【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。   作:味音ショユ

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特殊タグを初めて使いました。


帰宅、そしてハプニング。サラシ推奨派の皆様には今回の話をおすすめできません。

 リオンさん含む護衛の騎士達はしばらくミスミドに駐留するらしい。なんでも、この後色々な手続きにベルファスト側の人間がいないと作業に支障をきたすそうだ。

 姫であるユミナの護衛をしながらベルファストに戻ると言い出す人もいたが、ユミナが断った。曰く

 

「自分の仕事をしてください」

 

 だそうだ。

 本音を言うなら、僕らはゲートで帰るから着いてこられると困るんだよ。

 別れ際にリオンさんにも手紙用ミラー・ゲート―何か遊○王の罠カードみたいな名前になっちゃった―を2つセットで渡しておいた。これでオリガさんと毎日文通できるよ、やったねリオンさん! と言ったらすさまじいテンションで喜んでいたので正直ちょっと引いた。

 獣王様やグラーツさん、オリガさんにガルンさんにも別れの挨拶を済ませる。リーンとポーラにも一応挨拶しようと思ったけど留守だった。じゃあしょうがない。

 城を出て城下町で屋敷の使用人達とスゥへのお土産を買って、荷物を纏める。あとはゲートでベルファストに帰るだけだけど、その前に……。

 

「ごめん、ちょっとお土産の忘れ物」

 

 皆に断りを入れて街中の人混みに紛れながら、マップアプリでラピスさんとセシルさんを探す。すぐに見つけ、ブーストで飛び上がり目的地に移動する。

 

「っ!?」

「ふわっ!? ああ、旦那様ですか~。驚かさないで下さいよ~」

 

 驚く2人を見てちょっと和む僕。だけど別に和みに来たわけじゃない。

 

「僕らはこれからゲートでベルファストに帰ります。それよりも先に2人を家の方に送ろうかと思いまして」

 

 国王様からゲートというか、僕の無属性魔法の事は聞いているだろうし言ってもいいだろう。というか僕が監視に気付かなかったら一体どうやって帰るつもりだったんだ……? まさかそのままノコノコ徒歩で帰るつもりだったのか?

 

「旦那様が送って下さるんですか~?」

「ありがとうございます。だ、旦那様……」

「あんまりどもらないで欲しいんですけど」

 

 ラピスさんの態度を見て苦笑いしつつゲートを開き、ベルファストにある我が家、そのリビングだ。

 

「お帰りなさいませ」

 

 その場にいたライムさんが、いきなり現れた僕らを見ても取り乱すことなく言葉をかけてくる。

 

「ライムさんただいま」

「ただいまです~」

「すみません、旦那様に知られてしまいました……」

「でしょうな」

 

 この状況では一目瞭然である事実を口にするラピスさんい、ライムさんは苦笑い。

 とりあえず2人にはメイド服に着替えてもらい、ずっとここで仕事してましたアピールをしてもらおう。2人が着替えに部屋に向かうと、ライムさんが頭を下げてきた。

 

「申し訳ございません。あの2人に関しては国王陛下から命じられていたものですから……」

「いえ、そんな……。特に何か言うつもりはありませんよ」

 

 僕と国王様、優先順位が高いのは必然国王様なのは当然だし別に気にしない。もしそのせいで命の危機に陥ったり、大きな損害を被ったとしても僕が文句を言いに行くのは国王様であってライムさん達じゃない。

 

「まあ、ユミナや皆には内緒にしておきます。後、この後みんなを連れてもう1回帰ってきますけど、初めての帰宅って感じで迎えておいてくださいね」

「かしこまりました」

 

 それだけ言ってゲートを開き元の場所に戻り、皆のいる場所へ急ぐ。

 

「おーそーい。何してたのよ」

「ちょ、ちょっと野暮用でね」

 

 戻ってきたのと同時にエルゼにむくれながら文句を言われた。適当に言い訳して、皆で誰もいない裏路地の方へ行き再びゲートを開く。

 自宅のリビングに現れた皆に、待ち構えていたライムさんが頭を下げる。

 

「お帰りなさいませ」

 

 何だかシュールな状況だなあ、とライムさんの2度目の挨拶を聞いているとリビングのドアが開き、メイド服に身を包んだラピスさんとセシルさんが現れた。

 

「皆様、お帰りなさいませ」

「お帰りなさいませ~。旦那様に会えなくて寂しかったです~」

「あはは……。ただいま、ラピスさんにセシルさん」

 

 そんな台詞よく言えるなセシルさん。ほわほわした雰囲気見せてても諜報員なだけあるな。

 それより知らない内に、皆は自室の方へと戻りお風呂に入って旅の疲れを癒すらしい。僕も後で入ろう。

 その前に皆にお土産を渡しておこう。

 ライムさんにはネクタイピンとカフスボタン。ラピスさんとセシルさんには色違いのティーカップ。2人は受け取れないと言ったが、昨日のお詫びとあなた達にだけ渡さないのも不自然だからといって、無理矢理渡した。

 フリオさんとクレアさん夫婦には麦藁帽子とミスミド料理の本に、夫婦茶碗。トムさんとハックさんの警備員コンビには装飾が飾られたナイフをそれぞれ渡した。スゥのお土産は……、どうしよう? 勿論買ったけどよく考えたらデートの約束してたし、その時買っても良かったか……。ま、いいさ。上手くやろう。

 その後自室に行き、ベッドに倒れこむ。しっかし疲れたなー。肉体的な疲労より、見知らぬ土地での精神的疲労がきつい。このベルファストを見知らぬ土地だと思わないのは、それだけ里心が付いたって事かな?

