ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版) 作:黒好きのシン
今回の回は没にしようかと思ったんですけど『当たって砕けろ』ということで投稿します。
「日曜の早朝から小隊長会議とは何事って思ったら……」
日曜の早朝に呼び出しするなんてよほど緊急なんだろうなって思って緊張してたのに。
「第一小隊の新人について話し合う必要があると思いましてね」
そうきたのね。まあ私からしてもあの二人のなんていうか負けず嫌いなところ? は素直に良いと思うのよ。良いと思うんだけど今の状況からしたらそうとは言えなくなってくるのよね……。私が言えることじゃないけど。
だってそうじゃない? 同じ新人さんなんだから。
「あの二人、肝心なところで命令を聞かなくなるよね。それとも
カイト君、今『まだ』って言ってたよね。ハルキ君にも過去に何かあったのかな? まだ転入して数日しか経ってないけどあの二人には結構厳しくしてるのをよく見かけるから。そういえばバイオレットデビル作戦会議の時はいつもより言動が厳しかったけどもしかして今の発言とも関係あるのかもしれない。
……それよりキャサリンさん。そんな小悪魔みたいな顔しないの。こういうの好きなのはわかってたけどここまでとは思わなかったよ。私のなかでへましたときにつついてくるのはカイト君、リクヤ君、キャサリンさんあたり。ハルキ君は指摘してくれるけど、その後はアドバイスをくれたりするから良いとして。ゲンドウ君が未だにわからない。って会議中なんだから考えるのはここまで。
「第六小隊も同じだが、明日のウォータイムは出られるのか?」
「LBXについては、サクヤが全力で修理している」
「私の所もエリが全力で修理してるけど、私やジンのはともかく、マナト君の方が間に合うかどうか」
「ロスト寸前だったんでしょ? 治るの?」
「それは……」
キャサリンさん、痛いとこついてくるのね。
マナト君のLBXが間に合わない理由は直でバイオレットデビルと戦っているときに私たちがフォロー出来なかったことが一番の原因。 サポートしようにも仲間らしきLBXに邪魔をされた挙句、武器が近距離向けじゃなかったことによる状況的不利だった。マナト君みたいに酷い損傷はしてなかったけど、なんかとても悔しい気持ち。
「ハルキ、無策で臨めばまた仲間を失うだけだ」
「…………わかっている」
「それと、フミカ」
「は、はい!」
これで終わりかと思っていたらゲンドウ君から唐突に呼ばれて思わず声が裏返ってしまった。恥ずかしい。
「少しばかり気になっていたのだが、ヒカルとマナトの間に何かあったのか?」
ゲンドウ君の言葉にほかの人も「あー、そういえば昨日言ってたねー」とか「何々? 何があったのー?」など聞こえてくる。あまり教えたくない話なのにどうしたらいいのかな。
「ええ、少しいざこざがあっただけよ。ただそれだけ」
「たとえそれだけだったとしてもマナトのことを
「お、それは僕も気になるねぇ」
あ、聞こえてたのね。私としては触れてほしくなかったのだけど、こうきっぱり言われちゃうと反応に困ります。まずどこまで説明したら良いのか分からない。
ちょっと、カイト君。そんな目をギラギラせて私を見ないで。ここまで興味を持つなんてちょっと怖いかも。
「どうした? 何か説明できない事情でもあるのか?」
ゲンドウ君が尋ねてくる。
もう考えてる暇なんてない。まずはこの場を凌がなくては。
「……ま、まあまず、化け物と呼ばれている件については現状、お話しすることはできません」
「おや? 話せないのかい?」
「ですが」
ここで一息つく。今この場において冷静な判断が必要不可欠。マナト君への負担もできるだけ軽減させないと。またあの時みたいに――――
「今ゲンドウ君が言っていた話は事実上否定はできません」
「なるほど。では黒山君が化け物と呼ばれていることについては認めるということですね?」
「はい。認めます」
「認めちゃうんだー」
「ここで言い訳してもあなた方が納得するとは思えなかったので」
現に今、誰も納得していないのは表情を見れば分かる。
「ただし」
「この状況は私としても放置できないと判断しています。なのでその件については今後触れないでいただきたいです」
「そう言われてもねぇ。僕はまだ納得がいかないんだけど」
「私としては説明できないとおっしゃっているのでこれ以上の詮索するつもりはありません」
「そうだよね~。貴方も結構分からないことだらけだし、親近感が湧いたんでしょ? 東郷リクヤ君?」
リクヤ君は詮索するつもりはないみたいだけどカイト君が結構ぐいぐい来る。そ、そんなに知りたいの?
