ストライクウィッチーズ 扶桑の兄妹 改訂版   作:u-ya

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大層なサブタイトルですが、中身はくだらないです。


第20話「暴かれた秘密と大いなる誤解」

夕刻の食堂にはミーナと坂本以外のメンバーが集まっていた。もちろん、ハルトマンの悪巧みによって顔を大きく腫らした優人と、彼を本気で……しかも魔法力を使って殴ってしまったバルクホルンの姿もある。

 

「本当にすまない!!」

 

優人を殴った右拳を左手で抑えながら勢い良く頭を下げるバルクホルン。彼女らしい何の飾りもない真っ直ぐな謝罪だが、やや愚直な感じ気もする。

 

「いや、わかってくれれば良いから!」

 

と優人。芳佳の治癒魔法を受けながらグッタリと椅子に腰掛け、天井を仰いでいる。バルクホルンの拳がまだ効いているようだ。

 

「はい、終わったよお兄ちゃん」

 

芳佳の治療が終わり、優人は手で顔に触れる。腫れは完全に引き、痛みや痺れも残っていない。

 

「ありがとう芳佳。すっかり治癒魔法をマスターしたな」

 

「ううん、まだまだだよ」

 

ニッとはにかみながら自分を誉める優人に芳佳は嬉しさと照れ臭さの入り混じった笑顔で返した。

 

「まったくトゥルーデってたら……暴力的なんだから」

 

頭の後ろで腕を組みながら他人事のように言うハルトマン。バルクホルンから鉄拳制裁を受け、彼女の頭には鏡餅のような三段重ねのタンコブができていた。

 

「ハルトマン!元はといえばお前が!」

 

自身が元凶であるにも関わらず呑気なハルトマンにバルクホルンは思わず声を荒げた。

 

「そもそも!あんな裸同然の格好で異性のベッドに入るなど、非常識極まりないぞ!嘆かわしい!」

 

「またまたお堅いことを」

 

「お堅い!?これはカールスラント軍人として、というか人としてごく当たり前の考えだ!」

 

「そんなこと言って、本当はトゥルーデも優人に添い寝したかったんじゃないの?」

 

「な、なななななななな!?何を言っているんだ貴様は!?」

 

ハルトマンの言葉に顔を真っ赤にして、分かりやすく動揺するバルクホルン。彼女を尻目にハルトマンは優人へ向き直った。

 

「優人はどう?トゥルーデと一緒のベッドで寝たい?」

 

「え?えーっと……」

 

言葉を濁す優人。バルクホルンほどではないが、顔に赤みが差していた。

 

「もしかしてシャーリーやリーネとが良い?優人は胸が大きい方が好きだし」

 

「ええぇ!?」

 

自身の胸をニヤケながら見るハルトマンの言葉でリーネもバルクホルン並に真っ赤になる。一方のシャーリーは恥ずかしがる様子もなく、豪快に笑っている。

 

「あっははははは!なんだ優人?それならそうと言ってくれれば良いのに……」

 

シャーリーにそう言うと椅子から立ち上がり、優人に向かって両手を広げた。

 

「ほら、あたしの胸に飛び込んでおいで」

 

「いやいやいや!俺はそんなつもりは!」

 

優人は頭を振りながら2、3歩ほど後退る。シャーリーは逃がさない、と言わんばかりに優人と同じ歩数だけ彼に近付いた。

 

「そんな遠慮すんなよ」

 

「ダメ!シャーリーのはあたしのなの!」

 

とルッキーニが優人とシャーリーの間に入り、両手を左右に伸ばして通せんぼする。シャーリーの胸は事実上ルッキーニの特等席のようなもの。とられたくないルッキーニは涙目で優人を睨んだ。

 

「大丈夫だよルッキーニ。シャーリーをとったりしないから」

 

優人はルッキーニを安心させるように微笑みかけた。

 

「うじゅぅ……絶対だよ」

 

ルッキーニは優人に念を押すと甘えるようにシャーリーの胸に顔を埋めた。シャーリーはそれを受け入れ、ルッキーニの頭を優しく撫でてやる。

 

(助かったか……)

 

