【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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サブタイが冬夜視点なのか第三者視点なのか分かりにくい、と気づいたのでこれからは冬夜視点で書きます


古代言語、そして爆弾発言。こんなに困惑するの人生でこれっきりだと思う。

「将軍からの報告だと、実行犯は給仕係と毒見役の2人。バルサ伯爵の屋敷からグラスに塗られていた毒と同じ物が見つかった。加えて伯爵の部下がスゥを誘拐しようとした事を告発した。これで全て解決だ」

 

 アルフレッド様が王室の一室で椅子に腰かけ、嬉しそうに語る。

 部屋にはアルフレッド様の他に、国王様、ユミナ姫、ユエル様、シャルロッテさんが椅子に座り、テーブルを囲んでお茶していた。

 お茶会で聞くような内容じゃない気もするし、更にいうならユミナ姫を同席させる場でもない気がする。しない?

 

「伯爵って、どうなるんですか?」

「国王暗殺など反逆罪以外の何物でもないからな。本人は処刑、家は財産没収の上お取り潰し、領地は闕所となるな」

 

 まあ妥当な所だろう。その一因に僕が関わっていることに思う所は……、思う所は……。うん、あったとしても僕がどうした所であの伯爵の命が助かるとも思えないし、いいや別に。

 

「伯爵の家族は、やっぱり一族徒党処刑ですか?」

「ああ」

「うわ、すごい即答」

 

 嬉しそうにアルフレッド様が話す。そんなことを喜々として話さないでほしい。

 

「それはそれとして、そなたには大変世話になったな。余の命を救ってくれた恩人に報いたいのだが、何か希望はあるかね?」

 

 王様が僕にそう切り出してきたのだが、正直な所別に今は何も困っていない。

 

「えっと、今のところ特に困っていないので保留ということになりませんかね……」

「ハハハ、冬夜君は欲があるのか無いのか分からないな」

「あ、そうだ。この王城に勤めるメイドのスカートの丈を下着が見えるか見えないかの瀬戸際の短さにしてもらうというのは――」

「それは流石に国の品位に関わるから断らせてもらう」

「ですよねー」

 

 望みを言えという言うから嘘偽りなく言ったら王様に断られた。まあ受け入れられたら逆に困るからそれは問題じゃない。

 

「何とも不思議というか、掴み所の無い方ですねあなたは。リカバリーとスリップ、無属性魔法を2つも使いこなす人なんて、なかなかいませんからね」

 

 シャルロッテさんが微笑みながら、僕に語りかけてくる。その笑顔に僕は一瞬見惚れてしまう。

てしまう。

 

「いや、冬夜殿は他にも無属性魔法を使えるぞ。ゲートも使うことが出来るし、毒を検知したのも、将棋を作ったのも無属性魔法と言っていたな」

「え?」

 

 アルフレッド様の言葉にシャルロッテさんが固まる。さぞ衝撃的だろう、僕もそう思う。

 

「無属性魔法を(多分)全部使える男、望月冬夜!」

 

 東映版スパイ○ーマンみたいに名乗ると、シャルロッテさんが慌てて部屋から出て行ってしまった。まさか宮廷魔術師のプライドを傷つけられたショックとか? どうしろと言うんだ僕に。

 

「将棋もそなたが作ったのか。アルに勧められてやったが、中々面白かったぞ。しかし、魔法で作ったとはどういうことだ」

 

 僕は王様に説明するため、テーブルにあったグラスを手に取りモデリングを発動する。ガラスの器が30秒で姿を変え、シャルロッテさんのフィギュアの出来上がりだ。ポーズと服装は本人より若干扇情的にしておきました。

 

「ま、こんな所です」

 

 王様に完成したフィギュアを渡す。自分で言うのもアレだが中々のものが出来たと思うが、王様はどう思うか。

 

「こ、これは凄いな……。似たような魔法を使える者が、皇国にもいたが……。何と細やかで、扇情的な……」

「そこは僕の趣味で改変しました」

「若いな」

「15歳ですから」

「なら仕方あるまい」

「「ハハハハハハハ」」

 

 どちらともなく笑い合う僕と王様。その時冷たい視線を感じたのでそっちを見ると、そこにはユエル様とユミナ様が居た。ユエル様は王様を睨んでいるが、ユミナ様が見ているのは、僕?

 

「これ、王様に差し上げます」

「いや、せっかくの献上品に悪いが断らせてもらおう。という訳でレオン将軍、受け取りたまえ」

「私ですか!?」

「どうぞ」

「あ、ありがたく頂こう……」

 

 シャルロッテさんのフィギュアをレオン将軍に押し付けたところで、シャルロッテさん本人が、色々な物を抱えて帰ってきた。

 鬼気迫る顔つきで彼女は僕に近づき、羊皮紙らしきものに書かれたものを目の前に広げる。

 

「これが読めますか!?」

 

 シャルロッテさんに迫られてちょっとドキドキするけど、それ以上に怖い!

