今まで描いてなかった原作でのショッピングモールを舞台にしたあれこれ。
「ラウラちゃ~ん、それダメダメ、こっちで!」
と、クラスメイトの鷹月静寐がラウラに手招きする。その手には水着がぶら下がっていた。というか紐。
ここは都内、というかIS学園に近いウォーターフロントにあるショッピングモール。埋立地の遙か先に建てるとか大阪の某モール並に正気かお前と呼ばれたアレでナニな立地だが近場のラウラ達にはどうでもいい。
そのカジュアルな女性服売り場でラウラ始めとする3名が寄り集まっている。今度実施される臨海学校に向けて水着を調達に来たのだ。女だらけのクッソサバい学校の行事で誰に見せる水着だという夢のないことは語らない。
そんなワケでラウラと鷹月さん、シャルル改二シャルロットの3名が水着選びにあーだこーだしている。
シャルル改めシャルロット。要は女だと開き直って女の制服に着替えて本名名乗って再編入したあの人である。白人美少年に喜んで濡らした数多くの女子に謝って欲しい。
尚ラウラは軍への定期報告に「仏蘭西の代表候補性は織斑一夏のカキタレになりました(意訳)」と正直に書いて送ったことをこれっぽっちもおくびに出さず接している。本国がこのカードを仲の悪い隣国相手にどう切ろうと知ったことではない。
本来はここに箒も来る予定で誘ってはいたのだが、現在教員たちが彼女に言葉とモラルを覚えさせようと奮闘しているので公共の場に連れ出すのは憚られた。ついでに彼女のギザ歯に差し歯を着けさせるかどうかで揉めているという。
それはそれとして、鷹月さんがラウラに両手を掲げて見せびらかしたのは、局部を隠す僅かな布同士をV字に展開された紐で繋がれた、一応カテゴリーとして水着と称される代物である。名称をスリングショット。エロいフィギュアか変態男のプレイ位でしか見ない奴だ。
「……待ってくれ、海水浴でポールダンスやらせる気か!?」
「ほうほうこれはハードル高いですかぁ」
「いや普通そうだろう!?」
ラウラがこれ以上見ない姿で狼狽するのは必然であろう。必死に手を振る。その手には紺色のスクール水着が握られていた。
顎に手を当て、ニヤリとした表情で目を光らせた鷹月SUNが、即別の水着の掛かったハンガーを掲げる。
「じゃこちらで!」
「うん、まぁそうだなアレよりマシか。そちらにしよう」
今度は和服風の水着である。極端に短いつんつるてんで胸は局部の隠れた前開き、ローライズなセパレートの下はもろ出しルックだ。商品名を「どろろルック」。先に提示された水着より露出が低いのでラウラはつい安心して選んでしまった。先に極端な物を提示して後に本命を選ばせるという鷹月さんの罠である。ラウラは恨むなら自身の体型を恨むが良い。
「そういやさぁ」
「何だ」
速攻で会計に持って行かれつつ、鷹月さんの問いかけにラウラが首を撚る。同時にシャルロットもレジに水着を運んでいた。ブツはでかい。
「ラウラちゃん現役の軍人だから、生徒はISをファッションだと勘違いしてるー弛んでるーとか言って眉顰めると思ってたよ」
その問に、ラウラは得心する。民間からの軍人への先入観としてはあり得る話だったからだ。
「そもそもあそこは競技としてのISのノウハウを学ぶ場だ。軍人の心得は軍隊で教えるものだ。……寧ろ自分が場違いという自覚はあるぞ」
「まー戦車道やってる人に軍人としてのウンタラ言っちゃうようなもんだしねぇ」
「何だそりゃはは」
レジのお姉さんが微妙に聞き耳を立てていた件についてラウラは流した。今をときめくIS学園の生徒だと勘ぐられたワケだ。
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「ちょっとそこのアナタ! 何度も言わせる気? アナタが払いなさいって言ってるのよ! は! ら! う!」
3人が店舗を出た直後に、いかにもど神経質でねちっこいオバンの叫び声が響いた。
ラウラたちがその方を見ると、別のレジにて金切り声を上げるオーバー・サーンとそれをニヤニヤしつつ受け流している男子がいた。周囲も何事かと注目している。
鷹月さんが覗き込む一方、ラウラはうんざりしてしまった。
「何何?」
「選りに選ってあいつかー……」
