【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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異世界オルガの続編に祝福オルガの2期の制作がされるっていうし、俺も頑張らないと。


公爵来訪、そして直接依頼。断じて僕はロリコンではないんだと声高々にはっきり宣言したい

 ライムさんが来客を告げてしばらくすると、庭の方からオルトリンデ様とスゥがテラスにやってきた。

 

「やあ、引っ越しお疲れ様。これからはご近所だからよろしくな」

 

 オルトリンデ様は朗らかに笑う。王都とリフレットに比べれば近所だろうけど、王都の内周区と外周区は結構離れていると思う。

 

「久しぶりですね、スゥ」

「こんにちわじゃ、ユミナ姉様」

 

 ユミナがスゥに挨拶をする。そう言えばこの2人従姉妹だった。

 

「……ユミナ姉様が冬夜と婚約するとはのう。びっくりしたぞ」

「僕が一番びっくりしたんだけど……」

 

 なぜが僕に腕を絡ませながら呟くスゥに返答する。ぶっちゃけあの急展開はおかしい。

 と思っているとライムさんが2人分のお茶を持ってやって来る。そしてオルトリンデ様の座っている席にお茶を置き、その隣にもまた置く。それを見たスゥは僕に絡むのを止め大人しく座る。

 

「しかし、冬夜君がユミナの婚約者か……。その、大丈夫なのか?」

「何がとは聞きませんが、多分大丈夫でしょう」

 

 少なくとも反乱起こされても鎮圧出来る自信はある。他は知らない、政治ならユミナがやってくれるでしょ。

 

「そうじゃ、わらわが冬夜の婚約者になるのはどうじゃ? 困った時には力になるぞ?」

「流石にそれは無理だスゥ」

 

 スゥの提案をやんわりと拒絶するオルトリンデ様、流石に王族2人を1人の人間が抱き込んだら問題だよね。

 

「では冬夜がユミナ姉様の婚約者を辞めて、わらわの婚約者になればよいじゃろ」

「ちょっと待って下さい!?」

 

 スゥの言葉に思わずツッコミを入れるユミナ。僕? 僕は黙って紅茶を飲みながら見てるだけ。こわいなー、とずまりしとこ。

 

「私は、冬夜さんが好きだから婚約しようと思ったんですよ!?」

「冬夜。ユミナ姉様の事じゃ、冬夜のあらゆる無属性魔法を使える事に目を付けたに決まっておる」

「いや、それは知ってるけど……」

 

 ユミナの叫びを無視してスゥは僕に語りかける。その内容は僕にとって既知の物だった。

 

「知っておるのか!?」

「それがユミナの個性でいい所だよ、うん」

 

 ちょっと打算的でもいいじゃない、王族だもの。

 

「……成程、冬夜は腹黒女子が好きなのじゃな」

 

 何か誤解が生まれてる。僕の好みは年上のお姉さんなんだけど。

 

「スゥ、それ位で引き下がりなさい」

「……はい、父上」

 

 しかし誤解を解く間もなく、オルトリンデ様がスゥを引っ込めてしまった。

 

「さて冬夜君。実はこの度、ミスミド王国と同盟を結ぶ事が決定した。ついては、国王同士の会談の席を設けられればと思っているのだが……」

 

 亜人達の国、獣人の王が治める南の王国ミスミド。オリガさんとアルマ姉妹の国だ。同盟決まったのか、それは良かった。

 

「会談にはどちらかの王が、どちらかの王都へ出向くのが一番なのだが、それには必ず危険が付き纏う。反対勢力の妨害や、旅の途中で魔獣に襲われないとも限らない。そこで、だ」

「……冬夜さんのゲート、ですね?」

「流石リンゼ嬢、話が早い」

 

 オルトリンデ様は笑ってお茶を飲み干した。ゲートを使えば確かに安全だ、だけどあの魔法は一度行った場所にしか使えない。つまり――

 

「僕に、ミスミドへ行けと?」

「そうだ」

 

 やっぱりか、予想通りの言葉だ。実査便利だしね、場所限定でもなければ宅配業でも始めているところだ。

 

「ミスミドって、ここから行くのにどれくらいかかるんですか?」

「そうだな、馬車で6日――」

 

 あ、思ったより短い?

