【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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独自設定のタグを追加すべきでしょうか……?


お買い物、そして訳あり商品。変なものしか無いんだけど!?

 せっかく王都に来たんだからこのまま帰ることは無い、ショッピングでもしましょう、ということになった。というか女性陣に決められた。まあ、ミカさん達にお土産も買ってないしついでに僕の防具も買っていこう。金ならある。

 僕以外は一緒に行動するみたいだが、僕は単独行動。さて防具屋はどこかな、とスマホで検索したら一番近いのは目の前にあった。検索ェ……。

 

「いらっしゃーい」

「すいません、ちょっと見ていいですか?」

「どうぞどうぞ、手に取ってご覧ください」

 

 店主に断りを入れて僕はじっくり防具を見る。うーん、しかし良し悪しが分からない。スマホで検索して出る問題じゃないだろうしな……。

 

「すいません、ここにあるもので金属製以外の一番いい鎧ってどれですか? 僕機動力を重視するタイプなんで軽いのがいいんですけど」

「それなら斑犀の鎧が一番かと」

「何ですそれ?」

「その名の通り斑模様の犀ですよ。その皮から作られているので丈夫ですよ」

「へぇー」

 

 軽く叩いてみると、確かに硬い。でもなあ……。

 

「これ金属よりは軟いですよね」

「お客さん、無茶言わないで下さいよ……。魔力付与の効果でもされてない限り無理ですよ」

 

 魔力付与。確か魔法の効果が付与された道具のことだ。そのままである。

 物凄く数が少なくて、古代遺跡からの発掘品とか、没落貴族が手放した家宝とかしかないらしい。

 

「魔力付与された防具ってあります?」

「うちにはありませんねえ。そういうのは東通りのベルクトって防具屋ならあると思いますけど、あそこは貴族御用達ですから、ちょっと入れないですよ」

 

 店の主人は困ったような顔で答える。貴族御用達か、なら入れるな。

 

「ありがとうございました、入るアテならあるんで大丈夫ですよ」

「ん、そうかい? 悪いね大したこと出来なくて」

「いえ助かりましたよ。あ、これチップです」

 

 そう言って僕は親指で銀貨を弾き、店主へ渡そうとする。

 

「痛っ」

 

 飛ばし過ぎて店主の額に銀貨が当たった。

 

「すいません、大丈夫ですか?」

「ハハハ、大丈夫さ」

 

 申し訳なくなったので、銀貨2枚をカウンターに置いて僕は外へ出た。そしてマップを見ながらベルクトへ向かう。

 王都を歩いて分かったことだが、この世界は人間以外にもいろんな人種がいる。亜人と呼ばれる彼らは様々な種族が居るが、一番驚いたのは獣人だ。リアル獣耳である、僕は犬耳派だ。

 リフレットではまったく見なかったが、ここではちらほら目につく。あ、そこにいる狐耳と尻尾が生えた子可愛い。エルゼ達よりは年下で、12歳ぐらいかな? 狐の獣人だ。というか耳が4つあるってどういう感じなんだろうか、メインとサブで使い分けができるって前リンゼが言ってたけどどうにもよく分からない。

 ジロジロ僕が見ていると、どうやらその子は何か困っているらしい。何だかキョロキョロしているような……。――助けてあげるとしよう。

 

「年下趣味は無いんだけどね……」

 

 そう言いながら僕は狐耳の子に話しかける。

 

「あの、どうかしました?」

「ひゃい! なんでしゅか!?」

 

 凄い噛み方だな。しかも涙目でこっちを見てる。アヤシクナイヨー。

 

「いえ、何か困ってる様子でしたので、どうしたのかなと……」

「あ、あの、あのわた、私、連れの者とはぐれてしまって……」

 

 何このラッパーみたいな迷子。

 

「は、はぐれた時の為に待ち合わせの場所も決めていたんですけど、場所がどこか分からなくて……」

 

 成程、つまりその場所まで一緒に行って連れの者が来るまで待てばミッションコンプリートか。

 

「待ち合わせの場所は?」

「えっと、ルカって名前の魔法屋です」

 

 魔法屋ルカね。スマホを取り出して場所を確認すると、どうやらベルクトへ行く途中にあるらしい。これならついでで送ってあげても支障はない。

 

「その店なら案内しますよ。僕も同じ方向へ行く途中ですから」

「本当ですか!? ありがとうございましゅっ!!」

 

 なぜ噛む。というか大丈夫かこの子。

 まあいいや、とりあえず連れてマップに従い歩いていくとあっさりとルカに辿り着いた。ここに入ればいらっしゃいませの代わりに『俺は俺の望むがまま邪悪であったぞ!』とか言ってくれないだろうか、ルカ違いだよ。

 

「アルマ!」

 

 すると店の前に女性でこの子と同じ狐の獣人が居た、美人だ。その美人はこっちを見ると駆け寄ってきた。

 

「アルマ?」

「私の名前です!」

 

 それだけ言うとアルマは駆け寄ってきた獣人に向かって走り、やがて抱き合った。

 あれは、声から察するにお母さんだろうか?