ルッキーニの介入でシャーリーの身体を使った誘惑(正確にはただのからかい)を回避することが出来た優人はホッと胸を撫で下ろした。

 

(お兄ちゃん、リーネちゃんやシャーリーさんみたいな大きい子が好きなのかな?……)

 

芳佳は自分の胸に視線を落とし、手で触ってみる。ルッキーニに残念賞と言われた501入隊日から既に4ヶ月。坂本の特訓により魔法力のコントロールは良くなってきているが、胸の成長度はほぼゼロ。寄せて上げる、という芸当も出来ない。芳佳は二人との明らかな胸部格差に溜め息を吐いた。

 

「芳佳?」

 

「えっ?あっ……何?」

 

落ち込んでいた芳佳は優人に声を掛けられてハッと顔を上げる。

 

「座ったら?」

 

優人は隣の椅子を引いて芳佳に座るよう勧める。

 

「そ、そうだね……よいしょっと」

 

「……芳佳」

 

「何?」

 

「そこは俺の膝」

 

「えっ?ああ!ご、ごめん!」

 

優人に指摘され芳佳は慌てて尻を椅子へ移動させる。

 

「大丈夫か?体調でも悪いなら――」

 

「大丈夫!大丈夫だから!」

 

両手を顔の前で振りながら言う芳佳。椅子と間違えて兄の膝に座り、そのことを言われるまで気付かなかったという自分でも信じられないような間違いをしてしまい、恥ずかしくて顔から火が出そうだった。

 

「おっ?お兄ちゃんに甘えたかったのか?」

 

「芳佳ってば可愛い~!」

 

一部始終を見逃さなかったシャーリーとルッキーニが芳佳を見てニヤニヤと笑みを浮かべている。

 

「ち、違いますよ!ちょっと考えごとしてて……」

 

「考えごとってなあに?」

 

「えっ、えーっと」

 

リーネに訊ねられるも胸について悩んでいたとは言えず、芳佳は口ごもった。

 

「あらあら、考えるということを知らない豆狸さんが悩むだなんて!」

 

口に手を当てて、わざとらしく驚くペリーヌ。

 

「明日は槍でも降るのかしら?」

 

「ひどーい!て言うか誰が豆狸ですか!?誰が!?」

 

カチン、ときた芳佳は抗議するもリーネ、バルクホルン、サーニャ以外のウィッチ全員が一斉に芳佳を指差した。

 

「お兄ちゃん、みんながいじめるよ~」

 

「よしよし、元気だしな」

 

膨れっ面の芳佳を優人が慰める。無論、ウィッチ達は芳佳をいじめているわけでない。むしろ可愛がっており、先程のからかいもその一環だ。

 

「それにしても……」

 

優人が食堂内を見回した。

 

「なんだが、いつもより暗いな」

 

「暗い環境に目を合わせる訓練だって、坂本少佐が」

 

疑問を口にした優人にリーネが答える。普段ならば、夕食時に食堂内の電気が点けられるのだが、今日は蝋燭のみである。

 

「その坂本とミーナは?」

 

「二人は資料室だ。過去に出現したネウロイのことを洗い直すつもりらしい」

 

今度はバルクホルンが答えた。

 

「なるほどな」

 

納得する優人。昨晩、ミーティングルームでは何も言わなかったが、ミーナはサーニャにしか見つけられなかったネウロイのことが気になっている様子だった。

 

「これは?」

 

と芳佳。テーブルの上に置かれたティーカップには琥珀色の見慣れないお茶がいつの間にか注がれていた。

 

「マリーゴールドのハーブティですわ!これも目の働きを良くすると言われていますのよ」

 

髪をかきあげながら得意気に言うペリーヌ。このマリーゴールドはペリーヌが基地内の花壇で育てたものである。心なしか、彼女をスポットライトが照らしているように見える。

 

「あれ?それって民間伝承じゃ?」

 

「失敬な!これはおばあ様のおばあ様のそのまたおばあ様から伝わるものでしてよ!!」

 

リーネに迷信と否定されそうになり、ペリーヌは憤慨する。

 

「う、ごめんなさい」

 

ガルルと犬のような唸り声を上げながら睨むペリーヌに身を縮ませるリーネ。

 

