ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版)   作:黒好きのシン

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新しいLBX

 真っ暗な空間に罵声の声が響き渡る。

 

 何時もそう。外に出るだけで周りからは人として見てもらえない。

 

 意図せず目が合ったとき、灯っていた相手の眼の光は直ぐに暗くなり、蔑むような目で俺を見てくる。

 

 だが俺はこの扱いに慣れていると思っていた。けどそれは違った。ただ俺は逃げていたんだ。

 

 ある男が語った噂を信じた者たちから受けてきた罵倒の数々から。

 

 そして逃げた先でも繰り返される罵倒の数々。

 

 俺はどこに居てもダメなのかもしれない。

 

 だってどこに居ても歓迎されないのだから。

 

 

 『ナラ壊セバ良イ』

 

 

 

 

 「……っ! 夢、だったのか」

 

 部屋の中はまだ暗い。枕元に置いてあるCCMを起動する。

 ……05:20 もうすぐ夜が明けるころだろうか。

 

 もう一回寝るにしても先ほどの夢で眠気が吹き飛んでいる。このまま起きるしかない。

 

 それにしてもさっきの夢は何だったのだろうか。

 

 直接頭に響いてくる声だったし、夢にしてはリアルすぎる。

 

 そのまま色々考えてみたものの、リアルと夢は区別しろということで少し早いが学校へ行く準備でもしようか。

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 「基本的な動きはできるようになったけど戦闘までは流石のあたしでも無理よ」

 

 「エリでも内部までは無理だったか。しゃーない、あれだけやられたらな」

 

 エリの説明にジンは俺の方を見て頷く。

 

 俺もあの時の戦闘で無理しすぎたのは分かってる。機体の性能も桁違いだった。そんな状況でロストせずに済んだだけでも本当に良かった。その引き換えに受けた代償は重いけど。

 

 そんな話をしている中、教室の扉が開き、美都先生が入ってくる。

 

 「第一小隊、第六小隊前へ」

 

 美都先生にいきなり呼ばれ、俺はほかの三人の方へ向く。

 どうやら3人もなぜ呼ばれたのか分からず、お互いに顔を見合わせている。

 だが呼んでいるのにいつまでも座っているわけにはいかないので渋々立ち上がり、美都先生のもとへ向かう。

 

 

 

 

 「現在、第一小隊のLBXは満足な状態ではないわね」

 

 美都先生の問いに出雲君は静かに俯く。

 出雲君の手元を見ると悔しいのか、握り拳を作っている。

 

 「第六小隊も満足な状態ではないのよね」

 

 こちらにも話を振られたが、隊長であるフミカは何も答えない。

 

 「ではこれを使ってミッションに出てもらいます」

 

 両手に持っていた箱を教卓に乗せ、美都先生は箱を開いた。

 

 

 これは……

 

 

 「LBX?」

 「今回のウォータイムより、ジェノックに新型機が導入されることになりました。よってこの新しいLBXの試験もかねて、第一、第六小隊に出撃してもらいます」

 

 シンガタキ? シケン? え、そんなもの転入したばかりの俺たちに良いんですか?

 

 

「出雲ハルキにはオーヴェイン、星原ヒカルにはバル・スパロス、瀬名アラタにはドット・フェイサー、紅ジンにはレッド・イカロス、剣崎フミカにはフライトレイア、黒山マナトにはドレット・リオンが支給されます」

 

 

 ドレッド・リオンか……カッコ良いな。

 

 

 「ちょっと待ってください。なぜ第一、第六小隊なんですか」

 

 「そうです、第一小隊、第六小隊は前回の作戦で失敗しているのですよ!」

 

 

 確かに。俺も前回の作戦で失敗しているのに支給されるなんて虫が良すぎるとは思う。

 

 

 「第一小隊は、第一小隊は第六小隊が助けに行くまで勇敢に戦ってくれた。そして第六小隊も入ったばかりにも関わらず、敵に臆することなく戦ってくれた。その姿勢は評価できる」

