【完結】紳士的な異世界はスマートフォンとともに。 作:味音ショユ
その後、レジーナ・バビロン博士が作り出したバビロンが魔法障壁で視認できない事が明かされたり。
9つの浮き島がある事が明かされたり。
他の浮き島とは、シェスカが他の姉妹とリンク出来ないので更新できない事が明かされた。
3行で終わっちゃったよ……。
「なんでまたダイジェスト?」
「ハーメルンの規約に引っ掛かっちゃって……」
「また!?」
「リンク……? それに、マスターってなんですか?」
ユミナが首を傾げてシェスカに尋ねる。リンクとかの言葉は通じないのか。そういや前にバブルとボムの意味をリンゼも知らなかったっけ。ある程度の日常会話での横文字は通じるのに、どうして専門用語的な物は世間に広まっていないのか。いやそもそもリンクもマスターもバブルもボムも、専門用語ではないよね!?
「リンクとは繋がり、連結という意味でス。マスターとは未来永劫に仕える主という意味でス」
「そんな重い意味だったのシェスカにとってのマスターって!?」
え、僕シェスカにそんな忠誠誓われてたの? パンチラ語っただけで!?
「冗談でス。本当はただの主という意味でス」
「ただの主ってワードも若干よく分からないな……」
「TDNは主だったの……?」
「やめてリーン」
変なタイミングで合いの手を入れないで欲しい。というかこのガイノイドやたらふざけてくる。これもレジーナ・バビロン博士のせいなんだろうか。
そういや、レジーナって女性名だよな……。レズなの?
「冬夜さんみたいな人でしょうか」
「ごめん、僕シェスカから連想できるレベルの変態と同じとは流石に思われたくない」
リンゼのいつも通りの辛辣な言葉も、今日に限っては本当に効く。というか僕はパンツ丸出しを強要するような奴だと思われてたのか……。見えるか見えないかの境目くらいが1番エロいのに。
いやでもリンゼはモロパンの下り知らないから一概に言えないな……。
「というか、主人ってどういう事よ?」
すると突然、エルゼが眉根を寄せて詰問してくる。あれ、なんか怖いよ?
「冬夜様に萎えるパンツを見せたお詫びとして、身も心も捧げる事にしました。故に私のご主人様、マスターでス」
「萎えるパンツって何!?」
エルゼのツッコミが庭園に響く。確かにそこだけ切り出すと意味不明だな。しょうがない、補足してあげようか。
「萎えるパンツは萎えるパンツさ。具体的には目の前に何の恥じらいも無く、目の前で見せつけられるパンモロだ」
「パンモロ見ての感想それ!?」
「その時のマスターの叫びに私は思わズ……。ポッ」
ポッ、じゃないよ。何一つ顔色変える事無く言われても戸惑うだけだから。
その会話を聞いていたエルゼは呆れたように僕に喋りかける。
「冬夜、あんたはもうちょっとデリカシーって物を覚えた方が良いんじゃない?」
「え、僕デリカシーバリバリあるでしょ」
「どこによ」
「そりゃもう見たままだよ」
「じゃあどこにも無いわよ」
「えぇ……」
嘘、僕デリカシー無いの? そこにリーンが追い打ちを仕掛けてくる。
「確かに、初対面の美少女の下着を見て萎える宣言はデリカシーが足りないわね」
「じゃあどうすりゃ良かったのさ?」
「な、なんて恰好してるのよ馬鹿っ! は、早く下に何か着なさいよ!! ――みたいな?」
「そんな初心な僕見たい?」
「欠片も見たくないわね」
「……私も、正直そんな冬夜さんはちょっと嫌です」
リーンとユミナが初心な僕は見たくないと言ってくれた。
しかしエルゼは「いやそうかもしれないけど、でも……」などとブツブツ言いながらも納得してないらしい。
するとリーンが僕に耳打ちしてきた。
「何で怒っているのか分からないって顔ね?」
「……まあね」
「大した事は無いわ。エルゼは冬夜が下着に萎えるとか言うから、いざとなったら反応してもらえないんじゃないかって心配――」
「ちょ、ちょちょちょっとちょっと待ちなさい!」
何かを言いかけていたリーンをエルゼは慌ててせき止める。その表情はまるでトマトの様に真っ赤だ。でも聞いている限り僕が言うべき言葉は分かった。
「心配しなくてもいいよエルゼ。シェスカならともかく、エルゼの下着姿なら僕も萎えるなんて言わないよ、むしろ興――」
僕の言葉は、エルゼに殴り飛ばされた事により最後まで紡ぐ事は出来なかった。というか痛い。
そして地面に倒れ伏した僕を見て、今までの流れを見ていた八重が一言。
「やっぱり冬夜殿はデリカシー無いでござるよ」
「うん、そうかも」
確かに本人に向かって興奮する発言は無いな。
「まあ、それはともかく。通信を阻害している障壁のレベルを下げるには、マスターである冬夜の命令が必要。でも冬夜はここ、空中庭園のマスターでしかない。向こうが何かの弾みで下げでもしない限り、他の施設は見つからないって事ね」
「おっしゃる通りでス」
話を戻すようにリーンが発した言葉に、シェスカが答えた。
マップアプリでバビロンと検索して見たけど、ヒットしなかった。今いる庭園ですらヒットしないって事は、阻害されてるだろう。
「それだけ長い間漂流しているなら、他の方達に遭遇した事は無かったのですか?」
「2度ばかりありまス。3028年前と985年前に。1度目の遭遇は図書館で、2度目の遭遇は蔵でした」
どうやらユミナの指摘通り、何回か遭遇はした事があるようだ。でも千年単位だからそれを当てにするのは無理だろうな。
「結局、他のバビロンを見つけるにはそれぞれの転送陣を探すしかないのね」
「え、探すの?」
溜息をつきながら呟くリーンに思わず反応する僕。正直気乗りがしない。
「探すわよ当然。古代のロマンが詰まっているのよ?」
「正直僕はもう、レジーナ・バビロン博士っていう人間に不安しか覚えてないんだけど」
「そう……(無関心)」
「え、スルー?」
「ちなみに他の所へ転送する魔法陣は何処にあるか分かる?」
「分かりませン。そもそもマスター達がどこカラやって来たのかも知りませんのデ。ちなみにこノ庭園への魔法陣は何処に?」
「イーシェンの南、海の中だよ」
「イーシェン……? 記憶にない土地の名でス」
そりゃ5000年も前だからなあ。イーシェンが建国自体されてないだろう。
どのみちシェスカは他の魔方陣を知らないみたいだ。これ探すの無理じゃない?
