【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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ジョジョ5部に禁書3期にゴールデンカムイの2期とか秋アニメ豪華すぎませんか。
いや、夏アニメのぐらんぶるにオバロ3期も楽しみですけどね


後ろめたさ、そして古代魔法。わっふるわっふる!

 八重と銀月に戻ってきてから、自分の部屋で色々試してみる事にした。

 アプリに魔法を付与できるのなら、他にもやってみるのも悪くないと思ったんだ。

 例えば離れた場所に五感を飛ばす事が出来るロングセンス、これをカメラアプリに付与すればどうなる。

 

「エンチャント:ロングセンス」

 

 実際にやってみた。すると、僕の視界に映った物がカメラアプリの画面に映し出されていた。何だか無限にスマホの画面が映る光景は合わせ鏡みたいで気味が悪い。慌ててロングセンスを使う感覚で視覚を飛ばす。部屋の壁を突き抜けて、2部屋先のリンゼの部屋の中が見えた。リンゼはいない、そういえばエルゼと買い物に行くとか言ってたっけ。

 スマホの画面を見ると同じくリンゼの部屋の中が映っている。頭の中での視界がニン○ンドーDSみたいに上画面と下画面に分けて見える。リアルの目の視界と、ロングセンスの視界だ。

 この状態でスマホのシャッターを押す。撮れた、成功だ。写真にはリンゼの部屋が写っている。

 これで長距離、それも望遠なんて目じゃない撮影が出来るようになったわけだ。恐らく動画も同じように出来る筈だ、多分。

 ドアが開く音が聞こえたので目線を上げると、リンゼがいつの間にか居た。どうやら帰って来たらしい。

 と考えていると、リンゼが上着を脱ぎ、ブラウスのボタンを外しはじめた。なんという僥倖……、これほど自分が乙女座であることを嬉しく思ったことは無い。

 とりあえず3枚位写真を撮る。そして動画撮影の用意だ! カメラをビデオ撮影に切り替えて撮影開始だ。気が高まる、溢れる……! ひゃあ、オラもう我慢できねえ!

しかし、いつの間にかリンゼは着替え終わり部屋から消えていた。

 

「あれ、どこ行った?」

 

 慌ててロングセンスを使い別の場所を探そうとする。だがその前に

 

「冬夜さん、いいですか?」

「どわっひゃい!? 何じゃらびぃ!?」

 

 不意打ち気味にノックの音と、リンゼの声が聞こえた。僕は慌ててロングセンスを解除し、スマホを懐に仕舞う。

 とりあえずリンゼを部屋に招き入れた。着替えた後に男の部屋に来るなんて、破廉恥だぞガン○ム!

 

「……どうかしました? いつもの1.5倍位様子がおかしいですよ」

「何でもないんだな! 僕はいつもの通りなんだな!」

 

 いかん動揺しすぎて語尾がおかしくなってる。というかこの状態なのに5割増ししかおかしくないの!?

 

「今日、骨董屋でこれを見つけて買ってきたんですけど……」

 

 リンゼは語尾がおかしい僕をスルーして巻物のような物を差し出してきた。木製の筒に羊皮紙の様な物が巻かれている。うっ、頭が……。何か嫌な事思い出しそう。

 

「これは? まさか古代精霊言語で書かれた物だったりする?」

「それ多分骨董屋に置いてないと思いますけど……」

 

 そうなの? 僕分かんない。

 

「これは多分魔法のスクロールです。ただ描いてある文字が古代魔法言語なので一部しか読めなくて……」

 

 成程、ようは僕に翻訳眼鏡を作って欲しいって事か。まあそう言う事ならと、サクッとモデリングとエンチャントで古代魔法言語が読める翻訳眼鏡を作ってあげた。気分は完全に便利屋。

 完成したそれをリンゼに渡す。受け取ったリンゼが眼鏡を掛けると、文学少女みたいでなかなか似合っていた。

 

「似合ってるね、可愛いよ」

「ありがとうございます」

 

 僕の褒め言葉を適当に流しながら、リンゼはスクロールを読み始める。

 

「凄いですね。話には聞いていましたけど、スラスラ読めます」

「それで、何が書いてあるの?」

「古代魔法が1つ。水属性の魔法みたいです。バブルボム……、攻撃系の魔法でしょうか」

 

 バブルボム、直訳するなら泡の爆弾だろうか?