 

「お姉ちゃん!」

 

 違った! 危なっ、口に出すところだったよ!!

 

「心配したのよ! 急にはぐれるから……!」

「ごめんなさい……。でもあの人が連れてきてくれて……」

 

 そういや僕名乗ってないや、まあいいか。

 

「妹のアルマがお世話になりました、感謝します」

「いえいえ、会えてよかったです」

 

 アルマのお姉さんに感謝の言葉を受けた後、是非お礼をと言われたが断った。美人の誘いを断るタイプではないが、ここで受けると時間がかかりそうだし何より母親と間違えたせいで個人的にちょっと気まずい。

 ということで用事があると言って僕は別れた。しばらくするとベルクトが見えてきた。

 

「うわー、高そう……」

 

 格式ありそうな煉瓦造りの店構えに、僕は思わず怯みそうになる。が、すぐに思い直す。そうだ、僕には何もなくても僕のバックには公爵家の権力がある! 言ってて悲しい!!

 豪奢な扉を開けて中に入ると、すぐさま若い女店員が声をかけてきた。

 

「いらっしゃいませ、ベルクトへようこそ。お客様は当店のご利用は初めてでしょうか?」

「はい、初めてです。それよりもまずはあなたの名前――」

「それでは何か、お客様のご身分をどなたかが証明するもの、もしくはどちらかからの紹介状などをお持ちでしょうか?」

 

 く、喰い気味にスルーされた……。まあいいや、とりあえず言われたとおりに公爵家から貰ったメダルを見せる。店員のお姉さんはメダルを一瞥して一言、

 

「確認いたしました、ありがとうございます。それで本日はどのようなご用件でしょうか?」

「魔力付与された防具が欲しいのですが」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」

 

 お姉さんに案内されて、店の奥のコーナーに辿り着くと、そこにはいかにも高そうな鎧から安そうな皮手袋まで様々な物が置いてあった。

 

「これ全部魔力付与されてるんですか?」

「はい。例えばこちらの銀豆の盾は攻撃魔法を豆にして反射する魔法の付与が、そちらのゴリラの籠手には見た目をゴリラにして筋力増加したりしなかったりする魔法の付与がされています」

「何かおかしいんですけど!?」

 

 意味分かんないよ!? 何、豆とかゴリラとかどういうアイテムなの!?

 

「それでお客様のご希望はどのような物を?」

「え、今のスルー?」

「それでお客様のご希望はどのような物を?」

「何、botなの?」

「それでお客様のご希望はどのような物を?」

 

 色々言いたいことはあるが、諸々スルーして僕も話を進めることにした。

 

「あの、重くなくて丈夫な防具が欲しいんですけど」

「そうですね……。でしたらこちらの革のジャケットはいかかでしょう。耐刃、耐炎、耐雷、耐豆の魔力付与がされております」

「耐豆!?」

 

 豆って何!? 豆で攻撃される状況がイメージ出来ないんだけど!?

 

「ちなみにデザインが恥ずかしいのは仕様です」

「そこまで見てなかったけど買う気なくすよ今の言葉で!!」

 

 よく見たらラメ入りだし、背中に竜の刺繍もある。本当に恥ずかしいな。

 何か違う物は無いかとキョロキョロ見回していると、店の隅に掛けられていた白いコートに目が留まる。襟と袖にファーが付いたロングコートだ、正直僕に似合うかは知らないが、少なくとも耐豆のジャケットよりはマシだろう。

 

「あの、これは?」

「こちらには耐刃、耐熱、耐寒、耐撃に加えて非常に高い攻撃魔法に対する耐魔と耐豆の付与が施されておりますが、少々問題がありまして……」

「問題?」

 

 というかこれにもあるのか、耐豆。

 

「耐魔の効果は、装備されたその方の適性にしか、発揮しないのでございます」

「適性外だったら?」

「倍化します……。ちなみに豆の心配は無用です」

「だろうね。豆なんて魔法属性無いもんね」

 

 とはいえ全属性適性持ちの僕なら問題ないな。何この示し合わせたかのようなアイテム、まさかこれを巡って壮絶な戦いが始まったりしないよね?

 

「あ、これ買います。いくらですか?」

 

 でも買う。いい防具だし。

 

「こちらは少々お安くなっておりまして、金貨8枚となっております」

「じゃあこの白金貨で」

「少々お待ちください」

 

 お姉さんがカウンターに戻り、銀盆の上に金貨2枚を置いてやってくる。僕は金貨2枚を受け取ると、財布に入れて店を出ていく。

 

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 

 いい買い物したな……。とは思うけど、この店あんな変な商品ばかりで大丈夫なんだろうか。

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