選りに選っての男子は、一夏・ザ・アフロ野郎だった。自分が選んだ服を彼に払わせようという腹積もりらしい。アフロを頭に抱く65536%怪しい男に喧嘩を売れるその女は胆力があるのか人を見る目が壊滅的な馬鹿なのか。後者だろうとラウラは見立てた。
「一夏……!」
「関わるな」
シャルロットが一夏に助け舟を出そうとしたところをラウラが遮った。彼女が軽く腕を振るっているが、その腕はシャルロットには容易にどかせそうもない。
「まぁ私らに何ができるって訳でも、ねぇ?」
「酷くない?」
「奴なら自力で何とかするだろう」
鷹月さんが首をすくめ、シャルロットが突っ込み、ラウラがフォローを入れる。ラウラの判断に個人的感情がないとは言わない。
「それでよォキンキンオバチャン、アンタ自身は強ぇのかい?」
「何言ってるのよ! 今時男なんかより女が強いに決まってるでしょ?」
「そんなマスコミ様のアジじゃなくてよ、お前はどうかって聞いてんだよ?」
一夏の漂々とした問いに、件のオバチャンは苦み切った顔をする。話の内容よりも、やり返されることを想定してなかったのだ。それでも彼女が返したのは、本人の矮小なプライドと、目の前のアフロメンが口を吊り上げたいかにも邪悪な表情に当てられたからでもある。
「そんなの……決まってるでしょ!」
「あ、そ、うん、強いね?」
表情を変えずに一夏が手を何でもないように掲げる。いつの間にか0.45口径の銀光りする拳銃が握られていた。種を明かせばIS人間だからISの機能である量子変換で銃を召喚した……というものであるが、知らん人にそんなこと判る訳もない。ついでに野次馬も騒ぎだして無駄に混乱を起こした。
「ひっ!?」
オバチャンの悲鳴を他所に、銃床から弾倉を引き抜いて弾数を確認する。スライドに入った分を含めても8発しか納まっていない。8発しかないと述べるべきか8発もあると述べるべきかは微妙なところである。このカックイイ拳銃AMTハー○ボーラーは映画で某マッチョな殺し屋ロボとか某スキンヘッドの殺し屋が愛用していた得物であることはまぁ覚えておいて損はなかろう。
「ほい」
そんな拳銃を一夏が手の中で回転させて銃身を握り返し、グリップをオバチャンに見せた。
「強いんだろ? 俺を倒して証明してみせてくれよぉ。ホラ」
そんなこと迫られても命のやり取りまでしたことのないオバチャンは困る。だがどうせ拳銃は偽物だろうと踏んで震えながらも拳銃を奪い取る。だがずっしりとしたステンレスの重みに、これは本物ではないかという疑いが強くなり、目に見えてオバチャンの手の震えが強くなっていく。
「流石にマズくない? 止めようよ?」
何ぼ何でもな事態にシャルロットが飛び出そうとするが、ラウラに腕をがっしりと掴まれ動けない。一夏の奇行を他のクラスメイト程目にしていない彼女にとっては彼のピンチである。
「お前らを巻き込む訳にいかん、ここは抑えてくれ」
「いいのかなぁ……」
何もしない方がマシという言葉もある。それはもうスカシ目全開なラウラの表情に気後れし、シャルロットは引っ込むしかなかった。
突然というか遂に、発砲音が響いた。
オバチャンの撃った銃弾は見事にアフロ野郎にヒットした。ではあるが、彼の派手にぶっ倒れる様がすげぇ演技くせぇとラウラはどうでもいいことに呆れるだけだった。
「キャァァァァァァア!」
今度はあらゆる方向に出鱈目に撃ちまくってきた。ラウラは即二人の頭を抑えてその場で伏せさせた。周囲の野次馬や店員も慌ててその場に伏せる。明らかにオバチャンが意図して狙って撃ってる風ではない。方々に着弾し大惨事と化す。
残り7発全部撃ち切ってスライドが後退したままになった拳銃に対し、それでもトリガーを引き続けるオバチャンは控えめに見ても錯乱している方だろう。
オバチャンが全弾撃ち尽くしたのを確認したラウラは速攻で立ち上がり、未だに喚くオバチャンの背後に廻って腕を捩り上げた。同時に拳銃を取り上げ、更に対象を床に伏せさせる。現役軍人として鍛えられた体の成せる業だ。
「確保! 警備員さん!」
ラウラの叫びとともに、しゃがんでいた男女の警備員さん二名がはっとした直後すっ飛んできた。ラウラから引き継いで対象を拘束する。暴れるオバチャンを二人して何とか引き摺っていき、あっと言う間にその場は沈静化された。