 「アラタ、これからもその新しいLBXでも見せてみろ、お前たちの戦いというものを。そしてマナト、お前たちもその機体で戦いというものを見せてみろ」

 

 

 磯谷君はよく見ているな。あくまで客観的に判断する。これは同じ小隊の人からも信頼されてそうだな。

 

 

 「ありがとうございます」

 

 

 俺は磯谷君に頭を下げる。こんな感じで認められたのは久しぶりな気がする。

 

 

 

 「ありがとうゲンドウ! よっしゃー、頑張るぞー!」

 

 

 

 

 

 

 今は放課後。

 

 俺たち第六小隊と出雲君率いる第一小隊はこの後に行われるウォータイムへ向けて新型LBXを組み立てていた。

 

 

 「……できた」

 

 

 ドレット・リオン。ナイトフレームの可変型機。ナイトフレームにしては全体的に厳つい感じで、このLBXはオリオンに似ているかもしれない。背中についている翼がまさにそれだ。全体的に色は黒ベースに所々青や赤の迷彩みたいになっている。

 

 

 「こっちもできたぜ」

 

 

 ジンのレッド・イカロス。名前の通りフレームの全体が赤色に染まっている機体だ。どこかしらイカロス・フォースに似ているような気がする。

 なぜ知っているかって? それはミゼル事変の時に1度だけ見たことがあるから。

 

 

 「それも可変型機か?」

 「ああ、そうだぜ! でもまあ、剣の形になるらしいが」

 「剣?」

 「そうだよ、剣。剣になって空を飛ぶぜ」

 

 

 理解が追い付かない俺は言葉を失う。剣になって空を飛ぶだって? 剣になるだけならわかるがその形で空を飛ぶなんてそのまま突っ込んでみろ。敵は真っ二つだ。

 

 

 「ジンがマナト君を黙らせた」

 「あーあ、ジンがマナトを黙らせた」

 「俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇ!」

 

 

 君たち仲良すぎか。ジンをいじるのみんな大好きやな。俺含め。でも弄りすぎるといじめみたいになるから加減が必要。その加減が難しいが。

 

 

 「てかさー、これ飛べるだけじゃなくて武器になるんだな」

 「ジン……本当か?」

 「本当だ」

 

 

 まじか? え、それだったらあれだな、剣のまま飛んで突っ込んでいったら終わるんじゃない? これパワーバランスぶっ壊れでは。

 

 

 「ジン、嘘ついてない?」

 「嘘なんて付いてねぇ!」

 

 

 あれ、フミカも? やっぱりおかしいよね?

 

 

 「ジン、でたらめ言ってない?」

 「なんでみんなして俺を違ってんだよぉ! 今まで一緒にいたじゃねぇか!」

 

 

 エリがとどめを刺してしまった。いや、流石にこの反応になるって。

 

 

 「いやだってさ、ほら、ね?」

 「うんうん、フミカ姉の言う通りだよ。ね? マナト」

 「……あ、ああ。そ、そうだな」

 「お前ら後で覚えとけよ」

 

 

 ジンの目が本気になっている。 いや、嘘かどうかはあれだよ。ミトメタクナイ! と言いたいの。

 

 

 「あ、フミカ姉の機体はストライダーフレームなんだ!」

 「おいしれっと話題を変えるな」

 

 

 あっ、これ話題ら忘れようとしているパターンだ。これは乗るしかない。

 

 

 「……なるほど、ジンのはナイトフレームだったがフミカはストライダーか」

 

 

  なるほど。これはフレイヤに似ているからベースはフレイヤか。でも後ろのバックパックみたいなのはフライトデクーか? それともバスター。いや、バスターのはこれよりも小さかったからこれはフライトデクーを基準にしてるな。カラーも白を基準にして背中のバックパックは薄いイエローが入っている。

 

 でもこれで機動力が大幅に……上がりすぎじゃないか? 一小隊全員が単独飛行可能ってこれ本格的にパワーバランス崩れない? 