今回は海の中ってだけだったけど、他のが残ってる保証すら無い。遺跡という形で残されていれば可能性はあるかもしれないけど。
「そもそも何でこんな形に分散してのでござろうな…。世界中に散らばっているとすれば、1つに集めるのは不可能に近いのでは……」
「なぜ博士がバビロンを分割したのかは分かりませン。嫌がらせではないと思いまスが、多分」
多分て。そこは嘘でもいいから何らかの理由があったのでしょうとか言ってよ。
博士の人物像がもはや予測不能になってきた。どんな女なんだ。
「それで冬夜、この子どうするの?」
「どうするって……」
正直置いていきたい。けど5000年ここで1人ぼっちだった女の子を放っておくものなあ……。
「シェスカはどうしたい?」
「私はマスターの傍にいたいと思いまス。おはよウからおやすみまデ。お風呂からベッドの中まデ」
「それストーカーって言うんだよ」
いくらなんでも御免被るよそんな生活。1人の時間をよこせ。お、そうだ(唐突)
「いやほら……、あれだ。この空中庭園から離れるのは拙いんじゃない? 管理人が不在じゃ何かあったら困るし」
「ご心配なク。空中庭園に何かあったラすぐ分かりますシ、私には庭園へと転送能力があります。庭園の管理はオートで十分ですカラ、何も問題はありません」
「いいよもう、一緒に来なよ」
諦めの境地に経った僕は引き取ることを選ぶ。何この無駄な周到さ。
「つきまシては空中庭園へのマスター登録を済ませテ頂きタク。私は既にマスターの物ですが、庭園もマスターの物とシなければなりません」
「登録? どうするのさ?」
「ちょっと失礼しまスね」
そう言ってシェスカは、実は今まで寝転びっぱなしだった僕の頭を両手を添える。そして、なんてことのない様にそのまま唇を合わせてきた。
「ふむッ!!??」
「「うわぁ……」」
「「ああぁああ――――――――ッ!!!!」」
デュオでそれぞれドン引きの声と叫び声が聞こえる。が、そんな事はおかまいなしに、にゅるんとシェスカの舌が僕の口内に侵入してきた。
ワッツ!? 何故!? 何で僕キスされてるの!? ファーストキスなんですけど!?
僕のファーストを奪った当人は、なにか味見でもするように唇を舌で舐め、目を閉じている。
「登録完了。マスターの遺伝子を記憶しまシた。これより空中庭園の所有者は、私のマスターである望月冬夜に移譲されまス」
「ちょっと何してるんですかぁ!!」
ユミナがシェスカに迫り寄る。小さな腕を振り上げて、全身で怒りを表していた。あ、ちょっと可愛い。
「いきなりキスするとかどういうつもりですか!? 私がまだなのに、私はまだしたことないのに!!」
そこかよ。後何で2回言ったの。顔を真っ赤にして、明らかに怒っていた。いやさっきから怒りはアピールしてるけど。
「遺伝子採取に1番効率が良いと思いましたのデ。私に子供はできませンが、そちらの方法は色々と問題がありそうでシたカラ」
「子供ができないなら問題ありませんよ!!」
「いや問題はあるでしょ!?」
ユミナの暴走発言にエルゼのツッコミが入る。意外とパニクってるなあ、ユミナ。エルゼの静止を受けたユミナは1回深呼吸をし、僕に向き直ってこう言った。
「冬夜さん。ちょっと作戦会議をしてきますのでここで待っていて下さい!」
それだけ言ってユミナはエルゼの手を引き走り去ってしまった。それにリンゼと八重も続く。
「リーンは行かないの?」
「行ってもいいけど……。でも別にキスでギャーギャー言う程子供でもないしねえ」
「成程。つまり自分はラブコメを微笑ましく見るおばさんだト」
「やっぱり向こう行くわ」
シェスカは言葉巧み、でもないけどともかくリーンをわざわざ向こうへ追いやった。
「何でわざわざ……」
「いえ、実はレジーナ・バビロン博士からマスター宛てにメッセージを受け取っていタのを思い出しましテ」
「それ、今聞かなきゃダメ? というかそれリーン追い出す理由になる?」
「時間つぶしとデモ思って下さイ」
僕の諸々の発言を無視してシェスカは左の手首を開き、なにかコネクタの様な物が付いたケーブルを引き出した。
「なんというか、初めてシェスカの機械っぽい所見た気がする」
「厳密には私は機械でハありませン。あえて言うなラ、魔法生命体と機械の融合体でス」
知らないよ。