【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。 作:味音ショユ
アニメ見ながら書くのすげえキツかったゾ~。
……普段読みながらやってるせいか、今回全然イセスマの文章じゃないかもしれません。
イセスマの文章だったら、私の文章力はそれくらいという事になります。
「ここがミスミドか、賑やかじゃのう!」
レネをメイドに雇った翌日、僕はスゥを連れてミスミドに来ていた。ミスミドに来る前にした約束、デートの為に。
ミスミドの街は相変わらず賑やかで、様々な獣人達で一杯だ。
「冬夜が作ってくれた自転車で、街を走ってみたいのう」
「目立つから駄目だって」
スゥの言葉をたしなめる僕。自転車なんてない状況で乗り回していたら、さながらピエロの如く目立つだろう。
「それじゃスゥ、とりあえずデートプランは作ってるから行こうか……、ん?」
「どうしたのじゃ?」
僕が目的地の方向に向くと、そこには狐耳を持った見覚えのある少女の姿が。間違いない、アルマだ。初めて会った時と同じ服装をしている。
「知り合いかの?」
「うん、そんな所」
「……まさか現地妻という奴ではないじゃろうな?」
「どこで覚えたのその言葉」
そもそも僕に妻が居ない以上、現地妻って言葉は成り立たないと思うんだけど。
いや、それよりも知っている顔に出会ったんだし挨拶位はしておこうか。
「おーい、アルマー!」
僕が声を掛けると、向こうもすぐに気づいてこちらに駆け寄ってくる。
「冬夜さん」
「やあ偶然だね」
「はい。冬夜さんもミスミドに来てたんですね」
「アルマは買い物?」
「はい。冬夜さんも?」
「まあそんな所。っと」
僕とアルマが2人だけで会話しているからかスゥが少し拗ねてる。ちゃんと紹介しなきゃな。
「スゥ、この子はアルマ。アルマ、こっちはスゥシィだ」
「うむ、スゥでよいぞ」
「はい、よろしくお願いします」
こうして自己紹介を終え、それじゃあ別れようと言う時になってアルマの目にあるものが入る。
「あれは……、お姉ちゃんにリオンさん?」
「えっ?」
僕もつられてアルマと同じ方向を見ると、そこには確かにオリガさんとリオンさんの姿が。デートかよ。というかリオンさん、何でデート中まで鎧着てるの? ベルファストの騎士はいかなる時も身に付けなければならないみたいな決まりがあるの?
「追いかけないと!」
すると、次の瞬間アルマはそう言って2人を追いかけだしてしまった。
「え、尾行するの!?」
「勿論!」
僕は思わず問いかけるが、アルマは堂々とした態度で返答しそのまま走り去る。え、これ僕が間違ってるの?
……大丈夫かなあ?
「心配なのじゃな? 冬夜は知り合いを極端に心配するようじゃ」
そんな僕の心を見透かしているのか、スゥが問いかけてくる。……知り合いを心配する部分はあると思うけど、そんなに露骨かな?
