【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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最近暑すぎィ、な中皆さんいかがお過ごしでしょうか。
とりあえず私は気温が後10度くらい下がってくれると嬉しく思います。


竜の角、そして膝枕。油断するとオルガが出てくるのが僕の悪い癖

「ぬわあああああん疲れたもおおおおおおん」

 

 僕は草むらに身体を投げ出し、大の字に寝転がった。東の空から昇る太陽が眩しい。世界が変わろうと太陽の光がもたらす意味は変わらない、もう朝か。

 竜を倒した後、僕らは村の中を奔走した。リンゼは火災を水の魔法で消して回り、エルゼと八重は怪我人が残っていないか村中を探し、僕はその怪我人を回復魔法で治癒し続けた。

 幸い死者は出なかったが、村は壊滅状態に近い。

 

「冬夜殿、ここにいましたか」

「リオンさん、お疲れ様です」

 

 寝転がる僕の元へリオンさんが歩いてきたので、僕は体を起こす。どうやら大体収束したらしい。どこからか炊き出しのいい匂いが僕の鼻孔を通り抜ける。

 

「しかし、たった4人で竜を仕留めてしまうとは……。驚きを通り越して呆れてしまいます」

「あれはそんなに強い竜じゃなかったらしいですから、運が良かったんでしょう」

 

 リオンさんの言葉に僕は赤竜から聞いたことをぼかして話す。とそこへガルンさんもやってきた。

 

「おお、冬夜殿。あの竜の事なんだがどうする?」

「どうする、とは?」

「いや、あれだけの素材だ。売れば物凄い金になるだろう。しかし、どうやって運ぶか……」

「竜の死体が売れるんですか?」

 

 ガルンさんによると、竜は鱗や爪、角、牙、骨などは加工して武器や防具の素材に、肉は美味なので食料として、余す所なくかなりの高値で売れるそうだ。

 で、その権利は倒した僕らにあるんだけど……。ほとんどリンゼの手柄みたいな所あるからリンゼに一任するって僕が言ったら、リンゼが僕に一任するって言った。なぜだ。とはいえ皆もそれで依存が無い以上僕が決めるか。うーん……。

 

「じゃあ、竜はこの村の人達に差し上げます。村の復興に役立てて下さい」

「竜を全部か!?」

「冬夜殿、分かっていますか? 物凄く価値がある素材ですよ? 金額で行ったら王金貨10枚は下らないんですよ!?」

 

 王金貨10枚って……。え? 1億円以上するの!? マジで……!?

 

「いや、えっと……」

 

 正直撤回したい。だけど価値を知った途端手のひら返しとか人間として最低じゃないか! と悩んでいると僕の視界に村人たちの姿が映る。聞かれちゃったよこれ絶対……。

 

「ああそうだよ! あげるよ! どうせ王金貨なら既に10枚以上持ってるんだ、あげればいいんでしょ! 竜にどんな価値があろうと、村に……、村人達に僕があげてやるよ!!」

 

 今更やっぱり下さい、とも言えずやけくそで2人にそう言った。

 

「……ミスミドを代表して感謝する。ありがとう、冬夜殿」

「私にはやけっぱちにしか見えませんが……」

 

 リオンさん、穿り返さないでお願いだから。

 その後、インチキ転移鏡を使ってオリガさん、アルマさん、ユミナをここに連れて帰る。

 

「冬夜さん、大丈夫でしたか!?」

「うおっ!?」

 

 戻った途端ユミナが僕に抱き着く。そんなに心配だったのか、と思うと申し訳ないんだけど正直……。

 

「竜、なんか地味だった」

「地味!?」

 

 ユミナは僕の言葉に驚きを隠せないみたいだけど、僕としてはこうとしか言えない。村は壊滅したけどほとんどリンゼの2撃で倒しちゃったし。

 驚くユミナを引きはがすと、今度はオリガさんにお礼を言われた。竜を倒し、村を救ってくれたことに対してらしいが、死者が出なかったのは僕らじゃなくて護衛兵士のおかげだから、礼を言うならそっちに言うよう言っておいた。

 その彼らも力尽き、馬車の周りで仮眠を取っている。正直僕もとっとと寝たい。そんな気持ちを遮るように、僕らの所に杖を突いた獣人の老人がやって来た。

 

