ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版) 作:黒好きのシン
大変お待たせしてしまい申し訳ありません。これからは性癖展開しつつ完結まで持って行きたいです。
昼休みの時にエルダーシティ、いや、要塞戦車エルドバンド攻略作戦に加わることが決まった俺は、放課後、ウォータイム出動のためにコントロールポッドに乗り込む。その後は通気口のような穴にLBXをセットして後は少しだけ待機する時間。しかしここで違和感を覚えた。何時もならこの時に目の前が変わっていく感覚がするのだが、今日はその感覚がない。
「なーフミカよー。本当に大丈夫なのか?」
「アラタ君の作戦が? なら大丈夫よ。私の勘がそう言っているの」
「いつもの勘便りかよ! まあフミカの勘は当たると有名だからな、何とかなるだろ」
作戦内容は結構危険度高いはずなのになぜこんなにも緩い会話をしているのだろうか。いろんな人と相手してきたから肝が据わっているのか? だとすると肝が据わりすぎているぞと言いたい。
「はいはいお喋りはそこまでにして。降下ポイントに到着するよ」
さすがは俺らのメカニック。何時もはふざけていても真面目にするときはするんだぞ。
「降下開始!」
隊長の指示と共に、レバーを下げる。クラフトキャリアの底が開き、LBXが落ちていく。ふと落ちる風景を見ていると先程まで分からなかった違和感の正体が判明した。オーバーロードが発動していない。
何時もなら落ちるときもスローに見えていたのに、今はスローでもなく普通に落ちている風景に見える。漸く勝手に発動しなくなったのか?
「よし、無事に下りられたわね」
エリから送られてきた画面に表示されているレーダーを見る。今は周辺に敵はいないようだ。それよりも。
「……な、なあ」
「どうしたの? 帰りたいというのはだめだからね?」
「……そうじゃなくてだな。今オーバーロードが発動していないんだ」
作戦に移るために移動していたのだが、俺の言葉を聞いてなのか、急に足を止めた。
「ごめん、もう一度いい?」
聞き間違えたと思ったのか、フミカは再び足を進める。
「あ、ああ。なんか今、オーバーロードが発動していなんだが」
再びフミカの機体の足が止まった。何度も立ち止まるなんてどうしたのだろうか。
「よかったじゃねえか!」
「そうよ! 良かったね! マナト!」
「……ありがとう?」
ジンとエリが喜んでくれたが、正直俺はどう反応したら良いかわからないためぎこちない返事をしてしまう。あとフミカが無反応なのが気になる。
「––本当に大丈夫なの?」
「……大丈夫、とは?」
フミカから唐突に投げられた質問に質問で返してしまった。
「そうね、色々とあるわ。突然勝手に発動しなくなったのも気になるし、何故このタイミングなのかも––」
「それは後でで良いんじゃね? もうアラタ達が移動し始めたし」
確かに、ジンの言う通りで今は作戦中なのだから話している暇はない。話題を振った俺が言えることではないが。
兎に角この作戦中オーバーロードを使う作戦が行えないと共に、戦い方を掴まなくてはいけない。そう思っていると、ちょうど良くレーダーに敵機が映り込む。
「ちょっと敵がいるみたいだから倒してくるよ」
「敵だぁ? エリ、何機だ」
「一機のみだよ。機種は……リュウビ」
リュウビ……ね。
「……じゃあ行ってくる」
「待って、私も行く。ジンは先にハルキ君とゲンドウ君の部隊と合流して」
「はぁ? まあ確かにマナトだけだと今は不安だが、それだったら俺も残るぞ」
「それも考えたけど、この作戦に無理矢理参加しておいて誰も合流しないのは流石に失礼になる。だからそれぞれの役割を考えて最適なのは合流先で暴れられるジンを送る方が良いのよ」
確かに、今までもジンが先陣を切り大暴れしている所に俺が近距離でサポートに入る。フミカは中遠距離から敵の撃ち漏らしを処理する。エルドバンドを相手にヘイトを取る立ち回りができるのはジンだ。
「わかった。俺は先にアラタ達のところへ合流する。そこで暴れれば良いんだよな!」
「ええ、任せたわよ」
「……後で追いつく」
「のんびりするなよ!」
俺とフミカはジンと別れ、敵のいる方へ向かう。
「慣れるためとはいえ流石に1人だと危ないからね」
そうだ、慣れるためには戦わないといけない。今まで勝手に発動していた状態での通常戦闘だった。今回はその逆だ。相手はスローに見えないからちゃんと目で追えるように慣れさせなければいけない。そのためにはどうしても1人でできることは限られるのだ。
エリからの情報ではリュウビだと言っていたが、果たして……見えた。
「……白いリュウビ。イズヤか」
なんてこった。この前ムラクから派手に動くなと言われただろう。俺も返事したし気を付けようと思ったよ。まさかエルダーシティの防衛に来ているとか知るわけないだろ!
