Yanky in the 雛見沢!   作:ReA-che 名義

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古出梨花は困惑する

「リカちゃん…だっけ?

学校着いたよ?」

 

「……」

 

ヘルメット越しに向けられる優しい眼と声に

少女、古出梨花はバイクのタンデムシートから降り、自身に貸し与えられたヘルメットを脱ぎつつ

自身の学校【雛見沢分校】まで送ってくれた運転手を見ながら想う

 

____なんなのだこの男は____……と

 

 

 

 

「ち、遅刻なのです~!!」

 

数分前

古出梨花は寝坊して布団から飛び上がる

 

(もう!なんで沙都子も羽入も起こしてくれないのよ……)

 

自身と同棲してる友人沙都子と神である羽入に悪態をつきながらも通学路を急ぎ

十字路をろくに確認しないで飛び出た

 

そんなときだ

 

 

カァアアアアンッ!!

 

「…へ?」

 

聞きなれないバイクの音が聞こえ

更にそれがすぐ近くまで迫ってることに気づく

 

(や、ヤバッ!?)

 

慌てて横を向くと

既にターンの体勢に入ったバイクの姿が映り

ギリギリぶつからずバイクは停車する

 

(あ、危なかったぁ~……)

 

ほっ、と梨花は深い息を吐く

 

「おぉ~…飛び出したら危ないよ嬢ちゃん」

 

その声にはっ、となって振り向けば自身を避けたバイクの運転手…

声からして少年だろうか

 

(……こんな人、うちの村にいたかしら?)

 

そう思って首を傾げそうになったが

運が悪く衝突してれば彼は自分のために一生を棒に振っていただろう

 

(死ぬこと事態は慣れてるから良いけど…それで関係ない人を巻き込むのはね……)

 

そう思った梨花は素直に謝罪する

 

「み~☆ごめんなさいなのです……」

 

さて、問題は向こうがどう出るかだが

 

「いや、こっちは大丈夫だから良いけど

大丈夫か?かなり急いでたっぽいけど……」

 

「…はっ!」

 

少年の言葉にそれ所ではなかったと思いつつ

少年に聞かれた内容に対し簡素に答える

 

「じ、実は学校に遅刻しそうだったのです」

 

内心早く終わってくれないかなぁと思いつつ話をすると

 

「なるほどね…この村の学校ってことは……ちっちゃい分校だべ?

送ってこうか」

 

少年の言葉は急いでいた梨花にとってまさに地獄に垂れ流された蜘蛛の糸のように感じた

普段なら警戒して絶対に乗らないところだが

今は一分一秒を争う

 

「お、お願いするのですよ」

 

少し戸惑いながら梨花は少年のバイクの後部に股がる

しかしそれを酷く後悔するのは直ぐ後の話

 

 

 

 

 

 

カァアアアアアンッ!!

 

分校までの畑道をレインボータンクのKHが土煙を巻き上げながら疾走する

 

(ひぃいいい…っ!?)

 

梨花の現状は涙目になりながら少年の背中にしがみつく事で精一杯だ

 

(無理無理無理無理無理無理無理無理…ッ!!)

 

少年の背中に隠れて見えないが

とっくに100㎞を振り切ったであろう車体は矢のように進んでいき

空気の壁が物凄い暴風となって梨花に襲いかかった

 

……せめてもの救いは、少年が自身のヘルメットを貸してくれたおかげで

頭部に受ける風圧が大したものじゃ無いことのみ

 

それを除けば恐怖でしかなく

 

今だって……

 

 

ズルズル…ッ

 

コーナー1つ抜ける度

後輪が滑り始める

 

(イヤァアアアアッ!!?)

 

声にならない悲鳴が梨花の脳裏を埋め尽くした

 

 

そしてそんな地獄のような時間が約1分

たかが1分、されど1分だ

 

この僅かな時間で梨花は自身の死に匹敵するほどの恐ろしい経験をした

 

「あ、ありがとうなのですよ~」

 

そして冒頭部に戻り

梨花は極めて落ち着きを保たせてそう言うと

少年にヘルメットを返した

 

(し、死ぬかと思ったけど

学校は余裕で間に合った見たいね……)

 

校庭には通学中の他の子供たちが目に入り

梨花は胸を撫で下ろす

 

「じゃあ…そろそろ俺が学校の時間ヤバイから……もう行くわ」

 

梨花にそう言って少年は一度止めたエンジンを掛け直す

 

カァオッ!!

 

「助かったのですよ~…えっと」

 

「ナオキ、内田ナオキだ」

 

少年はそれだけ言って

アクセルターンで車体を半回転させると勢いよく走り去っていった

 

 

(…ナオキ…内田ナオキ……?

見たことも聞いたこともない存在……生き死にを繰り返して百年

こんな所でイレギュラーが追加されるなんてね……)

 

 

そう考えながら教室へ向かった

 

 

 

 

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