 とりあえず羊皮紙に目を通すが、さっぱり分からない。

 

「……読めません。何ですかこれ?」

「読めないんですね? じゃあこっちの無属性魔法は使えますか?」

 

 今度は一緒に持ってきた、分厚い本のあるページを示してきた。今度は読める。なになに、無属性魔法リーディング? いくつかの言語を解読可能にする魔法、ね。ただし言語の指定する必要がある。

 

「多分使えますけど、この言語が何か分かりますか?」

「古代精霊言語です。ほとんど読み解ける人はいません」

 

 おし、いっちょやってみっか。

 

「リーディング/古代精霊言語」

 

 魔法を発動させる。羊皮紙を手に取り目を通す。

 

「よ、読めますか!?」

「えっと、『魔素における意味のある術式を持たないデゴメントは、魔力をぶつけたソーマ式においての――』とか書いているんですが、どういう意味ですか?」

 

 い、意味が分からない……。学術書とかなんだろうか?

 

「読めるんですね! 凄いです冬夜さん! これで研究が飛躍的に……! すいません、こっちのも読んでください!」

「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」

 

 美人に迫られるのは嬉しいが、正直これは引く。

 

「シャルロッテ、少し落ち着かんか」

「はっ!? す、すみません、ついに夢中になってしまって!」

 

 王様の声で正気に戻ったシャルロッテさんは、顔を赤く染めて俯いた。

 

「ま、お前が古代精霊魔法をずっと研究していたのは知っておるから、気持ちは分からんでもないがな」

「そうなんです! 今までは単語を1つ1つ見つけて解読に当てるとか、長い年月をかけても間違った解釈だったりした状態だったのに、一瞬ですよ! 冬夜さん、是非解読にご協力ください!」

「まだ読めと!?」

 

 僕が思わず叫ぶと、シャルロッテさんは涙目になりながら上目使いで弱弱しく尋ねる。

 

「……駄目ですか!?」

「ちなみに量は?」

「……数えきれないぐらいあります」

「何か解決策考えるので時間を下さい!!」

 

 美人の誘いは基本断りたくはないが、流石に数えきれない時間古文書解読に付き合うのは正直勘弁願いたい。

 考えろ、考えろマグガイバー。シャルロッテさんと僕の願いを両立させる方法を! はっ、そうだ!!

 

「すみません国王陛下。グラスをもう1つ頂けますか?」

「構わんが、また何か作るのかね?」

「ええ」

 

 えーと、ガラスの部分はこれでよし。金属の部分は銀貨を使おう。取り出した銀貨とガラスにモデリングを発動。銀貨でフレームを作り、ガラスをそれに嵌め込んで完成。伊達眼鏡の出来上がり。

 今度はこれにエンチャントを掛ける。

 

「エンチャント:リーディング/古代精霊言語」

 

 眼鏡がぼんやりとした光を放ち、すぐに消える。

 そして出来た眼鏡をシャルロッテさんに渡す。

 

「これを掛けてください」

「は、はあ……」

 

 言われるがまま伊達眼鏡を掛けるシャルロッテさん。おお、思ってた以上に眼鏡が似合うな。

 

「よく似合っていますよ、素敵ですね」

「あ、ありがとうございます……」

 

 僕の言葉に頬を赤らめるシャルロッテさん。褒められ慣れないのか?

 

「その状態でさっき僕に読ませた羊皮紙を読んでみてください」

「え……。『魔素における意味のある術式を持たないデゴメントは、魔力を――』……。読める、読めるぞ!!」

 

 なんでム○カ大佐になってんの!?

 でも成功して良かった。名づけるなら翻訳眼鏡って所か。名前も効果もひみつ道具みたいだ。

 持ってきた他の羊皮紙にも目を通し、嬉しさの余り狂喜乱舞する様はどうみてもおもちゃを買ってもらった子供である。可愛い。

 

「効果は半永久的に続くはずですが、もし効果が切れたら教えてください。勿論それ以外の用事で呼んでもらっても構いませんよ」

「え、あ、あの? これって頂けるんですか!?」

「勿論です、貴女の為に作ったものですから」

「ありがとうございます!」

 

 シャルロッテさんはお礼の言葉の後、凄い勢いで去っていった。

 まあ、翻訳家にジョブチェンジするつもりはないからこれでいいか。

 ところで今思ったけど、硬貨変形させちゃったけど罪にならないよね? 日本だとなるんだけど。でも王族は何も言わないから大丈夫か。

 

「すまんな。あの子は夢中になると他の事が見えなくなるタイプなのだ……。魔法に関しては我が国随一の天才なのだが……」

「あら、そこがあの子の良い所ですわよ?」

「そうですよ、素敵な人じゃないですか」

 

 ああいう一本気な人は人間として嫌いじゃない。翻訳家として一生を終えるのは流石に断るが、それ以外の協力なら惜しまないつもりだ。僕の都合を優先させてもらうけど。

 とりあえず冷めているけど僕の分の紅茶を貰おう、冷めてても美味いな。いや、紅茶って冷めたら味変わるの? 僕日本に居る時はコーヒー派だったからよく知らないんだよね。

 

 じ―――っ……。

 

 何かまた見られてる……。なんなの、なんで僕王女にずっと見られてるの、まさか髪にゴミでもついてる?

 僕が頭を手で払っていると、王女の視線が消えた。ふとそっちを見ると、王女は王様と王妃様に向いていた。

 

「どうしたユミナ?」

「お父様、お母様。私、決めました」

 

 何を? と聞きたくなるが僕らは黙って待つ。

 やがて、顔を真っ赤にさせながら彼女はその言葉を口にした。

 

「こ、こちらの望月冬夜様と……、け、結婚させていただきたく思います!!」

 

 …………………………えっ?

 

「……なして?」

 

 何が何だか分からない……。

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