【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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この話には変態紳士要素ありません。女の子が出てくるまでキャラが崩壊した冬夜君を見ながらお待ちください。


死亡、そして復活。フリージアは流れません

「と、いう訳でお前さんは死んでしまった」

 

 僕の目の前には、見たことの無い光景が広がっている。

 上を見上げれば雲一つ無い青い空。しかし前を見れば、果ての見えない雲海が広がっている。しかし今僕が立っているのは、ワン○ースの空島編よろしく固形化された雲の上では無く、四畳半の畳の上。畳の上にあるのは、ちゃぶ台に茶箪笥、レトロ調なテレビと実物を見るのは初めてな黒電話がある。

 そしてその持ち主であろう老人が、よく分からないことを言いながら僕に頭を下げている。

 

「はあ? 僕が死んだ? どういうことです?」

 

 というか死んだって何。異世界転生でもしろって言うの? 何、この○ば的な感じ? じゃあ僕目の前の老人と冒険することになるじゃん、嫌だよ。

 

「というかそもそも、まずあなたはどちら様ですか?」

「ワシは神じゃ」

 

 警察に通報すべきなのだろうか。でもこの現実ではありえない光景が、目の前の老人の言葉だと真実だと思わせる。

 もうちょっと荘厳な雰囲気でも出してくれれば、無条件で信じても良かったのに。

 

「まあ神様なのはいいとして、なぜ僕は死んだのでしょうか? 確かにそれほど善良と言える生活をしていたわけではありませんが、流石に神罰喰らわされるほどではないと思ってますよ僕は」

「いやすまん、わしの手違いじゃ」

 

 絞め殺されたいのかこのジジイ。

 

「手違いって、何ですか……?」

「その前に、お前さんはここに来る直前のことを覚えておるかの?」

 

 手違いで僕を殺した宣言の上に、質問に質問で返す神(自称)に苛立ち始める僕。ちなみにその神は僕と自分の分のお茶を入れていた。そのお茶を飲まずに、僕は死んだときのことを思い出していく。

 確か下校中に突然雨が降りだして、それで慌てて家に帰ろうとしたんだっけ。そして近くの公園を横切ろうとした所で、激しい光が襲ってきたんだった。

 

「その光はわしが落とした神雷じゃ」

「あれ雷だったんですね……」

 

 成程ね、あれ雷かー。それなら僕確かに死んでるようん。間違いなく。

 うわっ……僕の人生、短すぎ……?

 ――は?

 

「雷を落とした先に人がいるか確認を怠ったわしのミスじゃ。本当に申し訳ない。落雷で死ぬ人間も結構いるが、今回は想定外じゃった」

「このクソジジイィィィ!!!」

 

 クソジジイの言葉に僕は思わずジジイの襟を掴み、幾度もガクガクと揺らす。

 

「ふざけるな、ふざけるな馬鹿野郎!」

「うお、達観しとる子かと思ったら物凄く怒り狂っとる! 頼むから落ち着いてくれんか」

「出してくれ……、出してくれよ! 僕は帰らなくちゃいけないんだ僕の世界に!」

「お前さん実は余裕あるじゃろ」

「未来への水先案内人は、この望月冬夜が引き受けた!」

「生きとるじゃろそれ! というか生き返らせる、冬夜君はワシがすぐに生き返らせるから!」

 

 クソジジイの言葉に僕は手を止め、襟を正し正座で座る。

 そうだ、僕はお爺ちゃんから『やるときはやる』と『人の過ちを許せる人間になれ』という二つの教えを受けていたじゃないか。それを実行しなくてどうする。いや今思いっきり投げ捨ててたけど、是非もないよね!