後にこのオバチャンが警察にて「手が勝手に動いて撃った」とほざいていたが信じる者は誰もいなかった。
「一夏! 一夏!」
「君! 落ち着いて!」
眠れるアフロくんの傍らに、シャルロットが錯乱気味に彼の体を揺する。3人目の警備員が何とか止めようとしているが難しい。一夏の胸のど真ん中に穴が空いて彼の黒いワイシャツを血で汚して、ピックリとも動かない。彼女だって錯乱もするというものだろう。尚鷹月さんは背後で真っ青になって突っ立っている。
スカシ目になったラウラは首を鳴らしながら近付いた。
「あー警備員さん、この人なら多分大丈夫ですよ? 後シャルは安易に揺するな」
「はい?」
「うん?」
警備員とシャルロットは放たれた言葉の意味を咀嚼するのに時間がかかってしまい、ちょっと固まった。
「おい」
全く躊躇することなくラウラは一夏の脇腹を思いっきり踏んづけた。レバー直撃は痛い。一瞬股間をターゲットにしようと思ったが、後々面倒なのでやめた。
「あーいってぇ」
普通に一夏が半身を起こしてきた。思わずのけぞるシャルロット・警備員・鷹月さん御三方。
「な?」
「一夏! 一夏!」
「あの君、大丈夫なのか?」
シャルロットは泣き顔でアフロ君に縋りつき、警備員は心配で声を掛ける他所で、なじゃねーって突っ込みたい気持ちを鷹月さんは呑み込んだ。
「弾ちゃんは内臓避けてくれたぜ。いってぇんだけどな!」
「そういうことにしておこう」
一夏の説明をラウラは聞き流した。以前見せられた半生で上半身が爆散後自己再生したこの男のクソしぶとさを見せられているだけに、一発撃たれた位で死ぬワケがないと合理的に判断した上での一連の行動だった。後銃弾はそのうち吐き出す。
「酷いもの見てしまった」
「まぁ同感だ」
ボヤく鷹月さんの肩をそっと叩いたラウラが心底嫌そうに呟いた。この嫌な気分を共有したい。唐突にタン○・ガールでも観て癒されたくなった。
「ところで俺の拳銃どこ行った?」
「さっきあそこの警備員さんが持ってったぞ。丁重に。証拠品だ」
「何てこった、アレお気に入りなのに! 帰ってこねぇ!」
「何10丁の内の1丁位別にいいだろうが。後警察に怒られろ」
判っててさっさとブツを渡したのがラウラだ。
ちなみに一夏を取り調べた警察の人の第一声が「またお前か!」だったのはご愛敬である。愛嬌で済ませていい話じゃない。
さしあたって、一夏が肩を竦めて手を掲げボディを傾けたポーズで更に笑みを称えつつおどけてみせる。シャルロットが腰に抱きついていなければもうちょっと格好は付いただろう。
「酷い損失だ」
「物事をでかくしたお前は真面目に反省しろ」
「オーゥ何てどストライクに突っ込んでくれる。まぁ何だ、カッコ悪いとこ見せちまったな」
などとアフロ野郎は爽やかに応えた。人によっては邪悪な笑みに見える。
「このクソ惨事をカッコ悪いの一言で済ます貴様はろくでもなさすぎる」
実にスカシ目でラウラは吐き捨てた。
尚周囲は事件のショックが尾を引いておりざわつきが収まらない。更に胸から血糊吐き出しながら平然と立ってついでに金髪女が抱きついているアフロメンに興味津々である。嫌な構図だと突っ込みたい鷹月さんの気持ちは誰も察してくれない。
それはそれとして一夏が手持ちの紙袋に手を突っ込む。ラウラからは紐状の何かが見えた。
「ところで俺のスゲェセクシィな水着を見てくれ」
「嫌だ」
・ラウラ
軍人としてのラウラというものをちょっと描いてみた。
・カキタレ
仮にもラノベの人気キャラに付けていい言葉じゃない。原作のアイツらはカキタレを目指していると言っても過言かどうかは織斑計画の進捗状況による。
・ISをファッションだと~
蛇足と言えば蛇足だが、思う所があったので敢えて挿入した。
・鷹月静寐
中の人がマオちゃんとシロンのあの人。
・AMTハード○ーラー
47がテーブルに置いた二丁拳銃に横向きに弾倉を差しながら構えるアクションは真似してみたいが無理。
・タ○ク・ガール
某ガル○ンの世界にいてもおかしくなさそうな奴。ガールという単語に引っ掛かりを覚えても口にしてはいけない。