「準備できたか?」
ハロスは自分の装備を整えてからアイズにそう声をかける。
正座&朝食抜きという(ハロスにとって)恐ろしい罰を乗り越えた2人はフィン達からの命令通り43階層に向かう支度をしていた。
「....うん。出来た。」
アイズは自分の装備が完了した事を告げる。
装備はいつも通り、武器は相変わらずデスペレート。
そしてハロスのほうを向いたアイズはハロスの装備を見る。
ハロスの装備は心臓を守るための胸当て。
手首を守る為の子手当て。
そして武器は背中に背負う大剣 クレイモア。
ハロスの背丈はアイズより少し高い程度だ。
なのでクレイモアは大きすぎると思えるがハロスのレベルからしたらいらない心配だろう。
「よし。じゃあ行く「あーっ。ハロスとアイズ!」」
ハロスは互いの装備が整えた事を確認してダンジョンに向かおうと声をかけようとしたが、それは突然の声に遮られた。
「2人してどこ行くのー?武器まで持っちゃって!」
天真爛漫に声を掛けてきたのはティオナだ。
同じ派閥幹部。
アマゾネス姉妹の妹。
アイズの無二の親友。
太陽の様な眩しい笑顔の似合うティオナだ。
アイズは急に声を掛けてきたティオナに少し驚き、
そして
「....」
正直に言うか迷った。
言えばティオナは必ず付いてくる事が分かっているからだ。
それは悪い事じゃない。
むしろ連れて行きたい。
だって.....。
でも....と逡巡してる。
そんなアイズを他所に
「今朝の騒動見てただろ?
その罰として43階層に行く事になったんだよ」
ハロスは正直に伝える。
なぜか?
「えーーー。いいなー!私も行きたーい!」
こうなる事をハロスも分かっていたからだ。
「よし!分かった。一緒に行くか。」
ハロスは許可する。当たり前だ。
だが、
「....ハロス?ファン達にバレたら怒られるよ?
これは私達に与えられた罰。」
アイズは許さない。
責任感は強いほうなのだ。
だから私は必死に我慢したのに。と目で訴える。
「大丈夫だよ。
階層は指定されたが人数は指定されなかっただろ?
それにいくら俺とアイズでも2人だけじゃしんどいぞ?」
しかし、ハロスはそれなりに納得出来る理由を述べてくる。
「....」
アイズは無言になり、
ハロスとティオナの顔を交互に見る。
俺正論述べてない?みたいな顔してるハロス。
ニコニコな笑顔のティオナ。
「....。分かった。
ティオナお願い。」
アイズは少し迷ったがハロスの言い分に納得してティオナに同行する事を頼んだ。責任感から否定していただけで、別にアイズは最初からティオナの同行を否定していたわけではないのだ。
「うん!じゃあ行こー!!!」
そう言ってアイズの手を引き歩き出すティオナ。
まるでそうなる事が分かっていたかの様に。
その姿を眺めていたハロス。
そしてふと振り向いたティオナと目が合う。
「....」
「....」
そして
「「パチッ」」
互いに一つウィンクをする。
....実はハロスが罰を受けて多少落ち込んでいたアイズを元気づける為にティオナにこっそり頼んでいたのだ。
事前に言わずに演技したのは 単なるハロスとティオナの趣味である。笑
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10階層。
「見てみてー!この
「....うん。可愛い。」
そう言いながら
それを何ともいえない表情で見るハロス。
そんな光景を三度繰り返しながら階層を進んでいく3人。
そして、18階層。
場所は
冒険者達の楽園。
ティオナはこの場所が好きだ。
ダンジョンの中で楽園と言われる魅力がここにはある。
そして何よりここの川でする水浴びが堪らなく気持ちがいいのだ。
「アイズー。一緒に水浴びしてこよー??」
ティオナはアイズを水浴びに誘う。
休憩休憩♪
水浴び水浴び♪
ティオナの頭はいまそれでいっぱいだ。
誘われたアイズはソワソワしながら
「........チラッ」
とハロスを見る。
その視線に気付き、ハロスは別に構わないと意思を込めて頷いた。
「....分かった。いこう。」
アイズはティオナを見ながらいく旨を伝えた。
実はアイズもここでの水浴びが好きなのだ。
なら何故すぐ行こうと思わなかったのか?
それは単に気を遣ったにすぎない。
それくらいは出来る子なのだ。
「ハロスー!行ってくるねー!!」
ティオナがそう言葉を残し、
アイズを連れて穴場の方へと向かって行った。
ここに何度も訪れてるティオナ曰く 【秘境】なのだそうだ。
1人残されたハロスは
「........」
少し考え、
そして、
「寝るか。」
眠りについた。
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ハロスがもう夢の中にいる頃。
ティオナ達も水浴びをはじめていた。
「んーー!!!」
ティオナは大きく大きく伸びをする。
下半身を水に浸けながら天真爛漫に。
元気よく。
元々羞恥心があまりないアマゾネスであるティオナだが、ここでの開放感はまた特別らしい。
その姿をアイズはじーーと眺めていた。
「アイズ?どうしたの?」
そんなアイズの視線に気付いたティオナがアイズに尋ねる。
「....その癖。ハロスにそっくり。」
アイズは思った事を素直に呟いた。
言われたティオナは
一瞬キョトンとした後、
「....はははっ!」
笑みをこぼした。
「気付かなかったー!
あたし、ハロスの影響受けちゃってるんだねー。」
アイズが言ったのは、ハロスの癖である伸びの事だ。
伸びなど誰でもするだろう。
気持ちがいい所にいるのならそれこそだ。
だがそう言うわけではない。
厳密に言うのなら伸びだけではない。
ハロスは伸びの後、数秒両手を広げ天を仰ぐのだ。
まるで誰かと会話してるかのように。
そしてさっきのティオナも同じ事をしていた。
だからアイズはそう素直に思ったのだ。
ハロスに似ていると。
そんな事考えているアイズを他所に
ティオナは続けて
「いつも、近くで見てるからね。」
そう一言アイズに伝えたのだ。
少し頬を染めながら。
ティオナ ヒリュテ。
アイズと同じ派閥幹部。
アマゾネス姉妹の妹。
アイズの無二の親友。
太陽の様な眩しい笑顔の似合う少女。
そして、
ハロス・アークツルスにとってただ1人 特別な人。