【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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すげえよ読者は。
こんな原作なぞってるだけのSSを読んでくれて、時には感想まで。
その読者が聞いてくる気がするんだ
『次はどう来る? 次はどんなパロを仕込んでくる? 次はどんなネタで笑わせてくれるんだ?』
――ってな、それは裏切れねえ。
俺はいつだって、最高に三枚目で決まらない望月冬夜を書かなきゃいけないんだ。


ネタ切れに追い詰められたギャグSS作家はみんな割とマジでこんな思考になる、かもしれない。


ミスミド王都、そして対獣王戦。全然紳士的に振る舞えないぞ僕ゥ!

「はえー、すっごい大きい」

 

 王都ベルジュに到着してその真っ白な宮殿を見た時、思わずこう漏らしていた。

 インドのタージ・マハルに似た白亜の建物だった。いやよく見ると結構違うな。

 日干し煉瓦で造られた街並みや城壁と、白い宮殿がどこか噛みあわない。があらゆる種族が暮らす国なのだから色々入り混じるのは必然かもしれないが、悪くは見えない。こういうのは僕は好きだ。

 馬車が通る街並みは、様々な種族が行き交い賑わいを見せている。ベルファストに比べるとまだまだ未開発な感じはするが、その辺りは新興国だからあまり気にならない。

 高い建物が立ち並ぶ通りを抜け、宮殿への長い橋を渡る。都に巡らされた水路の上を走り抜けると、宮殿の敷地に入った。

 馬車を降り、オリガさんと僕ら5人。そしてガルンさんとリオンさんの計8人が、宮殿の庭を横目に歩道を歩いていく。美しい庭園だなあ(小並感)。

 長い階段を上り、宮殿の中に入る。明るい陽射しが天井の明かり窓から降り注ぎ、それが大理石の色と相まって眩しく輝いている。

 僕らは中庭の中央を進み、装飾が施された大きな扉の前に来た。その扉が軽く軋んだ音を上げながら、門番の兵士たちが扉を開く。

 広がる赤い絨毯に、天窓から光が差し込む謁見の間には、左右に様々な亜人が並んでいた。誰も彼も立派な身なりで、この国の重臣達のようだが角があったり、翼があったり様々な人種がいるようだ。

 そして謁見の間の奥、少し高くなった玉座にこの国の王が座っていた。

 獣王ジャムカ・ブラウ・ミスミド。雪豹の獣人だそうだ。歳は50代前半くらいかな。白い髪と髭を生やしたその顔からは、王としての力強さが感じられる。鋭い眼光は迫力と共に悪戯めいた光を感じる。

 獣王様の前で僕らは全員片膝をつき、頭を垂れた。

 

「国王陛下。オリガ・ストランド、ベルファスト王国より帰還してございます」

「うむ、大儀であった」

 

 獣王様が静かに頷く。

 

「ガルン、そしてベルファストの騎士殿。そなた達もオリガの護衛を無事果たしてくれたことを嬉しく思う」

「「ははっ」」

 

 そして獣王様はこちらを眺め、目を細めながら小さな笑みを浮かべる。

 

「そなた達がベルファスト王からの使いの者達だな? なんでも旅の途中、そなた達だけでエルドの村を襲った竜を倒したとか。それは事実かな?」

「はい、その通りです。ここにいる私以外の4名で、村を襲った黒竜を退治いたしました」

 

 獣王様の質問に毅然とした態度で答えたのは、静かに立ち上がったユミナだった。

 

「……そなたは?」

 

 謁見の間で少しも緊張せず話す少女を訝しく思ったのか、怪訝な面持ちを見せて獣王様が問いただす。

 

「僕は、チームサティスファクションリーダー望月冬--」

「あんたじゃない!」

「ディ・モールトォ!!」

 

 流れるような僕の割り込みに、流れるようなエルゼの腹パンが決まる。そこに追い打ちをかけるかのように

 

 チーン

 

 とリンゼがトライアングルを鳴らす。どっから持ってきたのそれ。

 

「な、何じゃこれは……」

「お気になさらず」

「いえ気になりますが!?」

 