 リンゼはすぐにでも試してみたいと言っていたが、これからでは時間もないし、明日またにして今日は諦めさせた。

 リンゼが出て行ってから、スマホを取り出しさっき撮ったリンゼの着替え写真を見る。消した方が良い、とは思う。証拠隠滅しておくに越したことは無い。だけど

 

「消したくないなあ……」

 

 ま、多分大丈夫だろう。見つかんないってきっと。

 

 

 翌日、リンゼと一緒に東の森へやって来た。ここはゲートで簡単に来れるし、森の中に開けた場所があるから魔法の練習にはうってつけだ。ただし火属性は除く。

 さっそくリンゼは昨日のスクロールを取り出し、翻訳眼鏡をかけて何度か読むと、銀の杖を構えて魔力を集中し始めた。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

 リンゼの構えている銀の杖の周りに、小さな水の塊が集まりだすが、すぐに弾けて地面に落ちた。これは失敗だな。

 彼女はもう1度杖を構えて、魔力を集中させる。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

 また杖の周りに水の塊が集まり、そしてさっきのように弾けて落ちる。古代魔法って習得難しいのかな?

 リンゼはスクロールをもう一度読み直して、また杖を構える。そしてまた失敗。

 それを何度も繰り返していたが、全て失敗。水の塊が出来ても、杖から少し離れると弾けて落ちてしまう。

 10回を超えたあたりで、リンゼはよろめいて倒れてしまった。慌てて駆け寄り彼女を抱き起こす。

 

「リンゼ大丈夫!?」

「だい、丈夫です。ただの魔力切れ、ですから……。しばらく安静にしてれば、治ります……」

 

 目をぼーっとさせて、力なくリンゼが答える。これが魔力切れか、初めて見るな。っと、このまま放っておくわけにはいかないな。

 意識が朦朧としているリンゼをお姫様抱っこしてゲートを開く。銀月の裏庭に出て中に入り、リンゼの部屋まで一直線に進む。そしてリンゼの部屋の角にあるベッドに寝かせた。一応熱が無いか額に手を当てる。

 

「熱は無いね。待ってて、今装備を脱がすから」

「お姉ちゃんを、呼んでください……」

 

 ですよねー。という事で隣の部屋のエルゼを呼び出し、リンゼの装備を外してもらった。

 とりあえず後はエルゼに任せよう。

 

 

 翌日、リンゼの調子はすっかり良くなっていた。魔力切れは安静にして休息を取れば1日ほどで回復するらしい。RPGかよ。

 

「……昨日は、ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」

 

 昨日の事をリンゼに平謝りされた。何も謝る事は無いと言っておいたけどリンゼは聞くだろうか。

 今日もまた東の森へ行き、昨日と同じ様に練習する。

 そしてまた昨日の様に失敗してはやり直しの繰り返しだ。僕はそれを横で眺めていたが、失敗が9回目を記録した時に練習を止めさせた。これ以上まで昨日と同じにするつもりはない。

 

「ちょっと休憩しよう、リンゼ」

「……はい」

 

 持ってきていたお茶の入った水稲をリンゼに渡す。

 

「どう、いけそう?」

「……いえ、正直難しいです。魔法の発動にはその魔法の知識が大きく左右されますから。やっぱり見た事もない魔法は難しいです……」

 

 成程、明確なイメージが掴めないのか。それで出来ないんだな。泡の爆弾ってどんなだろ。幽○白書?

 その後1時間程休憩したが、魔力はそれほど回復せず、2回失敗した所でリンゼがふらついたのでその日は切り上げた。

 

 

 その翌日もまた翌日もリンゼは練習を続けた。毎日魔力が切れる寸前まで。1時間もすればリンゼの魔力が尽きてしまうので、あとはずっと休憩になってしまう。効率悪いな。

 

「にしてもリンゼは頑張るね。何回も失敗してるのに、諦めようとしないし」

「私は不器用ですから……、同じ事を何度も繰り返して……、やっと魔法を覚える事が出来るんです。今までもそうでしたから、なんてことありません」

 

 そう言ってリンゼは笑う。強いな、僕にはそんな強さ今も昔も無かったよ。

 何とかしてあげたいな、この効率の悪さ。シャルロッテさんに相談してみるか、この国1の魔法使いらしいし。

 魔力が切れる前に練習を終えリンゼと宿に戻った後、僕は1人でお城のシャルロッテさんの元へ跳んだ。1人だけど多分大丈夫だろ、顔パスで行けるでしょ僕なら。

 何とかなった。城の中にある研究塔にシャルロッテさんがおり、僕が頼むと

 

「分かりました、この大魔法使いシャルロッテがしっかりご教授いたしますわ!」

 

 と言ってリンゼの魔力回復に役立つ無属性魔法を教えてくれた。こんなキャラだっけこの人?