「山椒みたいな匂いだね?」

 

「サンショ?」

 

ハーブティを飲んで、芳佳は実家の診療所で漢方として使用していた山椒を思い出す。リーネには何のことかわかないようだ。

 

「芳佳、リーネ!もっかいべ~して。べ~」

 

またもやひょこっと顔を出したルッキーニが二人にせがんだ。

 

「「べ~」」

 

言われた通り舌を出す二人。ブルーベリーの時のように変色はしていない。ルッキーニは眉をヒクヒクさせた後、騒ぎ出した。

 

「つまんな~い!」

 

「…………」

 

ルッキーニの叫び声を聞いたペリーヌは居心地の悪そうなに顔を伏せる。

 

「どっちらけ~」

 

さらにエイラからのとどめの一言。

 

「べ、別にウケを狙った訳ではなくってよ!」

 

エイラを睨みつけ、抗議するペリーヌ。

 

「……まずい」

 

サーニャが呟く。ペリーヌが親切心で出したハーブティには低評価が下されてしまった。

 

「つまんない!ないないないない!つまんない!」

 

「ルッキーニ、そんなこと言ったってしょうがないだろ?」

 

「だって~!」

 

尚も騒ぎ続けるルッキーニをシャーリーがを宥めようとするも収まらない。

 

「ほらほらルッキーニ、シャーリーを困らせちゃ駄目だぞ?」

 

見かねたハルトマンがルッキーニに声を掛ける。自分のことを棚に上げる彼女に優人とバルクホルンは正直どの口が言うんだ、と突っ込みたくなった。

 

「良いもの上げるから落ち着きなよ」

 

「良いもの!?なになになに!美味しいお菓子?」

 

ルッキーニが興奮気味に訊ねる。

 

「もっと良いものだよ、じゃじゃ~ん!」

 

ハルトマンが数冊の雑誌を取り出し、天井に向かって掲げる。

 

「ふぇええ!?」

 

「ひっ!?」

 

「なっ!?」

 

リーネ、ペリーヌ、バルクホルンは雑誌を見るなり顔を赤くした。特にリーネはネウロイのビーム発射口並に真っ赤だった。

ハルトマンが見せたのはグラマラスな体型の水着美女が表紙を飾っているグラビアのプリン本。扶桑、ブリタニア、カールスラント、ロマーニャ、リベリオンの各国で出版されている雑誌が一冊ずつ、計五冊だ。

 

「うわぁ~!おっぱいがいっぱいだぁ~!」

 

ルッキーニは自分好みのたわわな果実に目を輝かせるとロマーニャの雑誌を手に取った。

 

「そ、それは……」

 

青ざめる優人。これらのグラビア雑誌は優人がこっそり購入し、自室に隠していた彼の私物。

大型の封筒に入れ、床板の裏にテープで留めていたため意識して探さない限りは見つからないはずだが、妙なところで鋭いハルトマンの嗅覚は誤魔化せなかったようだ。

優人は就寝中に部屋に鍵をかけて置かなかったことを後悔しつつ、頭の中で新たな隠し場所を思案し始めていた。

 

「優人の部屋を物色してたら見つけたんだ!」

 

とドヤ顔で言うハルトマン。彼女は『黒い悪魔』というアダ名を持っているが、優人にとって今のハルトマンは悪魔そのものだ。

 

「エイラ、前が見えないわ。どうかしたの?」

 

「さ、サーニャにはまだ早いんダナ!」

 

「早い?……って、何のこと?」

 

少し離れた場所からエイラがサーニャの両目を手で塞いでいる。固有魔法『未来予知』でハルトマンがグラビア雑誌を出すことを予知したらしく、エイラの動きはかなり俊敏だった。

 

「ほぉ~……これは中々大胆な水着だな」

 

シャーリーが顎に右手の人差し指と親指を当て、ニヤつきながら母国リベリオン合衆国のグラビア雑誌をマジマジと見る。掲載された写真にはサイズがやや小さめのセパレーツを着た女性が映っていた。

 

「我が祖国の物まで!優人!お前は軍の基地にこんないかがわしい雑誌を!」

 

