【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。 作:味音ショユ
「すいませんでしたあああああああああああ!!!」
今僕は土下座をしている。
何でラピスさんがここにいるのとか、何で仮面被って監視しているのとか、いろんな疑問があるけどとりあえずそれを無視して土下座している。だっておっぱい揉みしだいちゃったし。
でも仕方ないじゃん! 僕らの周りを怪しい仮面被った2人組がうろついているんだよ。どう考えても敵国の暗殺者か何かだと思うじゃん。その人が女だったらエロい尋問するのはお約束じゃん! あれこれ僕だけの責任じゃなくない!?
「い、いえ……。自分達の周りを何者か分からない監視者がいれば怪しむのは当然ですから、旦那様を責めるつもりは……」
「でもそれって~、胸を揉みしだく理由にはなりませんよね~」
ラピスさんは許してくれそうだったが、さっきまで楕円形の紋章を付けた仮面をかぶっていたもう1人のウチのメイドさん、セシルさんが的確に僕を責める。
「違うんです! おっぱいに手が当たった時、余りの柔らかさと張りに揉みしだけと万物の意思が僕の魂に語りかけてきたのでつい……」
「何も弁明していませんね~」
「王女様から好色だとは聞いていましたが、これほどとは……」
「馬鹿な!?」
僕こんなに謝っているのに!? というか仮にも主なのに扱いが酷い! いやこれは妥当か。
「しかし、私達の事がばれてしまった以上旦那様にも説明しなければなりませんね」
「黙っていてもらわないと困りますが~、そこはお互い様という事で~」
脅迫してきたよこのメイド2人!? あ、でもメイド2人に手玉に取られるって何か新しい扉開きそう。
「という事で旦那様、そろそろ土下座は止めて下さい」
「あ、もういいんですか?」
ラピスさんの許可を得て立ち上がった僕は、立ち上がって土がついた部分を手で払う。これ洗濯に出した方がいいかなあ……。
「まず我々はベルファスト国王陛下直属の諜報員、エスピオンです。今は王女様の身辺警護を任じられています」
「はあ……」
ラピスさんの説明に気の無い返事をする僕。女の諜報員ならハニートラップの1つでもするだろうに、こんなに耐性無くて大丈夫なんだろうか。というかエスピオンってフランス語でスパイって意味の言葉だったような、そのまますぎない?
でも同時に納得した。仮にも王女を護衛も無しに僕に預けるなんておかしいと思っていたけど、陰に隠れていた訳か。
「警護はラピスさん達2人だけ?」
「いえ~、あと数人いますよ~。皆女の子ですけど~」
「紹介してください」
「駄目です~」
セシルさんのばっさりした断り方にちょっと落ち込む僕。残当と言えばそうだけど、やっぱちょっと傷つく。
「ってか、ベルファストからずっとついて来たの?」
「それが任務ですので」
「そういや一度ゲートで家に戻ったけど、その時2人とも家にいなかったっけ。となると執事のライムさんもグル?」
「そうですよ~」
まんまと騙された。更に詳しく聞くと、メイドギルドに所属しているのは本当なんだそうだ。潜入捜査の為に必要なスキルなんだそうで、エスピオンの女性メンバーはほぼ所属しているらしい。
「それでこれからどうするんですか?」
「今まで通り影から王女様をお守りしますが……、旦那様にはこの事を王女様には内密にして頂きたいのです」
「何でまた……」
気づいてなくても、護衛が居る事くらいあのユミナなら感付いてそうだけど。
「姫様に護衛が付いている事が明確になると~、国王様が姫様に怒られてしまうんですよ~」
「確証を得なきゃいいのか」
まあ、娘からすれば護衛は不本意かもしれないけどさ。でも黙っていても意味無いと思うんだけどなあ……。
でも僕に選択肢は無いので、大人しく黙っておくとしよう。その代りラピスさんの胸を僕が揉みしだいた事も内緒にしてもらった。
とりあえず今まで通りという事にして、2人と別れユミナ達の元に戻る。
ユミナとリンゼには逃げられちゃったと嘘の報告をしてごまかし、琥珀には念話で事情を話しておく。これでまた琥珀が悩む心配はない。
でも念話で説明した時に琥珀が言った
〈死んだ方がよろしいのでは?〉
という言葉だけは絶対に忘れない。
翌日、ベルファストとミスミドの同盟内容を話し合う為国王同士が会談する事となった。
首脳会議なのだが、どちらがどちらに来るのかで揉めた。万が一の事を考えると仕方ないね。結局、ベルファスト国王がミスミドにやって来る事となり、転移する為という事になっている姿見を会議室にセットする。ちなみに魔力防御は今日の段階で解かれたらしい。
会議室の中にはリオンさんをはじめ僕らと一緒にやって来たベルファストの騎士達。ミスミド側は獣王様と宰相のグラーツさん、ガルンさんを隊長にした騎士団何人かが控えている。
鏡の上でゲートを開き、その中から国王様と弟のオルトリンデ様が現れる。
ジョ○ョかドラ○もんを思い出しそうな光景に、皆驚きを隠せないようだがそれも一瞬の事。現れた王族2人をこの場にいた皆が恭しく出迎えた。