どさくさに紛れてキャサリンさんはリクヤ君にちょっかい出してるし。
「納得してなくても話すことはできません」
「じゃあ君は詳しい説明はできないけど今は納得して身を引けというのかい?」
「そういうことになります」
いや、もうカイト君すごい来る。さっきから話してくるのは彼なのだけど……ハルキ君助けてください。
と目線で伝えるも目をそらされた。無理だってことらしい。いや、そもそも転入初日で小隊長になるとか思ってなかったのよ。放課後急に戦争しているとかウォータイムに参加してもらうとか。自分で言うのもなんだけどメンタル強い方だって思ってた。思ってたけどもう心が折れそうだよ……
「私としては少し興味があったのですが話せないのであれば引くしかないようですね」
「そうね~。無理矢理聞きだしてもしょうがないし」
「いいや、僕は無理やりでも聞きたいね」
結果的にリクヤ君とキャサリンさんは納得してくれたけど、カイト君は未だに納得してくれてない。
もう嫌だ、早くこの場が収まりますように。結局他人に任せちゃう当たり私はまだまだね……
その後、ゲンドウ君の助けにより会議を終えることが出来た。
◆◆◆
「はぁ……トメさんの料理美味しいけど、もうちょい砂糖多めで良い気がする」
俺は今、ジンと二人で食堂にて朝食を食べていた。
メニューは食パン二枚、目玉焼き、ウィンナー、スープに牛乳というフレンチな組み合わせ。
自分で発言しときながらこのメニューに砂糖多めとは、俺の味覚はどうにかなっているらしい。
「なーに言ってんだ、オメー今サトーボーと一緒に食べてんじゃねーか」
ジンはウィンナーを頬張る。
「それは言わないお約束だろ」
「そんな約束した覚えはねーよ」
「そんな……バカな……」
「マナト、どうしたの?」
「……鹿島さん? 俺はどうもしてないけど」
いや、ジンと茶番をしていたら鹿島さんにガチで心配された。その気持ちはありがたいけど申し訳ない気持ちが。食堂で茶番してた俺たちが悪いんだけど。
「どうもしてないなら良いんだ。ごめんね? 邪魔して」
「……別に邪魔ではなかったんだけど」
「まあいいじゃねーか。ユノ、俺たちは基本ご飯中は茶番する行儀悪いやつらだって思ってもらえると嬉しいぜ」
「おいジン、お前さらっと問題発言してるけどいいのか?」
「は? まず俺は全然問題ないけどオメーにはキッツいだろうな」
「あとで覚えとけよ」
「あ、あはは……」
ほら、鹿島さんが苦笑いしてるじゃないか。ジンはさらっとやばいこと言っちゃうから誤解を招きやすいんだよね。
この前も瀬名君が質問してきた時なんて。
「おいマナト! その口に銜えてるのなんだ?」
「何ってそりゃたばこだぜ?」
「おい」
「えぇぇぇ‼」
「違うって、たばこじゃないよ」
この後誤解とくのに苦労したんだからな。
ほかの人に聞こえるくらい『たばこはだめだ!』とか言われてさ。もう周りの見る目が痛々しかった。誤解だってわかった時に結構謝罪に来る人が多かったけど。
もうこんな思いはこりごりだ。ジンは後で絞めとくからそれはそれで良いんだけど。
「あれ、今日はエリ下りてきてねーな」
「修理してるんじゃないか? まあ結構時間かかりそうだし、明日のウォータイム出られるかなぁ」
「そこはこう、気にすんな」
「気にしろよ」
「イデッ。マナト、チョップすんなよ!」
ジンの発言はなにかピキッと来る。何故かは知らんが。
「朝からじゃれあいとはまだまだ元気ね」
トレイを持ってフミカが俺の隣へ座る。
「フミカには俺が元気に見えるのか」
「そうよ? 違った?」
「違くはねーだろ? 今さっきも俺と遊んでたし」
「ジン、俺はお前と遊んだ覚えはないぞ」
決してジンとは遊んでません。いや、茶番の時は遊んだのか? それにしても後の出来事はジンの一方的なやつだよな。周りから見てもそう思うだろ。 え、思わない? ……みんなひどい。
「まあそーだとしても茶番の時は遊んでたよな?」
「……そうだけど」
「ならその後も遊んでたってことで」
「……意味が分からない」
ジンのおふざけはこう、自重してほしいものだ。反応に困る。
「まあ、今は良いとして、エリは――――」
「俺、手伝いに行ってくる!」
「止めろアラタ‼ メカニックに任せるんだ‼」
「あらあら」
「行っちまったな」
瀬名君が何やら駆け出して行ってしまった。それにフミカもジンも反応に困る。俺も言葉が遮られて何言おうとしたか忘れてしまった。ほんとに何を言おうとしたんだっけ。
「マナト君、何か言いかけてたけど」
「それについてなんだが、忘れてしまった」
「ハッハー、マナトでも忘れることがあるんだな」
「その笑い方おかしいと思うぞ」
「うっせ」
何やら先ほどのツッコミが効いたようでジンは何も乗っていない皿を乗せたトレイを持ち、早歩きで去っていった。
先ほどとは違いあっさりと引き上げてしまうあたり、自分自身でもなんであの笑い方をしたのか分かっていないみたいだ。
「マナト君相変わらず砂糖棒と食べてるのね」
「常に糖分は摂取しないといけないからな」
「それはそうだけど……美味しいの?」
「一回味わってみる?」
「結構です」
きっぱりと断られました。無理もない、この甘々しい砂糖の棒と一緒になど食べたくないはず。
誰も試してないがそう言える。……そもそも試そうという人はいるのかも疑問に思えるけど。
……あれ、ちょっと待て。フミカの持ってきたトレイの上に置かれている赤いものはなんだ。
「フミカ」
「何?」
「そのトレイに置いてある赤い液体が入っている容器はなんだ」
「何って、ケチャップよ?」
……ケチャップ? あのオムライスとかハンバーグとかにかけるケチャップ?
おい、ちょっと待て、なんでそんな違和感もなく食パンにかけている。
「……フミカ、それ許可貰ったのか?」
「ええ、貰ったよ?」
次はスープにまで入れ始めた。フミカのケチャップ好きは度を超えている。
「……許可を得ているのなら問題は、ないのか?」
「ちっちゃいことは気にしないの」
「気にしたら負けってか?」
「えぇ、そうよ」
入れ終わったのか、フミカはケチャップが入った容器をトレイに戻す。
「まったく……俺は食べ終わったから先に戻るぞ」
「分かった、また後でね~」
俺はトメさんに謝罪をしに行くためその場を後にした。
その日の夜、フミカはトメさんからケチャップ禁止令を下されたのはまた別のお話……
一人称って難しいですね(今更感)
5/23 加筆、修正しました。まだ様子を見てさらに修正予定。