 それを受け止めきれない獣王様とガルンさん。そしてこの程度では気にも止めないユミナ。

 

「まあそれはそれとして、申し遅れました。私はベルファスト王国国王、トリストウィン・エルネス・ベルファストが娘、ユミナ・エルネア・ベルファストでございます」

 

 謁見の間に衝撃が走る。そら(一国の姫が何の知らせも無く来たら)そう(なる)よ。いやこれユミナのスルー具合に驚いてるのかな? どっちだこれ。

 とりあえず、ガルンさんは目をむくほど驚いていた。

 

「ベルファストの姫君がなぜ我が国に?」

「ミスミドとの同盟は我が国にとってそれほど重要ということですわ。これは父上からの書状でございます、どうかご確認を」

 

 そう言ってユミナは懐から1通の手紙を取り出す。そんなの持ってたっけ? と思ったけどそういえば1回ベルファストに戻ったし、その時かな。

 側近の1人が恭しく書状を受け取り、獣王様に手渡す。封を開け中に目を通すと、獣王様はユミナの方を見て笑みを浮かべる。

 

「成程、あい分かった。ここに書かれている内容を最大限善処したうえで、近いうちに返答しよう。それまでは姫もそちらの方々とごゆるりと我が宮殿でお過ごしくだされ」

 

 書状を側近に手渡し、獣王様は僕らに向けて静かに声をかけた。

 

「さて、堅苦しい話はここまでにして……。1つ先程から気になっている事があるのだが……」

 

 獣王様の目が僕の傍らにいる琥珀に向けられる。この国では神聖視されている白い虎連れてばそりゃあねえ。

 

「そこの白虎はそなた達の連れか?」

「はい、ここにいる冬夜殿の従者のようなものですね」

『がうがー、がうがー、がうがうがうがー』

 

 ユミナの言葉を肯定する様に琥珀がリズム良く鳴く。何でアストロガ○ガーのリズムなんだ、僕教えてないぞ。

 獣王様は琥珀をしばらく見つめていたが、やがて僕を見る。

 

「……成程、白虎を従える竜を討った勇者か。久しぶりに血がたぎるのう。どうだ冬夜とやら、一つ儂と立ち合わんか?」

「は?」

 

 何言ってるのこの王様、と思う僕をよそに周りの重臣達は一斉に諦めたかのような溜息を吐き出す。何だよこの展開……。

 

 

 白亜の宮殿の裏手には広い闘技場があった。フッ……、まるでコロッセオだな。僕はここに連れてこられ、なぜか獣王様と立ち合う事になった。どういうことなの……。

 

「申し訳ない冬夜殿。獣王陛下は強い者を見ると立ち合わずにはいられない気性でな、正直我らも困っている」

 

 そう言って僕に謝ったのはこの国の宰相であるグラーツさん。灰色の翼を持つ有翼人である。歳は40代後半くらいか、灰色のローブを着こみ、口髭を生やしている。

 

「ここは1つ、ガツンと痛い目に遭わせていただきたい。全力でやってくだされ」

「貴方達の王様ですよね? いいんですか?」

 

 グラーツさんのあんまりな言動に思わずツッコミを入れる僕。するとグラーツさんの横に控えていた他の重臣達も口々に文句を言い出した。

 

「かまわん、思いっきりやってくれ。大体陛下は国務を何だと思っているのか! 居なくなったと思えば千師団の訓練に参加して、全員ぶちのめしているし!」

「この間も新しい武器を思いついた! とか言って鍛冶屋へすっ飛んで行きました! その後の予定が全部ずれて、どれだけ私が苦労したか!」

「私には国を挙げて武闘大会を開こう、とか言ってましたよ。どこにそんな予算があるってんですか! ねえ!?」

 

 大丈夫、革命する? と言いたくなりそうな勢いで愚痴をする重臣達。というか僕に言われても困る様な話も多い、どうしろと。

 とりあえず木剣を持って闘技場の中央へ向かう。観客席には僕の仲間達とミスミドの重臣達、そしてミスミド戦士団の隊長達が陣取っていた。

 獣王様も片手に木剣、もう片方には木の盾を持って待ち構えていた。僕は盾を使った防御なんてゼ○ダでしかやった事が無いので遠慮した。

 

