【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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別所でSS投下したり、You○ubeで公式配信の仮面ラ○ダーを見たり、なろう勝利の理由を読んだりしてリフレッシュしたのでまた投稿します。

いや、4話くらいしか書き溜めてませんのでノンストップ更新は無理ですが。


迷子、そして新機能。僕もマスコットになりたい

 琥珀が呼び出されてから3日、長々と続いたモフモフ地獄。否、あれは地獄なのか。見麗しい美少女に密着され続ける事は地獄なのか。僕だったらミカさんに3日どころか1週間でもモフモフされたい。

 

〈ふざけるなよ琥珀ぅ!〉

〈それはこちらの台詞です主!〉

 

 何だか贅沢な悩みな気がして思わずキレる僕。それに逆ギレする琥珀。だがその声は他の人には聞こえない。なぜなら召喚者と召喚獣である僕らはある程度の意思疎通ができるからだ。

 そんな僕らは今、琥珀が町に出たいと言うので付き合っていた。

 宿の外へ出て大通りを歩く。とりあえず市場の方に行ってみた。

 市場には屋台やら色々物を地面に置いて並べ売っている人達がいた。

 

〈中々賑わっていますね〉

〈一応ここは町の中心だからね〉

 

 琥珀と雑談しながら歩いていると、やはり虎が珍しいのかチラチラとこちらを見る人が出てくる。だが遠巻きに眺める位の反応がほとんどだ。たまに子供や女の子達が頭を撫でに来る位である。

 他人の目があるところでは、ただの虎の子供のフリをしろと言っているので、琥珀がガウガウと返すと女の子達は喜んで更に頭を撫でてくる。チヤホヤされてるなあ……。

 

〈チッ〉

〈舌打ち!?〉

 

 しかし人が多いな……。小さくなった琥珀が蹴られでもしたら流石に少し可哀想なので、持ち上げて肩の上に乗せる。イメージ的にはサ○シとピ○チュウだ。

 

「重っ!?」

 

 あ、やっぱ駄目だ肩はキツイ。よくサ○シはピ○チュウ乗せてられるな。流石スーパーマサラ人は格が違った、あいつ転生者だろ実は。

 ということで抱きかかえる事にした。うん、これなら大丈夫だ。

 そのまましばらく歩いていたら、ふと琥珀が顔を上げ、右手の人混みの方へ顔を向ける。

 

〈主、あそこにおられるのは八重殿では?〉

〈え?〉

 

 唐突に言う琥珀に、合わせて僕も琥珀の視線を追う。すると通りの端、通行人の邪魔にならない所に八重がしゃがみこんでいた。八重の前には、泣きじゃくる4歳位の女の子がいて、彼女は一生懸命宥めようとしているみたいだ。

 

「何してんの、八重?」

「冬夜殿? 琥珀も一緒でござるか」

 

 僕らの顔を見るなり、どこかホッとした表情をする八重。あら珍しい。

 

「……この子は?」

「それが、どうも迷子らしいでござるよ」

 

 迷子ね。この人混みじゃ無理もないよな。これ親捜すの大変だぞ。

 

「ねえ君、名前は?」

「うぐぅ……、ふぇぇ……おかあさぁん……」

 

 駄目だ。まずは泣き止ませないと何も聞けない。

 

「拙者も先程から名前とか色々聞いたんでござるが、全く答えてくれないでござるよ」

 

 困った顔をして八重が溜息をつく。うーむ、どうするか。お、そうだ(唐突)

 

〈琥珀、君がこの子に聞いてみて〉

〈私が喋ってもよろしいのですか?〉

〈大丈夫だ、問題ない〉

 

 そんな会話を経て僕は抱きかかえていた琥珀を女の子の目の前に持ってきた。女の子は一瞬ビクッとしたが、また顔を歪め泣き出しそうになる

 

『お前の名前は何という?』

 

 琥珀が女の子に語りかけると、泣き出しそうだった女の子は驚いた表情を見せる。そりゃ虎が喋れば驚くよね。

 

『お前の名前は?』

「What your name?」

「何語でござるか」

 

 この世界英語ないのか? いや伝わらない気はしてたけど。

 

「…………リム……」

『そうか、リムと言うのだな』

 

 一方、女の子は琥珀の問いに素直に答える。呆気に取られて流されているだけともいう。今は良いけど将来は僕位確たる自意識を手に入れて欲しい。

 

「サーチ:リムの家族」

 

 サーチを発動させるも反応なし。どうやら半径50メートル以内にはいないらしい。シャレじゃなく。

 

「どうでござる」

「ダメ、反応なし」

 

 やばいどうしよう……。情報が足りないのか?