 しかし、今回の旅で色々思いついた事がある。例えばゲートを付与した姿見をどこかに送って向こうに行くとか、プログラムを施した自動馬車や自動車を作ってみるとか。馬車はあるから出来たら意外と普及するかもしれないな。その前に自転車から作ってみよう、いきなり自動車とか出来るしないし、目立つし。後はマップアプリにプログラムして自動ターゲット機能を追加したり、色々出来る幅が増えたと思う。また万能になっちゃうな僕。

 後は自動人形のポーラみたくプログラムを使って、モデリングでオリエント工業も真っ青な人間大美少女フィギュアを作れば究極のガイノイド作れるんじゃ……。やば、眠い……。

 

 

 ……あれ? いかん、少し寝てたか。自分が思っているより疲れているんだなあ。寝間着に着替えないで寝たから身体がだるい。一旦風呂に入ろう。

 タンスから着替えの下着とバスタオルを持って1階の浴室へ向かう。

 ウチのお風呂は大人5、6人が入れるほどの湯船がある、ちょっとした大浴場だ。女性陣は一緒に入ったりするらしいけど、僕の場合は1人で使える。このお風呂使う男は僕とライムさんだけだから必然的にそうなる。ライムさんと一緒に入りたくは無い。

 

「風呂が広いのはいいよね。文化の極みだ」

 

 上機嫌でお風呂場の手前、脱衣所の扉を開ける。

 

「「「「……え?」」」」

「…………ん?」

 

 えっと、状況を整理しよう。目の前にはエルゼ、リンゼ、八重、ユミナがいて全員下着姿だ。エルゼとリンゼは上下おそろいの、小さなリボンが付いたパステルカラーの色違い。エルゼはピンク、リンゼはブルー。下の方はサイドが紐で結ばれているタイプだ。その隣の八重は、サラシにふんどし……!?

 

「何やってんの八重ぇぇぇ!!」

「えぇ!?」

 

 ミカさんがおっさんになったと思った時ですら出なかった大声が、僕の口から飛び出した。なんか八重が驚いているけど、そんな事はどうでもいい。

 

「八重ぇぇ! 駄目じゃないか、サラシなんかつけちゃ! おっぱいが崩れるんだぞ! おっぱいの形がが崩れるんだぞ!! コノバカヤロウッ!!」

「い、いや……。サラシを巻いてないと刀を振るには邪魔でござるから……」

「僕は付けてない!」

「それはそうでしょうね」

 

 リンゼのツッコミを背に受けながらも、僕の思いは留まる事無く溢れてくる。

 

「ねぇ……」

 

 しかし次の瞬間、エルゼの底冷えする声を聞いて僕は一気に冷静になった。

 そういえば僕って今、ラッキースケベに遭遇した状態なんじゃ……。

 

「あんたは、いつまで……」

 

 エルゼは何かを呟きながら、僕に走って向かって来る。そして

 

「人の下着を堂々と見て、その上で品評してるのよ!!」

 

 全霊で出されたエルゼの拳は、僕の腹にクリティカルヒット。壁に叩きつけられた僕はそのまま意識を失った。

 

 

「確かに脱衣所に鍵をかけ忘れたのは、私達が悪かったかもしれないけど!」

「もうちょっと注意してほしかったです」

 

 4人に囲まれ正座状態の僕。さっきから説教され続けていて、足が痺れてきた。

 

「てっきり皆もうあがっていると思って……」

「いやそこはこの際いいです」

 

 え、そうなのユミナ? じゃあ正座解除していい? と聞くとにべもなく全員が断った。

 どうも話を聞く限り、皆も自室に辿り着くなり軽く眠ってしまったらしい。目覚めてから慌ててお風呂に入ろうと皆が集まり、脱衣所で下着になったタイミングで僕が入ったそうな。僕すげぇ……。

 

「反省しているでござるか?」

「いや本当にサラシは止めた方が――」

「まだ言うの!?」

 

 なぜかエルゼが驚く。僕としては本気で言ってるんだけど。この世界ブラジャーあるんだしそっち付けた方が絶対良いって。

 

「分かった、分かったでござるから! 今度買いにいくでござるから!!」

 

 やがて僕の説得が通じたのか、単に根負けしたのか八重からサラシ止める宣言を聞けた。でもブラ選びに僕は参加できなかった。

 

「……当たり前です」

 

 ですよねー、とリンゼの言葉が僕に突き刺さった。

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