ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版)   作:黒好きのシン

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見送り

 早朝、俺は船着き場でサトーボーを咥えてある人物を待っている。昨日瀬名君達が倒したという生徒が、俺のすぐ近くに泊まっている船に乗るからだ。なんでも、ロストして退学になった生徒は次の日の早朝の便で帰らないといけないと小耳にはさんだからだ。なので一睡もしていない。だから物凄く眠い。

 

「もういつも起きている時間じゃないか。誰だよ日が昇る前に出ていくとか言っていたやつ」

 

 東を見ると、すでに太陽の半分以上が顔を出している。この時間帯の俺はすでに起きていて散歩をしているはずだ。こんなことになるならいつものように寝ていればよかった。そう思っていても過ぎたことに変わりない。

 

 眠気と格闘しならが目の前に広がる海を眺めていると、俺の方へ近づいてくる三人の人物が、

 

「なんだ、これは珍しい。冷やかしに来たのか?」

 

 声を掛けられたので振り返ると、私服姿のデスワルズブラザーズの三人が目を細めて俺の方を見ていた。

 

「……否定はしない」

「おや、珍しい」

「どう考えても敵国、それも昨日まで戦っていた相手の国の人が待っていたんだ。そう捉えるのが普通だろ?」

「違いない」

 

 エリックさんが少し笑みを浮かべる。

 

「それで、ここで待っていたということは俺たちに用があるんじゃないのか?」

「まあ、ね。色々と」

「その中にはイズヤ(アイツ)のことも入っているんでしょ?」

「……そうだな」

 

 あれだけ言い争ったのだ。ここに俺が居てその争いの原因を作ったやつのことを聞かないなんてことは簡単に想像できるだろう。肯定した俺を見て三人はお互いに目を合わせ、同時に肩を竦める。

 

「まあ、俺たちもお前とアイツの事が気になっていたんだよ。アイツが何故そこまでお前のことを悪く言い続けるのか」

 

 エリックさんの言葉に俺は驚いた。普通に俺の悪い所とかを聞いて、信じて行動していたと思っていたから。

 

「……話せば長くなるけど」

「構わないよ」

「そーそー。出向までまだ時間あるしね」

 

 俺は一息ついて、事の経緯を三人に話した。勿論力のことも含めて。ただ事件のことについては伏せておいた。そんな軽々しく話して良い内容でもないからな。

 

 一通り話し終えると、三人は難しそうな表情をしていたが、徐々に理解してきたのか、硬くなっていた表情が緩んできた。

 

「なるほどな。確かにプライドの高い男だよ。アイツは」

「そーだね。先輩である僕たちにもデカい顔していたしね」

「まーそれでもプレイヤースキルはあったからな。ムカつく態度なのは変わらないが」

 

 そのプライドの高さはどこか星原君に似ている、そう俺は思う。

 

「ただそのオーバーロードと言うのはそれほど危険なものなのか?」

「……危険どころか下手したら死ぬって言われてる」

「そんなの制御できていないとか今すぐ病院に行った方が良いよ」

「というよりLBXを触らないほうが良いかもしれないがな!」

「……そういう環境に恵まれていたらそうしていたかもしれない」

 

 まだ中学二年。そんな年でどうにかできるならやっている。大人に頼ろうにも今の両親以外に頼れる人なんていいないのだから。そう、ここに来た理由だって。

 

「こんなのその年で考えるようなことじゃないだろ」

「……はは、そう思いたいけどね」

「好きか? LBX」

 

 唐突な問いに俺の頭は一瞬真っ白になった。LBXが好きかって? もちろん。

 

「—―好きに決まっているだろ」

「なら良い」

「てかそんな状態でもLBX続けられるって相当なものだよな!」

「いつか身を亡ぼすよ?」

「……ははは、耳が痛い」

 

 先輩方の忠告は流石に来るものがある。たとえどんなことが起きても、この力の事も、夢も。そういえば。

 

「……大事なものってある?」

「え?」

 

 三人とも目を丸くして俺の方を見る。そんな変なこと聞いたのだろうか。

 

「大事なもの、ねぇ」

「そういや考えたことなかったな」

「でもまあやっぱり今は」

 

『この三人かな』

 

「あ」

「え?」

「ん?」

 

 三人が息をそろえて同じこと言ったことに動きが止まる。だがそれは一瞬のことで、直ぐに笑い出した。

 

「なんだそれ」

「結局この答えになるんだね」

「そうでなきゃ今までの悪さなんてしねーよ!」

 

 この光景は俺にとってとても眩しく感じた。昨日までの険悪な空気とは逆に、三人で笑いあって、爽やかな雰囲気をだしている。もし普通に戦争をしていなければ見方が違っていたかもしれない。

 

「……仲が良いんだな」

「当り前だ」

「ほんとほんと」

「何年デスワルズブラザーズをやっていると思っているんだ!」

「……お、おう」

 

 少し勢いに引いてしまったけど、こんな一面も見れて、ここにきて良かったと思う。

 

 そんなことを考えていると、急に三人が真面目な顔で俺の方を見た。

 

「黒崎マナト、お前はそのままで良いのか?」

 

 三人を代表してエリックさんが聞いてくる。

 

「……良くないとは思っている」

 

 予想通りの返事が返ってきたのか、呆れた顔をしている。

 

「思っているだけではだめだ。そのまま何もしないでいると何も守れないぞ」

 

 エリックさんの言葉が俺の心に深く突き刺さる。自分で分かっていても他人から言われると改めて実感させられる。

 

「その様子じゃまだ時間がかかりそうだな。瀬名アラタといい、お前といい、その甘さが自分を追い詰めるぞ」

 

 その言葉を最後に、俺は三人にお礼を言って、その場を離れることにした。そして港のすぐ近くで瀬名君とすれ違ったのは言うまでもない。




俺はデスワルズブラザーズ好きだぞ。あの悪ガキ感が出ているのに憎めないやつ。あと三人が超仲良しと思っている俺の独自解釈上乗せています。
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