。

 その様子を俺は細目で見ていたら後ろからフミカから話しかけられる。

 

「さて、この後どうするの? まだ何か隠しているんじゃない?」

 

 さっきまでのおふざけモードとは違い、表情が真剣になっている。

 

「どこまで気づいている」

「最近眠れていないくらいまでは」

 

 眠れていないことなんて誰にも言ってないのになんで気づくのだろうか。

 

「最近、変な夢を見るんだよね」

 

 そこからフミカと消灯の時間まで話し合った。

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