「ようこそミスミドへ、ベルファスト王よ」
「お招き感謝する、ミスミド王」
互いに握手を交わす。さて、ここまで来たら僕はしばらくやる事なしだ。席を外そう。
会議室の扉を開けて廊下に出る。
すると、廊下の向こうからポーラをお供にしてリーンがやってきた。
「ベルファスト国王がやって来たみたいね」
「さっきね。今中で会議してる」
警備の兵士が左右に立つ扉を指差しながら、リーンに答える。
「で、弟子になる気にはなった?」
「その気は無いって何度も言ったじゃん……」
あれからしつこく僕を弟子にしようとするリーン。流石に弟子になったらシャルロッテさんの胸揉んでいいって言ってきた時は正気を疑った。
「でも心惹かれたでしょ?」
「まあね。でも不可抗力や敵の暗殺者やスパイでもない限り、その状況には自分の力で持ち込むつもりだよ。人頼みだの権力だので美人好きにして何が楽しいんだ」
「フフッ、言っておいてなんだけど確かにこの誘いに素直に乗ったらあなたを見限っていたかもしれないわね」
「受けとけば良かったかな……」
「……1人の女として、そこまで袖にされるとちょっと悔しいわね。私だってあなた好みの年上で、自分で言うのはあれだけど容姿だって整っているつもりよ」
あれ? 僕リーンに好みのタイプ言ったっけ? まあどうでもいいけど。
「その、リーンの体型が……。ね?」
「ぶっ殺すわ」
妖精族の長怖い。
しょうがない、無理矢理話を変えよう。
「しかしポーラはぬいぐるみなのに生き生きとしてるな……。まるで生きてるみたいだ」
「そういう風にプログラムを重ねてきたからよ。もう200年近く、色んな反応、状況から自分の行動を起こせる様にしてあるのよ。人間だって叩かれて痛ければ泣くし、馬鹿にされたら怒るでしょう?」
200年もそんな事してるのか。何だか、昔どこかで見た中国語の部屋っていう思考実験を思い出すんだけど……。
「ところでポーラって200年も経ってるのに全然古い感じが無いよね。作り直したりしてるの?」
「いいえ、私の無属性魔法プロテクションがかかってるの。保護魔法の1つでね、色々な対象からある程度保護できるのよ。ポーラには汚れや劣化、虫喰いなどから影響を受けないように保護してるわ」
また無属性魔法か。でもこれが無属性じゃなかったら、世の商売がいくつか消滅しそうだ、うん。悪い文明じゃないのに破壊されてしまう。
「っていうか、リーンっていくつ無属性魔法使えるのさ。プロテクションにプログラム、あと確かトランスファーも使えるってシャルロッテさんに前聞いたよ?」
「妖精族は無属性魔法の適性が高いのよ。逆に無属性魔法を1個も使えない妖精族なんて余りいないわ。と言っても私でさえ4つだけど」
1つでも使えればいい方だと言われている無属性魔法を4つもか。凄いんだろうけど僕が言える立場じゃない。これが魔法特化種族妖精族か、その割に肉弾攻撃しか喰らってない気もするけど。
「冬夜殿、ベルファスト国王陛下がお呼びです。こちらへ」
会議室の扉が開かれて、中からグラーツさんが顔を出した。呼ばれるまま会議室に入ると、2人の王がこちらを向く。
「やあ冬夜君。話は滞りなく済んだよ。ありがとう」
「それはなによりです」
ベルファストの国王様の言葉に胸をなでおろす。これで僕の仕事はほぼおしまいだ。
「では我々はベルファストへ戻らせてもらおう。後の事を頼む、ミスミド王。これにて失礼」
別れの挨拶を済ませると、僕がこっそり開いたゲートを使って再び鏡の中へ2人は消えて行った。2人が居なくなってから、僕は打ち合せしていた通りに行動を起こす。皆の目の前で取り出したハンマーを使い、鏡を粉々に砕いた。
「と、冬夜殿!? 一体何を……!?」
「大丈夫です、見ていてください」
慌てふためくグラーツさんに背を向けて、僕は鏡の破片と木枠を前に魔法発動。
「モデリング」
割れた鏡と木枠が変形し、いくつかの小さな横長の鏡になる。縦2センチ、横の15センチ程の鏡に木枠が嵌められた物だ。そしてその1つにばれない様にゲートをエンチャントする。
「これらの鏡はベルファストにつながっています。これから何か重要な連絡をする時は、ここに手紙を差し入れて連絡するとよいでしょう」
勿論、向こうもこちらも本物だと公的な書類を使ってもらう事になるだろう。だけどそんな事は一々僕が言うまでもない事だ。
「成程、往復20日掛かる連絡が一瞬で出来るわけか。これはまさしく革命だな、両国の交友に大いに活用させてもらおう」
僕から渡された鏡を受け取ると、獣王様は笑顔を浮かべた。これで僕の仕事は完全にしまいだ。
さて我が家に帰るかね。ラピスさん特に気にせず接してくれると嬉しいんだけど……。
このサイトのSSの影響で、最近ありふれた職業で世界最強に興味わいてきました。
改変物書こうかとちょっとだけ思いましたが、もし本格的に連載すると私なろう小説の主人公を改変する人で固定されませんかね?
いやまず、なろう版と書籍版で差があるのか調べるのが先ですけど。