 にしても生き返るといってもこの場合どうなるんだろ? 雷って事は僕焼死体だよね。ということは死んだという事実が無かった事になるのかな。

 そんなことを考えつつも、まあ生き返るからいいやみたいな気楽な気持ちでいた僕とは対照的に、目の前の神様は渋い顔をしつつ、やがて僕にこう言った。

 

「じゃが君の元居た世界に生き返らせるわけにはいかんのじゃ。そういうルールでな。別の世界で生き返ってもらいたい」

「このクソジジイィィィ!!!」

 

 僕はもう一度掴みかかった。

 

 

「ハァ……ハァ……。それで、僕は一体どんな世界に左遷されるんですか……?」

「左遷ではないのじゃが」

 

 その後10分弱思いつく限りの罵声を浴びせていたのだが、流石にこれ以上は意味がないと思いとりあえず未来の話をすることにした。そして喉が渇いたのでさっき神が入れてくれたお茶を飲む、ぬるい。

 

「まあ君が居た世界と比べるなら、発展途上じゃな。君に分かりやすく言うなら中世と言った所か、ただし魔法やモンスターがおるから全部が全部あの文化レベルではないがの」

「いわゆる剣と魔法のファンタジーって奴ですか」

 

 なんか本当になろう小説じみてきたな、と思っていると神が話しかけてきた。

 

「……これから君をその世界に送るのじゃが、その前に何かさせてくれんかの?」

「何か、と言われましても……」

 

 なんだか漠然としすぎて何を望めばいいのか分からない。モンスターがいるのなら武器を望むのが無難かな? でも絶対戦うとは限らないよな。あ、そうだ。

 

「それならこれを直してその世界で使えるようにしてもらえませんか」

 

 そう言って僕が制服の内ポケットから取り出したのはスマートフォン。神雷で壊れているみたいだけど、これを直してもらってネットに繋げれば現代知識で無双できるかも。それにアプリでゲームもできる、ア○レンやりたい。

 

「可能じゃが、いくつか制限がかかるぞ。見るだけなら問題は無いが通話やメール、サイトへの書き込みなど君からのは出来ん。とはいえ、ワシに電話位は出来るようにしておこうかの」

「ありがとうございます」

 

 思うところが無いわけではないが、とりあえず現代知識無双は出来そうで何よりだ。でもこれア○レン出来なくない? ボ○ムズコラボどうなるの?

 

「バッテリーに関しては君の魔力で充電できるようにしておくぞ。これなら電池切れは心配いらんじゃろ」

 

 僕の魔力は物凄くあるのか、それとも凄く少量の魔力で充電出来るのか。それ以前に僕魔法使えるの? ちょっと楽しみだ。

 

「それともう1つお願いがあるのですが」

「なんじゃ?」

「僕の家族と友人にメッセージを送りたいのですが、よろしいですか」

「構わんぞ、ほれ」

 

 神がそう言うとちゃぶ台の上に紙が2枚とペンが現れる。これで手紙を書けと言うことだろうか、なら遠慮なく書かせてもらおう。

 

「書けました」

 

 言いたいことは大体決まっていたのでさっさと書き、神に渡す。これ受け取った側死者からの手紙っていうホラー展開になるけど、まあいっか。

 

「そうか、これは後で届けておこう」

「ありがとうございます」

「さて、そろそろ蘇ってもらうぞ」

「分かりました」

 

 神が手を僕にかざすと、暖かな光が僕を包む。雰囲気作りはばっちりだ。

 

「それと蘇ったのに即死では生き返らせた意味が無いからのう、基礎能力、身体能力など諸々上げておこう。これでそう簡単に死ぬことは無いぞ」

 

 え、そこまで至れり尽くせりなの? これスマホ使う機会なくない? 他のにした方が良かった? いやスマホは使える筈だ。女湯に侵入してスマホを動画撮影モードにして後で回収すれば入浴シーン見放題だ。他に使い道無いのかよ!

 

「一度送り出してしまうと、相談に乗る位しか出来んからの。これが最後のプレゼントじゃ」

「では、いってきます」

「うむ、またの」

 

 神がそう言うと、僕は意識を失った。

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