ダンボール戦機ウォーズ~夢を探しに~(リメイク版)   作:黒好きのシン

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防衛戦

 俺たちは拠点防衛のために、ジェノックが保有しているオアシス3にいた。

 

「やっぱ防衛って思ってた通り暇だよなぁ」

「ジン、思ってても言わないの」

「だけどよぉ」

 

 ジンの言っていることは分かる。今もこうして警備しているが何も反応もない。平和ならそれで良いかもしれない。だがせっかく新しい機体を貰ったのに戦闘もなしじゃ何か物足りないような気持ちになる。

 

「二人とも、呑気に話してる場合じゃないよ? もしかしたら攻めてくるかもしれないから」

「もしかしたらだろ? 俺は来ないに1票」

「あたしも来ないに1票ー」

 

 作戦中に何かの投票が始まった。こののんびりした雰囲気は周りから見たら仲良さげな友達と思うだろう。だが今は戦争をしている。それでも緊張感がないのはまだ俺含め自覚していないからだろう。

 

「これで2票だな、エリ」

「そうだね。フミカ姉とマナトは?」

 

 こちらに話題を振ってくるエリ。これは答えるべきか。いや、今は任務中だからぴしゃっとしないと。 ……初陣の時におふざけしただろとか言わない。

 

「俺はフミカの直感を信じるかな」

「そんじゃあマナトは来るに1票な?」

「なんでそうなる」

「そらフミカの意見に賛成してたから来るに1票だろ?」

「……そう言われるとそうだな」

 

 納得しちまった。フミカの溜息も回線越しに聞こえるし。

 こうなったらこの雰囲気をバッサリ切ろう。

 

「エリ、周囲の状況は?」

「はーい、今のところは何も異常なんて……あれ?」

 

 何か言葉に詰まるエリ。何か異常があったのだろうか。

 

「敵の反応あり!」

「数は?」

「10、20。いやもっといる!」

 

 エリの情報が確かだとこれは本気で落としに来ている。

 そう感じ取るとコントローラーを俺は強く握っていた。

 

 「……さて、始めるか」

 

 いつもと変わらない止まった世界。

 

 この力のせいで何もかもが崩壊したんだ。

 

 だから今日も動きを制限するんだ。

 

 もう誰にもばれるわけにはいかないんだ。

 

 みんなが化け物と言ったこの力は……

 

 

「……遅い」

 

 襲い掛かってきたガウンタの剣をこちらの剣で弾く。

 

 ……やはり制御できてないか。簡単に剣を弾き飛ばせた。

 

「……すまんな」

 

 俺は丸腰になったガウンタへ剣を振り下ろす。たった一振り。それだけでガウンタを倒せてしまった。

 

 新しい機体だけあって威力も申し分ない。

 

 ……容赦なく丸腰相手を切ったけど戦争なんだから仕方ないよな?

 

「オラァ! 俺の目の前に出てきたやつはこのハンマーでぶっ潰してやるぞぉ!」

 

 レッドイカロスが持っているハンマーでガウンタを吹き飛ばす。続けてイカロスの後ろを取っていたガウンタへ向けてハンマーを振り回し近くにあった柱へ打ち付けた。吹き飛ばされたガウンタは空中でブレイクオーバーし、打ち付けられたガウンタもブレイクオーバーする。

 

「しゃあ!」

「ジン! 前に出すぎないで!」

「わかってらぁ!」

「もう……おっと、そこ!」

 

 フミカは遠くで乱射しているガウンタへ同じく遠距離で応戦する。フミカの射撃命中率は高い方なので数発当てるとガウンタはブレイクおーばする。

 

 二人ともうまく倒せている様だ。

 

 と思ったけどジンの後ろで狙ってるやつがいる。しかも本人は気づいてない様子。

 

 俺はドレットソードを変形させ、剣から2丁銃に変える。

 その銃口をレッド・イカロスの後ろで切りかかろうとしている機体へ数発放つ。

 急な攻撃に反応できず、敵の機体は全弾命中して青い光を発し倒れた。

 

「うお、助かったぜ」

「……気にするな」

「分かった」

 

 ジンが俺の方を見たが、直ぐに反転し敵の方へ突っ込んでいく。 

 

「止まって見えるんだよ」

 

 俺は目の前に迫りくるガウンタ3機に、2丁銃からソードに変えてそのまま斬り抜ける。そして周囲に銃を持って狙っているガウンタ4機にソードから2丁銃に変えて素早く連射する。あっという間に7機撃破してしまった。

 

 

「ここまでくると流石にキリがないわね」

「そーだな。エリ、後どれくらいだ」

「あと20前後だよー」

 

 エリの報告に俺は少し安心する。

 倒しても敵の数が減っているように思えなかったから、こういう数字で表せるようになるとなんかほっとする。しない?