バルクホルンのもとにはカールスラントの雑誌が渡っていた。狼狽えながらも優人を睨むが、その表情には威厳や気迫というものがまったく感じられないない。

バルクホルンに続き、震える手でブリタニアの雑誌を握り締めていたペリーヌも優人に向かって吠える。

 

「こ、こんな破廉恥な物を!?大尉!貴方を見損ないましたわ!リーネさん、貴女も何か言って差し上げなさい!」

 

「えっ……えっちなのは良くないと思いますけど、優人さんも年頃の男の子ですし。これくらいは普通……なのかな?」

 

これ以上ないほど赤面しながらも、バルクホルンやペリーヌに比べて柔軟な考えを示すリーネ。

彼女は8人兄弟の真ん中、弟相手に似たようなことがあったのかもしれない。

 

「ふむふむ、なるほどね」

 

すべての雑誌を見終えたハルトマンは一つの推測を述べた。

 

「どうやら優人は胸がデカくて長いブロンドの髪をした女がタイプみたいだねぇ」

 

扶桑以外の四か国の雑誌はグラマラスボディと美しく長い金髪を持った女性がメインだった。

ペリーヌとリーネは互いの顔を見合わせる。リーネは胸が大きく、ペリーヌは長いブロンドの髪である。

 

「もう勘弁して……」

 

公開処刑同然の状況下、頭を抱えて踞る優人。自室に侵入され、顔面にストレートを喰らい、さらには他人に知られたくない秘密を暴かれた。

彼にとって今日は厄日であり、忘れられない日となるだろう。

 

「……お兄ちゃん」

 

今まで黙っていた芳佳に声を掛けられ、優人は恐る恐る頭を上げる。

 

「私!頑張るから!」

 

(……何を?)

 

とは訊けない優人であった。

 

(アイツもおっぱいが好きなのカ?)

 

心の中でそう呟くエイラ。ミーナの命令とは言え、男である優人がサーニャと一緒に飛ぶことを良く思っていなかった。しかし趣味の方向性に似たものを感じ、若干の親近感を抱き始めていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

しばらくして。優人、芳佳、サーニャの三人は誘導灯の点いた滑走路の前に立っていた。もう一人の夜間専従班メンバーであるエイラは基地待機だ。

夕食時のことが尾を引いているのか、優人は少し疲れているようにも見える。

 

「ふ、震えが止まんないよ」

 

「どうして?」

 

何やら怯えた様子の芳佳。彼女の顔を覗き込みながらサーニャは不思議そうに首を傾げた。

 

「夜の空がこんなにて怖いなんて思わなかった」

 

芳佳はカタカタと小刻みに震えながら目の前に広がる漆黒の闇を見つめる。暗すぎてどこが空でどこが海かもわからない。一歩足を踏み出せば暗闇の中に吸い込まれそうだ。

 

「初めての夜間飛行ならそうなるよな」

 

優人が芳佳に共感を示す。彼も新人時代に夜間飛行を経験しているが、初めての夜空はとても怖かった。

 

「無理ならやめる?」

 

サーニャが芳佳を気遣う。芳佳は順に優人とサーニャの顔を見た。

 

「て……て、手つないでもいい?お兄ちゃんとサーニャちゃんが手を繋いでくれたら、きっと大丈夫だから」

 

(っ!?……可愛い)

 

小動物のように震えながら自分に助けを求める芳佳にドキッとする優人。サーニャの方も頭の魔導針が緑色からピンク色に変わっている。心なしか使い魔の尻尾も嬉しそうに揺れているように見えた。

サーニャが自身の左手と芳佳の右手を繋ぐと優人も芳佳の左手に自分の右手を繋いだ。

 

(小さいな……)

 

優人は自分のに比べて小さい芳佳の手を握る。彼の口許から笑みが零れた。

 

「じゃあ、行こうか」

 

「はい」

 

優人の言葉に小さく頷くサーニャ。二人はストライカーユニットのプロペラを回転させる。

 

「えっ?ちょ、ちょっと!?心の準備が!あ、あう、ああぁ!うわぁ!」

 