 

「でガウの大河に着くから、そこから川を渡ってミスミド王都まで更に4日と言った所か。順調にいけば、だが」

 

 結構遠いなあ……。というか家貰ったばっかりなのに住めないってどういう事? 僕まだ来たメイド口説いてないのに。

 

「この依頼はギルドを通して君達に直接依頼という形で頼むことになる。当然報酬も出るし、ギルドランクも上がる。悪い話ではないと思うが」

 

 手回し早いなあ。というより何が何でも行ってほしい、と訴えているのだろうか。いや訴えてるわ。まあ行くけど、そんなに難しい仕事じゃないし、ミスミド王国がどんなところか見てみたいし。

 

「分かりました、お引き受けします。皆も良いよね?」

 

 僕が聞くと、皆も頷いてくれた。反対意見は無いようだ。

 

「ありがたい。丁度帰国するのでミスミドの王都までは大使が案内してくれるそうだ」

「オリガさんが帰国? じゃあ妹のアルマも一緒に帰るんですか?」

「ああ。君達には大使とその妹、それに警護の騎士の一団に加わり、ミスミドへ行ってもらう事になる」

 

 それは心強い。聞いた話だと、ミスミドはベルファストより自然が多く、密林地帯とかもあり、魔獣も多いらしい。南米とか東南アジアみたいな所なのだろうか。

 一体どんな所なんだ……?

 

「しかし、大丈夫でござるかな……?」

「何が?」

「向こうにゲートを使える事を知られるのが、でござる。自分の所に誰にも知られずに侵入出来る魔法でござるよ? 警戒どころか、危険人物として暗殺される恐れも……」

「ついに僕が国を落とす時が!?」

「何で勝つ前提でござるか……」

 

 いや勝つんじゃない? だって僕TUEE系の主人公だし。

 

「いや、それは大丈夫じゃないのかな? シャルロッテに確認したが、ゲートには跳べない場所があって、魔力防御、いわゆる結界と呼ばれるエリアには跳べないのだろう?

 だったらそこまで警戒はされないと思うが」

 

 オルトリンデ様が八重の不安をあっさり打ち消す。ついでに一国の平穏も守られる。

 

「そうなの、冬夜?」

「……初めて知りました」

 

 僕の答えにエルゼは呆れた様な目を向ける。しょうがないじゃーん、ゲートを覚えた時は本で詳しく効果を知ってたわけじゃないしさー。

 

「どんな小さい魔力の結界でもそれで防げるらしいぞ。例えば、この王都を弱い結界で囲むだけで、君は王都から飛ぶことは出来ても王都へは飛んで来られなくなる。ちなみに、城のユミナの部屋以外には既にシャルロッテによる結界が張られているよ?」

 

 流石宮廷魔術師、抜け目がない。

 

「……でもどこかの国に冬夜さんを送り込み、奇襲をもって大軍をゲートで送ることも出来るから、やはり知られないようにした方が良いと思います」

「うむ、確かにな。ではシャルロッテに冬夜君が渡した眼鏡の様に、ゲートの魔法を何か付与してもらおうか」

 

 成程、姿見か何かに付与して会談でそれを使い、その後それを壊してもらえば相手の不安も消えるか。

 Aという鏡にBという鏡を行き来出来る魔法が付与されている、とそれっぽい理由を言えば大丈夫かもしれない。片方は現地に着いた後に作らないといけないだろうが。

 

「ではそれで行きましょうか。出発はいつになりますか?」

「そうだな、3日後ということにしておこう」

「分かりました」

 

 ん、しておこう?

 ま、いいか。長旅の準備もしなくちゃいけないし。

 

「いいのう、わらわもミスミドの王都に行ってみたいのう」

 

 スゥが羨ましそうに指をくわえる。ついて行きたいとか言わないでくれよ。

 

「そうじゃ。八重かリンゼ、どちらかわらわと代わらぬか?」

「うわっ、こっちに飛び火したでござる!?」

「何で、私達に言うんですか……」

 

 とか僕が思っていたらスゥがとんでもない提案をしていた。

 にしても、スゥは何でエルゼやユミナを入れないんだろうか。

 

「おぬしらは冬夜の事好きではないじゃろ?」

「え、嫌われてるの僕?」

 

 ショックー、ずっと旅してたのにー。

 

「いや嫌ってはいないでござるよ!?」

「そうですよ、人間としては好きですよ!」

 

 2人で必死でフォローしてくる。いいの? 信じるよ僕?

 

「普段は確かに塩対応してるでござるが、一緒にいて面白いと思っているでござるよ」

「すぐ女の人をナンパしたりするのはどうかと思いますが、人間として信頼できますし好きですよ」

「でなければとっくにパーティから離れているでござる」

「そうですよ」

「「ただちょっと恋愛対象としては見れないかなって」」

 

 最後のハモリが地味に心に来るんだけど。

 

「むぅ……」

 

 少し不満気にしているスゥ。そんなにミスミドの王都に行きたいのなら、僕が連れて行ってあげるか。

 

「旅から帰ってきたらいつでも行けるようになるから、その時デートでもしようか」

「本当か!? 約束じゃぞ!」

 

 テーブルに身を乗り出し、満面の笑顔を僕に向けてくるスゥ。こんなに喜ぶとは、そんなに行きたかったのか。

 と思っていたらエルゼが僕に一言。

 

「このロリコン」

「断じて違う」

 

 何でそんな扱いなんだ。

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