 

 

「そんくらいか、ならあれを試せるぞ、マナト」

「……あれって?」

 

 全く身に覚えがない。え? いやほら、何も試すことなんて……

 

「覚えてねーのか、俺を使う大技だよ」

「……あっ。あれか」

「え? あれって?」

「何々―?」

 

 フミカとエリは全く分からないらしい。それもそのはず。これは俺とジンが二人でやってみると言った技だから。

 

「んじゃ行くぞ」

「……おうよ」

 

「「必殺ファンクション」」

 

 『ディメンションRED』

 

 レッドイカロスが大きな剣に変形し、それを持ったドレットリオンが炎を纏いながら横へ一閃する技。

 

 いきなりの大技に敵部隊は反応できず、まともに受け、目の前にいた機体全てが青い光を放ち倒れた。

 

 「エリ、残りの機体は?」

 「ちょっとまってね。敵の反応は無しだよ」

 

 つまり先ほど倒したので終わりってことか。

 

 ここで終了のアナウンスが流れる。俺たちは拠点を守ることが出来たんだ。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 放課後。俺たちは今、4人でダック層へ向かっている最中だ。

 

「いやー。疲れたね~」

「すごく敵が多かったんだもん! あたしは上空でハラハラしながら見ていたんだからね!」

 

 エリが必死になっている。そりゃああんなに敵が襲ってくるとか思ってなかったしな。特にその前の空気で気を抜いていたのもあるだろうが。

 

「そんなもん俺のレッドイカロスでぶっとばしてやるぜ!」

 

 ジンがレッドイカロスを上に掲げる。

 いや、その調子で壊されても困るぞ。

 

「いつも思うけど元気だね。ジンは」

 

 確かに。

 

「そりゃー元気は俺の取柄だからな! 元気を取ったら何も残らんぜ」

 

 元気を取ったら何も残らないのか。なるほど。

 

「……なら元気を取ろうか」

「えっ」

「そうね、元気を取りましょうか」

「ま、まてよ」

「だねー。元気取ったら大人しくなるかなー?」

 

 エリの一言でジンは言い返さなくなった。あれ、ジンにしては珍しい。いつもだとまだ元気なやり取りを見せてくるのだが、先ほどから静かだ。……流石に言い過ぎたかな。

 

「あれ、ジン? 起きてる?」

「うん、起きてる」

 

 ……え? いま『うん』って。

 

「え、ジン。具合でも悪いの?」

「マナト達が元気取ったらと言っていたので取ってみました」

 

 取ったのか。本気で元気を取るとか思ってなかったけどここまで違和感丸出しなの初めてな気がする。ほら、オラオラ系で吠えるのがジンな感じがするし。それにその感じ、昔の時の……

 

「……ジン、言い過ぎた。ごめんな」

「ジン、ごめんなさい」

「ジン、ごめんねー」

「おうよ。俺も空気壊してすまんな」

 

 この場に妙な空気が流れる。お互いに目線を合わせず、ただ寮への道を歩いている。

 

「んで、どーだった?」

 

 しばらく沈黙が続く中、ジンが先ほどの感想を聞きたいと話題を振ってくる。

 

「違和感が仕事していたね」

「なんかいつもと違う感じ―」

「……調子狂った」

「うっわ、みんなしてひでー評価出すなよ」

 

 言葉とは裏腹になんとも微妙な表情を浮かべる。

 

「まあ俺自身も違和感というか嫌いだよなー。アレを思い出すしな」

「アレのことは……ね。うん」

「そーそー。あれは流石にねー」

 

 思い出すだけでも嫌な気分になる。もうあの家とは関わらないと決めたはずなのに。

 

「……忘れるわけないよな」

「そうね。忘れたくても忘れれないわね」

「いや、あれはぜってー忘れてはいけないんだ。あの人から託された思いはな」

 

 まだ名前がジンでは無かったころの思い出。それは絶対に忘れることなんてない。

 

「あーあ。思い出すだけでも腹立たしいなあのクソジジイ」

「……棘出てるぞ」

「うっせーないいだろべつに」

「思い出しちゃったしそうなるよね」

「おぉ、フミカは分かってくれるか!」

「あたしも別に気にしなーい」

「エリはいつも気にしてねーだろ」

「なによ酷いわね!」

「俺が酷いのはいつもの事だろばーか」

「あー! バカって言ったなー!?」

 

 ジンとエリが言い合いを始める。

 これは俺でも止められない。

 

「言ったんだよーだ逃げろー」

「こら! まちなさーい!」

 

 他の生徒も下校している中、周囲の目を気にせずジンとエリは追いかけっこをしている。

 

「行っちゃったね」

「……そうだな」

 

 なんていうかこの光景を見てると落ち着く。何時もみたいにエリとジンがはしゃいで俺とフミカはそれを見て笑う感じ。こんなことが続けばいいなぁとか思ってしまうな。

 

「それで、いつ話すの?」

「……さあな」

 

 フミカが気にしていることを俺はわざと知らないふりをする。

 

 一部の人が感づいてきてるのは知っている。そりゃ転校初日であんな騒ぎ起こして未だにギクシャクしてたらそらね。でも今は話すつもりはないよ。また壊してしまうかもしれないし。

 

「言い出す時期ははっきりしておいた方が良いと思うよ? 何があるか分からないし」

「……それって勘か?」

「勘よ」

 

 こういう時のフミカの勘は凄い当たる。これは気に留めておくか。

 

「……もしもの時は頼む」

「もしもの時?」

「……いや、話す時期になった時はだ」

「そういうことね。わかったわ」

 

 納得してくれたようだ。

 

「ジンだって色々暴走してたよねー!?」

「ははー、それはお互い様だろー」

「なにおー!?」

 

 まだやってる。

 

「……二人ともその辺にしとけよー」

「そうね、もうダック荘見えてるんだしここはお互いに悪かったということで」

「えー、先に言いだしたのジンじゃん」

「それにつられて言ったエリも同じだな!」

「あーもう! そうよあたしも悪かったわよー!」

 

 今日も賑やかな1日だった。明日はどんなことが起きるかな……

 

 

 

 




大変お待たせしてしまい申し訳ありません。

ユルシテオニイサン……
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