 

〈琥珀ぅ! もうちょっと情報仕入れて!〉

〈かしこまりました〉

『ここへは誰と来た?』

「おかあさん……」

『お前の母……、おかあさんはどんな色の服を着ていた』

「緑の服……」

 

 琥珀に質問させ、リムのお母さんの情報を次々引き出す。茶色の長髪、緑の服、銀の腕輪、青い眼、太ってない。これでもう一度サーチを使い近くに居ればば、今度こそ分かるはずだ。

 

「サーチ:リムのお母さん」

 

 ……反応なし、駄目か。

 

「どうでござるか?」

 

 八重の問いかけに首を振る。検索範囲が狭いのがこんな所でネックになるとは。マップアプリ位広けりゃ便利なものだが、贅沢かな?

 ……いや待て?

 マップアプリとサーチ、この2つを悪魔合体させれば……!

 僕はスマホを取り出す。

 

「エンチャント:サーチ」

 

 サーチの魔法をスマホのマップアプリにエンチャントする。僕の指先から放たれた光がスマホの画面へ消えていく。

 マップアプリを起動させ、自分周辺の地図を映し出す。市場どころかリフレット全部を画面範囲に収め、リムのお母さんと入力すると、画面上に1本のピンが落ち、それの場所を指し示す。

 

「やった、成功だ!」

 

 突然叫んだ僕に、琥珀を抱きしめたリムがまた一瞬ビクっとしたが泣き出す様子は無い。

 僕はリムの手を取り、こう言った。

 

「お母さんの所へ、僕が、君を、連れていってやるよ!」

「何でござるかそのテンション」

 

 

「おかぁさぁん!」

「リム!」

 

 数時間ぶりに再会した親子が抱き合う光景を見ながら、何とも言えない気分になる僕。リムの母親がいたのは町の警備隊の詰所だった。交番のようなものだ。初めから迷子をそこに連れていけばあっさりと済んだ話だったということである。まあ、思いがけない収穫があったから良しとしよう。

 僕と八重は頭を下げる母親と、手を振るリムに別れを告げて後を去った。

 

「八重、ちょっと試してみたい事があるんだけどいいかな?」

「構わんでござるが……?」

 

 そのまま八重を連れて、パレントに入り注文してから色々尋ねた。

 尋ねたのは八重の家の事。外観やら部屋の作りやら、道場の内装など色々聞きまくった。

 一通り聞き終わった僕は、マップアプリで八重の家と検索をかける。すると大陸の東、イーシェンの一部に1本のピンが落ちた。

 拡大してみる。イーシェンのオエド、その東のハシバか。

 

「八重の実家がある所ってオエドのハシバってとこ? 近くに神社がある」

「そうでござるが……、一体いつ調べたでござるか……」

 

 どうやら成功したらしいが、完全に扱いがストーカーのそれになりつつある。もうちょっと信頼が欲しいな僕への。

 とりあえずこのサーチアプリは世界規模で物を探せる、検索対象を詳しく知らなければ絞り込めないけど。

 僕が八重にそう言うと、八重は安心した表情を見せて、試しに兄を検索して欲しいと言われた。八重の兄の特徴を聞いたが、額に傷跡があるらしく、検索は楽だった。

 

「道場にいるね。細かく動き回ってるから試合か何かしてるんじゃない?」

「兄上らしいでござるな」

 

 僕が手渡したスマホを眺めながら、八重が微笑む。

 

「兄上は普段は穏やかでござるが、こと剣の事となるともう夢中になって仕方ないのでござる。本当に剣が好きで、食事を忘れるほどでござった」

 

 楽しそうに兄の事を語る八重。懐かしいのかブラコンなのか。

 

「八重はお兄さんが大好きなんだね。ブラコン?」

「冬夜殿はさらっとデリカシーが無いでござるな」

「あああああああああああああああああ!!!」

 

 ブ○リーに踏みつぶされた悟空みたいな声を上げながら、八重にアイアンクローされる億。

 

「大丈夫大丈夫ブラコンは黙っておくから!」

「パワー2倍でござる!」

「馬鹿な、この僕が……。望月冬夜が、たった1回のアイアンクローでこれほどのダメージを……!」

 

 ヤバいヤバイ、痛い痛い、超痛い! 僕が悪いの? 僕が悪いのこれ!?

 

「お待たせしましたー」

 

 そこにほとんど八重が頼んだ沢山の軽食がこの状況を無視して運ばれてくる。確かに、僕が制裁されてる光景なんてこの町じゃ最早日常だししょうがないか。

 

「助けてー!」

「冬夜殿が奢ってくれるなら許すでござる」

「分かった分かった、奢るから!」

 

 この後滅茶苦茶奢った。別に懐は痛まないから良いけどさ。

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