「……まあ、少し」
「なら追いかけるかのう、それにちょっと面白そうじゃしな」
そう言ってスゥは僕の手を取ってアルマは走り出した。
気を遣われてしまった。これじゃどっちが年上か分かった物じゃないな。
「ところで質問なのじゃが」
「何?」
「アルマが追いかけて行ったあやつら2人って、誰じゃ?」
……そうだね、説明しなきゃね。
幸いな事にアルマ、そしてデート中のオリガさんとリオンさんにはすぐに追いつく事が出来た。
2人の方を見ると、オリガさんが何かを話していて、リオンさんはそれに相槌を打ちながら手を繋ごうとしているものの、その度に手を引っ込めるという謎の行動を繰り返していた。
「……あれは、何をしておるのじゃ?」
「手を繋ぎたいけど、繋いでいいものかどうか悩んでいるんじゃない?」
スゥの疑問に僕が答えると、彼女はそのまま不思議そうにこう呟く。
「手ぐらい好きに繋げばいいのにのう、こんな風に」
そう言って僕の手を取り、えへへと笑うスゥ。何これ可愛い。
「あ、お店に入りますよ!」
アルマが言うと同時に、オリガさんとリオンさんはレストラン、でいいのかな? とにかく食事をする所に入って行った。あ、ここスゥとのデートコースにしてた所だ。
僕らはそのままレストランの前まで行き、そこで止まる。流石に店に入ると向こうもこっちに気付くだろうしね。
「冬夜、何とかならんか?」
状況を察しているスゥが僕に問いかける。何とか、何とかねえ……。
「そりゃ何とかならない事もないけど……。これ以上覗き見するのは流石にちょっと……」
流石の僕もこれ以上デートを尾行するのに抵抗を感じてきたので、それとなく止める方向に持って行こうとする。
「お姉ちゃんの人生における一大事かもしれません。ここは妹として、知っておくべきかと」
しかしアルマは頑として譲らない。一体オリガさんどれだけ男と縁が無かったんだろう。そしてそこまで言われると、僕としても止めにくい。
「はぁ……。ロングセンス」
仕方ないのでロングセンスを発動し、スマホのカメラアプリにエンチャントする。前にリンゼの下着姿を撮ったあれだ。それでオリガさんとリオンさんの会話をリアルタイム中継する。
「「おおっ」」
それを見て感嘆するアルマとスゥの2人。
一方、そんな事を知るはずも無いオリガさんの言葉がスマホから聞こえてきた。
『後数日で、リオンさんもベルファストに帰られてしまうのですね』
『あ、でも……、これからベルファストとミスミドは友好的な関係を結ぶわけですから……。こちらに来る機会も多くなりますよ』
『ふふふ、その時は教えて下さいね』
2人の会話を聞く限り、十分脈は在りそうだ。というかいつまでもアオハルめいた事してないで、さっさとくっついて欲しい。
「お姉ちゃん、嬉しそう」
そんな2人を見て嬉しそうに笑うアルマ。そういう表情をされると出歯亀も強く咎めにくい。
そうこうしていると、オリガさんとリオンさんがレストランから出てきた。
それを見て慌てて追いかけるアルマ、しかし路地裏から出てきた薄茶色のローブを纏った男にぶつかって転んでしまう。
「すまんな、大丈夫か?」
そう言ってローブの男はアルマに手を差し伸べる。
「すいません、急いでいて……」
「アルマ、大丈夫か?」
アルマが差しのべた手を取る前に、僕が追いつく。そしてローブの男の顔を見るとそこには
「あ」
「お?」
ミスミド王国の王、獣王陛下がそこにいた。
そのまま僕、スゥ、アルマ、獣王様の4人で尾行を続行。今は屋台が立ち並ぶ公園へ移動した。公園の屋台には、様々な野菜やお土産の仮面が売られていて、小さいながらも立派に商店通りの様だった。その公園のベンチでオリガさんとリオンさんは話していて、それを僕らは生い茂る木々の中で隠れて覗いていた。
というか何でついて来たの獣王様、僕何にも事情説明とかしてないのに。
「あれは……、オリガとベルファストの若い騎士か」
そこで獣王様は合点がいったかのように小さく笑う。
「ハハハ。成程、そういう事か」
「そういう事です。ていうか、何でこんな所にいるんですか?」
僕が聞くと、獣王様は得意気にこう答えた。
「気晴らしに城下をぶらつくのは、儂の趣味だ」
「また大臣さん達にどやされますよ」
とんだ趣味だ、と思いながらオリガさん達の方を見る。すると、オリガさんの肩を抱こうとするも気恥ずかしいのか引っ込めてしまうリオンさんの姿が。
「情けねえなあ……。儂が若いころはもっと男がグイグイと……」
獣王様の言葉に僕が何か返そうとすると、その前にいきなり何かを蹴飛ばした音が辺りに響いた。
なんだなんだと思って音のした方を見ると、そこには数人のチンピラが屋台の商品を蹴飛ばしている姿が。
「……治安悪いなあ、この世界」
「こんなものでしょう?」
「こんなものだろ?」
「こんなものじゃろ?」
僕が思わず行った言葉に、律儀に返してくれる僕以外の3人。というかこんなものなの? おかしいのは僕か世界かどっちだ。
その間にリオンさんは走って止めに行っていた。流石騎士。
「止めろ!」
「何だテメエは?」
「その人を放せ! 1人に対してよってたかって、恥ずかしくは無いのか?」
リオンさんの毅然とした態度。それに対しスゥとアルマは
「かっこいいのう!」
「さっきまでヘタレていたとは思えませんね!」
絶賛していた。というか姉の恋人候補に厳しいなアルマ。
しかし僕らからは格好良く見えても、チンピラ達からすれば不愉快なだけである。
「この野郎……!」
チンピラの1人がナイフを取り出すと、仲間もそれに続いて同じくナイフを取り出す。流石にあれは危ないな。
「拙い!」
「行こう」
加勢を促す獣王様、それに僕も賛同し飛び出そうとするがここである事に気付く。
このまま行ったら、僕らが出歯亀してたってばれるんじゃ……。そうだ!