 

 あれ、ジンが俺の方をまるで信頼していた人が裏切って絶望したみたいな顔してる。

 

 

 「マナト、お前まで……」

 「そうみたいね。可変型機じゃないけど単独飛行はできるそうよ」

 「なあ認めたくないなら認めたくないって言えよ!」

 「「「認めたくない」」」

 「何もそろって言うことじゃねーだろ!」

 

 

 流石ボケ&ツッコミ担当。俺としてはキレッキレである。 

 

 

 「あ、もうそろそろ時間だし移動しようか」

 「……はいよ」

 

 

 俺たちは指令室へ向かっていく。

 

 

 

 

 

 指令室に移動した俺たちは美都先生から作戦内容を聞いていた。

 

 

 「今回の目標はイーストエンドウリッジ、ロシウスの制圧下に置かれているこの橋を奪ってジェノックの輸送路を確保することが目的よ」

 

 

 補給路ね。てことはもうすぐ大きく動く出来事が起きるってことか? 新型機の導入に合わせた感じか。

 

 

 「防衛にあたっているロシウス軍のLBXを第四小隊が誘導」

 「私たちが囮なの?」

 

 

 囮も結構重要な役割な気がするが不満なのかな? 俺が言えたことじゃないけど。

 

 

 「第二小隊が占領ポイントの制圧を行う。第一、第三小隊はその援護を。第五、第六小隊はジェノックの拠点、及びクラフトキャリアの防衛に回る」

 「なるほど、常に見張り番ってわけね」

 

 

 俺たちも見張り番か。ん? 試験って言ってたけど俺たちは見張り番なのか。

 

 

 「まあ良いでしょう。第一小隊の実力、見せてもらいましょうか」

 

 

 ……ここ中学2年の学年だよね? こんなにバチバチすることあるか? 俺も一部の人たちとバチバチしてるけど。

 

 

 「マナト!」

 「鹿島さん?」

 

 

 急に勢いよく声を掛けられたらビビるだろ! 最近よく話しかけてくる鹿島さん。この間の会話から気が抜けたのか?

 

 

 「新型機貰ったのに拠点防衛だったね」

 「……まあ新型機だからって全部の機体前線に持っていくのもあれだろうしな」

 「確かにそうかもしれないけど」

 

 

 なぜか鹿島さんはむすっとしている。 いや鹿島さんが新型機貰ったのならわかるがそこまで機嫌悪くすることかな。

 

 

 「なんだぁ? マナトとユノっていつ仲良くなったんだ?」

 「あ、そのことに関して私も気になる」

 「あたしもー」

 

 

 フミカたち3人が近づいてくる。いや、エリは2人に便乗しただけかもしれない。

 

 

 「ちょ、ちょっと! マナトとは何もないよ?」

 

 

 鹿島さん? 顔赤くしてるけど大丈夫か? 

 

 

 「ほーん。怪しいな」

 「ジンもそう思う? 私も怪しいと思う」

 「フミカも同じ意見か。エリは?」

 「あたし? あたしもそう思うー」

 「なんだ? エリは興味ないのか?」

 「……別にー」

 

 

 3人ともなんの会話をしているんだ! エリはなんか機嫌悪そうだし。

 

 

 「そうか、ならマナトはどうなんだ?」

 「……どうって? 新しい機体?」

 「ユノのことだろ、今の話の流れを考えても」

 

 

 うわ、ごまかそうとしたけどだめだったよ。

 

 

 「……いや、ねぇ。昨日か一昨日かなんかの夜にちょっと会話しただけだよ」

 「え、マナト君。それだけ?」

 「……それだけだよ」

 「ちぇ、つまんねー。甘い予感がしたのによ」

 

 

 今ジンが言ったことって何。

 

 急募、甘い予感の意味。誰か教えてください。

 

 

 「あーあ、もう、早く移動するよ、怒られちゃう」

 「お、おう、わかったよ。てかなんでエリは機嫌が悪いんだ?」

 「私は知らないよ」

 「……俺も知らない」

 

 

 いや、だって急に機嫌悪くなってるしフミカも俺も知るわけないよな。分かんないよね?

 

 

 「……移動するか」

 「そうだね」

 

 

 俺たちは急いでコントロールポッドへと向かう。

 

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