芳佳の準備ができないまま、二人は滑走して離陸してしまう。優人とサーニャに手を引かれて飛ぶ芳佳の姿はまるで二人に拐われているかのようだった。やがて三人は視界の悪い雲の中を飛び始める。

 

「手、離しちゃ駄目だよ!絶対離さないでね!」

 

「芳佳、ちょっと怯えすぎ」

 

何度も念を押す芳佳。優人は妹のあまりの怯えっぷりに呆れたように言う。

 

「もう少し我慢して。雲の上に出るから」

 

と芳佳を励ますサーニャ。雲の上まで来ると、そこは満天の夜空だった。芳佳はその景色を見て目を輝かせた。

 

「すごいなぁ!私一人じゃ絶対こんなところへ来れな、かったよ! ありがとうお兄ちゃん!サーニャちゃん!」

 

「どういたしまして」

 

はしゃぐ芳佳の姿を見て笑みを零す優人。

 

「いいえ、任務だから」

 

サーニャは無表情ままだが、やはりどこか嬉しそうだった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

同時刻、501基地宿舎。薄暗い廊下を少々お冠な様子のバルクホルンが歩いていた。

 

「まったく、優人のやつは!」

 

夕食時のことを思い出して唸るように呟く。

 

「年頃の男子なら仕方ないかもしれないが……いやいや!最前線であんな物を読むなどと!許さん!断じて許さん!」

 

かなり大きめの独り言を漏らすバルクホルン。堅物で尚且つウブなところのある彼女の脳裏にはグラビア雑誌に掲載されていた刺激的な写真が焼き付いて離れない。

 

「……男は女のああいう仕草に弱いのか?」

 

月明かりの射し込む窓の前まで来たバルクホルンはそう呟きながら夜空を見上げた。

 

「……確か、雑誌の女性はこんな感じだったか?」

 

何を思ったのか身体を少しだけ前に傾け、さらに片腕で胸を見せつけるように持ち上げると、目の前に相手がいるつもりで上目遣いになる。

 

「わ、私と一緒に浜辺を散歩してみな~い?」

 

と空いてる方の手で投げキッスをしながら雑誌に書かれていたグラビアモデルの台詞を言ってみた。

台詞は歯切れが悪く色っぽさもないが、セクシーポーズはある程度再現出来ていた。

 

「……ないな」

 

魔が差して思わずやってしまったが、やはり自分はこんなことをするキャラではない。そもそも規律を重んじるカールスラント軍人のやることではない、そう思ったバルクホルンは姿勢を直立に戻した。

 

バサッ!

 

「ん?」

 

背後から書類が落ちるような音が聞こえ、振り返るバルクホルン。そこには驚きのあまり目を見開き、両手で口許を抑えているミーナがいた。

 

「み、ミーナ!」

 

狼狽えるバルクホルン。ミーナの表情からして、一部始終を見ていたのは明らかだ。

 

「と、トゥルーデ。貴女過労?疲れが溜まってるの?」

 

「あ、いやミーナ。これはだな――」

 

「そ、そうよね!貴女だってウィッチである前にひとりの女の子だもの……毎日、軍務軍務じゃ息が詰まるわよね」

 

そう言って床に落とした書類を拾うミーナ。彼女は明らかに誤解している。

 

「ミーナ、話を――」

 

「近いうちにまた休暇を取って出掛けてみたらどうかしら?ロンドンにリーネさんお勧めのおしゃれな喫茶店があるらしいからお茶を飲んでケーキを食べてリラックスしてきたら……いえ、そうしなさい!」

 

ミーナの方も余程動揺しているらしい。バルクホルンの話も聞かず、MG42の連射速度を再現したかのようなマシンガントークを披露する。

 

「はい!休暇申請書と外出申請書、提出は明日で構わないわ!それじゃ私はこれで!」

 

書類を押し付けるように渡すと、ミーナは逃げるように廊下の奥へ消えていった。

 

「ミーナ……違うんだ……」

 

弁解すら出来なかったバルクホルンは膝から床に崩れ落ち、自身の軽率な行動を悔いた。




お急ぎで書き上げたので、文章がおかしくなっているかもしれません。

後々修正します。
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