僕はアルマが買っていた物から仮面を2つ借り、僕と獣王様それぞれで付ける。僕はゼ○伝のキータンのお面みたいな黄色い狐のお面。獣王様は黒猫の仮面だ。いやアルマこれ何に使うの?
そして僕はコートを脱ぎ捨て、ナイフに振り上げているチンピラの腕を掴んで捻る。
「うっ!」
ナイフを落とすチンピラ。その光景を見ていた別のチンピラが後ろに下がりながら僕に叫ぶ。
「だ、誰だテメエは!?」
しかしそれに答える事は無く、獣王様が殴り飛ばした。
「こっちの若者も助太刀だ」
若くは無いだろ。
それはともかく、僕らはそのまま残りのチンピラを叩きのめした。
「ちょっとやりすぎましたかね?」
「いやあ、構わんだろう」
死屍累々のチンピラを見て思わず呟く僕だったが、この国の王様から許可を貰えたのでほっと一安心。
その様をリオンさんがまじまじと見ているので、さっさと退散したい。
「あの……、冬夜殿、ですよね?」
「えっ!?」
しかし気付かれてしまった。ばれない様にと思ってコート脱いだのに。
「その……、声が冬夜殿ですし……」
「しまった……」
そっかー、声かー。そこまで気が回らなかったなー。
「リオンさん、大丈夫でしたか!?」
ここでオリガさんがこっちに向かって走ってくる。
「獣王陛下!?」
そしてあっさり正体を見破る。そりゃ気づくよ、僕と違って見た目からしてキャラ濃いんだから。
「……アクセル」
「えっ!? ちょ、ずるっ!?」
獣王様はアクセルを唱えるとこの場から姿を消した。嘘でしょ僕置いてくの!? とか言ってる場合じゃない、僕もアクセルを……。
「ちょっとお話があるんですがねえ……!」
しかしその前にリオンさんが僕の肩を叩きながら震える声で僕を止める。そりゃ怒るよ普通、デートの出歯亀なんてされてたらさ。
でも元はと言えばそっちにも非があるんだよ、いつまでも年上の癖にラブコメめいた事ばっかやってるからさあ! 周りがいらない気を利かせる羽目になるんだよ!? という仮面を外してはっきり伝えてやる。
……冷静に考えるなら、逆切れだけど僕は知らない。
「大体リオンさんがはっきりしないのがいけないんです! オリガさんの事、本気で好きじゃないんですね!?」
「そ、そんな訳ないでしょう! 本気ですとも!!」
リオンさんが話に乗ってきた、よしこのまま流れで押し切れる。僕らの出歯亀を有耶無耶に出来る。ついでにはっきり伝えさせてやる。
「本気でお付き合いしたいんですよね?」
「勿論です!」
「……と、彼はこう申しておりますが?」
僕が後ろに指を指し、リオンさんが振り向くとそこには顔を赤らめるオリガさんの姿が。それが何を意味するかは、言う方が野暮という物だ。
「アクセル!」
この隙に僕はアクセルを使用し、一気にスゥの元へ駆け寄る。
「アルマ、結果は後日聞きに来るからこの場はよろしく!」
「え?」
それだけ言って僕は仮面を返し、コートを拾ってスゥを連れてこの場を脱出。
今日の所は、これ以上デートする場合じゃないだろうなあ。
ちなみに後日、僕が結果を聞きに来ると無事付き合えたとか。
良かった良かった。