リュウビは此方に気づいた途端、容赦なく襲い掛かってきた。
リュウビは一気に距離を詰め、剣を振るう。それをギリギリで躱し、両手に持つ剣で斬り返すが避けられる。
「……チィ」
正直いつでも良かった。身体の負担を考えると発動しない方が良いことは分かっている。けど発動しなくなったときの立ち回りは決して上手いとは言えない。相手がスローに見えるわけでもなく、太刀筋や弾丸が見えるわけでもない。力に振り回されていたはずが、いつの間にか力に頼ってしまっていた自分を恥じたい。少し戦闘しただけで俺の戦闘力が分かる。
「……前とは大分戦い方が違うな。でも」
リュウビは再び俺の右側へ回り込み、右手に持つ剣で薙ぎ払う。俺は機体を動かし、敵から見て右側へ回避する。本来ならバックステップで回避するのが安全だが、機動力があるなら無理してでも攻めた方が良いと判断した。
「……そこだ!」
「ちぃ!」
回避されたが無茶な避け方だったのか、隙ができていた為俺はリュウビへ剣を振るう。リュウビは反応できずにそのまま数メートルほど吹き飛んだ。そこへ追い討ちを仕掛けるためにフミカが銃を撃つも、リュウビはすぐに体制を立て直し直ぐに移動したため弾が当たることはなかった。これで手を引いてくれれば良いのだが、そう簡単に引いてくれるとは思わない。移動していた敵は真っ直ぐ俺の方へ向かってくる。
「化け物の癖にぃ!」
「……くっ」
回線は繋がっていない。だが相手からの敵意が剥き出しているのを感じ取れる。その気迫に押され、捌ききれなかった分のダメージが蓄積されていく。
この場にはフミカもいるのに、視界に入っていないのか
「……そこまでして俺を恨んでいるのか、イズヤァ!」
剣を受け止め、そのまま力で押し返しリュウビの胴体へ蹴りを入れる。体制を崩したリュウビは避けることが出来ず蹴りを食らい、後方へ飛んでいく。立て直す隙を与えないよう、俺は機体を動かしリュウビへ接近し、剣を振り下ろす。
「てめえだけはぜってえ許さねぇぞ、マナトォ!」
俺の攻撃を容易く躱し、お返しと言わんばかりにリュウビが後ろから剣を胴体へ向けて薙ぎ払う。
「……ロスト狙いだって分かってんだよ!」
「マナト君落ち着いて!」
「チィ! さっきから鬱陶しいなぁ!」
機体を前方にステップで避け、少し距離を取る。だが獲物を逃がさいよう距離を詰めようとしたが、フミカの銃撃がリュウビを襲い動きが止まる。だがリュウビは周りを飛ぶハエを払うかの様な素ぶりを見せる。何かがおかしい。
「……ありがとう、助かった」
「お礼は後、来るよ」
「マナトォ!!」
「……くっ」
急接近してきたリュウビが振り降ろした剣は自機の右肩を掠る。オーバーロードを発動していなければ無傷で避ける事も出来ない。俺を苦しめてきた能力に甘えてきたんだと改めて分からされる。それでも、負けられない。
「てめえは何時も何時も! 俺の邪魔をして!」
「いい加減に私の方も狙いなさいよ!」
今は考えている暇はない。リュウビを倒して瀬名君達のところへ行かなくては行けない。だけど目の前にいるリュウビから向けられる憎悪を感じ取り、一瞬だが反応が鈍くなる。フミカが援護してくれるも、何故か俺だけを狙ってくる。あれ、なんで俺だけ狙われている?
「初めて会った時から気に食わなかったんだよ!」
「マナト君、これ、変だよ。嫌な予感がする」
「……そんなん言われたって! っちぃ!」
通信が繋がっていない筈なのに、俺の頭の中で声が響いてくる。
“憎め”
うるせぇな
「だからあの時! てめえは堕ちたはずだろぉが!」
「一回下がって! ってあぁもう、私を無視しないで!」
「……しつ、こい」
敵の攻撃を正面で受け止める。本来なら力の差がない筈なのに、徐々に押されていく。フミカの射撃を察知して避けているはずなのに俺ばかり狙ってくる。
“恨め”
先程から汗と動悸が止まらない、視界も時々霧がかかり手も震えている。頭の中で声がするし、何が恨めだ静かにしろ!
「人じゃない癖に外に出てくんじゃねぇよ!」
「きゃっ、マナト君ごめん、油断した」
「……こいつ、俺、ばっかりっ」
正面から振り降ろされた手た剣を両手に持つ剣で交差させ挟む形で受け止める。くそ、パワー負けしてる。
徐々に敵の顔が近づき画面いっぱいに広がる。本来光るはずのない目が紅く見える。俺を、殺そうと。
”殺せ“
いやだ。
”壊せ“
壊したく、ない。
“消えろ”
まだ何も、見つけてないのに。
“終わりだ”
終わりたくない。
“寄越せ”
たすけ–––––––
闇落ちとは少しだけ違います。
次回:堕ちた
堕ちてんじゃねーか!(即堕ち2コマ)
PS.本当は朝5:30に投稿するつもりが三話分性癖に従って書いたものの、改めて読むと落とし前つけられねぇじゃんってなったので2/3ほど練り直してました。没集作ろ