 

 

 次の日、またリンゼと共に東の森に来た。今日も同じ事を繰り返し、またリンゼの魔力が尽きそうになる。ここからが僕の出番だ。

 

「リンゼ、こっち来て」

「……なんですか?」

 

 目の前に来たリンゼの両手を握り、シャルロッテさんに教わった無属性魔法を発動させる。

 

「トランスファー」

「えっ!?」

 

 僕の手からぼんやりとした光がリンゼに向かい、それを受け取ったリンゼが驚きの声を上げる。

 

「魔力が、回復しています!? そんな、一瞬で?」

 

 これが無属性魔法トランスファー。他人に自らの魔力を譲渡する魔法だ。この無属性魔法は使い手が何人かいるらしく、シャルロッテさんに魔法を教えた師匠もこの魔法を使えたらしい。

 ぶっ倒れるまで魔法を使わせてから、魔力を回復させられ、またぶっ倒れるまで魔法を使うという修行をしたそうな。ドラ○ンボールもビックリだよ。僕も同じ事してるけど、まあ僕は強要してないからセーフで。

 今初めて気づいたけど、リンゼが全回復する量の魔力を譲渡したけど、それでも琥珀の存在維持に使う魔力量より少ない。つまり全く問題ない。僕の魔力量どうなってんの?

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

 それから何時間もぶっ通しでリンゼは魔法を練習する。……凄い集中力だ。しかし、今度は体力が持たなかった。

 とりあえず休ませる。

 

「やっぱり難しいです……。どうしても、この魔法の概要が掴めなくて……」

「そっか……」

 

 やっぱり難しいんだな、古代魔法ってのは。見本でもあれば話は違うのかもしれないけど……。

 

「せめて、バブルボムって言葉の意味が分かれば少しは……」

「…………はい?」

 

 リンゼの言葉に魔の抜けた声を出してしまった。どゆこと?

 

「バブルボムの意味?」

「はい。魔法の固有名には、意味があるそうです。例えばファイアストームのファイアは火を――」

「いやそっちじゃなしに」

 

 この世界の言語どうなってんの!? ファイアが火ってのは経験で分かってるだけで言語形態として成り立っていないって事なのか!? でもアイス=氷って認識してたよね!? 前デリカシーって言葉も聞いたぞ!?

 いやよく考えると謎が多いぞこの世界。中世的な世界なのに料理美味いし清潔だし、出会う女性皆美人だし! これは僕にこの世界の謎を解けという暗示か。何、本格冒険ロマンに路線変更しちゃう?

 

「どうしました?」

「いや色々世界に疑問が湧き出ただけ……。それよりバブルは泡、ボムってのは爆弾の事だよ」

「爆弾?」

「えっと、爆発する物体かな。エクスプロージョンみたいにボーン、って感じで」

 

 僕が雑な説明をすると、リンゼは無言で考え込む。やがて顔を上げると、杖を構えて魔法を発動させた。

 

「水よ来たれ、衝撃の泡沫、バブルボム」

 

 杖の周りに1個のシャボン玉みたいなものが現れ、ふわふわと漂い始めた。

 玉の大きさは直径20センチ程。リンゼの意思で動くらしく、しばらく宙を舞わせていたが、やがてリンゼはその玉を1本の木にぶつけた。

 その刹那、とてつもない衝撃音が響き渡り、ぶつけた木は粉々に吹き飛んだ。

 その光景を見ていたリンゼは唖然としていたが、やがてリンゼが小さく呟いた。

 

「出来た……」

 

 これが古代魔法バブルボムか、僕もこんな高火力魔法欲しいな。現状ほとんどサポート特化みたいな所あるし僕。

 続けてリンゼはもう1度バブルボムの魔法を使う。今度は5、6個の玉に一斉に現れ、一直線に林へ向かって飛んで行った。玉が木に触れるとたちまち爆発が連鎖的に起こり、木々がなぎ倒されていく。

 とんでもない威力だな……。すると、リンゼが僕の方へ駆けてきて頭を下げる。

 

「冬夜さんのおかげで完成させる事が出来ました。ありがとうございます」

「いや、リンゼの努力が実を結んだんだよ。僕は少し手伝っただけさ」

 

 実際、僕大した事してないしね。それに何度も諦めずに挑戦し続けたリンゼの方が凄い。出来る事から1つずつ、着実に成長してく努力家。それがこの子の本質なんだな。

 それに気付いて思ったことは、リンゼは努力もクソも無く膨大な魔力と便利な無属性魔法を振りかざす僕をどう思っているのか、という疑問だった。

 そんな事、流石に聞けないな……。

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