映画泥棒   作:乱数調整

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ハンディカム・ヘッド

そこは大型ショッピングモールの中にある映画館だった。

あるものは笑顔で、あるものは感涙にむせび泣き、またあるものはチケットが買えずに悔しがる、そんな場所。

 

その中で映画の上映をしていた広めの一室。

その場所は休日らしく穏やかに、ゆるゆると過ぎ去っていた。

 

“ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!”

 

が、そんな平和な休日を、けたたましいサイレンの音が切り裂いた。

 

《映画泥棒【機械の身体(ハンディカム・ヘッド)】が現れました。お客様は直ちに避難してください。》

 

そうアナウンスがあった途端、観客達は騒然となった。

 

機械の身体(ハンディカム・ヘッド)!?あの映画を盗るか、命を盗るか(デッド・オア・アライブ)のカムが!?」

「早く逃げろ!!巻き込まれて死ぬぞ!!」

「止まるんじゃねぇぞ…お前が止まんねぇ限り俺はその先にいるからよ…だから……止まるんじゃねぇぞ」

「先輩っ!!そんな…!先輩も逃げましょう!?」

「オレ…帰ったらずっと好きだった幼馴染に告白するんだ…」

 

そして、ものの数分で死亡フラグを全て折りながら()()()()客は避難を終えた。

残ったのは

 

「ふぅ…人をそんなに化け物みたいに扱わなくてもいいと思うのだがな?」

 

頭が某家庭用ハンディカメラになっている男が肩を竦めながらそう呟いた。

 

「そう嘯くなよ。そろそろ懲りればいいものを、いつまでも捕まらないから化け物扱いされるのさ。」

 

頭がパトカーのサイレンのようになっている男がそう返す。

 

もっとも、2人を()と断ずる要素は声でしかないのだが。

 

「えぇ、ワタシは捕まっていませんとも。…しかしながら、毎回毎回データだけは潰されてるんですよねぇ、他ならぬアナタに。」

 

「ならば諦めればいいだろう?狩場を変えるなり大人しく捕まるなり、盗るのを諦めるなり。」

 

2人の様子は全くの脱力といったふうである。がしかし、そこには触れれば切れてしまいそうな張り詰めた雰囲気があった。

 

「ここまで大きい映画館(狩場)はなかなかないのでね、そう易々と帰れるものではないのだよ。サイレス、キミも分かっているだろう?それに、」

 

カムが大げさに両手を広げて愉しそうに言った。

そして続けて言う。

 

「ワタクシ実は、映画を盗る(撮る・取る)のが大好きでして。」

 

楽しくて仕方がない、といったふうにカムが言った。

やれやれ、といったようにサイレスが言う。

 

「生死は問わない、と、上から言われているのでね!!」

 

空間がはじけた。

そう錯覚できる程の衝撃が両者のあいだから迸る。

 

「ふむ、サイレス、キミはまた腕を上げたね?」

 

「それにしっかり対応してから言うとは皮肉だな、カム!」

 

両者の実力は互角に見えていた。




ついカッとなってやりました…
登場しているキャラクターは映画の初めに出てくるアイツらです。
『キャラ違くね?』と思った方は【殺意の波動】で検索かけてみてください。

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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