「村長のソルムと申します。この度は村を襲った竜を倒して頂き、その上村の復興に多大なる援助まで……、真にありがとうございます」

 

 援助って竜だよなー。いいもん、人助けだもん……。

 村長は村の人に何かを持ってこさせた。長さ1m位の円錐状の黒い物体だ。あ、これって。

 

「これはあの竜から採った角の1本です。これだけでもお持ちください」

「なんでも武器を損傷したとか。この角があれば、新しい武器の素材にする事も、売って新しい武器を買うことも出来ましょう」

「いやあげるって言いましたし……」

「お願いです。これを受け取って頂けないと我らは村の恩人に何も報いることが出来なくなってしまうのです。だからどうか……」

 

 そうか、この人にも誇りみたいのがあるんだ。ここでしつこく拒絶したらこの人を傷つけてしまうんだろうな、なら受け取ろう。単にやけだった僕を憐れんだとかじゃないだろうな。

 

「分かりました、有難く受け取ります」

 

 村長から角を受け取ると、そのあまりの軽さに驚いてしまう。これで鋼鉄より遥かに硬いとか質量保存の法則はどうなってるんだ、どうでもいいけど。これより硬いものとなるとヒヒイロカネ、ミスリル、オリハルコン位しかないとか。伝説級か……。

 角を受け取った僕は村長さんから離れ、自分の馬車まで戻る。正直眠くて仕方ない。

 馬車の中を除くと、エルゼとリンゼ、八重が眠っていた。

 僕も一緒に寝ようかと思ったが、途中でたたき起こされるのも嫌なので馬車の横に草むらに寝転がる。

 

「冬夜さん、毛布をどうぞ」

 

 そこに1枚の毛布を持ってユミナがやってきた。助かりー。僕はユミナな礼を述べると、毛布を受け取ってそれに包まり意識を闇の中へ沈めて行った。

 

 

 目を覚ますと、空をバックにエルゼの顔が見えた。あれ、何だこれ? どういう状況?

 

「起きた?」

 

 頭の下に柔らかな感触。あ、僕膝枕されてるのか。

 僕は体を起こして伸びをしながら欠伸をする。

 

「……ん、あれ? エルゼって寝てなかったっけ。何で僕に膝枕なんかやってるの?」

「あんたが起きるより前に目が覚めたのよ。そしたらユミナがあんたの枕やってて足辛そうだったから代わったのよ」

「なるほど」

 

 それはなんか、悪いことしたかな。

 すると、なぜかユミナがこっちを恨めしそうに見つめていた。

 

「どうかしたの、ユミナ?」

「別に、何でもありません」

「あんまり拗ねないのユミナ。これは公正な勝負、じゃんけんで決まったことよ」

「むう……」

 

 なにやってたかは分かるけど、何でそんな事したんだか。

 

「冬夜殿、そろそろ出発の準備をお願いします。王都に村の事を報告しなければなりませんので」

 

 オリガさんとガルンさんがやってきて、僕らに出発を促す。それを受けて僕らは馬車へと向かう。

 と、その前に……。ちょっとした事を思いついた僕は、村長さんの家に向かい、交渉してある物を手に入れた。

 

 

 揺られる馬車の中で、僕は竜の死骸をほぼ全部村にあげた事実をうやむやにする為、ユミナ以外の仲間に村長さんから買った銀製品をモデリングして作った、銀のブレスレットをプレゼントしたのだ。ちなみにユミナには既にアクセサリーをプレゼントしたのであげなかった。

 皆初めはビックリしていたが、何だかんだ喜んで受け取ってくれた。

 

「オリガさん、王都までは後どれくらいですか?」

「王都ベルジュまではあと2日ちょっとでしょうか。途中の町で冬夜さんは何か武器を調達した方が良いかもしれませんね」

調達した方が良いかもしれませんね」

 うーん、ぶっちゃけそんなに武器使わないしなあ……。ガルンさんも竜の角で何か武器を作ってもらうなら王都の方が良いって言ってたし2日位丸腰でも大丈夫でしょ。

 

「まあ、2日位ですから魔法で何とかしますよ」

 

 たった2日の為に一時しのぎの武器買うのも馬鹿馬鹿しいしいいや。

 そして馬車は王都ベルジュに向け進む。何にもありませんように。

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