「勝負はどちらかが真剣ならば致命傷になる打撃を受けるか、あるいは自ら負けを認めるまで。魔法使用可、ただし本体への直接的な攻撃魔法は禁止。双方よろしいか?」

 

 審判役の説明を聞きながら、真剣なら致命傷って木剣でも危なくないですかねと思った。まあ僕もリンゼも居るし回復魔法使えばいい、のか? さて、重臣達からガツンとやってくれとは言われたけど……。いいのかな? いいや。

 しかし花無いな。重臣達は僕を応援しているけど、どうせならもっと美人連れて来るとかさ!

 

「手加減は無用だぞ冬夜。実戦だと思いあらゆる手を使い、儂に勝って見せるがいい」

 

 獣王様の許可も出た事だし、遠慮なく本気で行かせてもらおう。にしても凄い筋肉だな、あんなの見たことなーい。

 審判の人が右手を大きく上げて僕と獣王様を交互に見た後、勢いよくその手を振り下ろした。

 

「では、始め!」

「スリップ」

「どわっ!?」

 

 僕の無属性魔法で獣王様が盛大に転ぶ。その隙に距離を詰め木剣を獣王様ののど元に突き付けた。

 

「僕の勝ちですね」

「ちょ、ちょ、ちょっと待った! これは無いだろう!? 何だ今のは!?」

「僕の無属性魔法スリップです。攻撃魔法じゃありませんよ」

「いやいやいや! あれは駄目だ! 勝負とかそれ以前の問題だろう!」

「実戦だと思えとおっしゃるからその通りにしたのですが」

「そなた達の実戦はいつもそうなのか!?」

「転ばせて囲んで叩いて魔法で止め、これが僕達チームサティスファクションのやり方です」

 

 僕の言葉に唖然とする王様。そんなにおかしいだろうか。

 

「竜との戦いはそれで大体合ってるけど聞こえ悪いわよ!」

「というか拙者達そんなチーム名つけてないでござるよ!!」

 

 後ろからエルゼと八重のツッコミが聞こえるが、僕は気にしない。

 

「とにかくもう1回だ! 今度はその魔法なしで!」

「小学生みたいな事言いだした……」

 

 僕としては正直もういいんじゃないか、と思うのだが一応グラーツさんの方を見る。グラーツさんに止めて欲しかったんだ。でもグラーツさんは凄く嫌な笑みを浮かべていた。

 

「そうですなあ。これ以上は政務に支障をきたすので困りますなあ」

「グラーツ! そう言うな、少しだけだ。少しだけだから、な!?」

「そうは申しましてもねえ」

 

 獣王様がグラーツさんの下へ駆け寄り、ああだこうだと話し合う。「ちゃんとやるから!」とか「もうサボらないから!」とか聞こえてくる。それに対して重臣達が色々と条件を出しているみたいだ。凄いだろ、ここまで僕の意思何一つ反映されてないんだよ? 内心でちょっと憤っていると、獣王様が小さく肩を落としながら帰ってきた。グラーツさん達が出した色々な条件を飲んだようだ。

 

「冬夜どのー、申し訳ないが陛下ともう1戦お願いします―!」

「えぇ……」

 

 グラーツさんの嬉しそうな声に思わず疲弊する僕。一方、グラーツさんはこう続ける。

 

「それと陛下のお戯れに付き合って頂けるお礼として、後で城のメイドに歓待させますのでー!」

 

 城の、メイドに……?

 その言葉を聞いた僕は、木剣を構え獣王様に言い放った。

 

「さあ始めましょうか、第2ラウンドを」

「清々しい程の変わり身だなそなた……。まあいい、今度はあの魔法は禁止だからな!」

「了解です」

 

 もう1回仕切り直し。審判さんが再び右手を上げて、振り下ろした。

 

「始め!」




なんだよ、異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術結構おもしれえじゃねえか……。
ということで紳士的にしたSS書こうとしたけどやっぱり無理でした。
誰か書きませんかね。
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